春めく 1     220句

野辺見れば若菜摘みけりむべしこそ垣根の草も春めきにけれ   紀貫之

春動く  春兆す  春めく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春めきて水車ゆつくり廻り出す
服部淑子
春耕
199806
春めく陽二十歳の指にマニキュアを
清谷亜希子
ぐろっけ
199812
春めくや二階の窓の人影も
草間時彦
馬醉木
199902
降り出して春めく雨となりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
199902
寿福寺の山門潜り春めきぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
犬吠えて人の気配の春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
199904
開館の後の話題に春めきぬ
山田弘子
円虹
199904
春めきぬ水のこごゑもさにありぬ
亀丸公俊
銀化
199904
春めくや池の藻光るひとところ
山田京子
俳句通信
199904
浮かび来る鯉汚れゐて春めゐて
保坂加津夫
いろり
199904
春めくや誦経も鳩もふくみ声
鷹羽狩行
199905
春めくや反りの生まれし孔雀の尾
松尾龍之介
199906
春めくや古きピアノの蓋開ける
田中桜子
船団
199909
集ふことより春めいてゆく心
稲畑汀子
ホトトギス
200002
自ら春めく心よそほへり
稲畑汀子
ホトトギス
200002
春めく日芭蕉の森に親しまむ
稲畑汀子
ホトトギス
200002
春めきぬ祝ぎの花束活けし部屋
稲畑汀子
ホトトギス
200002
雨したたか降りたる夜より春めきぬ
能村登四郎
200002
春めくと春めくやうな声で言ふ
鷹羽狩行
200003
喜寿の春めでたく可祝室の蘭
大橋敦子
雨月
200003
春めくも胸の振子の後れがち
赤間真弓
銀化
200003
春めくや杉山いよよ褐色に
朝妻力
雲の峰
200003
尾を振って春めく鯉の遡る
岡田ン太雄
雨月
200004
春めいて豆腐の上の花かつを
能村研三
200004
春めきしよき闇ならむ蟇のこゑ
阿部ひろし
酸漿
200005
春めくや伎芸天女のふくよかに
古田考鵬
雨月
200005
夜の深みこころ春めく長電話
瀧新株
京鹿子
200006
タラの棘威嚇を続け春めくや
葉月ひさ子
船団
200006
血圧の機嫌上々春めきて
鵜飼紫生
雨月
200008
春めくや鳥は光の尾を曳きて
牛田修嗣
200010
春めきし月を上げたる茅ヶ岳
小泉晴露
酸漿
200102
春めくや湯の真ん中に顎で浮き
細川和子
ぐろっけ
200102
春めきてまた訪ひたしと記念館
稲畑汀子
ホトトギス
200103
春めくや道かたはらに瘡地蔵
朝妻力
俳句通信
200103
何よりの子宝ありて春めける
大平保子
いろり
200104
残る世を楽しく生きむ春めけば
大平保子
いろり
200104
年金の貰へぬ我慢春めいて
松沢久子
いろり
200104
熟年と云はれて少し春めきぬ
熊谷みどり
いろり
200104
春めくや放浪の虫首もたぐ
熊谷みどり
いろり
200104
手直しも二三春めく展示室
稲畑汀子
ホトトギス
200104
御堂建つ普請の音の春めける
西澤信生
円虹
200104
春めくや煉瓦造りの仕込蔵
田村すゝむ
風土
200104
春めくや一日を母と榾燃やす
伊藤公子
酸漿
200104
春めくや茶店媼の話好き
青木政江
酸漿
200104
春めくやこけしの轆轤音軽き
岸恒雄
春耕
200104
久に逢ふ女弟子あり春めける
能村登四郎
200105
春めくやスケツチ並ぶレストラン
百瀬虚吹
風土
200105
両岸の春めいてくる汽水川
黒田咲子
200105
椿の葉揺れて光って夙に春めき
金子皆子
海程
200105
ゆるやかに三輪の神山春めける
大山志津
雨月
200105
シャッと開け窓より光春めいて
桑原敏枝
いろり
200106
調律の一音ごとに春めけり
荒木治代
ぐろっけ
200106
春めきて大島紬の軽さかな
久保田一豊
いろり
