春兆す    171句

春兆すものに雲形定規かな   小林貴子

春動く  春兆す  春めく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春兆すあらびあ丸の右舷かな 小形さとる 199905
灰皿に貝殻が欲し春きざす 山田六甲 六花 200003
マネキンの銀のポシェット春きざす 角田信子 六花 200005
山雀の胸の赤さに春きざす 大塚洋子 酸漿 200005
春兆す一番地てふ出羽社 粕谷容子 春耕 200008
春兆し紅を買ひ足す秘やかに 辻由紀 雨月 200104
春きざす黒猩々の目鼻かな 岩月優美子 200105
枝先に雨粒とどめ春きざす 北川とも子 ぐろっけ 200205
春きざす城に狩野派障壁画 鵜飼紫生 雨月 200207
杭を打つ農夫の背に春兆す 小林恵子 遠嶺 200304
庭垣に蒿雀を見たり春きざす 小石秀子 酸漿 200304
月の石南極の石春きざす 松田雄姿 百鳥 200305
ポストまで二度の外出春兆す 村上沙央 200306
太陽が道草をして春兆す 矢崎すみ子 200307
歌舞伎座の大垂幕の春兆す 三島富久恵 草の花 200405
雑木山うすくれなゐに春きざす 藤井智恵子 百鳥 200405
春きざす土にうごめく有機物 蔵澄茂 築港 200405
谷川のせせらぎ光り春きざす 鵜飼紫生 雨月 200406
百人一首諳ずる子に春きざす 久保晴子 雨月 200406
春兆す銀座に和紙の人形展 中島寿美 万象 200407
語尾いつも尻上がりの子春兆す 竹内美智代 酸漿 200504
愛と好きちがいありけり春きざす 長崎桂子 あを 200505
春きざす逢ふ目印は百葉箱 百葉箱 京鹿子 200505
春きざす深山や故宮博物院 植松美根子 200505
友よりの旅信はメール春きざす 岐部陽子 八千草 200508
船宿の魚拓あを墨春兆す 安藤しおん 200603
バンカーに鳥の足あと春きざす 鷹羽狩行 200604
ブーメラン手元に戻り春兆す 水原春郎 馬醉木 200604
ぬかるみを避けゐる度に春兆す 松井倫子 火星 200605
春兆す明るきニュース空かくる 半谷弘子 遠嶺 200605
煎餅のハートのかたち春きざす 竹内文子 遠嶺 200605
海越えてはがき一葉春兆す 三谷道子 万象 200606
山の子の笹舟作り春きざす 村田文一 遠嶺 200606
春きざすフリルひらりと様になる 岐部陽子 八千草 200609
魚の名は水繰り清兵衛春兆す 青山悠 200704
椨の洞春兆す風抱きゐて 近藤きくえ 200704
一病のこころに鞭を春兆す 青垣和子 雨月 200705
極楽は湯煙の中春きざす 苑実耶 200705
春きざす径も橋にも羅漢かな いしだゆか 遠嶺 200705
春きざす小泉屋敷に長居せり 大塚民枝 酸漿 200705
春兆し風の尖れり日本海 佐々木ミツヱ 200705
春兆す汀を歩く鴉二羽 山田美恵子 火星 200705
曾孫出来誰彼に告げ春兆す 佐藤哲 万象 200705
嶺幾重水一筋に春兆す 小林和子 風土 200705
時刻表を繰つてゐたりき春兆す 宇田喜美栄 200706
人見知り覚え初めし児春兆す 大橋敦子 雨月 200803
ワイシャツの夫の衿元春きざす 向井芳子 春燈 200805
手にふれて流るる手水春きざす 國保八江 やぶれ傘 200805
春きざす丸太を磨く砂の音 谷村幸子 200805
深大寺巡る水車や春きざす 関口房江 酸漿 200805
粗衣のまま行きたしペルー春きざす 須賀敏子 あを 200805
買へさうな伊万里豆皿春きざす 久本久美子 春燈 200805
