あたたか 5     205句

あたたか 暖か 春暖 ぬくし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
海に入るみそぎの足のあたたかし 加藤みき 201303

 元パラリンピック選手

バスケット教える選手あたたかい

塩路彩奈 201304
洗顔に掬ひし水のあたたかし 布川直幸 201304
瓜人忌の靄あたたかき朝ぼらけ 久留米脩二 馬醉木 201304
銭洗ふ風より水のあたたかき 川村亘子 末黒野 201304
あたたかやバケット抱へ遊歩道 森下康子 201305
あたたかや新島邸木の流し台 佐用圭子 201305
あたたかやベビーベッドを設へて 竹内悦子 201305
あたたかな面ふくよか婦人俑 井口淳子 201305
つきあげて音あたたかや紙風船 海村禮子 春燈 201305
あたたかく並んで里の雑木山 豊田都峰 京鹿子 201305
監督の名に観る映画あたたかし 高橋道子 201305
袖隠墓抱けば墓あたたかき 神蔵器 風土 201305
あたたかや身ほとり少しずつ整理 山田暢子 風土 201305
拾ひたる年の豆まだあたたかき 石脇みはる 201305
古墳より湯気噴く土やあたたかし 辻美奈子 201305
落ち椿いまはのきはのあたたかみ 篠田純子 あを 201305
あたたかや蛇籠の石に腰下ろし 根橋宏次 やぶれ傘 201305
あたたかや呼べば応ふる鳥のゐて 樋口みのぶ 201305
あたたかや食事療法ゆるゆると 川崎よしみ 201305
人と神繋ぐ玉砂利あたたかき 西岡裕子 201306
木の家に木の節あまたあたたかし 能村研三 201306
四歳児に言ひまかされてあたたかし 楠原幹子 201306
人間をたまに信じてあたたかし 菊川俊朗 201306
病む人が顔洗ふ音あたたかし 山田暢子 風土 201306
人と犬石も一つにあたたかし 中野京子 201306
連弾に阿吽の呼吸あたたかし 史あかり ぐろっけ 201307
あたたかや畑のポンプを胸で漕ぎ 古井公代 ぐろっけ 201307
あたたかや豚おとなしく波止の荷に 水野範子 ぐろっけ 201307
あたたかし妣の名一字俳号に 水野範子 ぐろっけ 201307
あたたかや目の神様は目の太く 樋口みのぶ 201402
あたたかや撫でたき木仏ありにける 橋本順子 201402
何のメモなりしか忘れあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201403
何も言はず母と座りて冬あたたか 高倉和子 201403
卵かけごはんの醤油あたたかし 苑実耶 201403
あたたかし空穂に吾子を詠める歌 仙田孝子 風土 201404
波郷の地波郷語りてあたたかし 宮内とし子 201404
歯朶枯れてあたたかき色展げたり 小林愛子 万象 201404
苦労性の手はごつとしてあたたかし 大谷信子 201404
ふつくらと志功の版画あたたかし 宮川みね子 風土 201405
田舎駅のベンチあたたか文庫読む 中井弘一 201405
あたたかなまなざし親し阿弥陀像 和田郁子 201405
あたたかや軽き会話に癒さるる 篠原幸子 春燈 201405
あたたかや昼の薬をまた忘れ 柴田久子 風土 201405
二七日落着きて聴く経あたたか 大橋晄 雨月 201405
秀吉の好みの香炉あたたかき 和田郁子 201405
佛跡の指の先まであたたかし 松田明子 201405
あたたかや太極拳は這ふごとく 吉田葎 201405
川波にあたたかき雨の速さかな 中堀倫子 201405
あたたかや真水のごとく子の眠る 柴田久子 風土 201406
あたたかや日差をかへす草の艶 西岡啓子 春燈 201406
あたたかや菩薩のやうな人がゐて 田中一美 ろんど 201406
さし伸べられし慰めの手のあたたかし 中島知恵子 雨月 201406
さるぼぼの絣のベベやあたたかし 平野みち代 201406
あたたかや輪切り丸太に腰下ろす 有本惠美子 ろんど 201406
上向いて笑ふ童女やあたたかし 平野みち代 201406
俗名と同じ諡名あたたかし 西村しげ子 雨月 201406
あした逢ふ人あり今日のあたたかし 河原昭子 万象 201406
悪人の墓をめぐりてあたたかし 足立良雄 201407
あたたかし日曜に来るヤマト便 野沢しの武 風土 201407
あたたかや古書市に買ふ蕪村集 西村しげ子 雨月 201407
あたたかや船主幡の茶の実紋 塩路隆子 201407
あたたかや湾を眼下に足湯して 有賀昌子 やぶれ傘 201407
旧るほどに父の手紙のあたたかし 滝澤圭子 雨月 201407
ありし口の候文やあたたかき 山田夏子 雨月 201407
あたたかや鶏鳴ながきなまこ塀 柴田志津子 201409
球根を植ゑたる指のあたたかし 杉浦典子 火星 201501
藷を掘る土あたたかく匂ひけり 田中臥石 末黒野 201501
