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蛍火の明滅滅の深かりき   細見綾子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
満天の星の化身として蛍 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
蛍の火脚立ずらして覗きけり 鴨下昭 200907
闇に慣れ時間にも慣れ蛍狩 中島玉五郎 200907
星剥がれ落ちし二つや螢の火 鷹羽狩行 200907
螢見の舟のぐらりと着きにけり 鷹羽狩行 200907
蛍火に鋼のごとき闇のあり 松本圭司 200907
一対の俄か弾ける螢かな 山田六甲 六花 200907
一斉に浮き現るる螢かな ことり 六花 200907
あきらめしごとくに消ゆる螢かな あさなが捷 200907
束の間の幸やも知れず蛍籠 徳田千鶴子 馬醉木 200908
旧暦のしきたりの里蛍舞ひ 笹井康夫 200908
水音の幽けき調べ蛍沢 小澤菜美 200908
指もるる恋の蛍火神秘的 藤見佳楠子 200908
飛び交うて蛍の逢瀬火の雫 藤見佳楠子 200908
若蛍匿まってゐる枝の泡 山口キミコ 200908
泡の巣にをさな蛍のかくれんぼ 山口キミコ 200908
蛍火に水吹いて寝る鄙の宿 杉本綾 200908
佐比売星見に来蛍の飛ばうとは 竹下陶子 ホトトギス 200908
固唾のむその一瞬の蛍かな 仁平則子 200908
蛍狩る都会の闇に二三匹 仁平則子 200908
蛍籠提げて園児らにぎやかに 仁平則子 200908
闇の波かきわけながら蛍の夜 黒澤登美枝 200908
隠れ里めきてひそかな蛍狩り 黒澤登美枝 200908
蛍火や青春容赦なく流れ 和田政子 200908
一人居や遺影と語る蛍の夜 青野安佐子 200908
蛍とぶふうはりふはと八十年 松井のぶ 200908
暗闇のそのまた闇に初螢 竹下昌子 200908
髪切つて父に似し顔初蛍 横山義恭 200908
蛍飛ぶ畦に丸太のベンチかな 寺岡宏 雨月 200908
乱れ舞ふ蛍もこゑを発しけり 藤野力 馬醉木 200909
蛍出て闇をいよいよ濃くしたる 泉田秋硯 200909
母許の野川に戻る蛍の火 中川すみ子 200909
蛍火を追へば逃げこむ闇の中 吉田晴子 200909
ふる里の川に生れたる初螢 和田郁子 200909
宇宙ステーションは比叡のあたり螢の夜 新実貞子 200909
小面の眠りや深き螢の夜 大島翠木 200909
螢火と鬼火ともつれ逝きにける 西村純太 200909
螢の乱舞修羅の世灯しけり 石寒太 炎環 200909
わがままに翔んで螢の戀の刻 石寒太 炎環 200909
生あらば死もまた愉し螢籠 石寒太 炎環 200909
牛伏の山暮れ落ちし初螢 石寒太 炎環 200909
にぎやかに螢の馳走はじまれり 石寒太 炎環 200909
点字読む天のひらがな螢の夜 石寒太 炎環 200909
生も死も有や無やとなり螢の夜 石寒太 炎環 200909
山並の眠りに落ちしより螢 宮川瘤太 炎環 200909
現世の縁なき子あり螢かご 宮川瘤太 炎環 200909
明滅の激しさ増しぬ恋螢 宮川瘤太 炎環 200909
草螢ひとつ灯りて声生るる 中村龍 炎環 200909
螢火を追ひかけ幼な声来たり 中村龍 炎環 200909
螢火の光の帯となつてゐし 中村龍 炎環 200909
むらさきの姫恋ひしかり螢の夜 中村龍 炎環 200909
父と子のこゑのまつすぐ初螢 吉村はづき 炎環 200909
秘め事は持つべし蛍しづみけり 久保久子 春燈 200909
蛍の透けて灯りし尼僧の衣 渡邊泰子 春燈 200909
蛍火や女の肌のうす湿り 小倉陶女 春燈 200909
蛍火や行方知れずになるもよし 小倉陶女 春燈 200909
頼政の無念瞬く宇治蛍 秋場貞枝 春燈 200909
蛍狩左右につなぐ小さき手 渡辺若菜 春燈 200909
蛍籠薄闇に置き茶事進む 赤木和代 200909
薄闇の下鴨神社初蛍 赤木和代 200909
御手洗の水の清きや蛍狩 赤木和代 200909
蛍狩メモ書きの地図左手に 米田正弘 200909
をさな子に眠り湧きつぐ螢の夜 辻美奈子 200909
明日死ぬ螢明滅の滅長し 荒井千佐代 200909
草の香のやがて水の香はつ蛍 高橋ちよ 200909
寺領へと小流れ渡る螢の夜 東うた子 200909
角帽の頃の面影螢の夜 近藤敏子 200909
螢籠なにも入れずに帰りけり 竹下昌子 200909
愛だとか欲とかほうほう蛍とか 火箱游歩 船団 200909
目の高さよりも高きに恋蛍 布川直幸 200909
蛍火のひとつぶ拾ふ池畔かな 布川直幸 200909
夕闇を拾ふ蛍火拾ふため 布川直幸 200909
蛍火を追ひ来て闇に身を置きぬ 中山静枝 200909
送迎のバス満席や蛍狩 中山静枝 200909
蛍の夜古き話に惚け忘れ 仁平則子 200909
