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法華寺の空とぶ蛇の眇(まなこ)かな   安井浩司   阿父学

 蛇出づ 蛇穴に入る 秋の蛇 穴惑い 青大将

作品
作者
掲載誌
掲載年月
断ると漸く決まる蛇に遭ひ 品川鈴子 ぐろっけ 201107
一条の縄ともならで蛇乾く 山田六甲 六花 201107
蛇出でて人ごゑに舌つかひけり 戸栗末廣 火星 201107
水の面の日をめくりゆく蛇の丈 杉浦典子 火星 201108
甲羅干す亀まつすぐに泳ぐ蛇 だいじみどり 201109
蛇交む永遠に離れぬ卍ぶり 泉田秋硯 201109
蛇河を渡るや神の啓示得て 泉田秋硯 201109
水の面に全長正す山楝蛇 雲所誠子 風土 201109
出くはして蛇もわたしも逃走す 辻直美 201109
蛇とびあがるに吾もバケッの音に 近藤公子 201109
農道に轢かれて蛇の乾びをり 大木清美子 201109
棒切れに見えたる蛇が湖渡る 古井公代 ぐろっけ 201109
阿字となり吽字となりて蛇は野に 西村純太 201110
笹むらに蛇落ちし音なりし 笠置早苗 火星 201110
まだ少し濡れて吹かれる蛇の皮 鎌倉喜久恵 あを 201110
先住を言はぬばかりに町の蛇 北尾章郎 201111
惚れ込めば蛇も鳴くなり神少女 丸井巴水 京鹿子 201111
夕星に首もたげたる山楝蛇 城孝子 火星 201111
草音に蛇の動きを聞きにけり 白石正躬 やぶれ傘 201112
煩悩を抱へすぎたり赤楝蛇 寺田すず江 201112
何か踏む少年蛇をぶらさげて 樽井明子 京鹿子 201201
蛇出でて走り根は地を奪ひ合ふ 宇都宮敦子 201205
豪胆に石積みにけり蛇も出づ 中村嵐楓子 春燈 201206
蛇と亀三井に交むや水の神 竹内悦子 201206
蛇見かけざりしは地震の頃よりと 稻畑汀子 ホトトギス 201206
見かけたる蛇を結局見とどけし 稻畑汀子 ホトトギス 201206
まなかひを蛇の横切る法の庭 小林共代 風土 201207
縞蛇のくねりや重き音残し 宮田香 故郷 201207
まなかひを蛇の横切る法の庭 小林共代 風土 201207
己が影すきとほらせて水ゆく蛇 大島翠木 201208
己が尾をためらひ引きつ蛇去りぬ 上野進 春燈 201209
この家に蛇の記憶も甲虫も 大橋敦子 雨月 201209
打水が坂道を行く蛇になる 篠田純子 あを 201209
走り根の上へ下へと蛇逃ぐる 栗原京子 201209
蛇様へ蟇の貫録舌を出す 植木緑愁 201209
蛇の尾の暫し残れる葉群かな 藤原若菜 春燈 201209
蛇の子を逃がして来いと言つたはず 辻美奈子 201209
仏性を問はれてゐたる蛇蛙 岩下芳子 201209
土堤草の雨後をゆるゆる蛇下る 伊藤希眸 京鹿子 201209
草刈の鎌の先には赤楝蛇 後藤克彦 かさね 201210
キャンパスや渡り廊下の大蛇めく 小林成子 火星 201210
赤棟蛇落ちたる草のそよぎをり 坂口夫佐子 火星 201210
蛇消ゆるまで息も歩も止めにけり 苑実耶 201210
蛇死して正しき長さ曝しけり 柴田佐知子 201210
百年の梁より大蛇落ちたると 田代貞枝 201210
溝はしる蛇に犬とまりけり 長田曄子 火星 201210
隠沼の深々として蛇泳ぐ 西村純太 201210
一尺に足らずもひやり蛇は蛇 松本恒子 ぐろっけ 201210
小突いたらどつと蛇やら烟やら 直江裕子 京鹿子 201211
