春めく 3      200句

春めくを冬田のためにをしむなり    相生垣瓜人

春動く  春兆す  春めく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春めくや置き替へてみる調度品 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
水よりも土よりも人春めけり 皆川白陀 末黒野句集 201203
春めくや富士を浮べて青葉畑 佐々木八重子 末黒野句集 201203
徒歩ぼこり払ひ春めく身延山 吉田きみえ 末黒野句集 201203
春めくや田畑に人の笑ひ声 福本すみ子 201204
石仏の胸乳ふくよか春めきて 塩路五郎 201204
山積みの祈祷の石や春めきて 前川ユキ子 201204
春めくや七人の敵どこにゐる 安居正浩 201204
春めくやそろりと明ける雨の朝 山田をがたま 京鹿子 201204
春めくやトーストパンにカシスジャム 笠井清佑 201205
足湯してうしろ春めく牛のこゑ 中田みなみ 201205
春めくと古都に小さき蜂蜜屋 藤原若菜 春燈 201205
吾が手足少しく伸びて春めける 有松洋子 201205
字の濃きに思ひをこめれば春めきぬ 豊田都峰 京鹿子 201205
春めきて駆けるかたちに幹もまた 豊田都峰 京鹿子 201205
移植鏝上の湿りも春めきぬ 笠井敦子 201205
春めくや家族の朝の気配にも 向江醇子 ぐろっけ 201205
春めくや一雨ありし狭庭にも 加藤北天 雨月 201205
春めくや駅の灯ゆるる水たまり 松原三枝子 万象 201205
浜街道一村ごとに春めけり 浅野吉弘 201205
春めくや話相手といふ介護 代田青鳥 風土 201205
春めくや名のある松もなき松も 岩城茂 風土 201205
春めきて角のとれたる雑木山 須藤美智子 風土 201205
春めきて花屋の前に水流れ 須藤美智子 風土 201205
春めける犬の学校犬のこゑ 大島英昭 やぶれ傘 201205
神仏の混みあふ里も春めける 安武晨子 201206
春めくや本音で話す旅の宿 秋千晴 201206
球技禁ずの貼り紙並ぶ春めきて 福島松子 ぐろっけ 201206
濡れつくしくれゆく樹々の春めける 豊田都峰 京鹿子 201206
こだはりは左足より春めけり 井尻妙子 京鹿子 201206
春めける切妻屋根の異人館 杉山はつ江 京鹿子 201206
春めくや赤子の素足ぷくぷぺぽ 佐々木紗知 京鹿子 201206
恋を知る乙女となりて春めけり 塚原洋子 201206
豆腐屋の二の腕太し春めく日 川井秀夫 ろんど 201206
春めくや亀それぞれに甲羅干す 清水和子 末黒野 201206
春めきて日毎に変る比良の山 増田一代 201207
動物園匂ひも声も春めけり 秋千晴 201207
天浪の青き光も春めけり 土屋草子 ろんど 201207
春めける色のあふれて華道展 鈴木加代子 末黒野 201207
春めくや路地に連なる水溜り 大島英昭 やぶれ傘 201207
子がうたふ部屋の隅から春めけり 乾有杏 馬醉木 201210
床の下春めく波や伊根の宿 酒井秀郎 返り花 201211
打合せしてゐしことに春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201302
少し春めきて滞在二日目に 稲畑汀子 ホトトギス 201302
東より展けゆく旅春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201303
雨去りてほのと春めく木の香り 田中清秀 かさね 201207
春めくや風に誘はれ旅心 安藤虎酔 かさね 201303
頬なでる風の春めく夜の道 福本すみ子 201304
春めいて手塚治虫の丸眼鏡 陽山道子 おーい雲 201304
春めける御殿全開花鳥の図 片岡久美子 201305
春めくや寺苑に積める伏見樽 佐用圭子 201305
春めける人形塚の紫煙かな 神田恵琳 春燈 201305
絶え間なき梢の風も春めけり 成田美代 201305
春めくや出窓に野鳥図鑑置き 鈴木庸子 風土 201305
春めくや発起うながす鐘一打 高久正 201305
春めけるベンチはどれも池を向き 五十嵐章子 201305
春めくや花屋に淡き彩あふれ 武生喜玖乃 雨月 201305
春めくや白装束の宮大工 池内とほる かさね 201306
春めくや日差しを背の針仕事 吉田きみえ 末黒野 201306
春めくや川辺に子らの声高し 荒井貞子 末黒野 201306
春めくや磯に蠢くもの増えて 松本正生 やぶれ傘 201306
春めくや双乳の岩の滴れる 瀧春一 花石榴 201312
うやむやに仲直りせり春めけり 中山純子 万象 201401
春めきて明るき会話行き交ひぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201403
旅鞄送り返して春めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201403
汲み置きの水のぬるみも春めけり 中山純子 万象 201404
耳二つ春めいてゆく水の音 中山純子 万象 201404
春めくや眉のやうなる防波堤 矢野百合子 201405
