2023年5月13日 2023年5月13日

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杉の實の青しと思ふ鮎を喰ぶ    高島茂

  香魚  錆鮎  落鮎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
解禁日いづれも大き囮鮎 紀川和子 201208
皿の鮎跳ねる形をそのままに 森下康子 201208
鮎釣の帰ってゐたり魚籠に音 石脇みはる 201208
杜若鮎やはらかく鯉を追ひ 大島翠木 201208
早ばやと客の起きだす鮎の宿 小池清司 かさね 201208
堰五尺光となりて鮎躍る 小池清司 かさね 201208
若鮎の素早き影を見るばかり 山田佳乃 ホトトギス 201208
久慈川の流れの迅し鮎解禁 松本秀子 201208
潮打たる鮎やまなこに水の色 安斎久英 末黒野 201208
老い支度とは生き支度なり鮎を焼く 中山皓雪 201208
鮎釣りの成果四捨五入して話す 濱上こういち 201208
鮎煮買ふ堅田や湖へすぐの道 伊東和子 201209
励まして詫びて泳がす囮鮎 小池清司 かさね 201209
鮎釣のずんぐり漢京言葉 竹中一花 201209
黒板に「鮎簗掃除午前四時」 南うみを 風土 201209
かつとりの鮎濃く匂ふ土用かな 南うみを 風土 201209
雨脚の鮎簗の簀を抜きにけり 南うみを 風土 201209
手を抜けと諭されてをり鮎を食む 高野春子 京鹿子 201209
解禁の鮎の那珂川朝ぐもり 北崎展江 くりから 201209
鮎釣の腰を流るる最上川 北崎展江 くりから 201209
腸の香や鮎解禁の瀞八丁 藤井久仁子 ぐろっけ 201209
香ばしや夢の尻尾の鮎げむり 山田六甲 六花 201209
釣り仕度いそいそとして鮎そこに 芝宮須磨子 あを 201209
鮎の瀬のそよ風ときにつむじ風 西田孝 ろんど 201209
鮎めしや兄に吃音ありしこと 深澤鱶 火星 201209
藩蓄を聞くもよきかな背ごし鮎 小澤菜美 201210
友釣りの鮎もつれあふ竿の先 米田文彦 かさね 201210
飛び跳ねし姿彷彿鮎料理 米田文彦 かさね 201210
鮎化して虚空に跳ねる万華鏡 延広禎一 201210
茜流伝ふ紀州の鮎投網 田中佐知子 風土 201210
つらいよよ尖つてをりし囮鮎 深澤鱶 火星 201210
古里や舐りつくせし鮎の骨 深澤鱶 火星 201210
鮎の腸すすれば炭の香のしたり 山本耀子 火星 201210
放されし若鮎暫し橋の下 武石京子 やぶれ傘 201210
川風を受けて鮎飯こそげとる 野口朝世 やぶれ傘 201210
鮎二尾を釣りしと描く夏見舞 鎌田篤 雨月 201210
鮎釣やもとの深みに幾度も 鎌田篤 雨月 201210
鮎上る色となりたる故郷かな 柴田佐知子 201210
清流の闘ひ知らず太き鮎 久保東海司 201211
鮎せせる祖母のしつけの箸使ひ 松本俊介 春燈 201211
鮎釣りて去年の魚拓と較べをり 荻龍雲 201211
豊漁の鮎と帰りし笑顔かな 芝宮須磨子 あを 201211
腰までを水にあづけて鮎を釣る 松田明子 201211
岩間より光生れつぐ鮎の川 藤井君江 馬醉木 201212
子持鮎写生をしても焼き惜しむ 林哲夫 ぐろっけ 201212
九頭龍の鮎田楽に姉妹楽 丹後みゆき ぐろっけ 201212
孕みたる鮎川底を嫋やかに 谷渡末枝 万象 201212
若鮎の飛んで届かぬ堰のあり 市川伊團次 六花 201212
一本の流れとなれり下り鮎 藤生不二男 六花 201301