200107
春めくといふ言の葉にすがりゐる
能村登四郎
200108
網船のもやう湖畔も春めきぬ
古川利子
200202
生れたる一書春めく心寄せ
稲畑汀子
ホトトギス
200203
田の隅の雑草の叢春めきぬ
片岡静子
200204
春めくと思ふ夜来の雨あがり
宮本俊子
雨月
200204
春めきて一人ぼっちをもてあます
阪口美枝子
雨月
200204
竹林に七人の声春めきぬ
朝妻力
雲の峰
200204
春めきの湧き水甘き深山寺
板倉勉
六花
200204
警戒船いつか春めく隅田川
長屋せい子
馬醉木
200205
畳屋のひと針ごとに春めきぬ
内田雅子
馬醉木
200205
春めくやよもつひら坂薄曇り
竹中一花
200205
春めくは雀の口舌日の出時
中川悦子
酸漿
200205
春めくや工夫の力声となり
池田好
200206
春めきて絵本抜け出すバレリーナ
祐森彌香
遠嶺
200206
春めきぬ何処から空を仰ぎても
奥村啓子
200206
消息の届きたるより春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200302
庭といふ春めく心集めけり
稲畑汀子
ホトトギス
200302
まな板に葱刻む音春めいて
栢森定男
あを
200302
快晴も雨も春めく旅路かな
稲畑汀子
ホトトギス
200302
卓上の花の華やぎ春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200303
準備なほ抜けてゐさうや春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200303
まだ先と思ひゐしこと春めく日
稲畑汀子
ホトトギス
200303
ふり返る心忘れて春めく日
稲畑汀子
ホトトギス
200303
馬の絵に春めく心重ねゆく
稲畑汀子
ホトトギス
200303
立ち読みに袋綴あり春めきて
澤田緑生
馬醉木
200303
春めくや踏切の灯の暈量をもち
鷹羽狩行
200304
春めくや厨に晒す山のもの
山口たけし
雲の峰
200304
春めくや真竹の並ぶ二月堂
谷野由紀子
雲の峰
200304
春めくや木に当ててみる聴診器
川瀬さとゑ
雲の峰
200304
狼煙山春めく夕日ありにけり
河野政恵
酸漿
200304
尉鶲春めく風と遊びをり
木村迫子
酸漿
200304
春めくと思ふ日射しの又かげる
板倉幸子
築港
200304
春めくや火入れ待たるる登り窯
二宮桃代
雨月
200304
春めくといふに間のある夕明り
藤岡紫水
京鹿子
200304
春めきぬ歩き始めの赤い靴
平田はつみ
馬醉木
200305
春めくや母の行李に背負紐
代田青鳥
風土
200305
ひと雨に春めく山の匂ひかな
山田弘子
円虹
200305
画展出て春めく心野に放つ
中村芳子
円虹
200305
春めくや夫の始める庭仕事
黒川悦子
円虹
200305
春めくや声の明るき物売女
大島黎子
築港
200305
深山なる鉈の木霊も春めけり
竹内喜代子
雨月
200305
挨拶を交す言葉の春めきて
中村公代
雨月
200305
置き忘れし手袋片手春めきぬ
菅原健一
200305
高々と帰船のしぶき春めける
内山けい子
200305
春めきて傾げば動く古時計
南英子
ぐろっけ
200305
白和への春めくいろも清和村
有働亨
馬醉木
200306
春めくやまほろばの畦真直ぐにて
泉田秋硯
200306
春めくは尻さすらるるにも似たり
市場基巳
200306
春めける日なりせつせと厨ごと
橋本佐智
円虹
200307
春めくや星座を結ぶ糸ゆるび
内山照久
200307
春めきて声のはづみしテニスかな
久保田清子
遠嶺
200307
目に止めて見し川蝉の春めきし
市場基巳
200307
降り足りし夜の春めける星の綺羅
田中のりえ
200307
春めくや二時に駅でと置き手紙
漢隆司
八千草
200308
春めくや仕事崩してゆく机辺
稲畑汀子
ホトトギス
200403
又雨の一日となりぬ春めきて
稲畑汀子
ホトトギス
200403
竣工の近し春めく日々となる
稲畑汀子
ホトトギス
200403