たゆたひしみどりの潮春兆す 邑橋節夫 菊揃へ 200806
指たてて眠れる赤子春きざす 服部早苗 200806
パレットに置く色増えて春きざす 森下康子 200904
水も空も樹も光り合ひ春きざす 長谷川照子 春燈 200904
春きざす雨や二夜の城下町 奥田茶々 風土 200905
春兆す那須の山々やはらかに 仁平則子 200905
富津・木更津波おだやかに春兆す 細江久美子 春燈 200905
人を生む谷あり木肌春兆し 久津見風牛 200906
雨だれの弾ける音色春きざす 猪野良子 ろんど 200907
春兆すむく犬に似し雪浮かび 石川かおり 201004
春きざす八百屋の旦那役者顔 篠田純子 あを 201004
歯を磨く電気振動春兆す 泉田秋硯 201005
春兆す弥勒菩薩の指にかな 木下もと子 201005
愛といふ母音のひびき春きざす 本多俊子 201005
記念樹の中の波音春きざす 環順子 遠嶺 201005
奥山の渓のせせらぎ春きざす 河瀬俊彦 遠嶺 201005
春きざす新調眼鏡よく見えて 丹生をだまき 京鹿子 201005
リハビリの効果は徐々に春兆す 山田をがたま 京鹿子 201005
春きざす森の切株陽の貌に 松本鷹根 京鹿子 201005
地卵にまつはる羽毛春兆す 中野あぐり 春燈 201005
六方踏んで決まる容や春兆す 川崎真樹子 春燈 201005
小康の友の便りや春きざす 上田明子 雨月 201005
包囲網すつかりとけて春兆す 吉弘恭子 あを 201007
敷石の大き参道春兆す 水原春郎 馬醉木 201103
母の言ふ日にち薬や春兆し 伊東和子 201104
春きざす家のぬくもり豆大幅 中山純子 万象 201104
朝の日の鏡に溢れ春兆す 野中弓子 酸漿 201104
春兆す農小屋にある人の影 青山正英 201105
キャンデーは光のかけら春兆し 片岡久美子 201105
「合格」の声弾みたり春兆し 桂敦子 201105
カッターナイフ沸々と春兆しをり 小形さとる 201105
通院の服の色々春きざす 高倉恵美子 201105
鶺鴒を先導に春きざしけり 菊地英雄 酸漿 201105
春兆す磯鵯が鳴廂 伊藤いな栄 酸漿 201105
玄海の浪がうがうと春きざす 吉村摂護 201106
自転車のブレーキ音に春きざす 武田ともこ ぐろっけ 201106
春きざすセシールカットのお嬢さん 山本丈夫 201204
回し挽く胡椒の香り春兆す 宮内とし子 201204
月山のしろき温容春きざす 秋葉雅治 201204
海猫と鵜のへだたりに春兆す 坂口夫佐子 火星 201204
春きざす鐘楼門の白き壁 藤原若菜 春燈 201205
春きざすふはり流るる人となり 森理和 あを 201205
春兆す比奈夫翁のことのはに 林いづみ 風土 201205
春兆す空は古代の縹色 齋藤晴夫 春燈 201206
春兆すふわりと歩くペルシャ豹 青井潤 ぐろっけ 201206
春きざすけふ大いなる岩手山 土井ゆう子 風土 201206
春きざすミニ菜園のブロッコリー 鈴木直枝 ろんど 201206
火渡りの女人の素足春きざす 笠井清佑 201304
皿人参食む神馬の瞳春きざす 和田郁子 201304
化粧して懸想せしころ春きざす 柴田靖子 201304
『七線譜』『鶴翼』大地春兆す 安立公彦 春燈 201304
日時計に針といふ影春兆す 市村健夫 馬醉木 201304
木も石も物言ふ国の春兆す 関根揺華 201304
組紐の放つ七彩春きざす 川村清子 馬醉木 201305
取り替へる車内広告春兆し 長濱順子 201305
児が駈ける中空に春兆しけり 長崎桂子 あを 201305
春きざすピンク儚き萩茶碗 小西和子 201306