蛇の尾の暫し残れる葉群かな 藤原若菜 春燈 201303
どこまでが蛇どこよりを水脈といふ 辻美奈子 201305
その先は大海原ぞ蛇泳ぐ 小林朱夏 201305
池中の木に蛇巻きて餌を狙ふ 田島昭久 かさね 201307
蛇の首押さへし後は遊びなる 市川伊團次 六花 201309
御陵より光となりて蛇泳ぐ 古川夏子 201310
とぐろ巻く蛇の昼寝にであひけり 天野美登里 やぶれ傘 201310
恋の途の蛇水に入る音もなく 荒井和昭 201310
その小屋はしんと冷たき蛇が棲む 酒井みち子 201310
抱きたる児に縞蛇を教へらる 湯村栞 201310
恐々と蛇の行方を確かむる 能勢栄子 201311
蛇といふ涼しきからだ泳ぐなり 林昭太郎 201311
蛇乾ぶ灼熱の地へ伸び切りて 田原陽子 201311
蛇を見て蛇に呑まれし夢を見し 小泉貴弘 春燈 201311
死ぬること恐れぬ蛇を恐れても 苑実耶 201311
街はづれ舗装道路を過ぎる蛇 松木清川 ぐろっけ 201312
蛇の幼し茶畑へ辷り込み ふけとしこ 船団 201401
蛇よりも殺めし棒を怖れけり 藤岡紫水 京鹿子 201401
蛇出でて風上に舌使ひをり 戸栗末廣 201405
蛇泳ぐ水みて五体ひきしまる 丸山佳子 京鹿子 201405
蛇出でてしばし母屋を窺へり 原友子 201406
蛇出づる屋敷神とはいふものの 田代貞枝 201406
白大蛇抱かれてまなこ閉ぢゐたる 福島せいぎ 万象 201407
小心は我かお主か蛇逃ぐる 上月智子 末黒野 201408
蛇われに時の空白もたらしぬ 近藤喜子 201409
骨に皮張り付いてゐる蛇の顔 天谷翔子 201409
ひとおよぎ蛇は女人へもどりゆく 鈴鹿けい子 京鹿子 201410
清流を草書の如く蛇渡る 品川古市 末黒野 201410
今朝見たる蛇が夢の野に白し 古川忠利 ろんど 201410
黒蛇の過ぎりし道を十字越え 丸井巴水 京鹿子 201410
蛇落下しかと受け取る畳かな 川南隆 ろんど 201411
花子ゐて西の大山蛇泳ぐ 中島陽華 201411
紫の花叢にある蛇の道 竹中一花 201411
蛇するするするするするの不気味さよ 築城百々平 馬醉木 201501
蛇出でて廊下の奥に目を凝らす 石田康明 春燈 201505
人という鬼に出会せ蛇すくむ 山田六甲 六花 201505
蝮蛇出て六甲らしくなりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
山の子に遊ばれてゐる蝮蛇かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
山男蝮蛇をひよいとつまみ上げ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
蛇死して存在感を遺したる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
大き家あり老人と蛇一匹 大畑善昭 201507
蛇出でて二男三女とかがやかす 神蔵器 風土 201508
八重垣の迷路に潜む大蛇かな 久保東海司 201508
蛇見しと聞きたる後の小径か 山荘慶子 あを 201508
蛇泳ぐ水面へ一分身を浮かせ 吉田政江 201509
蛇を見し夜や丹念に口漱ぐ 安立公彦 春燈 201509
朝戸出のわが眼を凝らす蛇の丈 水田壽子 雨月 201509
未だ庭に蛇見ぬ不安抱へをり 江木紀子 雨月 201509
蛇のぼる樹の閑けさに昼の星 水野恒彦 201510
