日傘 7   199句

たましいは幼な顔なり日傘さす   岸本マチ子   ジャックナイフ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
歩みつつ日傘をたたむおみなかな 山田六甲 六花 201507
余生濃く生くるが望み日傘さす 諸戸せつ子 春燈 201508
待つ人に日傘を高く掲げたり 酒本八重 201508
緑蔭に日傘広げしまま憩ふ 生田恵美子 風土 201508
日傘してひとりの世界もちあるく 川田好子 風土 201508
日傘して墓前に訪ふや七回忌 井口ふみ緒 風土 201508
西郷像仰ぐ日傘を傾けて 大崎ナツミ 雨月 201508
お若いね日傘の中に声をかけ 大日向幸江 あを 201508
母卒寿免許返上華日傘 斉藤裕子 あを 201508
日傘閉づ時軽き爆発音のあり 篠田純子 あを 201509
白日傘腕より細く畳まるる 原友子 201510
道問うて日傘の影をもらひけり 菊池洋子 やぶれ傘 201510
図書館の曲り角より白日傘 菊池洋子 やぶれ傘 201510
白日傘賓頭廬の腰擦りけり 有賀昌子 やぶれ傘 201510
散骨の後に握りし日傘の柄 丸井巴水 京鹿子 201510
一日の労をいたはり日傘巻く 内山照久 201510
日傘くるくる食事処の定まらず 甲州千草 201510
白壁の日傘の影の鋭きことよ 甲州千草 201510
日かんかん蝙蝠傘を日傘にす 加藤みき 201510
愛宕山絵日傘挿して降りやんせ 中島陽華 201510
気に入りの日傘を杖や歩の難く 久保田優子 末黒野 201510
丹念な刺繍大事の古日傘 中原吟子 雨月 201510
浜日傘並ぶ賑はひガラス越し 森理和 あを 201510
白日傘羊の群の渡るまで 原田達夫 箱火鉢 201511
縁日の地蔵通りの日傘かな 池田節 春燈 201510
七十年昭和の透ける黒日傘 鴨下昭 201510
白日傘くるりとまはし閉ぢにけり 柿沼盟子 風土 201511
影からめとりたる日傘坂上る 高橋道子 201511
線香にむせし女の黒日傘 荒井和昭 201511
玉橋を日傘で渡りきる二人 佐藤恭子 あを 201511
影からめとりたる日傘坂上る 高橋道子 201511
線香にむせし女の黒日傘 荒井和昭 201511
順々に日傘をたたむ忌日かな 亀井紀子 201512
忍者屋敷列の後ろに白日傘 岸本順子 京鹿子 201601
そこまでを守られてゆく日傘かな 稲畑汀子 ホトトギス 201607
日傘にも雨傘にもと折りたたむ 稲畑汀子 ホトトギス 201607
青森の夫婦日傘を傾けて 田部井幸枝 201608
日傘さし詠ふ高麗錦(こしき)の万葉歌 安永圭子 風土 201608
白日傘羽ばたく音に開きけり 辻美奈子 201608
足早の人波にひらく日傘かな 太田佳代子 春燈 201609
縁切寺くるりと回す白日傘 豊田信子 201609
灯台へ岩がくれゆく白日傘 岡尚 風土 201609
教へたる道違へ行く黒日傘 森岡正作 201609
白日傘雲育ちゐる島の空 黒滝志麻子 末黒野 201609
水逃ぐる声や日の濡れ日傘濡れ 中田みなみ 201609
白日傘さして火宅を出たる人 高橋将夫 201609
若冲展日傘日傘や又日傘 黒澤佳子 あを 201609
能登突端隣国遠し白日傘 七郎衛門吉保 あを 201609
風紋を踏みてひとりや白日傘 能勢俊子 馬醉木 201610
友を得し卒寿の母の白日傘 久行雅子 馬醉木 201610
千の嘘を一つ日傘の中に聴く 久保東海司 201610
美しきレースの日傘おねえ様 江島照美 201610
雨止んで日傘に変はる女傘 杉本薬王子 風土 201610
着こなしに一目を置く日傘かな 森屋慶基 風土 201610
杖ともなる母が形見の日傘かな 辻田玲子 雨月 201610
日傘差し掛け御ン僧を迎へける 滝澤圭子 雨月 201610
半身の影の出たがる白日傘 加藤峰子 201610
フリルの日傘弁護士の忘れ物 高田令子 201610
ここからは日傘を畳む手向山 岩下芳子 201611
颯爽と日傘の紳士通りけり 長田厚子 末黒野 201611
豆腐二丁買ふためだけの白日傘 井上菜摘手 京鹿子 201612
夕暮の駅舎にぽつり日傘おり 寺田伸一 船団 201702
結局は日傘となつてしまひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201707
人悼み人を偲びてさす日傘 稲畑汀子 ホトトギス 201707
白日傘脚美しく迫りくる 北川美美 201707
民家園歩く日傘の人となり 柴山久子 風土 201708
突堤の日傘のつひに振り向かず 高橋道子 201708
白日傘真砂女の路地を曲りけり 高橋和女 風紋 201709
