蒲公英 1    216句

蒲公英のほとりから沙無限かな  加藤楸邨  吹越

蒲公英  たんぽぽ  タンポポ  鼓草

作品
作者
掲載誌
掲載年月
いつの間にやら蒲公英の占領区 能城檀 船団 199811
蒲公英の黄金浄土日は真上 林翔 199907
蒲公英の絮に放下の始まりぬ 能村研三 199907
蒲公英や黄金時代解剖図 塩見恵介 船団 199907
蒲公英や三歳の子のかくしごと 橋場千舟 船団 199909
蒲公英がたんぽぽとなる風の中 塩見恵介 虹の種 200005
俯けば呼びつ摘むなり蒲公英 塩見恵介 虹の種 200005
蒲公英や十字に光るグライダー 肥后潤子 遠嶺 200006
蒲公英や双子の一人よく喋る 高村梢子 火星 200006
蒲公英の方へと伸びる象の鼻 高橋将夫 200006
蒲公英や膝繕ひし処透け 市川伊團次 六花 200006
蒲公英やあやせばあやすほど泣かれ 小澤スミエ 200007
蒲公英や秩父三十三観音 下山田美江 風土 200008
蒲公英の絮よ張りぼての地球 高桑婦美子 海程 200012
蒲公英を見にゆく具足整える 藤田守啓 船団 200106
蒲公英や上手に園児の唄ふ声 西川よし子 春耕 200107
蒲公英やコンビネーションサラダなる 物江昌子 六花 200107
蒲公英に深き根のあり遺恨とや 武田菜美 銀化 200107
草に寝ね蒲公英の茎長きかな 池端英子 200108
話し合ひしかに蒲公英の絮浮遊 萩谷幸子 雨月 200108
蒲公英の絮とんで来る昼下がり 鹿志村よしじ 200110
おーいお茶蒲公英に風吹いてをる 山田六甲 六花 200204
閼伽桶に蒲公英の絮浮かびをり 根本孝子 春耕 200205
蒲公英の絮は神戸の光かな 市川伊團次 六花句集 200205
巡業の四股蒲公英を踏まぬやう 泉田秋硯 200206
蒲公英は絮を整へ風を待つ 七海笑涙 築港 200206
利家とまつの蒲公英白極む 小林共代 風土 200206
蒲公英や籍抜かぬまま出奔す 志麻茜 銀化 200206
密生の蒲公英の供華陸軍墓地 熊口三兄子 ぐろっけ 200206
蒲公英の色に染まれり野に伏して 岩村恵子 ホトトギス 200207
蒲公英の絮ささやきて風岬 田中聡子 遠嶺 200207
蒲公英を刈りて農婦のエゴイズム 永井一枝 200208
星座なすやうに蒲公英咲きにけり 大谷茂 飛白 200208
蒲公英や玄室に降る足がかり 門伝史会 風土 200211
野路菫繁縷蒲公英鉄条網 篠田純子 あを 200303
蒲公英がいつもの場所に黄を灯す 鎌倉喜久恵 あを 200304
蒲公英の絮の道草しては飛ぶ 塩川雄三 築港 200305
蒲公英に柔らかき風ありにけり 松浦静子 築港 200305
蒲公英を髪に挿したる平和かな 三澤福泉 雲の峰 200305
蒲公英やじゃがたら文の望郷歌 山口たけし 雲の峰 200305
蒲公英の厄日や野外授業来て 泉田秋硯 200306
余念なく蒲公英の絮吹く子かな 中村恭子 200306

