鰤 (寒鰤)     108句

本物は世に出たがらず寒の鰤    加藤郁乎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
糶場なほ広げ鰤舟待ちにけり 松本松魚 円虹 199809
八潮路のさはの鰤場や熊野灘 鈴鹿野風呂 京鹿子 199810
鰤を裂く裸電球真上にし 久崎富美子 199901
俎板に己が影置き鰤を裂く 久崎富美子 199901
寒鰤のしぶきを立つる日本海 石井たを子 199903
寒鰤に鋭き出刃の能登の宿 小林俊彦 春耕 199903
鰤糶りてあと大荒れの海と山 久崎冨美子 199904
寒鰤の氷咥へて糶られけり 広渡敬雄 『遠賀川』 199909
送られし寒鰤厚し苞の中 能村登四郎 200001
ふたつ身に鰤捌かれし水しぶき 坂本俊子 200002
七尾線すこし眠りて鰤の海 坂本俊子 200002
寒鰤や大佐渡小佐渡雲の層 皆川盤水 春耕 200003
寒鰤の届くと出刃を研ぎにけり 西村純一 雲の峰 200003
鰤の修羅嘘の如くに光る海 辻口静夫 ホトトギス 200008
鰤さばく出刃手になじむ朝市女 前川みどり 春耕 200102
横たはる鰤が地上に血を流す 栢森定男 あを 200102
鰤の尾がはみ出す自転車の荷台 栗山みどり 200103
寒鰤の競る声終り夕霰 皆川盤水 春耕 200103
鬼神太鼓鰤まつ浦にとどろけり 益本三知子 馬醉木 200104
鰤寄する能登の雷鳴先達に 益本三知子 馬醉木 200104
一本の黄の線引いて鰤速し 中嶋陽太 ホトトギス 200104
陸の鰤どころとしての尾鷲かな 粟津松彩子 ホトトギス 200104
寒鰤や能登には能登の海の色 細川吽水 ホトトギス 200104
まだ動く鰤を跨いで糶りすすむ 細川吽水 ホトトギス 200104
寒鰤を焼いて炎に脂焼く 細川吽水 ホトトギス 200104
豊漁の鰤糶る足の踏み場なく 小川公巴 ホトトギス 200104
生臭き活気に鰤の糶られをり 小川公巴 ホトトギス 200104
鰤を糶る熱気に符牒解せぬまゝ 小川公巴 ホトトギス 200104
鰤市の鏡割り知事仕る 石田砧女 200104
鰤市沸く巾着切りが出る程に 石田砧女 200104
鰤市の奇声の女房まくしたて 石田砧女 200104
臍繰りの化けたる鰤の提げ重る 石田砧女 200104
俎板に青く光りて鰤の顔 河合笑子 あを 200104
散骨もよし鰤およぐ海ならば 坂本俊子 200201
鰤割くに山刃の背叩く年の市 小林昌子 200202
冬ざるる山裾に沿ふ鰤街道 成重佐伊子 雲の峰 200202
荒波をもどりし漢鰤提げて 邑橋淑子 遠嶺 200203
鰤網に立山連峰翼張る 託正夫 200204
炭あかあか鰤惜しみなく脂垂れ 大島寛治 雨月 200204
鰤厚く切り熱く焼き夕餉にと 川口咲子 ホトトギス 200205
寒裡ぶりの煮付の鰤の照り 須佐薫子 帆船 200301
飛び乗らむには鰤船の揺れ激し 長沼三津夫 200302
鰤網のいま追ひ込みの掛声に 長沼三津夫 200302
鰤網の飛沫のすでに生臭し 長沼三津夫 200302
鰤網の絞られ修羅の雑魚ばかり 長沼三津夫 200302
鰤網の灯色を鴎舞ひに舞ひ 長沼三津夫 200302
鰤網の薙ぎたるブイを正しけり 長沼三津夫 200302
鰤網を零れし雑魚に鴎はや 栗虫信子 200302
海鳴や鰤の街なる家構 徳永美智子 200302
鰤船に鴎の忽と獣めく 徳永美智子 200302
鰤を焼く妻の手順をそのままに 井上輝男 築港 200303
寒鰤に糶声湧けり佐田岬 麻生當子 200303
能登も外れ地べたで女鰤を割く 託正夫 200303
鰤雑煮九州男子二言なき 奥名正子 帆船 200303