日傘くるくる靴が鳴るなる誕生日 千田百里 201709
母の忌の影を小さく白日傘 丹羽啓子 馬醉木 201709
波音は若き日のまま砂日傘 上柿照代 馬醉木 201709
ママ友の四方山話黒日傘 遠藤清子 末黒野 201709
裾さばききりりと白き日傘かな 小野弘正 末黒野 201709
逆光の人を待ちをり白日傘 稗田寿明 201710
日傘中我だけにある時間かな 伊藤よし江 201710
日傘して海岸通り交差点 高田令子 201710
嫁入り舟待つ鈴なりの日傘かな 大内佐奈枝 万象 201710
立ち話日傘の罠にはめられて 升田ヤス子 六花 201710
頭を下げて妻の日傘に入りしこと 大橋晄 雨月 201710
あの角できっと振り向く白日傘 西村操 雨月 201710
紳士用日傘の紳士端然と 石黒興平 末黒野 201710
結界にたたむ日傘や古墳塚 橋場美篶 末黒野 201711
神の森抜けて濁世へ日傘さす 村田あを衣 京鹿子 201712
伊太利に日傘さしゐて日本人 森なほ子 あを 201801
退院の姉に差し掛く白日傘 赤松赤彦 六花 201712
だめ!□カラス、日傘はひとり用だから 梨地ことこ 船団 201805
鳥語聞く佳人黒日傘を傾げ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
日傘からざます言葉の飛び交へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
黒日傘差して墓碑銘読む女 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
鰹節の八木長に閉づ白日傘 落合絹代 風土 201808
バス間遠日傘のすでに遠ざかる 篠原幸子 春燈 201808
絵日傘をライブハウスの片隅に 辻水音 201809
シミ少し母の形見の白日傘 辻水音 201809
走りても追ひ越せぬ影白日傘 西村白杼 京鹿子 201810
旅人のかざす絵日傘祇園町 西千代恵 雨月 201810
重なれる日傘越しなる神事かな 笹村政子 六花 201810
おみくじの恋は大吉白日傘 小林共代 風土 201810
一瞬の日照雨に日傘濡らしけり 池田節 春燈 201810
水音の水にしたがふ白日傘 黒滝志麻子 末黒野 201810
白日傘明日香歩くは恋に似て 河原敬子 201811
潮騒や日傘の中にゐて眠し 井上菜摘子 京鹿子 201811
白日傘聞きたき言葉風さらふ 西村白杼 京鹿子 201811
白日傘検診すべて異状なし 宮川みね子 風土 201811
頑固者ひとり発見白日傘 苗田苗 船団 201812
「あなたでしたか」逆光の白日傘 望月晴美 201901
嬰児は日傘の母の胸に寝る 神田惣介 京鹿子 201901
木洩れ日のいろはにほへと黒日傘 森岡正作 201907
出港の二笛小さくなる日傘 和田照海 京鹿子 201907
田の農機運転席に日傘立て 瀬島洒望 やぶれ傘 201907
渡し舟見送る日傘廻しけり 木多芙美子 春燈 201908
地下街にほてりの日傘持ち歩く 黒滝志麻子 末黒野 201908
白日傘光の海を航くごとし 中島秀夫 王水 201909
暮れ泥む時の鐘にて日傘とづ 高野昌代 201909
ダンディーの日傘を選るに迷ひけり 平野秀子 末黒野 201909
番傘の気分で日傘男子かな 仲里貞義 201909
瓜の花日傘男子の見つめをり 赤松赤彦 六花 201909
「花の小径」抜くる日傘をかしげ合ひ 柴崎富子 白地 201909
白日傘貨物列車の過ぐるまで 辻由紀 雨月 201909
見送りて日傘と悔いを持ち直す 井上菜摘子 京鹿子 201909
優しさは日傘の影の重さかな 菊池和子 京鹿子 201909
絣着て句会へ急ぐ白日傘 須賀敏子 あを 201909
日傘閉じ銀座のビルの映画館 須賀敏子 あを 201909
交差点渡る男の日傘かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201910
神主に権禰宜日傘差し掛くる 瀬島洒望 やぶれ傘 201910
船の客日傘くるくる回しゐる 白石正躬 やぶれ傘 201910
梅雨中休み雨傘日傘入り混じる 松村光典 やぶれ傘 201910
アドバルーン男も日傘さす銀座 山崎稔子 末黒野 201910
杖縋る母へ傾く日傘かな 大庭美智代 末黒野 201910
吊橋の水影著し白日傘 大内由紀 末黒野 201910
軽すぎる日傘傾げて待てば来る 丸井巴水 京鹿子 201910
時移る男日傘とゲリラ豪雨あめ 七郎衛門吉保 あを 201910
影のみが廻らぬ日傘廻しけり 福井ひでとし 雨月 201911
出格子の向うを通る白日傘 中島和子 やぶれ傘 201911
洋館の並ぶ山の手白日傘 田中嘉信 春燈 201912
