蛇 3              136句

蛇を打ち殺せし棒を水に流す    右城暮石

 蛇出づ 蛇穴に入る 秋の蛇 穴惑い 青大将

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ぐいぐいと雲ひつぱつて蛇泳ぐ
小野さとし
対岸
200308
衣擦れの音して蛇の通りけり
押尾弘子
対岸
200308
蛇光り草ふるはせて草に消ゆ
諸橋廣子
対岸
200308
蛇跨ぎ震ひ止まらぬ古墳道
河井史
築港
200308
蛇を見て行方をしかと確かむる
木下栄子
築港
200308
蛇の舌触れたる石の消えずあり
大串章
百鳥
200308
蛇と遭ひ正味五秒のど緊張
泉田秋硯
200309
占ひの束縛蛇に解かれけり
泉田秋硯
200309
ものの音すべて消し去り蛇泳ぐ
小田司
馬醉木
200309
泳ぎつくまで見届けし蛇の昼
山本浪子
風土
200309
戸惑へる蛇大勢に見つめられ
大石よし子
雨月
200309
風なくも葉のゆれており蛇進む
延川五十昭
六花
200309
蛇逃げし舗装道路の真昼かな
徳永真司
百鳥
200309
長き舌するりと見せて蛇よぎる
海老原信男
築港
200309
しいんと昼泥のつかない蛇の肌
岩上とし子
200309
見掛けたる蛇の大きさ異口異音
田村園子
200309
蛇捕の親指まむしの形して
筒井圭子朗
ぐろっけ
200309
畔(くろ)刈れば蛇水田を走りけり
松木清川
ぐろっけ
200309
蛇の道よこぎつて穹のあり
戸村よねこ
遠嶺
200310
山楝蛇喪明けを告げに来たりけり
松たかし
火星
200310
大峰の結界蛇の眼がひかる
西村しげ子
雨月
200310
青びかりして足元を過ぎる蛇
高田令子
200310
蛇の眼の飢ありありと我を視る
中村恭子
200310
蛇過ぎし道のしばらく動きをり
柴田佐知子
200310
蛇の鐘楼下りきるを待つ
大森美恵
風土
200310
蛇泳ぐまとひつくもの何もなく
渡辺俊子
京鹿子
200311
簸川を息せき切つて逃ぐ大蛇
吉弘恭子
あを
200311
畦の縄束動くなり蛇なりき
平松かをる
六花
200311
カンラカラ西日に向かひ蛇尿(シト)す
平松かをる
六花
200311
溝越えし蛇縄ひもの如きかな
荻原トシ子
対岸
200311
蛇過ぎしあと雑草の起ち直る
石井道則
築港
200312
錦蛇長きひととこ息しをり
佐藤喜孝
あを
200312
蛇の舌見つめすぎたる失語症
山元志津香
八千草
200312
蛇の野に古典にわれをつれてゆく
岡井省二
省二全句集
200312
蛇捕の見てゐる視線怖れけり
下平しづ子
雨月
200401
まなかひに蛇ながれゐて日の冷ゆる
市場基巳
200403
木の蛇の降りる気配を見せてをり
櫻井幹郎
百鳥
200407
足元を動きし蛇に驚きぬ
中村好子
築港
200407
二メートルの蛇を掴めり草取女
新倉舒子
200407
午ひととき老人ホーム蛇寄せず
市場基巳
200407
奥能登の無人踏切蛇走る
長志げを
遠嶺
200407
蛇指せし指のほてりを持ち帰る
吉原一暁
200407
蛇売を往復切符おわすれなく
丸山佳子
京鹿子
200408
放りたる蛇空中に弧を描き
宮崎清子
百鳥
200408
水無月の木の間をとべり赤楝蛇
山尾玉藻
火星
200408
水飛沫上げてつるめる赤楝蛇
朝妻力
雲の峰
200408
ぎらぎらと縞蛇縞を浮きたたせ
田谷芳江
