15  200句

螢獲て少年の指みどりなり    山口誓子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
それぞれに蛍の夜を帰りけり 藤生不二男 六花 201409
そのことに触れず螢を見しと言ふ 酒本八重 201409
夕蛍言霊といふいのちかな 長谷英夫 馬醉木 201409
黙々と修羅場演じて蛍の火 北尾章郎 201409
明滅の蛍百とも二百とも 北尾章郎 201409
薄明り帰り来たるらし夕蛍 長崎桂子 あを 201409
沖縄へ祈りのひと日蛍舞ふ 伊藤憲子 201409
晴男晴女居て蛍の夜 根岸善行 風土 201409
香を籠めし文ふところに蛍の夜 錫木妙子 馬醉木 201409
襟足の薄らに白き蛍狩 上野進 春燈 201409
ふうはりと闇に休みて蛍の火 伊藤和子 201409
闇に浸かりて蛍の出を待てり 内山照久 201409
蛍狩わが掌中の平家かな 近藤ともひろ ろんど 201409
蛍舞ふ頃か手紙を書き始む 山田暢子 風土 201409
わたくしといふ水に来い螢 おーたえつこ 201409
逢引きやハートの形に螢飛ぶ 荻龍雲 201409
ひと尋の浅きせせらぎ恋螢 北村淳子 ろんど 201410
蛍草格子戸残る郭跡 山田正子 201410
蛍火の軌跡なぞらふ惑ひかな 村田岳洋 ろんど 201410
蛍火の一つ離れて灯の強し 吉澤恵美子 春燈 201410
蛍の這ふ薬指透けて来し 廣畑育子 六花 201410
ぬばたまの闇ぬれてきし恋蛍 三宅文子 春燈 201410
峡の湯の熱りを冷ます蛍狩 升田ヤス子 六花 201410
照らしあふ闇となりけり螢籠 深澤鱶 火星 201410
螢袋咲き町ごとの祭蔵 杉浦典子 火星 201410
螢火の奥へ奥へと彼の世かな 岩月優美子 201410
妻恋ひか渓にさまよふ蛍の火 横山昭子 雨月 201410
幼子の双手さしのベ夕蛍 齋藤眉山 末黒野 201410
幼子の双手さしのべ夕蛍 齋藤眉山 末黒野 201410
夕闇の水の匂や草蛍 尾野奈津子 春燈 201410
幽玄の闇を彩る蛍かな 永田万年青 六花 201410
友の手に蛍こぼして何か失す 升田ヤス子 六花 201410
鳴けぬゆゑいつさう光る恋蛍 三宅文子 春燈 201410
父の背を記憶のはじめ螢の夜 成智いづみ 馬醉木 201410
捕らへたる指間にこぼれ蛍の火 永田万年青 六花 201410
勝手口あれば小橋が草螢 深澤鱶 火星 201410
寄り添ひて互いに点る蛍かな 永田万年青 六花 201410
おしやべりは螢袋に聞かせけり 相澤和子 ろんど 201410
恋蛍恋見付かれば消えにけり 後藤立夫 ホトトギス 201411
祖谷の里螢も捨てし夢あらん 桑名さつき ろんど 201411
化粧てはひとの老いゆく夕蛍 土屋草子 ろんど 201411
螢草小橋をくぐる日の流れ 中田みなみ 201411
ふれた手のあとの淋しき蛍の夜 直江裕子 京鹿子 201411
一つづつ消ゆる想ひ出螢かな 田村すゝむ 風土 201411
蛍のまたたくリズム揃ひ来し 稲岡長 ホトトギス 201411
一水に糸引きたちし蛍かな 竹下陶子 ホトトギス 201412
螢火の記憶を辿りゆくやうに 原友子 201412
熊よけの鈴の音消え蛍かな まつのたく ろんど 201412
冷めたかりし指現はれつ螢の夜 堀内一郎 堀内一郎集 201412
螢に哭きいつもたてがみ持つ男 堀内一郎 堀内一郎集 201412
螢呼ぶ唇に火をつけ亜老年 堀内一郎 堀内一郎集 201412
蛍火に闇の山河のありにけり 水谷文謝子 雨月 201501
父愛でし蛍の川へ散骨す 岡本尚子 風土 201501
天井川多き淡海や蛍舟 岡本尚子 風土 201501
近づきて蛍と同じ息づかい 田彰子 船団 201502
まほろばの蛍を連れて彼 陽山道子 船団 201502
友といていつか小声に蛍の夜 陽山道子 船団 201502
蛍に偲ぶ心を托しけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
蛍川昨夜の余韻を流しつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
現世の端に蛍火ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
蛍火を見下してゐる生活の灯 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
網絞る蛍鳥賊の炎引き絞る 堀田清江 雨月 201506
蛍の飛ぶ夜はぱおのしのび声 山田六甲 六花 201506