 悼冨田明子さん

蒲公英やおかつぱ揺れて振り向かず

徳永真弓 百鳥 200306
蒲公英の絮いつせいにこちら向く 小田司 馬醉木 200307
蒲公英の絮連れて乗る島渡舟 一瀬昭子 馬醉木 200307
遣水に沿ひ蒲公英のつづり咲く 山田由利枝 雨月 200307
庭に咲く蒲公英に子のつまづけり 鈴木美枝 酸漿 200307
蒲公英の絮の半分風を待つ 浦松静子 築港 200307
蒲公英の絮毛蹴り合ふ下校の子 松本和代 築港 200307
蒲公英の絮に手を出すそつと出す 川口弘子 築港 200307
蒲公英の絮毛は気球海渡る 物江晴子 八千草 200310
蒲公英の一輪句碑を守るかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404
蒲公英にこの風及ばざる傾斜 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404
根を張りし蒲公英一輪庭にかな 長崎桂子 あを 200404
蒲公英の絮の浮力の白浮力 塩川雄三 築港 200406
蒲公英の絮が平和のいしじ這ふ 酒井多加子 雲の峰 200406
蒲公英の絮飛ぶ構へ風を待つ 一ノ瀬千恵 築港 200407
蒲公英の絮とんでゐる昼の電車 早崎泰江 あを 200407
満ち潮に載り蒲公英の穂絮飛ぶ 今瀬剛一 対岸 200407
手につきし蒲公英の絮納骨す 宮崎すみ 対岸 200407
蒲公英の絮の全し古戦場 辻恵美子 栴檀 200408
蒲公英の絮飛ぶを待つ古戦場 三関浩舟 栴檀 200408
湖風に庭の蒲公英絮飛ばす 鈴木美枝 酸漿 200408
蒲公英の寄せ植ゑめきてロータリー 村上沙央 200409
蒲公英に座り少年四重奏 高木武人 百鳥 200505
蒲公英を摘んで裸足の少女かな 高木武人 百鳥 200505
蒲公英の咲きをり走る雪解水 久保田ヤスエ 酸漿 200506
車椅子起つや蒲公英まで数歩 井上春子 春燈 200507
蒲公英の絮の欠けしが風に耐へ 野崎たか志 築港 200507
やれ踏むな蒲公英の絮飛ぶ日まで 野崎たか志 築港 200507
蒲公英の絮風に乗りぱぴぷぺぽ 横井澄子 築港 200507
蒲公英の絮終幕のバレリーナ 伊藤小雪 200507
蒲公英や旧東海道のうまや 貝田遊山 200508
白花の蒲公英のぞく車椅子 大谷美保子 栴檀 200508
蒲公英の絮ぶら下がる蜘蛛の糸 大谷美保子 栴檀 200508
さよならと言ひて蒲公英吹いてをり 高倉恵美子 200508
蒲公英や初めて背負ふランドセル 稲畑廣太郎 ホトトギス 200603
蒲公英や胸の中まで川流れ 山田暢子 風土 200605
蒲公英や笑ひ転げし女の子 島田和子 風土 200605
蒲公英や茅葺き古りし地蔵尊 有島夛美 河鹿 200606
蒲公英の白くてすつと鳥の影 飯島かほる 対岸 200606
蒲公英の野に入る足裏ちから抜き 成智いづみ 馬醉木 200607
鉄の爪来て蒲公英の野を掘れり 大畑善昭 200607
蒲公英や牧舎の古き風見鶏 田島勝彦 遠嶺 200607
蒲公英の絮毛しづかに風を待つ 林翔 200705
蒲公英や京へ鯖道十八里 長谷川閑乙 馬醉木 200706
蒲公英の穂絮ブッセの空にかな 近藤喜子 200706
蒲公英や身内に潮の騒ぐなり 遠藤和彦 遠嶺 200707
蒲公英の絮彼の背に導かれ 大空純子 ぐろっけ 200707
昨日のこと蒲公英の絮飛びゐしは 野路斉子 200707
絮蒲公英吹いて触って下校児等 濱田ヒチヱ ぐろっけ 200708
梅雨蝶に会はむと咲きし蒲公英か 植松安子 200708
蒲公英や一面といふばらばらに 湯川雅 ホトトギス 200709
風すこし選り蒲公英の絮とべり 辻美奈子 200709