窓の向かうを足早にゆく白日傘 中島和子 やぶれ傘 201912
魔女色の手足のネイル砂日傘 村上ヤチ代 船団 201912
貝雛やおんば日傘の王と姫 沼田巴字 京鹿子 202003
せめてもの償ひ日傘さしかける 井上菜摘子 京鹿子 202006
うつすらと覗く青空日傘行く 松村光典 やぶれ傘 202007
「無事でね」と別れの日傘まはしけり 長谷川歌子 春燈 202009
秋日傘傾け富岳納めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
樹下に椅子日傘たたみて風慕ふ 松本鷹根 京鹿子 202009
白日傘ななめに人の恋しき日 栗原公子 202009
墓を前に日傘とりどり集まつて 浅嶋肇 やぶれ傘 202009
お念珠は真珠日傘の人となる 辻響子 202009
白日傘まはして角を曲りけり 岩永はるみ 春燈 202009
振り向いて小さく手を振る白日傘 田中嘉信 春燈 202009
白日傘沖に遠のく帆影あり 松本鷹根 京鹿子 202010
乾ききる亀の甲羅へ日傘陰 丸井巴水 京鹿子 202010
白日傘浮き漂うて灯台へ 能村研三 202010
渡船にも汕の匂ひ白日傘 齊藤實 202010
一回り大きな日傘買ひにけり 志方章子 六花 202010
裏道を行くや日傘の触れ合ひて 志方章子 六花 202010
躓きて前途へ日傘傾ける 安田優歌 京鹿子 202010
日傘より波立ち上がる砂丘かな 高倉和子 202010
すれ違ふゲランの香り白日傘 田中信行 202011
濃き日差し日傘一つの老夫妻 高木邦雄 末黒野 202011
ちらほらと男日傘の聖橋 成宮紀代子 202101
日傘よりはみ出してゐる背中かな 稲畑汀子 ホトトギス 202107
友の来る声届かねば日傘揚げ 高村令子 風土 202107
懐郷や母の日傘の永久の影 長尾タイ 末黒野 202108
跳ね橋や日傘の母と見たやうな 七田文子 202109
接種終へて射す光明や白日傘 佐藤勝代 末黒野 202109
野生馬と日傘の人と都井岬 秋川泉 あを 202109
あの人のまだまだ見えてゐる日傘 土井ゆう子 風土 202110
メキシコ横断ヒッチハイクは絵日傘で 竪山道助 風土 202110
日傘とぢ遊び心を閉ぢにけり 植村蘇星 京鹿子 202110
野仏も日傘に入れてひと休み 大室恵美子 春燈 202111
遠き妻その先を行く白日傘 伊吹之博 京鹿子 202111
比企一族の墓へ日傘をたたみけり 辻泰子 春燈 202112
ろくでなし主宰の歩く日傘かな 山田六甲 六花 202205
日傘→1
逢うてきて波の音する日傘かな 井上菜摘子 京鹿子 202207
春日傘ほどよき距離の会釈かな 小嶋恵美 春燈 202207
すれちがふ人に見覚え春日傘 小倉陶女 春燈 202207
泣き顔も笑顔も日傘さしてより 菊池和子 京鹿子 202209
白日傘竜宮門へ吸はれゆく 池田光子 風土 202209
飛行機を見るに日傘をずらしをり きくちきみえ やぶれ傘 202209
日傘にて相合傘をしてゐたり 小山よる やぶれ傘 202209
後より子の差し掛くる黒日傘 菅野日出子 末黒野 202209
ちらほらと男の差せる日傘かな 山中ミツ 末黒野 202210
住職の日傘差してや鈴の音 山中ミツ 末黒野 202210
客船待つウッドデッキや白日傘 古宇田伸子 末黒野 202210
会場の無音に畳む白日傘 甲州千草 202210
雑魚を釣る隣りに妻の白日傘 針谷忠郎 202210
白日傘すこし回して振り返る 笹村政子 六花 202210
城あとの一日花なり遠日傘 直江裕子 京鹿子 202210
相合の日傘のめぐる後楽園 村田あを衣 京鹿子 202210
真っ直ぐな道もジグザグ白日傘 吉田悌子 京鹿子 202210
銀に日を弾ませて秋日傘 稲畑廣太郎 ホトトギス 202211
座り込む老犬に差す日傘かな 梅野宏子 末黒野 202211
子育てに縁なく廻す白日傘 柴田佐知子 202211
白日傘明日香歩くは恋に似て 河原敬子 202212
白日傘たたみ哀しみたたみ込む 大山夏子 202212
幽霊にしては日傘をさしてをる 鈴木光影 202301
秋日傘坐して夢中に句を作る 永田万年青 六花 202301
秋日傘さして葬儀に急ぎゆく 小巻若菜 やぶれ傘 202302
海見える頂に立つ春日傘 道林はる子 やぶれ傘 202306
絵日傘に色足されゆく都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202306
追憶を手繰るや波止の春日傘 石原孝人 京鹿子 202307

 

2023年7月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。