個舞ならぬ弧舞演じきる初蛍 布川直幸 201506
腕枕してもらひしも螢の夜 コ田千鶴子 馬醉木 201508
みあかしは蛍火ならむ奥の院 高橋たか子 馬醉木 201508
訣れきて蛍の闇に抱かるる 白井友梨 馬醉木 201508
未練無しと言うてはみても蛍掌に 諸戸せつ子 春燈 201508
蛍火の消ゆるは恋の成就なる 上野進 春燈 201508
螢火の荒瀬に詩嚢忘れきし 中山皓雪 201508
わたくしのからだ空洞螢の夜 細川洋子 201508
蛍ぶくろ人の名忘れやすきかな 高橋あさの 201508
はじめての蛍に会ひぬ健吉忌 神蔵器 風土 201508
合はせたる酢味噌今宵は蛍烏賊 落合絹代 雨月 201508
星を恋ふ螢もありぬ水の音 有松洋子 201508
八重山のおまんがときの蛍かな 須賀敏子 あを 201508
蛍飛ぶ闇に子の声妻の声 鈴木漱玉 馬醉木 201509
螢舞ふ瀬も屋敷うち杉長者 薮脇晴美 馬醉木 201509
むらさきの螢袋とわたつうみ 雨村敏子 201509
保護色は蛍光色よ青蛙 江島照美 201509
いちばんの輝きに愛を蛍かな 柴田靖子 201509
憲法九条地をはなれずに螢の火 鴨下昭 201509
蛍火は黄泉への誘ひ戻らねば 安居正浩 201509
闇に見る乱調の美や蛍狩 内山照久 201509
螢火の二つもつれつ水に落つ 山田春生 万象 201509
螢の火池に映りて照らし合ふ 仙頭宗峰 万象 201509
川面吹く風になりたき蛍火や 齋藤晴夫 春燈 201509
夕蛍草に沈みぬ敦の忌 石橋邦子 春燈 201509
蛍(ほうたる)を待つ間の水田明りかな 笹村政子 六花 201509
蛍火のひとつ点りし藪の奥 笹村政子 六花 201509
つなぎたき人の手遠く蛍狩 笹村政子 六花 201509
水漬きつつ蛍心地のゆらめけり 笹村政子 六花 201509
蛍火に広ごりゆける視界かな 笹村政子 六花 201509
たましひの闇にともりし蛍火は 藤生不二男 六花 201509
わたくしを誘ふのはたれ蛍川 藤生不二男 六花 201509
音もなく闇の流るる蛍かな 藤生不二男 六花 201509
月光を浴ぶる片おも蛍橋 藤生不二男 六花 201509
人形のことりと動く蛍かな 藤生不二男 六花 201509
見上ぐれば山の端に月地に螢 山本無蓋 201509
天翔けよ星となるまで恋蛍 甕秀麿 201509
兄の忌を修せし帰路の初蛍 山本漾子 雨月 201509
声出せば火の消ゆるかと初蛍 福岡かがり 雨月 201509
椿山荘の婚いく組も蛍の夜 福岡かがり 雨月 201509
蛇の眼とみまごう蛍闇夜かな 秋川泉 あを 201509
螢火やおいでおいでと奥の闇 三屋英俊 万象 201510
蛍の夜後部座席に子の眠り 苑実耶 201510
朝には何のことなき螢籠 苑実耶 201510
螢火を追ひて行方の知れぬまま 高倉和子 201510
蛍狩り帰りの靴を洗ひけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201510
かなかなも蛍も見ずに草田男忌 神蔵器 風土 201510
黒川の田水走りて蛍舞ふ 遠藤逍遙子 風土 201510
螢火は蛍も人も呼び寄せり 高橋将夫 201510
螢火の奥は精霊漂ひぬ 岩月優美子 201510
低く飛ぶはぐれ蛍のひかりかな 岡野里子 末黒野 201510
蛍火の明滅愛を語るかに 田中春江 末黒野 201510
大樹の闇奥へ奥へと恋蛍 田中春江 末黒野 201510
繚乱の蛍火やがて卍なす 竹下陶子 ホトトギス 201511
桂郎のいのち知らずや蛍飛ぶ 神蔵器 風土 201511
千年の秘湯蛍の小宇宙 土井ゆう子 風土 201511
広野行く残る螢のゆくへかな 有松洋子 201511
農機具小屋は茅葺よ蛍草 杉原ツタ子 201511
螢火に鬼火のまじり戸が軋む 深川淑枝 201511
草螢水に誘はれ低く輝る 久保東海司 風鈴 201512
合掌集落いつの頃より蛍草 大橋晄 雨月 201511
川の闇山の闇濃き蛍とぶ 下平しづ子 雨月 201511
降る星と湧く蛍火の中に在り 福島照子 京鹿子 201512
螢草渡り坑夫の墓灯す 茂木弘子 万象 201512
螢袋ひとり遊びの子が覗く 山内碧 201512
蛍草わきに守宮を葬むれり 森理和 あを 201512
手のひらを零れ蛍の夜へもどる 山本素竹 ホトトギス 201601
不覚にも螢狩りとてついてゆき 大政睦子 京鹿子 201601
蛍や曾孫の顔を見せに行く 佐藤みち子 京鹿子 201601
冬浅し蛍光管の余命尽く 生方義紹 春燈 201602
