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螢獲て少年の指みどりなり    山口誓子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
掌囲ひに蛍相見し日の遠し 瀬戸峰子 春燈 201610
水音へ手を差し伸ぶる螢の夜 安藤久美子 やぶれ傘 201610
瀬音闇やがては星になる螢 樋口正子 京鹿子 201610
せせらぎの音は夜に浸み蛍飛ぶ 岡山敦子 京鹿子 201610
川の香の立ちて蛍の夜となりぬ 笹倉さえみ 雨月 201610
ひと雨のあとの水嵩夕螢 谷田部栄 万象 201610
指籠より蛍を闇へ返しけり 佐津のぼる 六花 201610
待つと云ふ刻ときめくや蛍狩 岩村惠子 ホトトギス 201611
恋蛍森の鼓動のあるやうに 岩村惠子 ホトトギス 201611
蛍狩終りし闇のあつけなく 岩村惠子 ホトトギス 201611
子の髪に青き明滅螢の夜 林陽子 万象 201611
水音に落ちてゆきけり恋蛍 黒滝志麻子 末黒野 201611
卒業や蛍の光遠き日よ 水谷直子 京鹿子 201612
蛍火の奔放闇をぬらしつつ 山下美典 ホトトギス 201612
蛍来よ夕風誘ふ草の丈 河野由美 馬醉木 201701
螢の夜母の季寄せを繕へり 野畑さゆり 201612
老人と蛍の里になりにけり 七種年男 201701
蛍火を離れて人を待ちにけり 東英幸 船団 201702
次の世は知らぬ同士や螢狩 苑実耶 201704
一水を銀河としたる蛍かな 竹下陶子 ホトトギス 201705
夙川の風の育む蛍かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
夙川の風あるがまま蛍の夜 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
螢火やどの命にもある重さ コ田千鶴子 馬醉木 201707
光より先をいきたる蛍かな 山田六甲 六花 201707
螢籠死者の休らふ暗さあり 安居正浩 201708
蛍火のひとつに気息合はせをり 楠原幹子 201708
一斉に動く百の眼初螢 宮内とし子 201708
本家まで近くて遠し夕蛍 甲州千草 201708
蛍飛ぶ闇に山河のあるやうに 七田文子 201708
蛍見し夜はわが部屋の灯を絞る 七田文子 201708
指先に記憶の戻る螢籠 大石恵子 201708
もう既に佐用の蛍は終へしとよ 山田六甲 六花 201708
おとうとのはや寝まりをり蛍籠 笹村政子 六花 201708
人のうへやがてわがうへ螢とぶ 久保田万太郎 春燈 201708
湯しめりの髪に手櫛や蛍の夜 鷹崎由未子 春燈 201708
一の谷は源氏二の谷は平家蛍 松本峰春 春燈 201708
正調の箱根馬子唄蛍の夜 丸山允男 春燈 201708
明滅の明の永きは勝ち螢 定梶じょう あを 201708
失語して蛍火ひとつ漕ぎ寄する 奥田筆子 京鹿子 201709
星屑になりてもひかる蛍籠 片山煕子 京鹿子 201709
点るたび籖のまたたく蛍籠 笹村政子 六花 201709
息殺し死ぬ思ひして待つ蛍 谷口一献 六花 201709
箱舟に螢は乗つてをらざりし 柳川晋 201709
恋螢うなじにふれてときめきぬ 阪倉孝子 201709
流蛍に遅れて樹々の戦ぎかな 中根美保 風土 201709
ときとして人の消え去る螢狩り きくちきみえ やぶれ傘 201708