蒲公英や加住村居の春還らず 水原秋櫻子 『蓬壺』 200803
蒲公英の絮毛みごとに着地せり 中島玉五郎 200804
湖望む土手に蒲公英点りけり 坂上香菜 200805
飛上がる蒲公英の絮狼煙めく 長崎桂子 あを 200806
蒲公英の絮吹く罪といふものも 前川明子 200808
廃線に蒲公英の花明りかな 河野千恵子 酸漿 200808
一面の絮の蒲公英風を待つ 大西まりゑ 酸漿 200808
ランドセル蒲公英に浮きをりゐたる 山田六甲 六花 200904
蒲公英や元気の素の空元気 奥村こちび 炎環 200905
蒲公英やここがこの世の一浄土 大畑善昭 200905
叱られて蒲公英の絮散らせしこと 山本喜朗 雨月 200905
蒲公英やモルタルアパートごみ出す日 きくちきみえ やぶれ傘 200905
蒲公英の絮の浮遊や亀の石 田下宮子 200906
蒲公英にもらふ生気や朝の庭 山口キミコ 200906
一揆あと蒲公英は地に張り付いて 上柿照代 馬醉木 200906
蒲公英や男の子に小さき翼生え 大畑善昭 200906
穴太積蒲公英穴に微笑むよ 上野昌子 春燈 200906
白蒲公英脳裏をよぎる幼き日 石川元子 酸漿 200906
蒲公英の萼に和と洋風任せ 東亜未 あを 200906
蒲公英の絮の行方や風のみち 武田漣 炎環 200907
神は黄を細かに裂きて蒲公英に 川崎真樹子 春燈 200907
蒲公英や空の未来図描きだす 葉山彰 ろんど 200908
蒲公英の原より上がる熱気球 高崎武義 201003
青空をとり戻したる蒲公英よ 稲畑汀子 ホトトギス 201003
蒲公英の道のあやふき一輪車 渡辺数子 火星 201005
ビル谷間蒲公英伸びる車止め 井上加世子 ぐろっけ 201006
蒲公英の黄金色の首飾り 田所昌代 201007
蒲公英や富士置く丘の昏れなづみ 松本三千夫 末黒野 201007
蒲公英の絮吹くや湧く旅ごころ 松本三千夫 末黒野 201007
陣取りて西洋蒲公英黄を誇る 宮川秀穂 201007
蒲公英の絮やぽぽぽぽ空の旅 松井宮子 末黒野 201008
蒲公英の絮吹き飛ばす遊びかな 天野美登里 やぶれ傘 201008
古墳より生れし蒲公英孤独なり 塩路五郎 201105
紙飛行機蒲公英の野を旋回す 安藤久美子 やぶれ傘 201105
蒲公英の絮飛ばさむとしてゐたる 山田六甲 六花 201105
蒲公英の畏れ多くも御所に咲く 大橋晄 雨月 201106
風ふはり蒲公英は絮放ちけり 稲田和子 201107
一茎の蒲公英に一帯日向 湯川雅 ホトトギス 201107
蒲公英の絮ひとつ飛ぶ速さかな 大島英昭 やぶれ傘 201107
夜を待ち白き蒲公英掘りにゆく 田尻勝子 六花 201107
たんぽゝの蒲公英のたんぽゝの野辺 立村霜衣 ホトトギス 201108
蒲公英や丸く大きく時待てり 福島松子 ぐろっけ 201108
蒲公英の丸き座なべて花揚ぐる 杉山瑞恵 雨月 201108
レクイエム蒲公英ひとつづつ光 コ田千鶴子 花の翼 201111
蒲公英やままごと遊びの草サラダ 宮田香 201206
蒲公英に風さやかなり谷津田道 塚原洋子 201206
蒲公英の黄を昼月に街ふかな 小瀧洋子 ろんど 201206
蒲公英や木造校舎懐しき 坂根宏子 201207
何処より蒲公英の絮大河行く 坂根宏子 201207
幕開けのやう蒲公英のをんをんと 加藤峰子 201207
蒲公英の人疑はぬ黄色かな 田中涼平 201207
蒲公英やおにぎり食べる場所きまる 副島いみ子 ホトトギス 201208
蒲公英の野に降り立ちてよりのこと 稲畑汀子 ホトトギス 201303
蒲公英や畑に支へ木組まれゐて 丑久保勲 やぶれ傘 201305
島風や蒲公英の絮飛び尽し 常田創 201306
蒲公英の絮ひとつづつひろふ風 石倉千賀子 ろんど 201306