春めくやミルフィーユのごと人住みて 栗原公子 201405
手に掬ふ土のつぶやき春めけり 安永圭子 風土 201405
舗装路に杖突く音も春めきぬ 小林愛子 万象 201405
幸せの形いろいろ春めけり 江島照美 201405
軽やかに衿元かざり春めけり 野村鞆枝 京鹿子 201406
軽く雨過ぎし路面の春めける 遠藤のり子 201406
春めける色を掬ひてビーズ挿す 杉本裕子 末黒野 201406
春めくや動き出したる雑木山 長田厚子 末黒野 201406
春めくと頬吹く風に独り言つ 大橋淳一 雨月 201406
春めいて土塀の破れから子猫 陽山道子 船団 201406
朱雀門より丹の風の立ち春めける 大村仍子 雨月 201406
有り難うが言へて病む妻春めける 赤川誓城 ホトトギス 201408
春めくや海の色にも変化あり 佐藤健伍 201405
第五回迎へる努力春めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201501
庭に出てみれば春めきをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201502
明るさも春めくものの一つかな 稲畑汀子 ホトトギス 201502
上梓祝ぐ心集へば春めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201502
夜の玻璃に映る花束春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春めくはまだ少し先旅支度 稲畑汀子 ホトトギス 201502
手摺つけ春めく心ととのふる 稲畑汀子 ホトトギス 201502
ビル風に春めく心奪はれし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
春めくといふはやうやく今日のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201503
祝ぎ心抱き春めく心もて 稲畑汀子 ホトトギス 201503
滞在の自由楽しみ春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201503
上木の心春めくものとして 稲畑汀子 ホトトギス 201503
春めくや久しく濤の音聞かず 井上信子 201504
春めきて雲は動きを止めにけり 小松誠一 201504
街角の少女のオブジェ春めけり 菅谷たけし 201504
木と紙の家の眺めや春めける 鈴木セツ 201504
春めくや気功の呼吸ゆったりと 石川かおり 201504
鴨川の光増しけり春めきて 竹内悦子 201504
窓明り春めきて影うごくかな 田中藤穂 あを 201504
春めくや足音違ふ右ひだり 田村すゝむ 風土 201505
春めくや行く白雲に光満ち 川村亘子 末黒野 201505
竹林に春めく風の響き合ふ 青野安佐子 201505
ビル映すビルの壁面春めけり 鈴木セツ 201505
春めくや竿のタオルの膨らみも 中田みなみ 201505
春めくや手足せはしき小型犬 松尾龍之介 201505
春めくや夕べに雨の匂ひして 有松洋子 201505
春めくや物干竿に手の馴染む 飯岡敬子 201505
春めくや雑魚の集まる潮溜まり 杉浦一子 万象 201505
春めいて雨かんむりの文字の数 鳥居美智子 ろんど 201505
二階より見下ろす庭の春めいて 丑久保勲 やぶれ傘 201505
マチネーや春めいてゐる傘の波 丑久保勲 やぶれ傘 201505
春めくと言ひ今日といふ大事な日 上坂渥子 雨月 201505
囲ひ解くどこ眺めても春めく日 上坂渥子 雨月 201505
春めくやゴッホ自画像黄を基調 村上悦子 雨月 201505
春めくや雀とみれば松ぼくり 志方章子 六花 201506
参道の人中にこそ春めける 豊田都峰 京鹿子 201506
春めくや指先爪先までぴんと 種田果歩 201506
春めけり伝言板の伝言の 渡邉孝彦 やぶれ傘 201506
京菓子の春めくいろを二つ三つ 菊池洋子 やぶれ傘 201506
のびやかなる和の字の幅や春めきぬ 森清信子 末黒野 201506
春めくや光を返す池の面 松浦哲夫 末黒野 201506
睡蓮の水の濁りも春めきぬ 荒井和昭 201506
何となくペンの動きも春めいて 後藤比奈夫 ホトトギス 201508
ふるさとの変らぬ山河春めきし 河野美奇 ホトトギス 201508
春めきてせせらぎ唄ひ始めけり 笹倉潤 ホトトギス 201508
新宿区渋谷区千代田区みな春めく 八木健 八木健俳句集 201509
語らばや春めく心杞陽展 稲畑汀子 ホトトギス 201602
春めくや東京駅の赤れんぐわ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
春めくや君の瞳に映る僕 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
六甲の山に春めく色を置く 稲畑汀子 ホトトギス 201603
雪嶺を春めくものと見る旅路 稲畑汀子 ホトトギス 201603