蛍火に自づと声を潜めけり 楠原幹子 201709
夕蛍椨の木の抱く田の祠 井原美鳥 201709
螢見やかすかな風と水の香と 溝呂木信子 201709
遠くとも近くとも見せ夕蛍 堀田順子 馬醉木 201709
四姉妹ちりぢり遠き蛍籠 高橋恵美子 馬醉木 201709
ひらがなの光の迷路恋蛍 長尾タイ 末黒野 201709
螢の夜肩に一枚はをりけり 鎌田光恵 201709
おぶつた子の指差す先の螢かな 稲田延子 やぶれ傘 201709
手の平に蛍の匂ひ持ち帰る 森岡正作 201710
手囲ひにいのち灯せり初螢 秋葉雅治 201710
忘却てふ帰らざるもの蛍手に 安立公彦 春燈 201709
オルゴール兼蛍籠主待つ 卯木堯子 春燈 201709
蛍火や良妻賢母とほく過ぎ 永井惠子 春燈 201709
声ひそめ橋の行き来や蛍の夜 新海英二 春燈 201709
笑つてよ声聞かせてよ螢の夜 加藤峰子 201710
螢見し夜は考のこと妣のこと 平野みち代 201710
蛍のゆらゆらと翔ちはたと落つ 小林輝子 風土 201710
心音に合はせ蛍の明滅す 高橋将夫 201710
盗泉の水は好まず螢舞ふ 久保東海司 201710
蛍や指の触れたる別れ橋 佐俣まさを 春燈 201710
宙広しぐいぐい蛍交錯す 植村蘇星 京鹿子 201710
螢とぶ背ナまでの髪消えてゐる 伊藤希眸 京鹿子 201710
子の唄に応ふる如く螢舞ふ 岩崎武士 万象 201710
かたはらに誰かきてをり蛍狩 黒滝志麻子 末黒野 201710
さらに闇深め蛍の舞ひにけり 石黒興平 末黒野 201710
ふはり寄りこつと消えたり恋蛍 森清堯 末黒野 201710
出迎へのやうにふんはり初蛍 岡野里子 末黒野 201710
点滅は蛍の吐息草の蔭 岡野里子 末黒野 201710
ぬばたまの闇や蛍の在り所 岡野里子 末黒野 201710
蛍火や濁世の闇を遠くせり 岡野里子 末黒野 201710
水あふるる田毎の月や草蛍 佐藤喬風 末黒野 201710
追ひかけて追ひかけられて恋螢 齋藤厚子 201711
美吉野の闇を濃くせり山蛍 上辻蒼人 風土 201711
山蛍飛んで己を隠しけり 上辻蒼人 風土 201711
明滅の螢頭上を低く輝る 久保東海司 201712
己が灯を水に映して恋蛍 関東美佐栄 京鹿子 201712
無言には無言で添へり蛍の夜 北村梢 京鹿子 201801
蛍火を這はす手のひら感情線 松尾龍之介 201712
手をつなぎゆく子の欲しや螢狩 波悠 201712
おん宿は花屋徳兵衛初蛍 南北佳昭 船団 201802
すれちがう蛍千年まえの罪 中原幸子 船団 201805
蛍狩せし地へ組みし旅予定 稲畑汀子 ホトトギス 201806
螢火のひとつは胸に仕舞ひおく 森岡正作 201807
乱舞する蛍一匹群離る 古賀恵子 201808
螢川この切なさは何ならむ コ田千鶴子 馬醉木 201808
碑に遊女の句あり草蛍 大文字孝一 春燈 201808
一の瀬に応へ二淵の夕蛍 和田照海 京鹿子 201808
明滅の闇に余情や蛍の夜 京鹿子 201808  
灯しつつ生命継ぎ合ふ恋螢 藤岡紫水 京鹿子 201808
近づきし火星へとべる蛍かな 竹下陶子 ホトトギス 201808
背を向けてより螢火を寂しめり 森岡正作 201809
天野川恋の火となり蛍落つ 蒲田豊彦 雨月 201809
姫螢飛びて拡がる草の闇 吉田順子 201809
悲しみや困難を越え螢飛ぶ 江島照美 201809
何ゆゑの切なさ暁の蛍川 コ田千鶴子 馬醉木 201809