築港
200408
ふり向けば蛇の落ちたる音であり
森田博
200408
燕の巣より落ち来し蛇のとぐろ巻く
託正夫
200408
蛇が棲む農機具小屋の半開き
鈴木多枝子
あを
200408
里山に日照雨通りて蛇走る
鎌倉喜久恵
あを
200408
おやしろの白蛇へ御饌の生卵
藤田かもめ
ぐろっけ
200408
竹巻きて蛇の全長冷ゆるかな
神蔵器
風土
200409
蛇泳ぐ速さに風の立ちにけり
岡淑子
雨月
200409
蛇去りし草叢にまだ踏み込めず
堀田政弘
200409
鎌首をもたげし蛇と出合せり
早崎泰江
あを
200409
農小屋より蛇追ひ出せり草燻し
長島操
万象
200410
白蛇見し夜の睡りの深きこと
雨村敏子
200410
小さき蛇ひたすら這うて何処へ行く
米林外喜子
築港
200410
蛇見しと言ふ目も口も手も大きく
秋千晴
200411
縞蛇のながなが塀に掛かりけり
あさなが捷
200411
盆道を蛇も鼠も通りけり
太田土男
百鳥
200411
つぶされて蛇のうろこの銀や
大山里
200411
中見えねどもあきらかに蛇袋
伊藤トキノ
200412
十月の蛇光りつつ振返る
田原陽子
200501
都心なる泥棒市に蛇を売る
品川鈴子
六香
200501
蛙呑む蛇を余所目に息をのむ
市場基巳
200502
メデューサの髪は蛇なり守り神
今井久良子
酸漿
200504
蛇重さ消し向日葵の葉をわたる
竹下陶子
ホトトギス
200505
崖際に蛇の大八ぬつと出し
滝沢伊代次
万象
200505
田の神の詞よぎりて蛇の出づ
近藤きくえ
200505
お隣ヘフェンス一枚蛇の道
稲畑汀子
ホトトギス
200506
見逃せぬ蛇の行方でありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200506
蛇見しと聞けば所在を確かめに
稲畑汀子
ホトトギス
200506
蛇注意てふ立札を見しよりは
稲畑汀子
ホトトギス
200507
蛇通りたる抜け道を行く人も
稲畑汀子
ホトトギス
200507
するすると動き小学校に蛇
木下野生
200507
様変りせし村里や蛇出づる
柴田靖子
200507
青草を靡かせ進む山楝蛇やまかがし
滝沢伊代次
万象
200507
水昏れてさわさわと蛇進む音
藤田輝枝
対岸
200507
蛇出しと豆腐屋鈴を鳴らしけり
小田元
六花
200507
蛇出でて竹藪にまだ何かをる
高橋将夫
星の渦
200507
蛇失せし水田鏡に山蒼み
岡本まち子
馬醉木
200508
世尊寺みち蛇の無慙を寄せてあり
戸田和子
200508
女教師が蛇さげて入るアトリヱに
片山タケ子
200508
雨の野を空腹の蛇さまよへり
宮崎耕晴
築港
200508
蛇を擲ち縄より重き屍捨つ
泉田秋硯
200509
絶句せり茶室の露地を蛇よぎり
蒲生静江
春燈
200509
赤棟蛇尺ほどに立ち進みをり
海野みち子
万象
200509
蛇の舌伸ぶる一瞬蝌蚪呑まる
海野みち子
万象
200509
赤楝蛇やまかがし常磐木ばかり杜なせり
大島翠木
200509
畦の道蛇気遣ひの古墳道
近藤豊子
雨月
200509
道よぎり人おどろかす蛇立派
丸山佳子
京鹿子
200509
婚の笛蛇は傷持つ脛もたず
禰寝瓶史
京鹿子
200509
白蛇のもつれ合ふさま数読めず
山口庸子
ぐろっけ
200509
白蛇の寝覚めよろしき舌ちょろり
山口庸子
ぐろっけ
200509
蛇出づる蕨手文の暗さより
