春近し 1      200句

春隣  春近し  春近*  春信

作品
作者
掲載誌
掲載年月
田畑にめりはり見えて春近し 久崎富美子 199901
春近し退くこともまたよしとせむ 山田弘子 円虹 199904
残照の海の波音春近し 荒川優子 春耕 199904
玄関に縄跳びの縄春近し 皆川盤水 高幡 199905
ライバルはパブロ・ピカソ春近し 甲田夏湖 船団 199908
再会を果たし得し旅春近し 稲畑汀子 ホトトギス 200001
竹林の奥に神馬舎春近し 酒井多加子 雲の峰 200003
竹垣の縄のゆるびや春近し 小池とみを 俳句通信 200004
頑張れも愚痴も云ふまい春近し 松沢久子 いろり 200004
一対の紙人形や春近し 石田邦子 遠嶺 200005
どこからも見ゆる燈台春近し 長沼紫紅 200006
春近し炒めごはんを舞い上げて 池田澄子 船団 200006
春近しアンパンマンと言へる子に 朝妻力 俳句通信 200102
手と目もて看取りてもらふ春近し 村越化石 200104
春近し和らぐ風に頬さらし 河合笑子 あを 200104
春近し川音少し華やぎて 鎌倉喜久恵 あを 200104
春近し自在にあらねども人恋う 金子皆子 海程 200105
新しき和綴じの句帳春近し 藤田かもめ 200105
少しだけ強気になりて春近し 内野聖子 船団 200107
春近しとは信じられずに臥しにけり 能村登四郎 羽化 200110
白樺の肌にも赤味春近し 伊藤洋子 200203
絵馬の山天満宮に春近し 夏目満子 酸漿 200204
春近し青菜の瑞を茹で上げて 浅井勝子 200204
蔵人は丹波の生まれ春近し 志水芳秀 雲の峰 200204
春近し絞りたて酌む仕込蔵 志水千代子 雲の峰 200204
携帯電話の絵文字一行春近し 伊藤稔代 200205
膝上にひらく歳時記春近し 石田邦子 遠嶺 200205
日本海側に青空春近し 浅利恵子 ホトトギス 200206
伯耆富士雪をかぶれど春近し 家塚洋子 酸漿 200206
春近し宝石箱の蓋が開き 小澤克己 遠嶺 200210
春近し年寿の縁もて帰路に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200301
雀寄るコインロツカー春近し 小倉行子 風土 200303
村落を包む朝霧春近し 神原操 雨月 200304
繰返し農日誌読む春近し 高野荘司 築港 200304
賜りし絵馬を掛ければ春近し 橋本良子 遠嶺 200304
春近し子がつかへつつドビュツシー 茂木妙子 雲の峰 200304
午後の陽に吊す鳥籠春近し 野口光江 遠嶺 200305
耳朶にコロン香らせ春近し 豊田博子 築港 200305
いやな奴遠くはなれて春近し 松田克行 帆船 200305
ハミングはビートルズナンバー春近し 横山迪子 六花 200305
話し相手のこの樹あの木よ春近し 井上三千女 200305
風よ木よさあプロローグ春近し 浜中雅子 遠嶺 200305
春近し姉ちゃんと呼ぶホスピス棟 水野弘 ぐろっけ 200306
源平の戦も昔春近し 長谷川登美 ぐろっけ 200402
五万石舟の石碑や春近し 天野れい子 雲の峰 200403
調教師どうしの会話春近し 堀木基之 百鳥 200404
春近し蔓ものの籠編み並べ 田中佐知子 風土 200404
春近し昨日の日和今日の雨 松崎零衣 築港 200404
古代史の講座満員春近し 山田恵子 帆船 200404
縁側のおひるごはんや春近し 林裕美子 六花 200404
納豆の糸がふはりと春近し 酒井多加子 雲の峰 200404
結びこんにやく艶やかに煮え春近し 藤森万里子 百鳥 200405
明月院やぐらより声春近し 池田加代子 風土 200405
春近し病院食も口に慣れ 二村蘭秋 雨月 200405
飛石の三つ四つ五つ春近し 我妻一男 帆船 200405
そこここをうろつく猫や春近し 柄田喜美枝 築港 200405
オムレツの丘がきらきら春近し 山元志津香 八千草 200407
春近し水音豊けき紺屋町 中御門あや 雲の峰 200503
半畳のがらくた市や春近し 鶴田武子 雲の峰 200503
鳥通ふ一枝一枝に春近し 小澤克己 遠嶺 200504
知恵の輪のするりと抜けて春近し 森山のりこ あを 200504
石棺に男女がありて春近し 角直指 京鹿子 200504
魚屋の紺の前垂れ春近し 青山悠 200504
水そそぐ千体地蔵春近し 篠崎荘市 酸漿 200504
柔らかく走る筆先春近し 石垣幸子 雨月 200504
春近し師の百余句を諳(そら)んじて 鈴木白洋 雲の峰 200504
春近し蒔絵艶めく香枕 萩原みどり 雲の峰 200504
早産の孫の片言春近し 徳田正樹 河鹿 200505
書き味の良き筆先や春近し 石啓子 築港 200505
ウィンドーに児童の詩や春近し 伊東省子 百鳥 200505
青空の残り夕星春近し 土川照恵 栴檀 200506
春近し空洞ありし老欅 中川みよ子 200506
春近し気圧の谷のせめぎあひ 池野凉子 四葩 200603
春近し夢の話に笑ひ合ふ 山田六甲 六花 200603
春近し尻揃へをる楊枝入れ 栗栖恵通子 200604
その中によく鳴く牛も春近し 堀木基之 百鳥 200604
青磁には一花一葉春近し 苑実耶 200605
春近し眼閉ぢても海の照 山本康 200605
お歩きの一歩のビデオ春近し 園田その子 河鹿 200605
寺多き根岸界隈春近し 小阪喜美子 二輪草 200606
新緑の色細やかに春近し 藤原さちよ 酸漿 200607
ひたすらに落衷シゆる春近し 佐藤喜孝 あを 200702

