春の鴨 1     200句

春の鴨  残り鴨  引鴨  鴨帰る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨受けてをり忘春の鴨一羽 小澤克己 遠嶺 199807
残りしか残されゐしか春の鴨 岡本眸 船団 199903
水に浮きながら乾いて春の鴨 青山丈 199906
波といふ限りなきもの春の鴨 山田美保 199906
春愁のさざなみまかせ鴨浮かみ 高橋さえ子 199907
春の鴨翔ちて和毛を浮かしけり 唐沢静男 春耕 200006
水尾重ね水輪かさねて春の鴨 世古幸久 200006
春の鴨屋台が出され酒少し 早乙女健 200006
真つ青な雨植ゑにけり春の鴨 森麟 銀化 200006
星枕して春鴨の眠りをり 小澤克己 遠嶺 200008
砂といふ海の接点春の鴨 稲畑汀子 ホトトギス 200103
水尾を曳き水輪をつくり春の鴨 鷹羽狩行 200104
鉄橋の下に身を寄せ春の鴨 井上比呂夫 200104
汝を詠みし誓子は西に春の鴨 鷹羽狩行 十三星 200105
一塊の葭地焼かるる春の鴨 大竹淑子 風土 200105
明ぼのや砂洲にあがれる春の鴨 岡井省二 200105
春の鴨日のある方へ水脈曳けり 志水千代子 雲の峰 200204
春の鴨よりそひあひてよそよそし 溝口八重子 雲の峰 200205
春鴨の水かき重き孤の憂ひ 渡辺俊子 京鹿子 200206
一羽居るやうに二羽居て春の鴨 大城まつ子 200206
春の鴨脇目に河畔運転す 河中透水 雨月 200206
波あかるくて春鴨の向き替ふる 金田きみ子 200206
春の鴨湖心に日矢の打込まる 遠藤和彦 遠嶺 200206
春鴨の水輪の中の空深し 小澤克己 遠嶺 200207
捨て舟に春鴨一羽動かざる 今井松子 遠嶺 200207
春立つや鴨も鴎も陸歩き 田中美智代 200302
洲めぐる間に二羽や春の鴨 桑田眞佐子 火星 200304
春の鴨羽づくろひては遠目して 松岡隆子 200304
餌を撒きて春鴨の水脈乱しけり 三澤福泉 雲の峰 200304
鴨二羽と三羽行き交ふ春浅し 浜口高子 火星 200305
吾も同じ徒然のいち羽春の鴨 鎌倉喜久恵 あを 200305
春鴨に諸行無常の水飛沫 小澤克己 遠嶺 200306
春の鴨夕日を長く助走せり 幡江美智子 百鳥 200306
雲間より神の眼差春の鴨 祐森彌香 遠嶺 200306
蹼を休ませてゐる春の鴨 風間史子 200306
水亭の障子開けあり春の鴨 園多佳女 雨月 200307
一羽くぐればつぎつぎと春の鴨 蓮井いく子 200307
春の鴨群を忘れぬ位置に居り 木内憲子 200307
鴨川を生むや貴船の春の水 和田一 雨月 200403
羽つくろふ首しなやかに春の鴨 塚本和子 雨月 200404
春愁や鴨は羽搏ちを繰返し 水原春郎 馬醉木 200405
ぼんやりと流されてをり春の鴨 那須淳男 馬醉木 200405
鴨の水尾それぞれ離り春茜 小野恵美子 馬醉木 200405
鴨川に春ひろひろと光り合ふ 子安教子 200405
春の鴨名城乱世くぐり来し 川井政子 風土 200405
春の鴨思ひを遠く遊ばせて 阿部正枝 遠嶺 200406
キャンバスの飛び立つ構へ春の鴨 大久保恵美子 遠嶺 200406
三角の水尾引く春の鴨の数 岩下芳子 200406