奥琵琶の闇を灯して初螢 小森泰子 馬醉木 201809
蛍火は闇に草書を習ふごと 藤井明子 馬醉木 201809
父母をさがす思ひの蛍狩 藤井明子 馬醉木 201809
再会は螢のころと言ひしまま 佐藤保子 馬醉木 201809
まだ捕れぬ童に蛍籠重し 藤井彰二 馬醉木 201809
一輌にゆける列車は蛍籠 奥田筆子 京鹿子 201809
川音を越え来る一番蛍かな 笹村政子 六花 201809
欄干の冷えてきてをり蛍の夜 笹村政子 六花 201809
さざ波に月の崩るる蛍かな 笹村政子 六花 201809
葉の裏に蛍の光透けてをり 赤松赤彦 六花 201809
少しずつ数増えてゐる蛍かな 赤松赤彦 六花 201809
約束をすつぽかされたる蛍かな 川崎真樹子 春燈 201809
蛍火の明滅に見る命とは 齋藤晴夫 春燈 201809
いみじくも蛍の呼吸色に出て 上野進 春燈 201809
手のひらに淡き水の香蛍狩 佐俣まさを 春燈 201809
篁に蛍来てゐるつるべ井戸 中里よし子 春燈 201809
顔見えぬ挨拶交す蛍狩 七郎衛門吉保 あを 201809
蛍の夜思ひ出つねに食ひちがひ 栗原公子 201810
静けさの大きな闇に蛍待つ 佐久間由子 201810
見慣れたる川あたらしき蛍の夜 阪上多恵子 雨月 201810
蛍火の闇に明滅して悲し 桜井知恵子 雨月 201810
亡き夫に思ひ馳せたる蛍の夜 桜井知恵子 雨月 201810
舞ひ上る蛍いつしか星となり 桜井知恵子 雨月 201810
灯ひとつ追うて足りたる蛍の夜 岩田登世 雨月 201810
蛍の夜世にすれ違ふ人おほく 下田奉枝 雨月 201810
手に囲ふ蛍の濡れてゐるやうな 土井三乙 風土 201810
丹後の闇ふかし蛍火ちりばめて 西川保子 春燈 201810
漆黒の川面をすべり蛍の火 西川保子 春燈 201810
蛍火のひとつ高みへ敦の忌 西川保子 春燈 201810
蛍見に来てをり上総一の宮 田中臥石 末黒野 201810
葉裏より宵の蛍を手に掬ふ 田中臥石 末黒野 201810
蛍火や闇の起伏に従ひて 石黒興平 末黒野 201810
電灯を消す公園へ蛍狩 福澤聡子 末黒野 201810
静けさを蛍乱舞のほしいまま 中野大樹 末黒野 201810
みよし野の雨にも灯る蛍かな 三村純也 ホトトギス 201811
螢火は黄泉の標や更に追ふ 山内碧 201811
現し世をふんはりつつむ夕螢 石橋幾代 201811
螢狩宿に降り籠められてをり 吉田葎 201811
螢来よ椎のしづくの殉教碑 布施政子 馬醉木 201811
ゆるやかに四肢の伸びゆく蛍狩 山田健太 風土 201811
わたくしの行く手塞ぐな蛍なら 阪野基道 船団 201812
夕ぐれの雨にほひくる蛍籠 布施政子 馬醉木 201812
光るとは生きることなり飛ぶ蛍 谷田明日香 風土 201901
掌に小さき掌蛍の夜 今村千年 末黒野 201904
夜の帳下りるを待てぬ蛍狩 稲畑汀子 ホトトギス 201906
夙川の闇を束ねて蛍舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
金真砂撒きたるごとき蛍かな 竹下陶子 ホトトギス 201906
蛍(ほうたる)のあとを追ひたる蛍かな 山田六甲 六花 201906
螢火や詮もなきことあれこれと コ田千鶴子 馬醉木 201907
螢火や水音つなぐ家と家 石川倜子 馬醉木 201908
濃く淡く蛍の闇の半世界 武川未有 201908
ひとしきり蛍の揺れて消えにけり 野村宏 201908