 祝「早苗」七〇〇号

春近し芸州の酒まろやかに

水原春郎 馬醉木 200703
春近し光り燦燦畑の中 渡辺安酔 200703
光の精波上に乱舞し春近し 柴田靖子 200704
掘割をめぐる舟唄春近し 青山悠 200704
春近し母居ぬ部屋の風替へて 小野恵美子 馬醉木 200704
春近し風の軽さの金の箔 山路紀子 風土 200704
タラップを昇る足首春近し 中島玉五郎 200704
合格の便りのありて春近し 小松渓水 酸漿 200705
春近し塀の煤けも模糊として 奥村鷹尾 京鹿子 200706
春近し猫がのたうちまはるほど 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
比叡水の奔る鬼門寺春近し 岡本幸枝 ぐろっけ 200804
春近しビトンの店の二人連 田下宮子 200804
白波の光巻きこみ春近し 近藤きくえ 200804
幾度も書き直す文春近し 宮倉浅子 遠嶺 200805
風垣の竹の撓みも春近し 大上充子 馬醉木 200805
春近しバケツの水の大あばれ 石寒太 炎環 200903
矛杉の私語のうるほひ春近し 鈴鹿仁 京鹿子 200903
シヤボン玉天々天まで春近し 新関一杜 京鹿子 200903
のびやかなチェロの余韻や春近し 北川とも子 ぐろっけ 200904
渡し場のペンキの匂ひ春近し 片岡久美子 200904
しなやかなテレビ体操春近し 宇治重郎 200904
春近し赤子しづかに脱糞す 藤幹子 炎環 200904
春近しルルドの聖母仰ぎをり 岩月優美子 200904
春近し猫の足跡梅紋様 岩永充三 200904
利尻昆布ほど良く煮えて春近し 石川元子 酸漿 200904
縫ひぐるみの兎と話し春近し 田中藤穂 あを 200904
寺の池小さき鯉群れ春近し 小島三恵 酸漿 200904
春近し孫の絵本の醤油染み 瀬島洒望 やぶれ傘 200905
春近し御手洗川の水に触れ 横井博行 万象 200905
始発待つ枕木濡れて春近し 小林朱夏 200905
糠雨に梢つつまれ春近し 布川直幸 200905
大愛に抱かれ砂漠の春近し 伊吹之博 京鹿子 200906
枯枝で遊ぶ童等春近し 小野木雁 酸漿 201004
春近し雪げむり吐く伊吹山 伊藤敬子 201004
海風が頬にやさしく春近し 松本圭司 201004
鉢花が取持つ会話春近し 篠崎荘市 酸漿 201004
洗礼の稚の大泣春近し 吉川隆 春燈 201004
羽衣のやうなる空や春近し 竹内慶子 春燈 201004
水に映る木賊のみどり春近し 武井美代子 万象 201005
馥郁と香るものあり春近し 三浦百合子 201005
春近し磯打つ泡の膨らめり 松浦洋子 201005
檣灯の岬を過り春近し 水野恒彦 201005
お向かひの壁の塗替へ春近し 渡邉孝彦 やぶれ傘 201005
鮨桶の底に飯粒春近し 天野美登里 やぶれ傘 201006
女手に鍬持つ畑春近し 小松渓水 酸漿 201103
自転車に電話番号春近し 山田暢子 風土 201103
喧躁の解体セール春近し 増田一代 201104
新調の絹の靴下春近し 森理和 あを 201104
春近し潮の香高きなまこ壁 大嶋洋子 春燈 201104
春近し千両を発つ鳥の声 小川玉泉 末黒野 201104
絵馬に見る恋物語春近し 西山美枝子 酸漿 201104
幾度もカーテンコール春近し 笹村政子 初鼓 201105
塩鯛なむ襲名高座春近し 武田ともこ ぐろっけ 201105
春近し猫の加はる電話口 清水量子 201106
悲しみも甦りくる春近し 安原葉 ホトトギス 201106
春近し磯の香潮の声のあり 小滝奈津江 酸漿 201107
予定表消して加へて春近し 木村享史 ホトトギス 201107
追伸に逢ひたしとあり春近し 木村享史 ホトトギス 201107
春近しチヤリテイー集ひし広がる輪 南映佳 京鹿子 201108
春近しとも遠しともはや八十路 稲畑汀子 ホトトギス 201201

