あたたか 4     107句

あたたかきドアの出入りとなりにけり   久保田万太郎

あたたか 暖か 春暖 ぬくし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
華清池の奥の日だまりあたたかし 工藤はるみ 風土 201003
介護士の爪切る音やあたたかき 大谷信子 201004
いつまでも死なむ指切りあたたかし 松岡和子 201004
より深く知る星のことあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201004
あたたかや土が湯気噴く古墳群 辻美奈子 201004
あたたかし泥湧きたたす鴨の嘴 永田二三子 酸漿 201004
あたたかいコロッケいっぱい作ったよ 塩路彩奈 201005
樅の名に太郎と次郎あたたかし 箕輪カオル 201005
あたたかや凭れて丸き太柱 佐藤信子 春燈 201005
わがままの数だけ老いてあたたかし 柴田佐知子 201005
母と同じ爪の形もあたたかし 高倉和子 201005
あたたかや酒呑童子の湯に浸り 塩路隆子 201006
浅草の女将だみごゑあたたかし 山本無蓋 201006
折れかけの枝折り取ればあたたかし 村戸弥生 万象 201006
あたたかや雨後の畑の土返し 白石正躬 やぶれ傘 201006
光背にひしめく十指あたたかし 秋葉貞子 やぶれ傘 201006
天明や体操の指あたたかし 加藤みき 201006
黒光る大国天のあたたかし 近藤きくえ 201006
相席の嬰の喃語やあたたかし 和田森早苗 201006
あたたかや伏して主待つ盲導犬 峰幸子 201006
あたたかな雨に打たるる一人の日 竹内慶子 春燈 201006
あたたかし人の心も野の風も 高橋照子 雨月 201006
お蔭さまですを心にあたたかし 井田実代子 雨月 201006
孫曾孫囲む墓参のあたたかし 石川元子 酸漿 201006
鉈彫のあたたかきかな菩薩像 神谷さうび 末黒野 201007
あたたかや等伯展め猿猴図 石脇みはる 201007
あたたかや地球に触るる掌 根岸善行 風土 201007
古田上の武骨なる山あたたかし 小野すみ子 風土 201007
あたたかや蛇籠の網目水にゆれ 根橋宏次 やぶれ傘 201007
バス停のトタンの壁に日あたたか 藤井美晴 やぶれ傘 201007
甘党の先師思へばあたたかし 楠原幹子 201007
守護神の御目も語感もあたたかし 望月晴美 201007
あたたかし割りてたまごに黄身ふたつ 井原美鳥 201007
訪ふたびに母はちひさくあたたかく 後藤那生 ろんど 201007
等伯展観ての団欒あたたかし 泉田秋硯 201007
あたたかく手渡すものに引継書 成田美代 201007
秘仏より糸つながれりあたたかし 服部早苗 201007
びんづるのかほすりへつてあたたかし 澤辺たけし 万象 201007
網針が縢りあたたか目の出来く 定梶じょう あを 201007
能登言葉親しと句碑のあたたかく 藤浦昭代 ホトトギス 201008
あたたかや筆を馴らすに書くいろは 伊藤妙 201008
継ぎあたる父の着物やあたたかし 大地真理 201008
伎藝天御背の影のあたたかや 井上あき子 ぐろっけ 201010
祝福の師の掌大きくあたたかし 小澤利子 201101
かかる齟齬にも対処してあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201102
今日のこと今日片付けてあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 201103
ひと言に心ゆるべりあたたかき 清水侑久子 201106
病窓より真向ふ比叡あたたかし 八田マサ子 馬醉木 201106
実篤のことば掲げてあたたかし 苑実耶 201106
曲線の多い落書あたたかし 高橋将夫 201106
くり返す暮らしの匂あたたかし 中野京子 201106