どさつと落ちし蛇に油断のありにけり 岩下芳子 201510
情念や女人高野に蛇を踏む 有松洋子 201510
海部川泳ぎ切つたり蛇の首 福島せいぎ 万象 201512
日蝕は曇り日なりし蛇交む 竹内悦子 201606
蛇出づや紅のつきたる油とり 中島陽華 201607
なめらかに瓦礫の上を蛇辷る 中田みなみ 201607
蛙呑みし蛇の胃袋どの辺り 中田みなみ 201607
蛇出でて一面の畑湿りたる 戸栗末廣 201607
なめらかに瓦礫の上を蛇辷る 中田みなみ 201607
蛙呑みし蛇の胃袋どの辺り 中田みなみ 201607
田の苗のをののきやまぬ蛇の波 南うみを 風土 201608
泳ぐ蛇たしかに鱗もちをれど 山田六甲 六花 201608
蛇を打つ蛇の消えたる草も打つ 林昭太郎 201608
情念や女人高野に蛇を踏む 有松洋子 201608
栗の花蛇乾かずに夜に入る 岡本尚子 風土 201609
水上がるとき蛇つよく撓りたる 深川淑枝 201609
城濠を蛇美しく泳ぎゆく 堀井英子 雨月 201609
太初より蛇は女が好きである 有松洋子 201609
突と蛇我見し眼いつまでも 柴田靖子 201609
鍬負うて蛇の死跨ぐ畑帰り 深川淑枝 201610
たをやかに蛇泳ぎゆく淀みかな 三代川玲子 春燈 201610
一筋に水脈ひいてくる蛇の首 菊池洋子 やぶれ傘 201610
まつりぐけする如蛇の川渡り 三木千代 201610
蛇の道は千草の隠す道なりし 熊川暁子 201611
人の道のならぬところに蛇の道 岩田洋子 201611
水茎のごとく蛇谷を泳ぎ着く 浜福惠 風土 201611
嫌はれてゐることを蛇知つてをり 柴田佐知子 201611
庭の木に蛇の巻きつく暑さかな 磯崎啓三 風土 201612
川砂に腹を冷やして蛇のゆめ 中田みなみ 桜鯛 201701
庭隅に蛇見し後の手を洗ふ 森川絢子 京鹿子 201701
ユニセックス蝶にも蛇にも女にも 梨地ことこ 船団 201701
東京の右目のあたり蛇を踏む 秋月祐一 船団 201702
目覚め良き蛇がのらりと遮れり 丸井巴水 京鹿子 201704
占ひのはづれて烏蛇に遭ふ 中川句寿夫 ここのもん 201705
蛇出づる去年の貸借なかりけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
蛇獲りと乗り合はせたりフリーバス 中川句寿夫 ここのもん 201705
田遊びの終りは藁の蛇を斬る 深川淑枝 201705
畑打の鍬に蛇乗り放りけり 田中臥石 末黒野 201706
円墳を出てそれからの蛇の道 岩月優美子 201706
夏蝶のゆらりと蛇の上を飛ぶ 竹中一花 201709
願掛けるところを蛇に見られけり 三屋英俊 万象 201709
蛇往ぬや生臭き風そのままに 石黒興平 末黒野 201709
水神の大蛇の渡る千枚田 佐藤喬風 末黒野 201709
つと蛇の池を過りぬ称名寺 鍋島武彦 末黒野 201709
蛇のゐて有難き背先立てる 田部井幸 201709
すさのをの大蛇棲むとふ滝しぶき 山本喜朗 雨月 201709
ジョギングを足踏みさせて逃げる蛇 大野芳久 やぶれ傘 201709
地の熱を奪ひつつ蛇進みけり 柴田佐知子 201709
蛇泳ぐ鎌首六十度にもたげ 楠原幹子 201710
優先権うばふ縞蛇さんぽ道 中山皓雪 201710
柵をぬけてまつすぐ蛇泳ぐ 池田光子 風土 201710
笛吹きの蛇躍り出す千一夜 雨村敏子 201710
青白き妬心わが壺中の蛇 近藤喜子 201710