人波へ俎叩き鰤を売る 村田さだ子 酸漿 200303
初糶の声わたり合ふ鰤の市 安達実生子 馬醉木 200304
あをあをと寒鰤の背のゆたかなる 谷口佳世子 200304
ひゆるひゆると夜を突くごとし鰤の海 浜福恵 風土 200304
到来の寒鰤動くかに見えて 榎本孤星 築港 200304
沸きに沸く祝儀柑場の寒の鰤 鵜飼紫生 雨月 200304
寒鰤を追ひつめてきし水しぶき 藤井昌治 200304
鰤割つておほきな夜となりにけり 天野きく江 200305
贅少し夕は對馬の寒鰤を 北村香朗 京鹿子 200306
寒鰤を照り焼らしく厨ごと 北村香朗 京鹿子 200306
寒鰤のまづ頬肉を食らひけり 淵脇護 河鹿 200402
寒鰤を丸太のやうに運びけり 久保知音 対岸 200402
遠き世のうからのこゑや鰤を焼く 浜福恵 風土 200403
杯上げて能登の寒鰤もて祝がむ 辻口静夫 ホトトギス 200404
寒鰤の箱はみ出せる威勢かな 吉田裕志 200404
絶壁にとよもす波や寒の鰤 九万田一海 河鹿 200404
寒鰤に塩打つ高さありにけり 岡和絵 火星 200404
寒鰤や湾に轟く雷一つ 折田京子 風土 200404
寒鰤届く子は北陸を縦断中 佐藤千代子 帆船 200404
飴いろに骨大根と煮たる鰤 道具永吉 対岸 200404
夜明すぐ鰤の大糶男声とぶ 安達実生子 馬醉木 200405
寒鰤や海にもありし獣みち 大曽根育代 遠嶺 200406
寒鰤の句を書く色紙真くれなゐ 野沢しの武 風土 200408
投げ出され大鰤青く反り返る 内藤ゑつ 『ゑつ』 200411
寒鰤を俎板にのせ戸惑へり 川原典子 酸漿 200503
益荒男の眼寒鰤割りにけり 岩月優美子 200503
寒鰤の頭を一撃で落しけり 後藤博司 栴檀 200503
寒鰤の目玉の二つ食らひけり 有島扇水 河鹿 200504
寒鰤や生簀へいそぐ手漕ぎ舟 九万田一海 河鹿 200504
鰤の海暮れて荒ぶや舟屋の灯 石丸恭子 馬醉木 200505
剖かれてなほ息をつぐ寒の鰤 久保東海司 200505
寒鰤や深さは知らぬ定置網 九万田一海 河鹿 200505
初漁の鰤の顔見世魚まつり 安達実生子 馬醉木 200601
寒鰤や指でもの言ふ糶の人 鈴鹿仁 京鹿子 200601
鰤の目に競りの漢のムンク貌 藤岡紫水 京鹿子 200603
落し蓋噴き上げ寒鰤煮あがりぬ 近藤幸三郎 風土 200603
鰤捌くだけの手斧を研ぎにけり 三反田輝夫 河鹿 200604
寒鰤をこんがり年金尊べり 谷口みちる 200604
鰤網を継がんと決めてユーターン 古田美恵 200604
魚拓取る寒鰤紙にあふれるほど 古田美恵 200604
寒鰤のしぶきも蒼し日本海 関まさを 酸漿 200604
寒鰤の手鉤にかけて高値よぶ 宇根綾子 二輪草 200606
たうたうと神事の鰤の尾の跳ねる 戸田和子 200702
糶終へし鰤に値札のなぐり書 遠藤真砂明 200702
朝市や濤音遠く鰤売られ 粂谷京子 200702
鰤食うて夜は海鳴りの越泊り 吉田裕志 200703
寒鰤の刺身醤油を弾きけり 増田菖波 春燈 200703
二軒目の店の寒鰤そぞろ雨 富沢敏子 200703
鰤跳ねてはねて糶台ころげ落つ 石垣幸子 雨月 200703
夫好みの鰤のかま焼く赤外線 安井和子 200704
一日に二百を捌き鰤市果つ 倉永弘子 200704
寒鰤や裏海と呼ぶ日本海 服部菰舟 雨月 200704
大漁の鰤や春霰打ちかぶり 芝山喜久子 馬醉木 200705
立山を背に鰤船のかへり来る 山本明彦 遠嶺 200705
07/12/09 制作

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