そののちの口々に追はれて春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200403
春めくや水辺に人の気配置く
稲畑汀子
ホトトギス
200403
逢へさうに思ふ春めく上京は
稲畑汀子
ホトトギス
200403
春めいてをりしことさへ気づかずに
稲畑汀子
ホトトギス
200403
やうやくに目途つく仕事春めきて
稲畑汀子
ホトトギス
200403
花嫁の父とし迎へ春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200403
露地裏の奥がもつとも春めきぬ
山田六甲
六花
200403
聳え立つ岳の稜線春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200404
春めきて牛舎の子牛一と鳴す
二宮桃代
雨月
200404
子が嫁してより我が家運春めけり
末益冬青
雲の峰
200404
春めくやハチ公前の人の波
田中藤穂
あを
200404
春めくや妻の指さす宵の星
湯浅康右
草の花
200405
春めくと思ひつつ撫づ杖頭
村越化石
200405
春めくやラピスラズリの青が好き
橋本靖子
200405
春めける樫の高垣鶏の声
木村倫三
遠嶺
200405
図書館の本の書込み春めけり
尾堂Y
河鹿
200405
病む人に春めく光届きゐる
二瓶洋子
六花
200405
春めくや日照雨にひかる能登瓦
小松誠一
200406
春めくやシャンパングラス二つ買ひ
杉本美智江
雨月
200406
春めくやどこまでも行けさうな靴
玉川梨恵
200501
卓飾る花のいろいろ春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200502
たちまちに春めく心添ひゆける
稲畑汀子
ホトトギス
200502
えにしとは春めく心もて偲ぶ
稲畑汀子
ホトトギス
200502
始めたる森との対話春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200502
春めける海に富士見ゆ母の郷
水田清子
200502
富士山を囲む山より春めける
稲畑汀子
ホトトギス
200503
春めくや旅の計画動き出す
稲畑汀子
ホトトギス
200503
限りなく春めく一と日なりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200503
山の日の春めく心届かざる
稲畑汀子
ホトトギス
200503
立ち上げしプロジェクトより春めきぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200503
春めくやICUを出し妻も
鈴木白洋
雲の峰
200504
家なかにたつきの気配春めけり
大木千鶴子
雲の峰
200504
枯山の木々ふくらみて春めけり
鎌倉喜久恵
あを
200504
春めくやふらんす装の製本屋
鈴木榮子
春燈
200505
春めける夜気すこし入れ島泊
江崎成則
栴檀
200505
初出合京都言葉に春めけり
菅野正一
帆船
200505
春めくや友セーターのさくら色
大里快子
酸漿
200505
春めくや埴輪のやうな欠伸して
尾堂Y
河鹿
200506
春めけど病は癒えず部屋暗き
浜野愛子
築港
200506
春めくや厨に夫と並びたち
糸井芳子
200506
春めきて忘れし球根青芽吹く
中野熙子
200506
春めくやどの家も灯を消さずある
瀧春一
菜園
200509
人よりも春めいてゐる太典氏
稲畑廣太郎
ホトトギス
200602
雨止んでほのと春めく夕べかな
稲畑汀子
ホトトギス
200602
癒えられしことが何より春めきて
稲畑汀子
ホトトギス
200603
旬日のあれば春めく日なるべし
稲畑汀子
ホトトギス
200603
祝ぎの日に向けて春めく心かな
稲畑汀子
ホトトギス
200603
春めくや電線に鳥畦に鳥
鷹羽狩行
200604
春めくと言ひ朝粥の灯を点す
中山純子
万象
200604
春めいて梯子は楔弛みけり
定梶じょう
あを
200604
春めくとけふの裏山聳えけり
定梶じょう
あを
200604