仏相か女相か石のあたたかし 小野 寿子 201501
久に会ふ笑顔あたたか紅葉晴 松田和子 201501
白もまたあたたかき色障子張る 松田泰子 末黒野 201502
あたたかき師走賜へり君逝きて 大坪景章 万象 201502
新しき十八階やあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201503
降られても恵みの雨よあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201503
月凍てて生あたたかき犬の舌 笹村恵美子 201503
人声の耳に触るるはあたたかし 福田周草 風土 201503
日本一の不動明王あたたかし 工藤はるみ 風土 201503
受け答へ荒き蜑路地あたたかし 松井志津子 201504
あたたかや靴の散らばる珠算塾 山内碧 201504
とんとんと紙嵩揃へあたたかし 能村研三 201504
ひざまづく仏のお膝あたたかし 荒井書子 馬醉木 201504
円空仏の荒き鑿あとあたたかし 松山三千江 春燈 201505
名刺にある半農半漁あたたかし 楠原幹子 201505
針に糸すぐに通りてあたたかし 高倉和子 201505
ばらばらに見つかる耳輪あたたかし 高橋道子 201505
百灯に百仏の影あたたかし 熊川暁子 201506
あたたかや釈迦尊像の にな ひの掌(て) 神蔵器 風土 201506
城松の亀甲に雨あたたかし 生田作 風土 201506
児に蹤いて鳩の歩くよあたたかし 生田恵美子 風土 201506
毎日をていねいに生きあたたかし 大文字孝一 春燈 201506
あたたかや花舗に花選る女達 中嶋昌子 春燈 201506
知りし名の千社札ありあたたかく 定梶じょう あを 201506
あたたかや路地奥にゐるコック帽 能村研三 201506
問答の医師の頷きあたたかし 小林昌子 馬醉木 201507
少年の魚籠に一匹あたたかし 宮内とし子 201507
子規看取る律の一語のあたたかし 塩野谷慎吾 201507
あたたかや郵便受けに石の臼 神蔵器 風土 201507
ふるさとに砂丘がありてあたたかし 小林愛子 万象 201507
後押しの風あたたかや女坂 白神知恵子 女坂 201508
ただ一人乗せて渡船のあたたかし 橋本知笑 201508
あたたかや全身丸き鳩サブレー 吉田葎 201508
側面にひらがなの名やあたたかし 篠藤千佳子 201510
あたたかき家路となりぬ邂逅も 稲畑汀子 ホトトギス 201603
旅共にせしを語らんあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201603
手放しで安心出来ぬあたたかさ 稲畑汀子 ホトトギス 201603
あたたかき色を選べば自ら 稲畑汀子 ホトトギス 201603
ふと悼む心よせめてあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201603
奇蹟とも思ふ回復あたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201604
あたたかや身に戻りきしリズム感 松本幹雄 馬醉木 201605
たぶの木の瘤に目鼻やあたたかし 楠原幹子 201605
着席の合図ひと声あたたかし 篠藤千佳子 201605
蜑路地はかうもりの幅あたたかし 荒井千佐代 201605
あたたかねと二階から声落ちてくる 高橋道子 201605
あたたかや渚の駅の薄曇 高田令子 201605
納骨の面影今もあたたかし 安立公彦 春燈 201605
あたたかや生くるすべなる鯉の口 廣瀬克子 春燈 201605
優先席ゆづりゆづられあたたかし 杉本光祥 201606
あたたかし欠伸連鎖の午後の句座 峰崎成規 201606
白湯のごと沁みるひと言あたたかし 小林陽子 201606
友禅の手描きの穂先あたたかし 山崎靖子 201606
あたたかや水彩絵具よく滲む 青谷小枝 やぶれ傘 201606
禅寺の朝の講話やあたたかし 岡田史女 末黒野 201606
聞くのみに彼のひとと知るあたたかし 太田昌子 馬醉木 201606
存問といふあたたかきことのあり 岩岡中正 ホトトギス 201607
復刻の和綴ぢの一書あたたかし 田村園子 201607
あたたかや傾聴といふボランティア 坂本徹 201607
あたたかや疎開せし寺そのままに 竹内喜代子 雨月 201607
あたたかや昨日に勝る鳥の声 山田夏子 雨月 201607
あたたかや村入口に道祖神 鈴木庸子 風土 201607
所狭しと本置く机あたたかし 角野良生 201608
白湯のごと沁みるひと言あたたかし 小林陽子 201701
未生流ですねん足湯あたたかに 中原幸子 船団 201701
しんがりの一人が揃ひあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201702