長命の家系に生れて鮎を焼く 神田恵琳 跫音 201303
一閃の光一途にのぼり鮎 いぶすき幸 万象 201306
身をひねり大月の鮎釣られけり 井上石動 あを 201307
内子まで鮎をつかみに帰るけん 山田六甲 六花 201309
頭よりがぶりと鮎の香ばしさ 松田和子 201310
鮎釣の肌焼くのみにをはりけり 北尾章郎 201310
笹舟や大河へ続く鮎の川 中田禎子 201310
頭ごと鮎食ぶくせの父ゆづり 村田岳洋 ろんど 201310
字余りのやうな晩節背越鮎 塩見英子 雨月 201310
舟べりの水の香りや鮎の形 梶浦玲良子 六花 201310
堰に身を打ちつけ鮎ののぼらんと 岩田公次 ホトトギス 201311
鮎の瀬に挑む釣師の孤独の背 高橋明 末黒野 201311
どの部屋にも風の等しき鮎の宿 松田明子
鮎釣のまつたく暮るるまで一人 瀧春一 花石榴 201312
煮浸しの鮎柔らかく祝膳 枝みや子 やぶれ傘 201402
小鮎煮てつとに淡海の歌枕 久保久子 湖心 201402
清流にもまれ馥郁今年鮎 難波篤直
鮎宿の師匠と交す地焼酎 難波篤直 201404
荒き瀬やプロの鮎師の竿さばき 難波篤直 201404
鮎生簀開くや鳶のホバリング 山本耀子 絵襖 201404
水槽に眼つぶれてをりし鮎 白数康弘 火星 201405
囮鮎生き生きとして水くらし 白数康弘 火星 201405
鮎を釣る一の瀬二の瀬しらみけり 白数康弘 火星 201405
鮎釣りの竿の穂先は風のやう 白数康弘 火星 201405
白波の川上へ鮎走りけり 白数康弘 火星 201405
本人のやる気が全て上り鮎 高橋将夫 201405
我もまた時の旅人上り鮎 近藤喜子 201405
日をのせてゆるむ湖面や小鮎汲 長谷川閑乙 馬醉木 201406
川波に鮎の香の立つさくら冷 奥村直女 馬醉木 201407
若鮎の甘露煮旨し湖の味 佐々木和子 201407
鮎解禁太公望へにぎり飯 宮崎左智子 201407
焼鮎のにがみ走りし串のかほ 山田六甲 六花 201408
焼鮎に炎吐かれし口の中 山田六甲 六花 201408
法螺少し加へし釣師鮎の宿 石川笙児 201408
若鮎や美濃も奥なる長良川 鈴木鳳来 春燈 201408
若鮎の天麩羅づくしほろ苦き 鷲見たえ子 201408
若鮎のさ走り水の目覚めゆく 山田佳乃 ホトトギス 201408
酌むほどに人を恋ひけり鮎の宿 峰幸子 201408
比良山を風すべりくる鮎の宿 山田六甲 六花 201408
箸先にほぐせる鮎の艶めきぬ 笹村政子 六花 201408
頭よりがぶりと鮎の香ばしさ 松田和子 璦別冊 201408
鮎の宿師匠と交す地焼酎 難波篤直 璦別冊 201408
丹波路の鱁鮧とワイン鮎の宿 坂上香菜 201409
剣のごと竿持つて入る鮎の宿 森岡正作 201409
焼き鮎の背骨ぬく技貴船席 伊藤和子 201409
かつとりの鮎がもつとも跳ねてをり 南うみを 風土 201409
淋しさの鮎の背にある瀬波かな 柴田靖子 201409
風渡るときくさいろの鮎の川 蘭定かず子 火星 201409
小鮎選る指いきいきとちまちまと 南うみを 風土 201409
鮎のぼる比良連山は雲払ひ 浅田光代 風土 201409
鮎の香や膳の向うに竹生島 吉田万喜子 雨月 201409
渓流の音をまぢかに鮎の膳 成智いづみ 馬醉木 201410
瀬の音を間近に宿の鮎料理 北尾章郎 201410
囮鮎焼く仕儀となり酒苦し 阪本哲弘 201410
本日の釣果五匹の鮎捌く 松岡和子 201410
何枚も桧葉に包まれ鮎届く 加藤みき 201410