蛍宿蛍探しの闇に酔ふ 仁平則子 200909 
水昏れて待ちし蛍に出会ひけり 米山喜久子 200909
蛍飛ぶ池畔にぎはふ三渓園 岡野ひろ子 200909
水音の闇へ落ちゆく初蛍 上原重一 200909
人の世に触れてかくれて飛ぶ蛍 黒澤登美枝 200909
人見知りとも蛍火の舞ひ重く 黒澤登美枝 200909
夢幻へといざなふ力蛍の夜 黒澤登美枝 200909
喧騒の都会に沈む蛍の火 黒澤登美枝 200909
窯元の青年を訪ふ蛍の夜 今井妙子 雨月 200909
昂りを押へて蛍見てをりぬ 金森教子 雨月 200909
蛍飛び川幅広くなりにけり 金森教子 雨月 200909
身じろぎもならず蛍の胸に来て 安達風越 雨月 200909
送り出で別れともなき蛍の夜 園多佳女 雨月 200909
身の障り忘れ蛍と遊びけり 川端郷思 雨月 200909
橋に凭り舞ひ来る蛍指に折る 川端郷思 雨月 200909
愛ほしやわが手放れぬ姫蛍 川端郷思 雨月 200909
田に平家谷に源氏の蛍かな 川端郷思 雨月 200909
丸木橋架かる山里蛍飛ぶ 川端郷思 雨月 200909
手囲ひの蛍火と息通はする 久保田雪枝 雨月 200909
折しもの忌の日の蛍寄り添ひ来 久保田雪枝 雨月 200909
離れざる胸の蛍に情あり 久保田雪枝 雨月 200909
ふたたびは見ずふるさとの恋螢 神蔵器 風土 200909
杉山の幹しらじらと蛍の夜 岩木茂 風土 200909
いつの間に亡妻も来てゐる蛍狩 田村すゝむ 風土 200909
てのひらの蛍を母のてのひらに 池田光子 風土 200909
蛍灯の瞬時に残す草の色 渡辺暁 酸漿 200909
草影にかくれてゐても蛍の灯 渡辺暁 酸漿 200909
ふるさとを語る螢のふぶけるを 柴田佐知子 200909
大いなる螢籠かな伊吹山 服部早苗 200909
蛍狩あかりひとつをわれも持ち 服部早苗 200909
手のひらに灯る蛍を子に見せる 木村美猫 ぐろっけ 200909
入口がやがては出口蛍籠 林昭太郎 200909
生きとし生く蛍の闇の揺らぎかな 小田嶋野笛 末黒野 200910
蛍狩室生の闇をかき分けて 山下佳子 200910
螢呼ぶ双子姉妹の二重唱 峰尾秀之 200910
二の腕の抓られし痕螢の夜 小山徳夫 遠嶺 200910
手招きにそはそはと寄る蛍の夜 和田政子 200910
雨の香の子を抱きとむる螢の夜 丸山照子 火星 200910
生と死の身ほとりを飛ぶ蛍かな 田村すゝむ 風土 200910
清滝の闇引き寄せて蛍とぶ 橋添やよひ 風土 200910
清らかな流れにもどる蛍かな 本田保 春燈 200910
しろがねの滝のぼりゆく螢の火 大坪景章 万象 200910
蛍追ふ闇にをんなの髪匂ふ 玉置かよ子 雨月 200910
捕へ来し籠の蛍に力水 玉置かよ子 雨月 200910
闇の夜の闇蘇る蛍かな 奥村眞人 雨月 200910
耀きてゐしこと知らず螢死す 近藤倫子 ぐろっけ 200910
螢よぶ声甘い水辛い水 松木渓子 200910
螢がり闇深き径迷ひ来て 加藤昇子 200910
幾重にも丹波の闇や蛍舞ふ 山田弘子 ホトトギス 200911
雨止みし蛍の闇の新しく 河野美奇 ホトトギス 200911
吾が家より五分歩けば蛍の夜 嶋田一歩 ホトトギス 200911
ぼちぼちと来る人に飛び蛍かな 嶋田一歩 ホトトギス 200911
螢火をあやつる水の匂ひけり 村上沙央 200911
手より手へ移して消えず螢の火 西宮舞 200911
色褪せし父の日記や蛍の夜 村弓子 末黒野 200911
裏川に戻りし螢子の熟寝 松下信子 万象 200911
恋螢宵の九時まで遊びけり 来海雅子 200911
螢にはぐれて手足濡らしけり 徳永明世 200911
上野山ディナーがおまけの蛍狩 小林玲子 ぐろっけ 200911
殉教の世より生き来し蛍かな 竹下陶子 ホトトギス 200912
十六才乳房に蛍育ており 火箱湖歩 船団 200912
戦場のそして今見る蛍火や 有働亨 馬醉木 201001
天平の闇を蝕み飛ぶ螢 狭川青史 馬醉木 201001
点滅の光の柔し初蛍 中山良子 末黒野 201004
水音や蛍飛ばしてみたき庭 稲畑汀子 ホトトギス 201005
漆黒を裏返しつつ蛍舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
蛍見の誘ひの電話かも知れず 稲畑汀子 ホトトギス 201006
蛍の育つ手順に従へり 稲畑汀子 ホトトギス 201006
川蜷を入れ蛍へ夢つなぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201006
初螢羽黒の霧をともし来る 山田春生 万象 201006
蛍→ 13      

 

2021年6月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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