鰤 起          94句

鰤起しはたして鳴るや夜籾摺り    金尾梅の門

  鰤起し  鰤大根

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鰤起し今さら父のいまはなど 大嶋康弘 銀化 199902
大いなる神の寝返り鰤起し 岡崎るり子 銀化 199902
電柱に支へのありて鰤おこし 柿沼盟子 風土 199902
わが指針いつも父指す鰤起 田中藤穂 水瓶座 200002
無線機の声ひび割れて鰤起し 松崎幹 200101
一湾の鴎ざわめく鰤起し 香川はじめ 春耕 200102
十万の奥能登びとに鰤起し 豊原月右 ホトトギス 200104
山本仁太郎死ぬなと願う鰤起し 金子兜太 海程 200106
絶えだえに島の灯一つ鰤起し 藤原照子 200202
真夜の闇再び三たび鰤起し 小林昌子 200202
いまの世の安壽廚子王鰤起 佐藤喜孝 あを 200211
日本海荒るると聞けば鰤起し 稲畑汀子 ホトトギス 200212
鰤起し律儀に夜の来てゐたる 石原歌織 銀化 200302
海牛に青き筋あり鰤起こし 中島陽華 200303
古九谷の藍の深さや鰤起し 片山由美子 200304
おもしろき夜になりさう鰤起し 中村房枝 六花 200312
鰤起し土鍋に耳のふたつあり 中島てい子 200312
一湾の明るし朝の鰤起し 北吉裕子 雲の峰 200402
鰤起し過ぎたる空のさりげなし 金山千鳥 酸漿 200402
鎹のすこし浮きたる鰤起し 岬雪夫 200403
喫煙の自戒ゆさぶる鰤起し 浜明史 風土 200403
荒波の能登巌門に鰤起し 永井孔雀 200403
ひたはしる夜行列車へ鰤起し 堀一郎 雲の峰 200404
浜の子の下校急かせる鰤起 内藤三男 ぐろっけ 200405
鰤起し避雷針負ふ使徒の像 品川鈴子 六香 200501
磯波の白さ暗さも鰤起し 阿部ひろし 酸漿 200503
鰤起し一つ響いて眠り覚め 高木昌子 築港 200503
鰤起しぐらりと海のふくらみぬ 白旗いちこ 200504
管一本貨車の積みゆく鰤起し 下山田美江 風土 200504
街道の闇に閃光鰤起し 大石喜美子 雨月 200602
鰤起し腹ぞこよりの本気なる 豊田都峰 京鹿子 200602
酒舐めてよりの御機嫌鰤起し 泉田秋硯 200603
氷見沖の空へ濤打つ鰤起し 三好千衣子 200603
太々と渡したる梁鰤起し 辻恵美子 栴檀 200604
鰤起し浦より海へ猛り出づ 安達実生子 馬醉木 200604
奥能登の闇をゆさぶる鰤起し 山口順子 200703
旅人の寝不足顔や鰤起し 泉田秋硯 200704
北の峰南の峰へ鰤起し 竹中一花 200704
ふつきれぬことある夜の鰤起し 若林花枝 200803
一湾の波さか立てて鰤起し 若林花枝 200803
能登島の今日は見えずよ鰤起し 若林花枝 200803
びりびりと真黒き海や鰤起し 遠山みち子 200804
鰤起し亡父の夜咄恐かりし 上林孝子 200805
鰤起し無言の頬のゆるびたる 加藤みき 200902
鰤起し来ると屋根石締めなほし 森ひろ 馬醉木 200902
輪島塗りの椀に風たつ鰤起し 竹中一花 200903
鰤起し舟屋三百吹き溜めて 福永みち子 馬酔木 200905
二つ目の能登へ移れる鰤起 若井新一 200906
地の果は海の懐鰤起し 柳川晋 201002
鰤起し白湯ちんちんと煮えたちぬ 中山純子 万象 201002
病棟で舟を案ずる鰤おこし 鈴木てるみ ぐろっけ 201003
鰤起し伊根の浦曲を揺さぶれり 山本康夫 201004
糶市の果て一湾の鰤起し 遠藤和彦 遠嶺 201004
鰤起し聞きて大漁節も聴き 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
鰤起し能登に句碑建つ謀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