鮎食べて昭和一桁たくましき 中道愛子 201410
頃あひを訪ねて鄙の鮎料理 上野進 春燈 201410
川音の常の如くに鮎落つる 稲畑汀子 ホトトギス 201410
甲高き女声する鮎の宿 藤本千鶴子 火星 201410
ぶつ切りの鮎も国柄榛名富士 碇天牛 雨月 201410
鮎掛の等間隔の瀬音かな 大内幸子 六花 201410
鮎跳ねて水輪重なる暴れ川 曽根満 万象 201410
鮎釣の入り川音の高ぶれる 蘭定かず子 火星 201410
身の内を抜けゆく瀬音鮎を釣る 山田佳乃 ホトトギス 201411
流されてしまふは易し上り鮎 吉武千束 太古のこゑ 201411
囮鮎父の目いつも近くして 園部早智子 ろんど 201411
野球帽のひとに小鮎のよく釣るる 石田きよし 201411
鮎跳ねて父の笑顔の夜明けかな 今井充子 201411
湧水にひとかたまりの鮎光る 大長文昭 万象 201411
串鮎の尾は跳ね沖の島かすむ 丸井巴水 京鹿子 201411
化粧塩振る夫の指鮎はねる 岡山敦子 京鹿子 201411
よろづ屋の小暗き土間に囮鮎 松田明子 201412
鮎落ちて瀬音やさしくなりにけり 柴田志津子 201412
盆石に鮎の遡上といふ景色 後藤比奈夫 ホトトギス 201501
少年の吹く笛の音や下り鮎 田嶋洋子 春燈 201501
町川の急に騒がし下り鮎 岩崎スミ子 末黒野 201501
鮎なれずしうましと食ぶ鵜匠宿 桜井知恵子 雨月 201501
雨風に荒ぶ瀬の音鮎落つる 大島寛治 雨月 201501
赤い鼻緒が一番のりに鮎解禁 長沼佐智 船団 201502
露天風呂錆鮎のさび流れゆく 上野紫泉 京鹿子 201502
鮎蕎麦に始まる大原水澄めり 半田稜 ろんど 201502
若鮎に大河は黙を解きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
若鮎にいよよ魚道の狭まりて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
若鮎や美濃も奥なる長良川 鈴木鳳来 故山 201505
線がひかり光が線に鮎遡上 森岡正作 201507
若鮎の躍る魚梯の瀬音かな 渡部節郎 201507
氷敷き売らるる吉野桜鮎 原田しずえ 万象 201507
太公も舌巻く風情鮎解禁 井上石動 あを 201507
雨すだれ闘竜灘の鮎の宿 山田六甲 六花 201508
鮎茶屋の二百の鯉の連なりて 竹内悦子 201508
源流の風に吹かるる鮎づくし 薮脇晴美 馬醉木 201509
鮎のこと知りつくすひと寡黙なる 谷岡尚美 201509
鮎の竿撓ふ川辺や菅の笠 板谷俊武 末黒野 201509
口固く閉づる淡海の稚鮎選る 原田しずえ 万象 201509
放流の鮎ぱちぱちとはねてゆく 山口千代子 万象 201509
古座川に流れ橋あり鮎を釣る 石垣幸子 雨月 201509
今年鮎風に吹かれて釣られけり 三屋英俊 万象 201510
鮎焼く火音をたてずに崩れけり 原友子 201510
上り鮎光となりて直進す 中村洋子 風土 201510
奥琵琶の隠れ家昼の鮎づくし 南奉栄蓮 風土 201510
美しき指先鮎の骨を抜く 宮内とし子 201510
鮎届くさて礼状は後廻し 風間史子 201510
解禁に二日はやくて鮎の川 今井妙子 雨月 201510
鮎掛けに急流の波かぶさり来 栗山恵子 雨月 201510
鮎鮨や工都の靄に月上がる 高橋泰子 201510
焼鮎の躍る尾びれや化粧塩 岡野里子 末黒野 201511
鮎の竿等間隔に川の中 辻井ミナミ 末黒野 201511
子持鮎観光簗の幟旗 荒井和昭 201511