山門に入るや布袋に春きざす 谷岡尚美 201306
片言がぶつかりあって春兆す 平井奇散人 船団 201403
春兆す銀座其処此処ピンヒール 篠田純子 あを 201404
実験の白割烹着春きざす 渡部法子 201404
赤土にひび割れ数多春きざす 前田美恵子 201405
春きざす砂取船の低き音 白石正躬 やぶれ傘 201405
麺麭生地のふくらみ速し春兆す 粟倉昌子 201405
名の池の鯉の機嫌や春兆す 山本漾子 雨月 201405
山の音水の音して春きざす 大越義雄 201405
ゆうづつの放つ輝き春きざす 田賀楳恵 万象 201405
手を摩るのみの看取りや春兆す 新堀満寿美 末黒野 201406
文楽人形のウナズキ春きざす 笹村恵美子 201406
土産屋のちりめん小物春兆す 山田愛子 201504
ビーナスの肌の艶やか春兆す 塩路五郎 201504
糊効かすシャツの白襟春兆す 石川かおり 201504
川底の小石ゆらぎて春兆す 川崎良平 雨月 201504
「みちのくの仏像」上野春きざす 須賀敏子 あを 201504
代々の樂の茶碗や春兆す 岡尚 風土 201505
春兆す青墨の書の凛として 内田梢 末黒野 201505
春兆す水のうつはに光満ち 有松洋子 201505
少年の声はプリズム春兆す 中村三郎 京鹿子 201506
差し潮の勢ふ河口や春兆す 森清堯 末黒野 201506
杣山にけものの匂ひ春兆す 箕輪カオル 201605
京の香の和綴ぢの句帳春兆す 加瀬伸子 末黒野 201704
春兆す京も外れの鯖街道 コ田千鶴子 馬醉木 201704
牛飼の少年の空春兆す 中島陽華 201705
どこまでも猫柔らかく春兆す 久保夢女 201705
春兆す子規の小庭をひとまはり 永淵恵子 201705
猫の貌まんばうに似て春兆す 黒滝志麻子 末黒野 201706
ゆるやかに実朝の海春兆す 今村千年 末黒野 201706
万物のかすかな鼓動春兆し 植村蘇星 京鹿子 201804
一匹の鯉の大口春兆す 庄司久美子 201805
パイの皮ぽろぽろぽろと春兆す 小山陽子 やぶれ傘 201806
ぐうちょきぱ紫陽花の葉の春兆す 七郎衛門吉保 あを 201805
不等辺三角関係春兆す 火箱ひろ 201806
春兆す蟹百態の絵皿かな 下山田美江 風土 201806
寺町は吾がふるさとや春兆す 近藤真啓 春燈 201904
ローションの肌になじむや春兆す 山浦紀子 春燈 201905
白樺の幹の林立春兆す 飯川久子 201905
春きざす三角屋根の艶めく朱 岡野里子 末黒野 201906
フレイルを日日心がけ春兆す 長崎桂子 あを 202004
窓際のセロハンテープ春きざす 篠田大佳 あを 202004
春きざす文庫本読むホームレス 篠田大佳 あを 202005
鈴懸の幹の斑明かし春兆す 高橋まき子 風土 202006
流れゆく雲の陰影春兆す 田中嘉信 春燈 202007
春きざす少女の手には缶珈琲 篠田大佳 あを 202102
海近くなりたる流れ春兆す 松本峰春 春燈 202103
梨棚の下に轍や春きざす 中根美保 風土 202104
神宮の杜の鼓動や春兆す 大文字孝一 春燈 202105
ドボルザークの「新世界より」春きざす 西岡啓子 春燈 202105
藍甕に鳴るタイマーや春兆す 中根美保 風土 202105
足裏に大地の鼓動春兆す 今村千年 末黒野 202105

 

2022年2月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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