旅先で出会ひしことも春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201603
約束の原稿送り春めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201603
待ちし日に春めく心もたらせし 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春めくや臍のピアスの煌煌と 大日向幸江 あを 201603
なつかしき邂逅なりし春めける 稲畑汀子 ホトトギス 201604
銭洗ふ旅の光も春めけり 丸山允男 春燈 201604
春めくや電線工事の人見上げ 田中藤穂 あを 201604
春めきてコバルトブルーの舟になり 櫛田ひで女 京鹿子 201605
辻棲のあはぬ話も春めけり 柴田志津子 201605
春めくやポニーテールに追越さる 門間としゑ 末黒野 201605
春めくや身より鱗のはがれゆく 近藤喜子 201605
立つ波に春めく音のありにけり 岩月優美子 201605
春めきて運動靴を買ひ替へる 田中信行 201605
参道の売子の声の春めけり 石黒興平 末黒野 201606
からたちの棘青あをと春めけり 橋場美篶 末黒野 201606
手放しに春めく心にはなれず 竹下陶子 ホトトギス 201608
全快ともういへさうに春めきて 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春めくや無くて七癖齧りぐせ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
地震の地に春めく日和あらまほし 稲畑汀子 ホトトギス 201704
手に掬ぶ水のやさしさ春めける 藤岡紫水 京鹿子 201705
空の旅嬰の喃語も春めきぬ 落合絹代 雨月 201705
春めくや阿国の双手踊り出す 原田達夫 201705
春めくと言うて前髪短めに 林陽子 万象 201705
県道に出ればコンビニ春めけり 大島英昭 やぶれ傘 201705
春めくや子等は砂場に山つくる 廣瀬雅男 やぶれ傘 201705
春めいてとんと晩酌減りにけり 谷口一献 六花 201705
春めきしものに綿菓子めきし雲 府川昭子 春燈 201705
レストランの彩のタッセル春めけり 土岐政嗣 末黒野 201705
春めくや嬰児熟睡ベビーカー 神田惣介 京鹿子 201706
春めくや街頭芸人軽やかに 神田惣介 京鹿子 201706
春めきぬ回る水車の水の色 堺昌子 末黒野 201706
けふはまだましね春めく日の言葉 升田ヤス子 六花 201706
春めくや日差しを背の針仕事 吉田きみえ 末黒野 201707
春めきし旅にも抱へきし一事 安原葉 ホトトギス 201707
筆選び書きしことなど春めく日 稲畑汀子 ホトトギス 201802
静けさは春めく心解きゆく 稲畑汀子 ホトトギス 201803
町川を流るるひかり春めきぬ 松本三千夫 末黒野 201804
春めきてひもとく新書匂ひ立つ 山根淑子 京鹿子 201805
春めきて日向の空の明るさよ 礒貝尚孝 201805
ホテルの灯こぼるる港春めける 松本三千夫 末黒野 201805
春めくや和服の似合ふ人とゐて 黒滝志麻子 末黒野 201805
止り木にしたき三日月春めけり 石黒興平 末黒野 201805
花見小路にぽつくりの音春めきぬ 今村千年 末黒野 201805
春めける汀の男波女波かな 岡野里子 末黒野 201805
春めくや風をまとひて気儘旅 高木邦雄 末黒野 201805
水族館水の色増し春めきぬ 中野千代子 末黒野 201805
街春めくパステル調の空の下 浅井青二 雨月 201806
春めきぬ門前町の人通り 田中藤穂 あを 201805
春めくや汐入川の鯉の群 小川玉泉 末黒野 201806
春めくや臥して見上ぐる喉仏 西住三恵子 201807
みどり児を迎へて一家春めける 今橋眞理子 ホトトギス 201808
春めくや釣果を囲む二三人 樋口みのぶ 201808
辛子和へ夕餉の菜の春めきて 柴崎和男 やぶれ傘 201808
春めくと薬味のつんと胡麻豆腐 小原芙美子 風土 201811
春めくと思ひし日々の後戻り 稲畑汀子 ホトトギス 201903
海よりの風も春めくものとして 稲畑汀子 ホトトギス 201903
足腰に待たるるといふ春めく日 稲畑汀子 ホトトギス 201903
春めく日家居勿体ないといふ 稲畑汀子 ホトトギス 201903
消息のなきが消息春めく日 稲畑汀子 ホトトギス 201903
旅心春めく油断ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201903
体調を整へねばと春めく日 稲畑汀子 ホトトギス 201903
悲しんでならぬ春めく会なれば 稲畑汀子 ホトトギス 201904
生も死もただの一文字春めぐる 北川孝子 京鹿子 201904
春めきて熱海のブーム再燃す 赤座典子 あを 201904
髭題目そよがせ古都も春めきぬ 夏生一暁 馬醉木 201905
春めくや箸ころびても笑ふとは コ田千鶴子 馬醉木 201905
春めく →4      

 

2021年3月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。