親一人あとにのこりし螢かな 久保田万太郎 春燈 201908
ここよりは未踏の世界夕蛍 近藤真啓 春燈 201908
行き場なき想ひ蛍となりにけり 高橋将夫 201908
小声なら言へる気がする螢草 仲里奈央 201909
満てばひき引いてはみちて火の螢 定梶じょう あを 201908
妣のことまた姉のこと蛍の夜 城台洋子 馬醉木 201909
螢火の縺れし闇の水韻く 池野つむぎ 馬醉木 201909
蛍火は地上の星や同胞の 三羽永治 201909
くづし字を消して点して初蛍 森清堯 末黒野 201909
ふる里の誰彼恋し蛍狩 堺昌子 末黒野 201909
腐草蛍となれよ反故にせし句のあまた 辻美奈子 201909
蛍消え牛の匂へる闇もどる 南うみを 風土 201909
ペン先に躓く一語蛍の夜 高村令子 風土 201909
安房路へとフェリーで渡る蛍狩 林いづみ 風土 201909
剥き出しのジュラ紀の地層蛍飛ぶ 中嶋陽子 風土 201909
螢火の乱れて里の闇あをし 片山煕子 京鹿子 201909
蛍火や野辺のおくりの手の透きつ 安田優歌 京鹿子 201909
腐草蛍と化するころ無音界 篠田純子 あを 201909
お互いの記憶異なる蛍の夜 塩谷則子 船団 201910
筌さげし男に会釈蛍待つ 山岡和子 船団 201910
少年のような男だ蛍一つ 山岡和子 船団 201910
水に明け水に暮れゆく螢沢 増成栗人 201910
仕舞い湯に蛍見てきし髪解きぬ 松井季湖 201910
「無」と「舞」は似てると思う夕蛍 おーたえつこ 201910
天こ盛りの螢延延更迭です 近藤綾 201910
石鹸の匂ふ青年初蛍 森清信子 末黒野 201910
秋螢父母誘ひて来るごとし 森岡正作 201910
透きとほる瀬音や蛍消えてより 伊藤よし江 201910
ボンネットバスの出迎へ蛍狩 尾崎みつ子 雨月 201910
蛍籠編むも遊びのつづきかな 蒲田雅子 雨月 201910
螢火の点滅抜けて通ひ窓 丸井巴水 京鹿子 201910
火の糸をあえかに梳けり蛍川 高堀洋子 京鹿子 201910
つなぐ手の闇の蛍に解かれけり 住田千代子 六花 201910
午後八時ほらほらきたね蛍きた 貫井照子 やぶれ傘 201911
ひいふうみ庭の蛍に夫をよぶ 貫井照子 やぶれ傘 201911
掌の蛍に見入る子の面輪 貫井照子 やぶれ傘 201911
蛍火のひとつがすいと神木へ 貫井照子 やぶれ傘 201911
おおかみになんで螢がついてるの 近藤紀子 201911
仲居つと灯を消し庭の宵蛍 石黒興平 末黒野 201911
手がこひや指間を洩るる蛍の火 石黒興平 末黒野 201911
晩学をくすぐる蛍点点点 畑佳与 京鹿子 201911
街川の蛍火とんで来しことも 竹下陶子 ホトトギス 202001
ここよりは未踏の世界夕蛍 近藤真啓 春燈 202001
七つ星七つ見えゐて初蛍 福井ひでとし 雨月 202001
螢来て灯れば手捕る旅ごろも 水原秋櫻子 馬醉木 202005
濡れ色に暮れてゆくなり初蛍 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
蛍に照らし出されし逢瀬かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
螢→17      

 

2021年7月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。