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螢獲て少年の指みどりなり    山口誓子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
父祖の田を今宵住処の恋蛍 宮田香 故郷 201207
恋蛍雨の葉うらに身をひそむ 綱徳女 春燈 201207
ほうほうと螢の明かり闇に熔け 加納淳子 六花 201207
茫々の蛍火神秘雨上り 飯田美千子 201208
蛍火の飛び交ふ闇の深さかな 岡佳代子 201208
酒米の棚田の里に初蛍 青木英林 かさね 201208
いちはやく樹々に闇来る螢狩 広渡敬雄 201208
放たれし一夜仮設の蛍かな 松本秀子 201208
蛍火の消えゆく闇をおもひをり 小山繁子 春燈 201208
てのひらや蛍火の息巡せて 山田六甲 六花 201208
てのひらを焦がしてゐたる蛍かな 山田六甲 六花 201208
蛍沢背中押す手の伸びて来し 山田六甲 六花 201208
蛍や鯉を呼ぶかに手を打つて 山田六甲 六花 201208
蛍狩川を飛び交ふペンライト 和田郁子 粥の味 201209
ふる里の川の生みたる初蛍 和田郁子 粥の味 201209
蛍舞ひひときわ暗し細き畦 岡野安雅 かさね 201209
蛍火に匂ひありけり背戸の闇 野坂民子 馬醉木 201209
湯上りの子の髪ともし初蛍 能勢俊子 馬醉木 201209
夕風呂に蛍寄りくる母の郷 城台洋子 馬醉木 201209
螢狩人に待たるる心地して あさなが捷 201209
螢狩処女は青の色濃くもどる 水野恒彦 201209
ひつそりと身の内にある螢沢 近藤喜子 201209
螢火や泛ぶ過去にはあらねども 西村純太 201209
熱のなき光かなしき螢かな 柳川晋 201209
てのひらに一瞬のりし夕螢 谷岡尚美 201209
ひそやかに人を待ちをり蛍籠 寺田すず江 201209
手児奈霊堂の結界に湧く蛍かな 深川敏子 春燈 201209
失恋の蛍かわれのてのひらに 大室恵美子 春燈 201209
己が詩の漂着の岸蛍とぶ 神田恵琳 春燈 201209
草蛍逢魔が刻の風ひそみ 宮崎紗伎 春燈 201209
地震あらば螢袋に逃げ込まむ 千田敬 201209
螢火や消えて心にともるもの 宮内とし子 201209
舞ふほどに闇うるほひぬ初螢 菊地光子 201209
蛍火の蛍火追うて恋迷路 東島若雄 201209
在五忌をきのふに蛍狩りにけり 南うみを 風土 201209
夕べには命燃やして恋蛍 池田加代子 風土 201209
青葱に蛍を入れて遊びしと 仙石君子 雨月 201209
蛍狩月満つる夜は如何にかと 寺岡ひろし 雨月 201209
蛍火の過る吊橋揺らぎけり 寺岡ひろし 雨月 201209
蛍の夜出づるに高き岨の月 寺岡ひろし 雨月 201209
月の無き夜に又訪はむ蛍沢 寺岡ひろし 雨月 201209
瓔珞の光ちりばめ蛍舞ふ 村上美智子 雨月 201209
螢火に歓声あがるビル屋上 三橋早苗 ぐろっけ 201209
闇を消し闇を作りぬ螢の火 市川伊團次 六花 201209
その先を踏んではならぬ螢の火 市川伊團次 六花 201209
雨上り心ときめく蛍川 山本達人 かさね 201210
蛍火や人ははかなきものが好き 矢野百合子 201210
ゆく先は別の螢火桜桃忌 山田正子 201210
蛍火や人ははかなきものが好き 矢野百合子 201210
やうやくに思ひ出となる螢かな あさなが捷 201210
螢狩野良着の後ついて行く 山内碧 201210
たましひのやうな自在さ螢の火 望月晴美 201210
籠蛍瞬のいのちの灯りかな 河口仁志 201210
漆黒を破る螢の愛と憎 延広禎一 201210
森かげの光る泡を螢とす 加藤みき 201210
恋螢闇を鞣して飛び交へる 大島翠木 201210
螢火のひとつは上ミに流れけり 雨村敏子 201210
てのひらに曼陀羅となる螢の火 本多俊子 201210
螢の火仄かに弧描き目の前を 水谷直子 京鹿子 201210
一会かなはぐれ蛍に就いてゆく 布川孝子 京鹿子 201210
旅の蛍病む娘の苞に捉へむか 成瀬櫻桃子 春燈 201210
賑やかに別れて淋し蛍狩 岩永はるみ 春燈 201210
浄土より明かり持てくる夕蛍 仲田眞輔 ぐろっけ 201210
増水に蛍無事かと岸に立つ 長瀬節子 ぐろっけ 201210
修羅の道はづれし螢抱きけり 前田恵美子 青鷹 201210