かなたには城の見ゆるよ春の鴨 林之子 草の花 200406
ロスタイム計算に入れ春の鴨 吉田明子 200406
鴨が身を浸して春を近しめし 市場基巳 200407
鴨翔つやまた眠りゐる春の沼 加藤富美子 200407
春の鴨陣触れに似る首の振り 加藤峰子 200407
ゴルフ球に近寄つてくる春の鴨 戸栗末廣 火星 200408
婿四羽引き連れてをり春の鴨 守屋井蛙 酸漿 200408
いとほしき目をして寄るよ春の鴨 山田六甲 六花 200503
無心とは言はずもがなの春の鴨 小澤克己 遠嶺 200505
春の鴨午後の川辺に誰もゐず 吉村一郎 百鳥 200505
春風にのりて敦煌鴨緑江 佐藤恭子 あを 200505
春の風面軽しきや鴨つがひ 佐藤恭子 あを 200506
つぶやきてわれ亡者めく春の鴨 田中藤穂 あを 200506
水蹴上げ水に逆立ち春の鴨 畑純子 築港 200506
春の鴨秩父の札所越えてくる 大串章 百鳥 200506
飛びたちし水音激し春の鴨 南浦輝子 火星 200507
真ん中に陣どつてをり春の鴨 真角多賀子 対岸 200507
枯芦の水際明りを春の鴨 長井順子 200508
下町の風情に溶けて春の鴨 平野無石 200508
春鴨の深眠りして池の端 芝尚子 200508
春の鴨ベンチに収支決算書 佐藤喜孝 200508
春の鴨流れてゐるにあらざりし 佐藤喜孝 200508
二羽の鴨ぐるぐる廻り春の水 植木やす子 200508
うつうつと池の真昼を春の鴨 大山夏子 200508
動かざれば目開けざれば春の鴨 長井順子 200508
湯上がりの時刻あやふや春の鴨 山田六甲 六花 200603
風止んで春の夕鴨暗きにけり 山田六甲 六花 200604
かがやきて春鴨遠くかたまれる 渡邉友七 あを 200604
春の鴨最後の陣を組むらしき 大串章 百鳥 200604
倒立の尾の水しぶき春の鴨 渡辺昭 200605
唇に弘法の水春の鴨 雨村敏子 200605
枯葉ふむ春日のなかの番鴨 佐藤恭子 あを 200605
徒ならぬ羽撃きのあり春の鴨 渡辺玄子 酸漿 200606
いつまでのでんぐり返し春の鴨 堀田清江 雨月 200606
水を出て水を見てをり春の鴨 杉浦典子 火星 200606
春日の滞りなし鴨の水 木内憲子 200606
山の池に春の鴨をる明るさよ 雨村敏子 200606
献体を聞かされてをり春の鴨 吉田島江 火星 200606
潮の香に汚れだしたる春の鴨 前田陶代子 200606
寄り添ひて何故旅立たぬ春の鴨 片野光子 ぐろっけ 200607
春の鴨末広がりの波を立て 安部里子 あを 200607
春鴨の一羽に池の広きこと 川崎洋吉 遠嶺 200607
回遊は春の鴨にも許さるる 豊田都峰 京鹿子 200607
さざ波の湖芯にあつむ春の鴨 松村多美 四葩 200609
草の香に眠くなりけり春の鴨 宮尾直美 200702
投げし餌を引つ張り合へる春の鴨 山田六甲 六花 200704
湖に鴨ゐてけふの春の雪 山尾玉藻 火星 200704
鴨の海春月に色出で来たり 百瀬七生子 海光 200705
縮緬のやうな湖春の鴨 岩木茂 風土 200705
伊吹嶺の夕映えにあり春の鴨 大山文子 火星 200706
春の鴨利根の早瀬を流さるる 岡用章子 ぐろっけ 200706
連なりて南湖北湖の春の鴨 岩下芳子 200706
鴨翔つや大師池より動く春 齋部干里 ぐろっけ 200706