 入院中に四歳の誕生日を迎える長女

春近し燭を消す息もどりけり

松橋利雄 光陰 201203
ふたおやのにちにち遠し春近し だいじみどり 201203
春近しインクの匂ふ俳書かな 佐々木薫 かさね 201204
春近し道にはみ出す花屋の荷 井上春子 春燈 201205
春近し子犬譲るとビラのあり 久世孝雄 やぶれ傘 201206
枯れ芝に目立つ雑草春近し 丸山酔宵子 かさね 201207
幾たびも仰ぐ夕空春近し 安立公彦 春燈 201303
春近し飛び立ちさうな鳩サブレ 川崎真樹子 春燈 201303
春近し日差に土の割れ目かな 長崎桂子 あを 201303
木の肌はどれも年寄春近し 山田六甲 六花 201303
春近しひとつ見つけたふきのとう 廣瀬将也 201304
その中に鵤声張り春近し 石垣幸子 雨月 201304
せせらぎの音軽やかや春近し 前川美智子 末黒野 201304
春近し赤く大きな月の出て 村田武 やぶれ傘 201306
理屈ぽく抒情語るな春近し 小島昭夫 春燈 201403
柴又に飴切る音や春近し 塩田博久 風土 201403
春近し秘仏薬師のお山にも 内藤静 風土 201404
春近し森の芯より水の音 清水節子 馬醉木 201404
老の字の飛んでいけいけ春近し 松本秀子 201404
さらさらの赤子のお尻春近し 羽賀恭子 201404
石庭の園児等の声春近し 堺昌子 末黒野 201405
春近し魚かげはしる潮溜り 宮城勉 万象 201405
千本の鳥居くぐりて春近し 岡本尚子 風土 201501
一畝の分葱そよそよ春近し 鳥居美智子 ろんど 201504
春近し鐙瓦の蓮華文 内藤静 風土 201504
鳳凰の飛び立つ構へ春近し 伊藤純子 201504
春近し水をはなるる水の靄 成智いづみ 馬醉木 201504
流れゆく水の速さや春近し 永峰久比古 馬醉木 201504
観世音菩薩の余呉や春近し 石谷淳子 雨月 201504
路地行けば風の容に春近し 本多和子 201505
潮風の運ぶ浪音春近し 川村亘子 末黒野 201505
春近し牛舎に餌をきざむ音 斉藤マキ子 末黒野 201505
春近しと言ふに大木横向きじゃ 佐藤恭子 あを 201505
川辺りに小さき足跡春近し 久世孝雄 やぶれ傘 201506
嘴の痕残る金柑春近し 原田達夫 箱火鉢 201511
京極と謂ふ名はきらら春近し 鈴鹿仁 京鹿子 201603
落慶を待てぬ桧の香や春近し 峰崎成規 201604
江ノ電は光の小筐春近し 佐々木よし子 201604
春近しぽあんと浮かぶはぐれ雲 小川流子 201604
春近し坂ゆく人の白き靴 中村紀美子 春燈 201604
春近し鳥影よぎる朝の卓 吉村さよ子 春燈 201604
大川の水脈のきらめき春近し 荒井ハルエ 春燈 201604
日本画の朦朧体や春近し 森高武 風土 201604
春近し木叢を移る鳥のかげ 小林愛子 万象 201605
ポスターの画鋲四色春近し 大霜朔朗 末黒野 201605
春近し井堰の板の新しく 大霜朔朗 末黒野 201605
空の青淀川の碧春近し 大橋晄 雨月 201704
腕折れむか「考へる人」に春近し 伊藤希眸 京鹿子 201705
夕茜鈴鹿峰染め春近し 長崎桂子 あを 201704
小鳥らの声なき行き来春近し 松本美簾 馬醉木 201705
茶の畝の龍の勢ひ春近し 原田しずえ 万象 201705
春近し女木地師の木屑飛ぶ 田勝子 万象 201705
春近し櫟の幹に日があたり 大島英昭 やぶれ傘 201705
公園の遊具点検春近し 佐藤玲子 春燈 201705
そんな気にさせ太陽春近し 木村享史 ホトトギス 201708
百円の瓶に歪みや春近し 小山陽子 やぶれ傘 201803
ぱたと云ひ倒れる鞄春近し 小山陽子 やぶれ傘 201803
大いなる入日どすんと春近し 北川孝子 京鹿子 201803
春近し→2      

 

2021年2月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。