春めくやもぐらの上げし土の色
鷹羽狩行
200605
春めくや案内されたる逆さ富士
遠野萌
200605
護摩焚の指ひらひらと春めきぬ
奥田茶々
風土
200605
毬一つ吊す一間の春めけり
村越化石
200605
春めくや二ヶの翼に煽られて
岩月優美子
200605
いしだたみ髄まで濡れて春めけり
豊田都峰
京鹿子
200605
春めくや影をふみ合ふ母と子と
吉川信子
万象
200605
春めける花街の中の門跡寺
大畠政子
雨月
200605
早々と春めくなには露天市
綿谷美那
雨月
200605
傷癒す大鷲に檻春めけり
瀬崎憲子
百鳥
200605
春めくや日ごとに替る空模様
永見嘉敏
酸漿
200605
野明るし直なる雨の春めける
糸井芳子
200605
春めきて海山のもの道の駅
田上勝生
河鹿
200606
春めくやふつくら仕上げし玉子焼
森永敏子
河鹿
200606
春めくや茶房にローランサンの額
大隅三虎
200606
春めくや行往坐臥の仮住ひ
塩田京子
遠嶺
200606
春めくと力漲る花時計
水谷芳子
雨月
200606
相撲幡はためく浪速春めきぬ
落合由季女
雨月
200606
春めける文や渡濠の雛のこと
片山喜久子
雨月
200606
春めきて出不精の夫旅支度
先山実子
ぐろっけ
200606
春めきて遍路の白のけぶらへり
市場基巳
200606
春めきし水の色とはひかる色
稲岡長
ホトトギス
200607
どの景も日のゆるびゐて春めける
宮崎正
ホトトギス
200607
春めける朝の日差や台所
馬場美智子
六花
200607
ひと区切てふは春めく机辺かな
山田弘子
ホトトギス
200608
春めきしひかりに添はぬ心とは
東野太美子
ホトトギス
200608
みすゞ館新装なりて春めきぬ
岡本直子
雨月
200608
春めきて眼光和ぐ匠の鷹
漢隆司
八千草
200608
春めくやジーンズ似合う似合はぬ論
真木早苗
八千草
200609
花束に春めく祝の心かな
稲畑汀子
ホトトギス
200702
春めきて旅の話の行き交へる
稲畑汀子
ホトトギス
200703
春めくと思ひ又又あともどり
稲畑汀子
ホトトギス
200703
見えてゐる限り春めく玻璃の外
稲畑汀子
ホトトギス
200703
鉛筆に春めく文字の生まれゆく
稲畑汀子
ホトトギス
200703
春めくと書いては消して今日のこと
稲畑汀子
ホトトギス
200703
春めくやわだちのなかの深轍
鷹羽狩行
200703
春めくと踏み入る雑木らのあはひ
豊田都峰
京鹿子
200703
紐を組む駒の音色も春めけり
横田初美
春燈
200704
春めきし庭に目白の来てゐたり
阿部文子
酸漿
200704
ジュリアンの蕾湧くごと春めけり
斉藤裕子
あを
200704
象の鼻飛び出す絵本春めけり
山本康夫
200705
春めくや砂場に子等の声弾む
本藤みつ
200705
春めくや通ふジャンクの足軽し
中島玉五郎
200705
春めきて池のまわりも太公望
四葉允子
ぐろっけ
200705
クレヨンの色買ひ足して春めけり
松山直美
火星
200705
春めくや詣帰りを土手伝ひ
岡本眸
200705
春めくやチャイナドレスの切れ深く
中島玉五郎
200706
春めきて腰に上着を巻きつける
唐鎌光太郎
ぐろっけ
200706
池の面に立てるさざ波春めける
金月洋子
六花
200706
春めくと丁寧に手を洗ひをり
岡本眸
200706
山中の春めくものに沢の音
坪井洋子
200706
幼子の員殻骨も春めけり
服部早苗
200707
春めきて来し一堂の内外かな
堀前小木菟
ホトトギス
200708
春めくやこれより堂の外工事
堀前小木菟
ホトトギス
200708
春めくやよもつひらさか薄曇
竹中一花
200708
春めきて歩幅大きくなりにけり
大須賀容子
遠嶺
200708
春めきし山の勢ひの月上る
西川織子
馬醉木
200710
魁けし虚子の記念日春めける
稲畑汀子
ホトトギス
200802
春めくや雪を吸ひ込む土の色
ことり
六花
200802
春めく 2      

 

2021年2月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。