時折の水車の軋み初蛍 石黒興平 末黒野 201210
深き闇千々に乱して恋蛍 小倉正穂 末黒野 201210
傍らに亡き夫の影蛍の夜 菅野日出子 末黒野 201210
寄るとなく離るるとなく蛍舞ふ 加藤八重子 末黒野 201210
躊躇ひの蛍分け入る闇の奥 谷口律子 末黒野 201210
蛍や一筆書きの光の輪 山咲和雄 末黒野 201210
清滝の一番星や蛍狩 中村洋子 風土 201210
蛍の闇曳くながさありにけり 橋添やよひ 風土 201210
螢火のまんじどもえに闇深し 中島芳郎 201210
てのひらに蛍の光残りたり 村高卯 201210
せせらぎに星座のごとく蛍かな 村高卯 201210
蛍狩プラネタリウムに居るごとく 村高卯 201210
そこらぢゆう流星群や蛍狩 村高卯 201210
幾重にも闇に仕掛けや蛍狩 甕秀麿 201210
知覧発ちここに還りし蛍かな 甕秀麿 201210
幾重にも闇に仕掛けや蛍狩り 甕秀麿 201210
明智越え昼を迷ひの蛍の火 密門令子 雨月 201210
春に病みいつしか蛍飛ぶ話題 石川玄能 ホトトギス 201211
蛍待つ檜山は水に影正し 渡邊千枝子 馬醉木 201211
川べりの声のふえくる螢狩 久保東海司 201211
薄墨の葦原螢また螢 松下信了 万象 201211
足音の静かに混みて蛍の夜 村上千紫 京鹿子 201211
熊の道迷へば蛍案内す 岡山敦子 京鹿子 201211
言葉などいらぬ蛍の夜なりけり 大木清美子 201211
蛍火の奈落の闇に星となる 竹下陶子 ホトトギス 201212
月上げしばかりの段田蛍とぶ 上崎暮潮 ホトトギス 201212
青空のかくありしこと蛍とぶ 上崎暮潮 ホトトギス 201212
後ろより声かけられし蛍の夜 安藤久美子 やぶれ傘 201212
わき水の滴る中を蛍飛ぶ 筒井八重子 六花 201212
山容は女でありぬ蛍の夜 佐瀬晶子 ろんど 201212
蛍の光るに見入る幼の目 武石京子 やぶれ傘 201301
手で捕ふ蛍一匹頼政忌 天野みゆき 風土 201301
蛍の光震へる声で児に贈る 土井久美子 201305
水音に誘はれ出でし蛍かな 稲畑汀子 ホトトギス 201306
ひとりにはしておけぬ人夕蛍 田嶋洋子 七線譜 201306
目の前の螢と別に旧山河 伊藤白潮 201306
せがむ子へしばし手包む蛍かな 布川直幸 201306
恋蛍つかめば火傷するやうな 布川直幸 201306
蛍くさい掌嗅いで別れけり 竹内弘子 あを 201308
わくわくと蛍に合はせ早夕餉 森理和 あを 201308
夕螢笹舟流れきたりけり 山田美恵子 火星 201309
人の世は夢幻と螢舞ふ 増田甚平 ろんど 201309
蛍火やまだらに惚けてゐる私 山崎青史 ろんど 201309
地の人と犬の先ゆく蛍川 菅野雅生 ろんど 201309
その中にふるさとのあり蛍の火 市川伊團次 六花 201309
霊園の近き小川の蛍かな 市川伊團次 六花 201309
この時を源氏蛍のほしいまま 市川伊團次 六花 201309
独り居て草むら照らす蛍かな 出口誠 六花 201309
せせらぎや老舗の饗に蛍の火 山内節子 201310
何事も無くてひと日や夕蛍 河本由紀子 春燈 201310
渾身の一閃蛍光りけり 中里よし子 春燈 201310
学童の育てし巻貝螢の夜 古川千鶴 かさね 201310
はんなりと葉先をはなれ初蛍 森清堯 末黒野 201310
高ぶりの声とはならず蛍の夜 森清信子 末黒野 201310
蛍舞ひひときは闇の深まりぬ 石黒興平 末黒野 201310
両の手をしばらく籠に蛍の火 岡井マスミ 末黒野 201310
あをくさきおもひで川の蛍狩 三橋玲子 末黒野 201310
君の名はと訊ねてみたり夕蛍 小田嶋正敏 末黒野 201310
片膝の蛍肴の地酒かな 門間としゑ 末黒野 201310
追へば白き火群となりて螢の夜 秋葉雅治 201310
裏木戸にきてゐし昼の螢かな 山形悦子 万象 201310
螢狩つゆ草いろの宵の空 内海保子 万象 201310
音のなき故の優さ蛍の火 大橋晄 雨月 201310
蛍火の指間を洩るる拳かな 手島伸子 雨月 201310
火の雫こぼして蛍沈みけり 尾崎みつ子 雨月 201310
平家蛍とんで平家の滅びし地 村上悦子 雨月 201310
渓流に己を映し蛍舞ふ 大橋淳一 雨月 201310
蛍の夜言葉のみこみやり過す 細川知子 ぐろっけ 201310
ただ過ぎに過ぐるものなり螢の夜 明石文子 ぐろっけ 201310