柴田佐知子
200509
蛇去つて親指そつと伸したる
近藤公子
200510
一向に動かず蛇のまぐはへる
宮口文泰
万象
200510
許されしもののごとくに蛇去れり
長井順子
200510
蛇踏んで影の消えゆく原野かな
西村純
200511
川に入る蛇に刈り蔓からみをり
山下とし子
万象
200511
蛇の子に触れんばかりに覗ける子
大塚民枝
酸漿
200511
バザールやうごめく蛇に網かぶせ
中島小美
栴檀
200511
青びかる蛇の鱗やそぞろ寒
那須淳男
馬醉木
200512
蛇わたる樫の枝先ふるへけり
三関浩舟
栴檀
200512
晩夏かな蛇の骸に藻のからみ
清水雅子
栴檀
200512
酸つぱきを欲る行く夏の蛇を見て
市場基巳
200601
人嫌ふ蛇と相性合ふ不思議
丸山佳子
京鹿子
200605
蛇出でて島の古墳の光り出す
淵脇護
河鹿
200606
巣燕やちらりと見たる蛇の影
谷榮子
雨月
200607
蛇に逢ふ方向音痴二人かな
神蔵器
風土
200608
理趣経や頭陀袋より蛇の舌
栗栖恵通子
200608
村ひとつ大蛇(おろち)の縞に暮れゐたり
小形さとる
200608
蛇消えてから柔らかに言吃る
風間史子
200608
蛇出でて竜神の森風騒ぐ
池田光
200608
いま庭を蛇の進みし現かな
早崎泰江
あを
200608
蛇を撲ち兄の力を示しけり
泉田秋硯
200609
蛇の去就見つめて目玉穢れけり
泉田秋硯
200609
鎌首をもたげてゐたる白蛇かな
石脇みはる
200609
思慕のごと蛇池をゆくひかりかな
大島翠木
200609
美しき蛇は炎にかへりけり
吉澤利治
遠嶺
200609
お日柄のよくて生家の屋敷蛇
山田三江子
200609
蛇捕りに出合へる道にまむし草
影島智子
200609
炎天に捨てられし蛇ミイラ化す
泉田秋硯
200610
ばつたりと会ひ遁走の蛇と人
渡辺康男
200610
蛇現れて話変りし神の山
近藤きくえ
200610
全身が目となる蛇に遇ひしより
藤原照子
200610
蛇打ちし棒流れゆく野川かな
松澤秀昭
200610
蛇を追ひ蛇に追はれてゐたりけり
服部早苗
200610
蛇を見てより厨事手につかず
山之井みよ子
ぐろっけ
200610
木道を蛇よぎるとて列止まる
岡本敬子
万象
200611
蛇の秋草をけぶらす音すなり
中山純子
万象
200612
大利根を横切れる蛇をまのあたり
北村すなほ
200612
頭上よりばさりと落ちる屋敷蛇
今井忍
ぐろっけ
200612
鏡池白露の蛇の渡りけり
西山美枝子
酸漿
200612
竹の寺出でて何処へ秋の蛇
福田雅子
万象
200702
蛇が尾をひと振りに入る藁ぼつち
高橋芳子
火星
200702
九つの頭をもて蛇の凍つるなり
瀬川公馨
200702
冬蛇の一隅にゐて薄日さす
市場基巳
200703
凍蛇のしくしくと声ありにけり
市場基巳
200703
蛇使五ドルで客の首に巻く
小浦遊月
酸漿
200703
一月の画展むなしく白き蛇
八田木枯
晩紅
200704
蛇出でて手積みの石のぬくみかな
倉谷紫龍
万象
200706
下向いて歩くんは蛇嫌やから
稲畑廣太郎
ホトトギス
200707
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2021年7月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。