麦 秋 3    100句

能登麦秋女が運ぶ水美し    細見綾子

麦の秋  麦秋  麦刈

作品
作者
掲載誌
掲載年月
麦秋や櫓音を遠く野菊の碑 峰幸子 200507
麦秋や特急切符は空の色 豊田都峰 京鹿子 200507
麦秋やひかりを返す入間川 大嶋洋子 春燈 200508
麦秋の十八界の空喨喨 西村純 200508
麦秋や納屋に眠れるトラクター 藤井圀彦 200508
麦秋や客三人の真岡線 大坪景章 万象 200508
麦秋や竜笛にある七つ穴 水野あき子 遠嶺 200508
麦秋や刀工の地の碑にまみゆ 村田さだ子 酸漿 200508
ゴッホの絵の麦秋の風ウェーブなす 安田繁子 200508
麦秋や苦楽分け合ふ老夫婦 村上和子 ぐろっけ 200508
麦秋の黄の外灯に及びけり 長沼三津失 200508
麦秋や婚の荷のゆく村はづれ 有島夛美 河鹿 200509
麦秋や遊びごころに陶焼きて 大見川久代 馬醉木 200509
麦秋や貨物列車は止まらない 小山國雄 百鳥 200509
近江路を北へ麦秋深くなる 樺山翠 雨月 200509
麦秋や塾の帰りをたむろして 江崎成則 栴檀 200509
麦秋の単線鉄路跨ぎをり 佐々木幸 200509
麦秋や石屋に並ぶ聖観音 藤江朋子 万象 200510
麦秋や上の匂ひの貨市の過ぎ 長井順子 200510
麥秋のわびしさも好しささげ摘む 瀧春一 常念 200606
灯を消して麦秋の月父と仰ぐ 松村多美 四葩 200606
麦秋や沖白浪は角を見せ 岡本まち子 馬醉木 200607
嘶きを欲る麦秋の野の轍 森岡正作 200607
麦秋や錆を深めし父の鍬 尾辻のり子 河鹿 200608
麦秋や突如午報の湧き起こる 泉田秋硯 200608
麦秋の母郷に集ひみな喪服 北川英子 200608
麦秋の沸点として赤ん坊 中島あきら 200608
麦秋やゴッホはいつも蒼ざめて 中村恭子 200608
麦秋やけむりの色に魚跳ぬる 田村園子 200608
麦秋や蔵に立てかけ猫車 青山悠 200608
麦秋の日中を泣きに来たる人 山尾玉藻 火星 200608
麦秋の音してまはる風車 丸山照子 火星 200608
麦秋や一滴文庫寂とあり 吉田裕志 200609
麦秋や鈍行の窓開け放ち 阪本哲弘 200609
休み田のなき麦秋の潮来かな 樋口すま子 200609
麦秋の一戸に着きし救急車 丸山照子 火星 200609
麦秋や間取り図にある大き窓 佐山苑子 遠嶺 200609
麦秋や火の衰へぬ殉教図 柴田佐知子 200609
麦秋や瓦の赤き醸造所 吉村摂護 200609
麦秋やをんな五十は過ぎ易し 宮尾直美 200609
麦秋や起伏に富んでてのひらも 櫨木優子 200610
麦秋や煉瓦造りのパンの釜 手拝なをみ 200610
麦秋の雨にけぶれる化粧坂 四戸和彦 八千草 200611
秘仏見に奈良麦秋のひとり旅 小林修水 万象句集 200703
麦秋のどこが燃えても可笑しくない 竹貫示虹 京鹿子 200706
麦秋野南へかくる雲にのらむ 豊田都峰 京鹿子 200707
麦秋の雲のゆたかに移りゆく 柳生千枝子 火星 200707
麦秋の風の彼方に海青し 柳生千枝子 火星 200707
麦秋やルオーのキリスト受難の絵 田村すゝむ 風土 200707
麦秋の上離陸機は足たたむ 井口淳子 200708
麦秋の没日じりじり匂ひけり 北川英子 200708
麦秋の風が遊べりひろやかに 柳生千枝子 火星 200708
麦秋や重たき母の裁ち鋏 柳生千枝子 火星 200708
麦秋の白雲が航く空深し 柳生千枝子 火星 200708
麦秋を高速道路二分せり 苑実耶 200708
麦秋のオランダよりの一書信 四宮一子 200708
麦秋の茶色ゴッホの黄を超して 楯野正雄 200709
麦秋を鬨のびやかに対馬鶏 鈴木千恵子 万象 200709
麦秋の一辺に佇ち息吐けり 竹下昌子 200709
麦秋や橋の下よりドラムの音 曷川克 遠嶺 200709
麦秋の沸点雲のなかりけり 掛井広通 200709
麦秋や師に会へる日の電車来る 若槻妙子 200709
麦秋と云ふには小さき畑一枚 鈴木多枝子 あを 200709
麦秋や生家を訪ふに畦伝ひ 向井由利子 200710
麦秋の国境越えて街に入る 小泉和代 酸漿 200710
麦秋の琥珀を握り乳母車 木山杏理 京鹿子 200801
麦秋の自ら濡れている蛇口 坪内稔典 稔典句集 200804
麦秋を指呼に里山輝けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
麦秋や改札口を出でしより 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
麦秋に太陽を明け渡したる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
バス右折する麦秋の交差点 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
麦秋の旅を終へたる家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 200805
弟子が出来孫弟子が出来麦秋忌 山田六甲 六花 200805
麦秋を走つても走つてもひとり 竹貫示虹 京鹿子 200806
麦秋や仰ぎ見ること多きころ 高倉和子 200806
麦秋や端山の掲ぐ星ひとつ 塩路隆子 200807
麦秋やボサノバ昼にひとり聴く 笠井清佑 200807
麦秋や日のあるうちに片付けよ 石脇みはる 200807
麦秋やくわつと日の射す拓き畑 神田美穂子 万象 200807
麦秋の大河流れり小さき村 米澤しげる 春燈 200807
戦争を捨てられぬまま亦麦秋 菅原健一 200807
麦秋の鐘碌山の野を渡る 水原春郎 馬醉木 200808
麦秋の空の明るさ若狭道 竹内悦子 200808
麦秋や古道に抜くる通学路 あさなが捷 200808
麦秋の道少年の走る音 本多俊子 200808
麦秋の髪失ひし姉を訪ふ 石田きよし 200808
麦秋の舟出払つてをりにけり 山路紀子 風土 200808
麦秋の駅に短かき旅信書く 落合絹代 風土 200808
麦秋や画布に祈りの朱き色 奥田順子 火星 200808
麦秋の風が満ち満つ軍港に 森津三郎 京鹿子 200808
麦秋や未だ秘仏の秘を解かず 丸井巴水 京鹿子 200808
麦秋や雉子掛けしてふ釘の錆び 朝妻力 雲の峰 200808
麦秋の色濃き平野鳶舞へり 宮川秀穂 200809
麦秋や政庁跡の礎石群 村上絢子 馬醉木 200809
麦秋の焼けて泡立つ朴葉味噌 田所節子 200809
麦秋や揖保さうめんの里豊か 有元文子 風土 200809
麦秋の風やたかだか鷺帰る 梶浦玲良子 六花 200809
麦秋の道一本の白さかな 一ノ木文子 炎環 200809
麦秋の伊賀上野なり翁の碑 近藤きくえ 200809
麦秋の近づいている遠賀川 坪内稔典 船団 200809
麦秋4→      

 

2021年5月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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