瀬に白き腹ひるがへり鮎の群 乗光雅子 雨月 201511
警策の如く鮎の背打つしぐれ 久保東海司 201512
酒抱いて妻が渡りし鮎の川 福島せいぎ 万象 201512
をとり鮎とはいへさすが郡上鮎 後藤立夫 ホトトギス 201601
今生に鮎の落ちゆく日々つづく 西川織子 馬醉木 201601
箱膳をはみ出してゐる鮎の串 深川淑枝 201601
鮎を焼く火を落したる瀬音かな 深川淑枝 201601
暮れがたの早瀬ひびけり鮎の宿 深川淑枝 201601
鮎掛かる一瞬釣師見逃さず 落合由季女 雨月 201602
言ひ過ぎし悔あり夫へ鮎を焼く 白水良子 201602
頭から鮎の串焼き食む女 衣斐ちづ子 201602
上り鮎背面跳びに堰越ゆる 升田ヤス子 玫瑰 201604
鮎食ふや日の残りゐる磧の木 深川淑枝 201605
背越鮎噛むとき耳輪揺れにけり 深川淑枝 201605
若鮎の腸の苦みも母郷なり 森岡正作 201607
初鮎や良き火加減の跳ね姿 頓所友枝 201607
鮎解禁竿の賑はふ水こだま 内山花葉 201607
若鮎や川の中にも風流れ 内山花葉 201607
簗抜けて先を競へる鮎の群 大橋晄 雨月 201607
鮎群れて生簀溢れむばかりかな 大橋晄 雨月 201607
串刺しの鮎生きてをり焼きにけり 山口ひろよ 201608
清流の石躍らせて鮎上る 高橋恵美子 馬醉木 201608
取り皿や川の模様に鮎乗せる 溝渕弘志 六花 201608
清流に競ふぎらみき遡上鮎↓ 松本鷹根 京鹿子 201608
鮎遡上簗とふ地獄待ちゐるに 丸尾和子 雨月 201608
真つ直ぐは水戸つぽ気質鮎走る 峰崎成規 201608
尾の反りは早瀬の記憶鮎料理 峰崎成規 201608
先づ星の巨きを称へ鮎の宿 多田ユリ子 201608
鮎釣の山より高く竿を打つ 前田美恵子 201608
小鮎煮の一つひとつの目鼻立ち 石田きよし 201609
夜の更けて瀬音高まる鮎の宿 大森道生 春燈 201609
鮎を焼く民話の里の丸木小屋 落合絹代 風土 201609
鮎食べて五体のどこか透き通る 松尾龍之介 201609
鮎はねて瀬波を越ゆる光かな 小山ほ子 末黒野 201610
鮎の骨丁寧にぬく白き指 山口登 末黒野 201610
鮎一閃力しぼりて堰越ゆる 中村弘 末黒野 201610
鮎釣師並びて黙の竿伸ばす 上辻蒼人 風土 201610
渓流に臍まで入り鮎を釣る 内藤静 風土 201610
あぶられて鮎は大きくひれ広ぐ 奥田茶々 風土 201610
鮎焼いて料理上手の母に似ず 志方章子 六花 201610
鮎三尾姿正しう焼かれけり 中島芳郎 201610
鮎釣の腰で水押す長良川 山口誠 馬酔木 201611
透明な躰造りに鮎を食ふ 伊藤希眸 京鹿子 201611
鮎の茶屋火種が先に運ばるる 内海良太 万象 201611
深吉野よ鮎の半なれ寿司の香よ 中島陽華 201612
透明な躰造りに鮎を食む 伊藤希眸 京鹿子 201612
杣人の買ひたる鮎の一夜干し 内海良太 青嶺 201612
子持鮎笑ひ上戸がもたらしぬ 福島せいぎ 万象 201701
甘露煮は今年も上州子持鮎 大坪景章 万象 201703
鮎の骨丁寧にぬく白き指 山口登 末黒野 201704
鮎一閃力しぼりて堰越ゆる 中村弘 末黒野 201704
今頃のあのころのこと子持ち鮎 中川句寿夫 ここのもん 201705
霊山のなだらかに晴れ鮎を挿す 藤原照子 201705
鮎 6→      

 

2021年6月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。