プロペラ機蒲公英の野へ着陸す 安藤久美子 やぶれ傘 201306
蒲公英の絮の旅立ち風まかせ 桂敦子 201307
蒲公英よみすずの詩の浮かびくる 田中浅子 201307
蒲公英は綿毛となりて夏に入る 田島昭久 かさね 201307
ピンボケの蒲公英の黄が溶けていし 松川悠乃 ろんど 201309
絮蒲公英値踏みの部屋の着地かな 吉田克美 ろんど 201309
蒲公英に耳かき忘れありにけり 山田六甲 六花 201405
蒲公英の群がり咲くは逞しき 木戸宏子 201407
蒲公英やいまは走らぬ縄電車 長沼冨久子 馬醉木 201407
蒲公英の花を毟りて来るこない 田原陽子 201408
蒲公英の風のマニキュア途でもない 柳本渓光 ろんど 201408
蒲公英や大地に根ざす大家族 塩千恵子 201505
蒲公英やだうしようもないことだけど 辻響子 201506
蒲公英の絮残照の風に舞ふ 石本秋翠 馬醉木 201507
蒲公英の絮と遊べる風小僧 松本秀子 201507
蒲公英の絮のひとつを追うてをり 市川伊團次 六花 201507
蒲公英や外来と言ふ命かな 市川伊團次 六花 201507
蒲公英の絮とぶ道となりにけり 武石京子 やぶれ傘 201508
蒲公英の莟石垣から食み出 佐藤恭子 あを 201601
蒲公英の絮も運ばむ箒売 宮崎靖夫 201604
持て余す憂ひ蒲公英吹いてをり 徳田千鶴子 馬醉木 201605
遠ざかるほど蒲公英のあふれけり 広渡敬雄 201606
蒲公英の野に座るとき遠き鐘 安藤久美子 やぶれ傘 201606
蒲公英を一人つつけば次の児も 大橋晄 雨月 201606
蒲公英の奥もたんぽぽ棚曇り 山本久江 201607
廃線やいま蒲公英の国となる 石崎浄 風土 201607
蒲公英の野にある光集めけり 前田美恵子 201607
蒲公英やコンクリートの罅住処にし 今井充子 201607
清らかな黄や蒲公英の返り花 西村しげ子 雨月 201703
蒲公英や日をつかみつつ子の歩み 片桐紀美子 風土 201705
スキップは蒲公英の花踏まぬやう 安藤久美子 やぶれ傘 201705
夜に出でて白き蒲公英盗りにゆく 田尻勝子 六花 201705
蒲公英の絮の弾けて小宇宙 吉田順子 201706
蒲公英や喜雨亭の世の夢のかず 岡田貞峰 馬醉木 201707
蒲公英の絮飛び暮るる渡し跡 鈴木漱玉 馬醉木 201707
蒲公英やいざ字宙へのビッグバン 是松三雄 末黒野 201707
蒲公英の殖えて数ふること忘る 川田暢子 風土 201706
蒲公英や日をつかみつつ子の歩み 片桐紀美子 風土 201801
蒲公英の丈に大地の鼓動聞く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
蒲公英の高さに風の及ばざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
蒲公英や歩いて近き父母の墓 磯貝尚孝 清閑 201804
蒲公英の隠れやうなく帰り咲く 湯川雅 ホトトギス 201804
蒲公英やぽつぽ元気な隣の子 西村滋子 京鹿子 201806
蒲公英の絮のひとつを追ひさうに 笹村政子 六花 201806
蒲公英の絮玉垣に留まれり 赤松赤彦 六花 201806
蒲公英の木椅子の後ろ群れてゐし 永田万年青 六花 201807
蒲公英の絮国境を越えてゆく 仲里奈央 201807
測量士に踏まれ蒲公英黄を残す 大川暉美 末黒野 201808
蒲公英のまあるい綿毛つつきけり 小巻若菜 やぶれ傘 201808
夜は星になること願う夏蒲公英 酒井たかお 201902
蒲公英 →2      

 

2022年3月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。