次の世に話の及ぶ螢の夜 苑実耶 201310
蛍火を追うて会ひたき人のあり 山田佳乃 ホトトギス 201311
裏川に螢となりて吾子の来る 松本美簾 馬醉木 201311
ひとときは詩人のこころ初蛍 佐々木紗知 京鹿子 201311
蛍の火動かぬ色となる孤独 鴨下昭 201311
明日征くと言ふ君と居し螢の夜 高倉恵美子 201311
洗ひ場より川の気満つる蛍の夜 松井洋子 ぐろっけ 201311
蛍もはらからとなり蚊帳のなか 増田甚平 ろんど 201311
螢火の思ひ出横瀬夜雨の村 瀧春一 花石榴 201312
養殖の螢かぼそくともし過ぐ 瀧春一 花石榴 201312
螢火やのこる木の橋土の橋 瀧春一 花石榴 201312
初螢闇の青田の仄白き 瀧春一 花石榴 201312
蛍火の闇巴斬り卍斬り 竹下陶子 ホトトギス 201401
生も死もあなたまかせの病蛍 田口鷹生 201401
蛍籠帰らぬ人の部屋へ吊る 佐久間由子 201401
蛍火や闇に帯とく身のほてり 久保久子 湖心 201402
いくへにもよぎるえにしや夕蛍 久保久子 湖心 201402
星空の中へとまぎれ蛍かな 本多俊子 光のうつは 201404
蛍に明け渡したる夜の帳 稲畑汀子 ホトトギス 201406
螢火に一脈通じ父なりけり 田中貞雄 ろんど 201406
蛍は又来年の楽しみに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
あしもとの風饐えきたる蛍かな 山田六甲 六花 201407
孤舞群舞吾なら孤舞の恋蛍 布川直幸 201407
沢音に触れて火の点く恋蛍 布川直幸 201407
大勢と一人みてゐる蛍かな 山田六甲 六花 201407
蛍待つ笠形山の暮れしぶり 山田六甲 六花 201407
蛍火のあふれてきたるたなごころ 山田六甲 六花 201407
蛍やだれかさんと誰かさんは靴ぬれて 山田六甲 六花 201407
蛍に罪をそめたるをみなかな 山田六甲 六花 201407
あさきゆめ指籠に果てし蛍かな 山田六甲 六花 201407
くさむらをしとねに恋の蛍かな 山田六甲 六花 201407
とどまりて焔たてけり草蛍 山田六甲 六花 201407
闇動くときを待ち合ひ蛍狩 笹村政子 六花 201407
葉の先の一寸は闇ひめ蛍 山田六甲 六花 201407
手を離る蛍もつとも明るかり 山田六甲 六花 201407
捕らへたる蛍に雫あたへけり 笹村政子 六花 201407
舞はぬもの舞ふものみんな恋蛍 布川直幸 201407
蛍のほどよき数を楽しみぬ 笹村政子 六花 201407
わが息に一日の毒蛍の夜 山田六甲 六花 201407
われよりも闇まちゐたる蛍かな 山田六甲 六花 201407
蛍狩の闇懐かしや亡父を恋ひ 森下康子 201408
蛍の火絶えなば死の闇呼びにくる 中野英伴 春燈 201408
京料理いただく前の目に螢 上原重一 201408
恋に負け火を失ひし蛍の死 中野英伴 春燈 201408
夫の衣に切符一枚螢の夜 宮崎左智子 201408
手囲ひの指間に透ける蛍の火 岡真紗子 201408
漆黒の人影よぎる螢の夜 高谷栄一 201408
掌に残るぬくもり恋蛍 大西由美子 春燈 201408
堰しぶきに吹き戻さるる群れ螢 久染康子 201408
蛍飛ぶ新田義貞隠しの湯 鈴木石花 風土 201408
羽衣の帯なびくかに螢の火 高谷栄一 201408
ひらがなの軌跡を描き蛍かな 中井登喜子 201409
戸惑いが隠せぬ迷い蛍かな 種田果歩 201409
源氏螢少女の指を選びけり 吉田葎 201409
蛍追ひ神の領域まで入る 高橋将夫 201409
蛍草手折らばほろろ響くかに 稲田和子 201409
川面にも灯を泳がせて初蛍 上野進 春燈 201409
川面から螢いくつもいくつも おーたえつこ 201409
てのひらに移しそびれし蛍かな 藤生不二男 六花 201409
振り向かぬ背に背をむけぬ蛍の夜 森清信子 末黒野 201409
掌に一瞬乗るや初螢 谷岡尚美 201409
初螢われを迎へに来しははか 荒井千佐代 201409
螢狩牛の反芻まだ続く 小林朱夏 201409
螢火を追ひて遊行たりしかな 水野恒彦 201409
螢火よ初心絶やさぬ来世あれ 渕上千津 201409
恍惚と水より生れし火の螢 北川英子 201409
蛍 →15      

 

2021年7月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。