蛇の髭の花咲きいでぬ稽古笛 小林愛子 万象 201710
蛇身見て三輪明神と思ひけり 三屋英俊 万象 201710
睡蓮の葉をすべりゐる白蛇かな 永田万年青 六花 201710
蛇の皮三尺ほどを遠く見る 樺山翠 雨月 201710
檻へ移す蛇を手掴みして女 江木紀子 雨月 201710
芭蕉布や蛇皮線の音の五音階 小田嶋野笛 末黒野 201710
無毒だと言はれてもなほ蛇嫌ひ 渕田則子 末黒野 201710
びゆんびゆんと子ら振り回す山楝蛇 加藤タミ 末黒野 201710
大和三山越えゆく蛇は耽美なり 水野恒彦 201711
対岸に用ある蛇の渡りゆく 岩岡中正 ホトトギス 201711
奥飛騨や流れは白蛇霧は龍 松本三千夫 末黒野 201712
ゴム紐が蛇に見えたる萩の風 田中藤穂 あを 201801
蛇塚のへびへ時雨を置いてきし 井上菜摘子 京鹿子 201803
蛇出でてたちまち杖に打たれけり 藤生不二男 六花 201806
蛇出でて人の世なまめかしくなり 松本三千夫 末黒野 201806
田遊びや藁の大蛇の尾を貰ふ 河原敬子 201806
合併市のはづれのはづれ蛇泳ぐ 能村研三 201808
蛇いかに鳴く神に声もらへれば 大畑善昭 201808
蛇が出ていつもの道でなくなりぬ 角野良生 201809
黒梁に蛇の通ひ路ありにけり 秋津令 201809
建材のすき一本の蛇が抜け 丸井巴水 京鹿子 201810
山道のまんまん中に蛇交尾 平居澪子 六花 201810
さざ波となりつつ蛇の泳ぎ去る 三村純也 ホトトギス 201810
蛇付の納屋と売られし田んぼ神 中田みなみ 201811
まなじりへ滑り込みたる蛇の影 本多俊子 201811
用水堰渦のみこむや赤楝蛇 小林のり人 春燈 201811
蛇過ぎしあとの草むらうねりけり 横田敬子 201902
逃ぐる人追ひ越し蛇の逃げ去りぬ 秋千晴 201902
古傷に触れ冬眠の蛇覚ます 丸井巴水 京鹿子 201905
材木の隙から隙へ蛇うねる 曽根富久恵 201907
蛇出でて国際会議開催中 波戸辺のばら 201907
縞蛇の徘徊あとの草立てり 江草礼 春燈 201908
ターバンの笛にのびたり蛇の舌 江草礼 春燈 201908
沼の面あぶらの如し蛇泳ぐ 辻美奈子 201909
玉砂利を踏む音かろし蛇の影 小原紀子 末黒野 201909
蛇さりて草の波たつ風の音 木村嘉男 201910
語る度蛇長くなる太くなる 苑実耶 201911
見惚れをり蛇のみごとな泳ぎぶり 苑実耶 201911
蛇の舌あの人の舌また明日 芳野ヒロユキ 船団 201912
不動尊蛇の惑ひを解きにけり 西村白杼 京鹿子 202001
岩村駅から半分青い蛇 高貴美子 202001
くにやくにやと道路横切る蛇溝へ 北村ちえ子 六花 202002
雅とも思へる蛇の泳ぎかな 角野良生 202003
蝮蛇出て山気淀んでゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
六甲の句碑に蝮蛇は伽として 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
蛇ばかり眺めてゐると蛇になる 高橋将夫 202007
首上げ渡り切ったる沼の蛇 岡田桃子 202008
人生劇場をんなの道も蛇の道も 柳川晋 202009
象徴の杖にまきつく蛇悲し 江島照美 202009
蛇 →6

 

2021年8月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。