蛇 2       82句

蛇入れてあるや袋のやはらかく    永田耕衣

 蛇出づ 蛇穴に入る 秋の蛇 穴惑い 青大将

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
雨三粒雨戸開ければぬっと蛇
吉田さかえ
海程
200107
木の裡に忘れられたる梅雨の蛇
佐藤喜孝
あを
200107
まつさきに蛇に駆け寄る少女かな
高橋とも子
200107
桜樹をのぼる蛇と出会いし気力かな
金子兜太
海程
200108
村の蛇血筋はなかなか長寿であった
吉田さかえ
海程
200108
葬の家山から蛇がのそと来た
吉田さかえ
海程
200108
白昼や真逆さまに蛇が飛び
伊藤格
200108
石垣を出ておのづから川の蛇
澤本三乗
200108
蛇去りてまだ溜め息の少女かな
柴田美佐子
いろり
200108
奥津城を蛇身あらはに動かざる
朝妻力
俳句通信
200108
蛇消えし草むらのいろ鮮しき
竹内弘子
あを
200108
草刈機蛇も刈られし道の端
森理和
あを
200108
錦蛇仰天の衣遺しけり
泉田秋硯
200109
膨らんで伸びて蛇くる道祖神
高橋邦夫
風土
200109
十年やわが杖蛇を待ちながら
木曽岳風子
六花
200109
行けざりしかつて蛇居し木下闇
安陪青人
雨月
200109
三人して見し蛇の丈みな違ふ
江木紀子
雨月
200109
奥津城の蛇のよぎりし磴上る
大和田鏡子
俳句通信
200109
田水守る蛇払ふ棒持ち歩き
古市枯声
春耕
200109
蛇の鱗飛んで大鐘ゆるぎたる
延広禎一
200109
轢いてより朽繩蛇と化すあたり
中原道夫
銀化
200109
敗れたる蛇長々と乾きたり
市橋章子
ぐろっけ
200109
まつ先に見つけし人は蛇嫌ひ
幡江美智子
百鳥
200110
心みな同じにあらず蛇泳ぐ
丸山佳子
京鹿子
200110
すこしづつ影が無くなるまでの蛇
松田都青
京鹿子
200110
水たわたわ蛇四匹の豪気かな
阿保恭子
海程
200110
泳ぐ蛇故郷の父の心電図
村山半信
海程
200110
蛇見たるあとの手足の白きこと
市場基己
200110
車止め蛇の横断待ちゐたり
竹内喜代子
雨月
200110
蛇轢かる山河の掟なまぬるき
丸山佳子
京鹿子
200111
納屋橋のあたりで迷う蛇だった
浅生圭佑子
海程
200111
蛇売の龍の入れ墨二の腕に
津野美都江
200111
蛇交むや石室にある天文図
延広禎一
200111
蛇泳ぎ雲ははらわたまで赤し
守谷茂泰
海程
200112
踏切や人だんだんに蛇の飢
村山半信
海程
200112
母死して屋敷の蛇の主めきぬ
田渕昌子
京鹿子
200201
つちのこの蛇に戻りし薄暮かな
和田悟朗
船団
200202
山燒の口火を切れる蛇の舌
中原道夫
銀化
200206
暗中模索蛇の手足をつひに見ず
岩尾みち子
京鹿子
200207
一皮の剥けて揚揚蛇らしき
中原道夫
銀化
200208
狂れさうな静けさ蛇と目が合ひて
蔵持柚
銀化
200208
田を祓ふ神官蛇を追ひ払ひ
堀田恵美子
雨月
200208
奪はれるものなき蛇や奪衣婆
宇都宮滴水
京鹿子
200208
蛇泳ぐ小波の影と光かな
川崎光一郎
京鹿子
200208
きのふ蛇泳ぎわたりし未草
黒田咲子
200208
空梅雨や白蛇信仰銭洗ふ
松本文一郎
六花
200208
蛇も親し巳年の兄の逝きしより
小西瑞穂
ぐろっけ
200208
蛇の尾を踏み損ひて足竦む
改正節夫
ぐろっけ
200208
蛇食べし母の記憶に突き当る
藤森すみれ
200209
蛇去つてより女教師の笛ひびく
中島あきら
200209
蛇と絶叫神域中が振り返る
木村幸
200209
山楝蛇賽銭箱に逃げ込めり
大串章
百鳥
200209
蛇取りの袋確かに動きけり
長谷川守可
百鳥
200209
首立てて蛇流れ行く出水川
田渕匡子
200209
両手もて蛇の長さを話しをり
樋口多嬉子
雲の峰
200209
この先に大きな蛇のをるといふ
木下野生
200209
絶壁を蛇のぼりゆく休み休み
岸本林立
雨月
200209
蛇泳ぎゐる鎌首を伸びちぢみ
大石喜美子
雨月
200209
をみならに見られ蛇身を隠しけり
大石喜美子
雨月
200209
白日の濠どんよりと蛇放つ
木曽岳風子
六花
200209
身を構へ砂漠の蛇の動かざる
東芳子
酸漿
200209
冷えきつて竹を離るる蛇の丈
神蔵器
風土
200210
蛇の目の高さに血止草の花
小林輝子
風土
200210
腰ふつて逃げる蛇にも羞恥心
丸井巴水
京鹿子
200210
草刈女蛇も蜥蜴も逃げてゆく
大串章
百鳥
200210
先生を庇ふ生徒や山棟蛇
岡田信雄
百鳥
200210
鶏小屋に蛇の入りたる殺気かな
下平しづ子
雨月
200210
蛇の辷り込みたる耳門かな
金森教子
雨月
200210
思案する蛇と眼の合ふ暫しかな
西田円史
円虹
200210
蛇よぎる滅多なことは申されぬ
丸山佳子
京鹿子
200211
漕ぐわれにつきくる蛇やここ湖心
続木元房
ホトトギス
200212
蛇を見てムンクの顔の叫び声
吉田多美
京鹿子
200212
への字とはへのへのもへじ山楝蛇
竹内悦子
200301
門限です早うお入り少年蛇
丸山佳子
京鹿子
200302
蛇死して見事に縄と化しゐたり
泉田秋硯
鳥への進化
200303
蛇身なり女身なり水ひたひた寄す
男波弘志
200305
遅き日の身ぬちの蛇のひと狂ひ
加藤哲也
銀化
200305
島々を巡れば蛇に違ひあり
鈴木てるみ
ぐろっけ
200305
つくし摘む目先に蛇の貌ありて
高垣和恵
雨月
200307
海ほほづきならせば蛇がくると言ふ
中里栄
帆船
200307
あなたとは言葉いらぬと蛇横切る
丸山佳子
京鹿子
200308
中年や出合ひ頭に蛇と会ふ
高田令子
200308

 

2020年7月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。