螢籠字引の傍に置かれたる 岡田一夫 201602
戒名の一字がこぼれ出て螢 伊藤通明 201603
省線を冬の螢が追うてゆく 柳川晋 201603
蛍の一つは行方知れずかな 小田嶋野笛 末黒野 201604
島螢の太き指組む聖夜弥撒 林加寸美 ホトトギス 201605
退院の期待初蛍の期待 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
病窓を過る都心の蛍かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
螢火の一人となれば荒びけり 柴田佐知子 201607
今年また螢見の人見送りぬ 井上信子 201608
逝きし人追ふやに螢待ちてをり コ田千鶴子 馬醉木 201608
行きずりの人へ蛍火手渡しぬ 平田はつみ 馬醉木 201608
團欒の会合となる蛍の夜 大谷昌子 馬醉木 201608
告ぐる間もなく初蛍見失ふ 馬屋原純子 馬醉木 201608
欄干のしとどに濡れて蛍の夜 中根美保 風土 201608
山の気のどつと下り来る蛍狩 中根美保 風土 201608
しばらくは消ゆる瀬音や蛍狩 中根美保 風土 201608
森の香の次第に濃ゆき蛍狩 中根美保 風土 201608
蛍には蛍の天や昇りゆく 中根美保 風土 201608
螢火や声を上ぐれば消えさうで 小林朱夏 201608
梅雨ぐもり名のみ残れる蛍坂 田中藤穂 あを 201608
蛍火のしづまりてまた星空に 田中藤穂 あを 201608
またたきて星をさそひし蛍かな 佐藤恭子 あを 201608
蛍の月にとけゆく高みかな 佐藤恭子 あを 201608
蛍狩小さな橋を渡りけり 今井妙子 雨月 201608
ほたるぶくろ螢こぼしてしまひさう 安居正浩 201608
螢火に触れさう近づけば水音 内山花葉 201608
蛍狩か細き道であればこそ 大矢恒彦 201608
広野ゆく残る蛍のゆくへかな 有松洋子 201608
まん中に闇かたまりし螢池 雨村敏子 201608
螢火にさそひ出されし夢の道 柴田靖子 201608
せせらぎに月の雫か初螢 高野昌代 201608
暗闇にひと筆書きの螢かな 中島昌子 201608
いちいちに人の手を借る恋螢 相良牧人 201609
螢待つ闇の深きに息ころし 藤井明子 馬醉木 201609
友情や蛍のごとくまたたきて 平野加代子 春燈 201609
てのひらの宇宙同胞蛍飛ぶ 福田周草 風土 201609
山蛍俳聖殿に隠れけり 上辻蒼人 風土 201609
山蛍翁の魂も連れてこい 上辻蒼人 風土 201609
螢とぶ細き流れの村境 内海良太 万象 201609
暗闇に湧水ひかり初螢 大坪あきら 万象 201609
眼裏に螢火のまだ揺れてをり 安居正浩 201609
点滅は恋のためらひ蛍かな 内山照久 201609
蛍火の膨らみ萎む真闇かな 鈴木良戈 201609
宵螢女は爪に火を点す 藤岡紫水 京鹿子 201609
水となり螢を待つてをりにけり 近藤喜子 201609
点滅の点に螢のこころかな 吉田順子 201609
対岸の闇の息づく蛍かな 笹村政子 六花 201609
蛍火の息を継ぎたるしじまかな 笹村政子 六花 201609
蛍狩道のかたへに獣よけ 笹村政子 六花 201609
山の端に空の残れる蛍かな 藤生不二男 六花 201609
いくたびも手が空をきる螢かな 竹内弘子 あを 201609
あをくさくかたくつめたき螢なれ 竹内弘子 あを 201609
子の捕りし蛍二つや悲喜の籠 七郎衛門吉保 あを 201609
ワイン飲み尽くしこれより蛍の夜 藤井啓子 ホトトギス 201610
月ある夜月なき夜も蛍の夜 和田華凛 ホトトギス 201610
忽然と闇滑り出づ恋蛍 森清信子 末黒野 201610
来し方をふと呼び戻す蛍かな 石黒興平 末黒野 201610
甲高き子等の声とぶ蛍とぶ 堺昌子 末黒野 201610
幾度も星近づけて夕蛍 堺昌子 末黒野 201610
炉煙舎を恋ふか釜利谷蛍舞ふ 戸田澄子 末黒野 201610
彼の世から此の世の夜明け螢籠 山田正子 201610
闇を来て闇に消えたり螢川 青木朋子 201610
わが胸を長く灯して初螢 青木朋子 201610
星恋の高みへのぼりゆく螢 青木朋子 201610
田面に螢火明滅峡の星 青木朋子 201610
螢の暗を待つ間の読経かな 村上典子 201610
照らし合ふたび螢火の痩せてゆく 岸洋子 201610
眠らんと螢は梢目指しをり 近藤紀子 201610
螢→16      

 

2021年7月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。