一斉に入日へ泳ぐ春の鴨 大坪景章 万象 200706
茶屋裏の池に戻りし春の鴨 竹中一花 200706
来し道をながめてをりぬ春の鴨 津田礼乃 遠嶺 200707
へそくりの底をつきたる春の鴨 戸栗末廣 火星 200707
首すくめ古代の池の春の鴨 坪内稔典 稔典句集 200804
春うらら帰りそこねの鴨の群れ 小池一司 やぶれ傘 200805
春光の起点の杭に鴨一つ 加瀬美代子 200805
さざ波の光り啄ばむ春の鴨 加瀬美代子 200805
水の輪に光集めて春の鴨 大西まりゑ 酸漿 200805
ひと群の一羽が羽摶つ春の鴨 田中佐知子 風土 200805
天日の容ゆすれり春の鴨 永田二三子 酸漿 200806
大層な羽繕ひなり春の鴨 吉田明子 200806
居るだけの数が動いて春の鴨 青山丈 200806
濠を去る名残に鳴くか春の鴨 田所洋子 雨月 200806
休円の騒ぎをよそに春の鴨 千加田寿子 遠嶺 200807
春の鴨見て世に少し遅れたる 岩岡中正 ホトトギス 200808
春の鴨己の岩を一つ持ち 吉村摂護 200809
鳴きながら餌を漁りをり春の鴨 山田六甲 六花 200903
横風の中を羽ばたく春の鴨 山田六甲 六花 200904
残ること決めてゐるらし春の鴨 須賀敏子 あを 200904
鴨の波扇開きに春北風 阿部悦子 酸漿 200904
川幅の太りはじめし春の鴨 白井爽風 馬醉木 200904
餌の方へゆるゆる進む春の鴨 ことり 六花 200904
モヒカンの髪の二百羽春の鴨 奥田茶々 風土 200905
ゆるやかな風のきてをり春の鴨 安藤久美子 やぶれ傘 200905
春の湖下知待つ鴨の羽繕ひ 塩路隆子 200905
春の鴨水の速さをとらへけり 北川とも子 ぐろっけ 200905
水に添ひ水に逆らひ春の鴨 笹田浩朗 200905
をしどりの番に添へる春の鴨 山田六甲 六花 200905
春の鴨一斉に向き変へにけり 田村園子 200906
春の鴨おもちやのやうに寄つてきし 秋千晴 200907
芦原の底に沈みぬ春の鴨 大坪景章 万象 200907
春嵐に真向ひ鴨の浮き沈む 永田勇 六花 200908
春の鴨湖に余白のありにけり 藤兼静子 200910
春の鴨土手に上がつてゐることも 広渡敬雄 201003
とび立てば光を散らす春の鴨 鎌倉喜久恵 あを柳 201004
たいくつな沼の離さぬ春の鴨 石田きよし 201005
春の鴨見むと二千歩遠回り 塩出眞一 ぐろっけ 201006
水紋はなべて正円春の鴨 藤沢秀永 201006
春昼や石塊のごと眠る鴨 阿部悦子 酸漿 201006
ささにごる水面に春の鴨の水尾 藤井美晴 やぶれ傘 201007
三日来て三日水尾引く春の鴨 戸栗末廣 火星 201007
春の鴨一人となりし戸籍かな 関根洋子 風土 201007
初宮の嬰に春鴨ヒュヒュと 鈴木浩子 ぐろっけ 201007
傷つきし仲間離れず春の鴨 赤堀洋子 万象 201007
白波に逆らふ湖の春の鴨 加藤恵子 万象 201007
春鴨を中に水輪の広がれり 児玉満智子 201008
流れにはさからはずをり春の鴨 白数康弘 火星 201103
色艶の目のふちに出て春の鴨 中山純子 万象 201104
べつべつの鴨見てふたり春炬燵 山尾玉藻 火星 201104
水門や満満とゐる春の鴨 竹内悦子 201105