糶声の活気更なる鰤起し 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201102
眠気とぶ不意の轟音鰤起し 木曽鈴子 ぐろっけ 201102
鰤起し突如恩師の雄叫びと 木曽鈴子 ぐろっけ 201102
原発を臨む海岸鰤起し 廣見知子 201105
鰤起し氷見の面の痩男 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
糀屋の鴨居ゆるがす鰤起し 小林千草 馬醉木 201110
鰤起し朝市手話となりにけり 甕秀麿 201203
鰤起し氷見の漁港の百重波 藤井かもめ ぐろっけ 201203
酒盛りの硝子の曇る鰤起し 田中佐知子 風土 201204
漢らの声凛々と鰤起し 佐山五稜 風土 201302
豊漁も不漁も酒ぞ鰤起し 中田みなみ 201302
鰤起し客二組の湾廻り 山口ひろよ 201303
鰤起し轟く浜の大漁旗 山口誠 馬醉木 201305
鰤起し海より蒼き酒の瓶 七種年男 201402
橋脚のどれも潮やせ鰤起し 望月晴美 201402
鰤起し女三代一つ家に 亀井紀子 201403
鰤起し連れ吃水の深々と 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
鰤起し轟く海の真暗がり 水谷文謝子 雨月 201501
補陀落の後光の如き鰤起し 中島玉五郎 201502
一舟もなき日本海鰤起し 松岡和子 201504
断崖を浪這上る鰤起し 大上充子 馬醉木 201504
沖よりの風きて沖に鰤起し 大崎紀夫 虻の昼 201510
鰤起し海へ傾斜の能登瓦 坂本徹 201603
八巻の能登の杜氏や鰤起し 竹中一花 201702
鰤起しまた津軽富士身を隠す 上野紫泉 京鹿子 201703
鰤起し応挙の龍をたぢろがす 広渡敬雄 201703
鰤起し五感揺さぶる日本海 西村渾 201703
鰤起し今日はやさしと能登の人 江見悦子 万象 201703
旅人を一喝能登の鰤起し 三輪温子 雨月 201703
どんみりと空鰤起こし轟けり 安藤久美子 やぶれ傘 201703
鰤起し會て海軍煉瓦倉庫 荒木甫 201704
爪立ちて届く神棚鰤起し 中川句寿夫 ここのもん 201705
鰤起し少し遅れて零時打つ 中川句寿夫 ここのもん 201705
桶の箍弛んでをりぬ鰤起し 中川句寿夫 ここのもん 201705
糶声に高鳴る背の鰤起し 森岡正作 201802
半島の波逆巻くや鰤起し 荻布貢 201802
婆さまに顎ひげ一本鰤起し 中島陽華 201807
人よりも墓多き村鰤起し 荒井千佐代 201902
越前の一湾打ちぬ鰤起し 夏生一暁 馬醉木 201904
西へ走る大音声や鰤起し 浜福恵 風土 201904
若狭には若狭訛の鰤起し 角野良生 201906
ブラックな会村を出たら鰤起し 植田かつじ 船団 201906
郷友のLINEこちらは鰤起し ふなかわのりひと 202002
逆鱗に触れてなんぼや鰤起し 瀬川公馨 202004
鰤起し氷見の旅寝の耳尖る 奥田茶々 風土 202004
逆鱗に触れてなんぼや鰤起し 瀬川公馨 202004
回遊は少なき予報鰤起し 坂下成紘 202202
発電の風中の屋根に鰤起し 坂下成紘 202202
鼕鼕と佐渡を呑み込む鰤起し 里村梨邨 202202
鰤起し荒浪高き日本海 遠藤レイ 春燈 202205
山裾に寄り添ふ浦戸鰤起し 鈴木れい香 春燈 202303
黙々と人すれ違ふ鰤起し 森岡正作 202301
手もて開くる列車の扉鰤起し 岡野里子 末黒野 202304
高波の荒磯に崩れ鰤起し 黒滝志麻子 末黒野 202305
一代で成りし屋敷や鰤起し 柴田佐知子 202304
鰤起し日本海を熱くして 須藤常央 ホトトギス 202308

 

2023年12月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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