錆 鮎     56句

錆鮎やことばをつくす出雲人   原裕

  香魚  錆鮎  落鮎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鮎錆びて渓流奥より訃の報せ 金子里美 船団 199903
施主僧と喪主錆鮎の斎の膳 金子里美 船団 199903
簗逸れて錆びゆく鮎となりにけり 前田青紀 馬醉木 199912
錆鮎の頬を減らして幽鬼めく 鈴鹿仁 京鹿子 200011
錆鮎の焼くるにほひや小座布団 浅沼久男 200101
体まだ動くと錆びし鮎捌く 朝妻力 俳句通信 200111
錆鮎の腹の重みや掌に 池崎るり子 六花 200112
錆鮎に大河の濁り未だ消えず 芦澤一醒 百鳥 200201
錆鮎といへど気品を失はず 福井鳳水 円虹 200301
錆きつてゐる鮎の色岩の色 南孝 円虹 200301
鮎錆びて噴煙あはし茶臼岳 根岸善雄 馬醉木 200302
万の尾のせはしく鮎の錆びゆける 西山美枝子 酸漿 200302
錆鮎の色に焼かれてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
投網打つ鮎錆びそめし大塔川 松本幹雄 馬醉木 200310
錆鮎を裂くおくびにも酔ひ見せず 朝妻力 雲の峰 200310
錆鮎に角屋いよいよ賑はひぬ 朝妻力 雲の峰 200310
錆鮎を手掴み山へ消え果つる 丸井巴水 京鹿子 200312
よく晴れて鮎の錆よぶ寒さとも 市場基巳 200404
落鮎や釘箱の釘ちと錆びし 物江晴子 八千草 200405
渦いくつかぞへ錆鮎先いそぐ 宇都宮滴水 京鹿子 200410
頭首工に跳ねし錆鮎つづけざま 紺野とも子 200601
錆鮎の尾鰭がこぼす化粧塩 高原純徳 河鹿 200602
錆鮎にしぶとき眼ありにけり 荒川清司 遠嶺 200612
那珂川の錆鮎焼きてもてなさる 木暮剛平 万象 200701
錆鮎や城跡のぞむ奥座敷 今井松子 遠嶺 200702
錆鮎に炭の怒つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
錆鮎を五百も焼きて爺若し 朝妻力 雲の峰 200810
錆鮎の並びて焼かれ阿吽の相 七種年男 200901
水音迅し錆鮎の夕陽影 川口襄 遠嶺 200903
錆鮎の歯をむき出して焼かれけり 渡辺美晴 201003
錆鮎の川知り尽す釣師かな 石黒興平 末黒野 201012
錆鮎の瀬となる水の光かな 大竹淑子 風土 201012
このごろの星夜に鮎の錆びゆける 山尾玉藻 火星 201012
錆鮎に美山の風の入れかはる 蘭定かず子 火星 201111
鮎に錆さしくる頃や父帰る 大山文子 火星 201111
錆鮎の簗を逸れゆく月明り 薮脇晴美 馬醉木 201312
錆鮎の尾の大切に焼かれあり 松田明子 201312
錆鮎の修羅を美味しと戴けり 森岡正作 201312
川の中錆鮎釣の動かざり 石脇みはる 201401
がうがうと割るる川音鮎錆びぬ 山口ひろよ 201401
錆鮎やぷつと腸爆ずる音 山本耀子 絵襖 201404
露天風呂錆鮎のさび流れゆく 上野紫泉 京鹿子 201502
清流や錆鮎なれどきらめきぬ 石黒興平 末黒野 201512
掴みたる錆鮎の喉真くれなゐ 大沢美智子 201711
錆鮎といへどきらりと釣られけり 石黒興平 末黒野 201712
錆鮎を焼く男鉢巻一文字 松本美簾 馬醉木 201801
錆鮎やどつと夕暮せまりたる 栗坪和子 201901
錆鮎の命が滲み出たる錆 高橋将火 201911
錆鮎の川の流れに抗はず 鷺山珀眉 京鹿子 201912
錆鮎に手を切るやうな流れかな 湖東紀子 ホトトギス 202003
錆鮎の鉄重りする網の底 平松うさぎ 202012
錆鮎の澱みの暗さ辿り落つ 山下美典 ホトトギス 202203
錆鮎の骨抜き兄を悼みけり 森岡正作 202210

 

2023年9月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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2023年9月29日 2023年9月29日