漂ひて日差に集ふ春の鴨 堀田こう 雨月 201105
鈴鴨の鈴の音聴かん春の空 松岡水学 ぐろっけ 201105
春の鴨発ちて夕日を滴らす 大橋伊佐子 末黒野 201105
春鴨の嘴で漕ぐかに進みけり 笹村政子 初鼓 201105
一族を川に遊ばせ春の鴨 高谷栄一 201105
突つついて突つかれる仲春の鴨 高橋将夫 201107
春の鴨草に座りてゐたりけり 根橋宏次 やぶれ傘 201107
春の鴨数へて約を忘れをり 石田きよし 201107
小波の琵琶湖に数や春の鴨 井口初江 酸漿 201107
羽繕ふ形に病みゐる春の鴨 笹村政子 六花 201107
いづくへも旅立ちかねて春の鴨 篠原幸子 春燈 201112
ひと声を鴨春空になげかける 佐藤恭子 あを 201204
春鴨の胸に差しゐる朝日かな 涼野海音 火星 201205
春の鴨もぐる底まで日に透きて 堤京子 馬醉木 201205
春の鴨薄目のままに流されし 深澤鱶 火星 201206
春鴨の浮遊けむりのやうな糞 山本久江 201207
春の鴨江戸城址と碑に小さくあり 北崎展江 くりから 201209
遠く見ゆ羽を繕ふ春の鴨 山田六甲 六花 201304
春鴨にうつろごゝろをつかれたる 丸山佳子 京鹿子 201304
春の鴨光となりて波となる 前田美恵子 201304
百の石置かれしやうに春の鴨 高橋道子 201305
音立てて飛びたつ鴨の春霞 後藤克彦 かさね 201306
春の鴨追はれ着水傾ぎけり 鈴木良戈 201306
風渡る池面の皺や春の鴨 森清信子 末黒野 201306
寄り添うて池を自在に春の鴨 辻知代子 201306
中の洲に眠りの浅き春の鴨 西村節子 火星 201306
春の鴨慌てて逃ぐる汽笛かな 和田勝信 かさね 201307
春草にかくれ鈴鴨ひとつがひ 松岡悠喜夫 ぐろっけ 201307
鴨跼みゐたるくぼみの春の雪 山本耀子 絵襖 201404
もう見えぬほどの暗さに春の鴨 大島英昭 やぶれ傘 201405
打ち寄する波と遊べり春の鴨 平田はつみ 馬醉木 201405
春寒や鴨一列に池のへり 林陽子 万象 201405
春の鴨すつくと立ちて瞬きぬ 山田六甲 六花 201405
春の鴨数へつくしてしまひけり 浅田光代 風土 201405
胸で押す水を豊かに春の鴨 山田六甲 六花 201405
羽摶つたび帰心育てて春の鴨 中嶋昌子 春燈 201406
まだ右が残つてゐるさ春の鴨 山本無蓋 201406
もう一度上流目指す春の鴨 出口誠 六花 201406
春の鴨あらがふやうに流れけり 出口誠 六花 201406
春の鴨さかんに足を回しけり 出口誠 六花 201406
春の鴨岸をまあるく泳ぎけり 緒方佳子 火星 201406
春の鴨勾玉形に水尾を曵く 塩貝朱千 京鹿子 201406
バスが泳ぎあふみの春鴨おどろかす 塩田朱千 京鹿子 201407
沼の香を覚まして発ちぬ春の鴨 升田ヤス子 六花 201407
春の鴨母亡きあとのこの世とは 小林朱夏 201408
春鴨に餌を投ぐる子声も投ぐ 小川明美 万象 201408
いつせいに向きを変へたり春の鴨 穂苅照子 万象 201505
身繕ひ忙しや池の春の鴨 橋場美篶 末黒野 201506
春の鴨 →2      

 

2023年4月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。