 「あらうみ」九百号祝句

あらうみの祝ぎの船出のあたたかし

稲畑汀子 ホトトギス 201702
皺の手の魔法の力あたたかし 井上静子 201702
あたたかき心集へば晴れし朝 稲畑汀子 ホトトギス 201704
この晴はさづかりしものあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201704
あたたかき会の余韻を語らばや 稲畑汀子 ホトトギス 201704
あたたかきことがせめてと地震の地に 稲畑汀子 ホトトギス 201704
道たづね宇陀の村人あたたかし 城戸ひろみ 雨月 201704
人間が居るゆゑ山河あたたかし 高橋将夫 201705
つめ合うて水上バスのあたたかし 足立良雄 201705
手の窪に丸薬幾種あたたかし 佐藤澄世 馬醉木 201705
あたたかし木組み確かな灯明台 能村研三 201705
あたたかやベンチひとつが吾が陣地 頓所友枝 201705
レコードの揺らぎの中のあたたかさ 江島照美 201706
踏んでゐる土がふるさとあたたかし 岩岡中正 ホトトギス 201707
あたたかや口より入る三分粥 三輪温子 雨月 201707
あたたかや御祭神にも系図あり 荻巣純子 雨月 201707
あたたかな音のでんでん太鼓かな 高橋将夫 201707
あたたかや長者原てふ駅の名も 曽根富久恵 201706
あたたかや又ほどけたる靴の紐 木村梨花 春燈 201707
あたたかや力士は神の土まみれ 古賀しぐれ ホトトギス 201708
あたたかや石にも禅の心あり 和田華凛 ホトトギス 201708
犬釘のいびつな頭あたたかし 松尾龍之介 201707
ままごとに犬も座りてあたたかし 高倉和子 201708
いそしんでゐてあたたかと思ひけり 岩岡中正 ホトトギス 201709
なつかしき会話偲びてあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201803
考への立ち止りつつあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201803
あたたかくなればなればと祈ること 稲畑汀子 ホトトギス 201803
大都市の真ん中にゐてあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201803
あたたかき笑顔次々席に着く 稲畑汀子 ホトトギス 201803
この辺りよく通る道あたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201803
車椅子同士ぶつかり冬あたたか 梅村すみを 201803
冬あたたか駅舎に馴染む木のベンチ 大川ゆかり 201803
探鳥の筆談ノート冬あたたか 大沢美智子 201803
良平の心優しや冬あたたか 大橋晄 雨月 201804
冬あたたか情溢るる句碑二つ 大橋晄 雨月 201804
北欧の木目時計やあたたかし 能村研三 201804
森は語り部朽葉の嵩のあたたかし 大沢美智子 201804
あたたかや枝の山鳩相寄りて 布施政子 馬醉木 201805
あたたかにハンカチ一枚だけ干さる 定梶じょう あを 201805
祝儀の辞下手であたたかなれば聴く 定梶じょう あを 201805
あたたかや笑顔拍手で迎へ呉れ 本田保 春燈 201807
みどり児の寝顔泣き顔あたたかし 今橋眞理子 ホトトギス 201808
あたたかや襁褓はづせば子の逃ぐる 今井康子 201808
あたたかやおしろい塗らるる辻仏 えとう樹里 201808
老僧の小さな欠伸あたたかし 角野良生 201809
父の日やあたたかなりし父の膝 田中藤穂 あを 201808
あたたかしポストの口よ敬老日 古本もね 京鹿子 201901
あたたかき十一月の廻り道 中島和子 やぶれ傘 201902
あたたかき神農さんとなりゐたり 加藤みき 201902
一力の位ある赤壁冬あたたか 宮内とし子 201902
山ふたつほどよく離れ冬あたたか 岡部玄治 201903
あたたか→6      

 

2021年3月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。