文士村ひとりは先師あたたかし 藤原照子 201106
田端とふ先師の生地あたたかし 石川笙児 201106
老人の乗合通院あたたかし 長岡千波 201106
久々の師の在す句座やあたたかし 片岡良子 雨月 201106
あたたかや仏母を祀る寺とこそ 田中春子 雨月 201106
あたたかや草木も人も輝けり 八木紀子 ぐろっけ 201106
節電の居酒屋にゐてあたたかし 相良牧人 201107
あたたかや社務所に並ぶ守り札 松本三千夫 末黒野 201107
励しの電話に涙あたたかし 菅野蒔子 末黒野 201107
手紙書く肩にインコやあたたかし 戸田澄子 末黒野 201107
丸き背や一衣一鉢あたたかし 山下朝香 春燈 201107
うとうとと薬の効いてあたたかし 菅谷たけし 201107
あたたかや入場を待つパイプ椅子 蘭定かず子 火星 201107
聞き直しやはり聴こえずあたたかし 神谷耕輔 201108
あたたかや父へ昼餉をとり分くる 坂場章子 201108
あたたかやアネルセンの手とりたれば 佐藤美紀 ろんど 201108
米寿とは長寿の証あたたかし 佐藤淑子 雨月 201109
あたたかや胸の高さに善財童子 雨宮桂子 風土 201111
あたたかや関西人と判るわり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
餌を貰ふ乳牛の目のあたたかし 井口ふみ緒 風土 201203
あたたかし餌の餌飼ふ養魚場 細野恵久 ぐろっけ 201203
羊皮紙の彩色海図あたたかし 細川洋子 201204
生姜湯を飲むや胃の腑のあたたかき 小梁洋子 万象 201204
あたたかや阿蘇のうねりに牛消えて 柴田佐知子 201205
あたたかや鶏押し退けて卵取る 苑実耶 201205
肩ぽんと叩かれてゐてあたたかし 篠原幸子 春燈 201205
あたたかや親子乗り合ふ人力車 岡野ひろ子 201205
夫癒えて静けき寝息あたたかし 山口貴美子 雨月 201205
あたたかし握り合ふ師のたなごころ 新保ふじ子 万象 201205
あたたかしあかごにアインシュタインのべろ 佐藤喜孝 あを 201205
あたたかや難波に多し喫茶店 高橋道子 201205
渾身の鯉の跳躍あたたかし 田村園子 201205
笑みをもてつまづく英語あたたかし 江澤弘子 201205
肉筆の志功が天女あたたかし 森田尚宏 201205
茶碗ほどのぐい呑み出来てあたたかし 根橋宏次 やぶれ傘 201205
あたたかや電話のむかう側見えて 近藤牧男 六月 201206
あたたかやエレベーターに三つ子載せ 中川すみ子 201206
あたたかや歳問へばまだ米寿だと 長憲一 201206
あたたかや大和ことばに応へられ 藤原照子 201206
トイレにも神様が居てあたたかし 史あかり ぐろっけ 201206
あたたかや昭和のままの荒物屋 松井洋子 ぐろっけ 201206
あたたかや旬といふもの身ほとりに 佐藤美紀 ろんど 201206
紅秘むる桜皮かにわ細工やあたたかし 岡野里子 末黒野 201206
御簾を透く社の明かりあたたかし 岡野里子 末黒野 201206
銭洗ふ風より水のあたたかし 川村亘子 末黒野 201206
土牢を覗けば意外あたたかし 田村加代 末黒野 201206
沐浴の赤子の蹴りもあたたかし 加藤峰子 201207
あたたかや獣らはみな尾を持ちて 荒井千佐代 201207
輕石に吊す穴ありあたたかし 西田孝 ろんど 201207
患者の絵飾る回廊あたたかし 志方章子 六花 201207
礼状のやはらかき和紙あたたかし 池田華甲 201208
鈴蘭や母の懐あたたかし 江見巌 六花 201208
癒ゆるてふ未来なき掌のあたたかし 頓所友枝 冬の金魚 201209
あたたかや複写重ねて太る文字 林昭太郎 あまねく 201210
あたたかや尺貫法に換算し 原友子 201302
あたたかき日よあと戻りあと戻り 稲畑汀子 ホトトギス 201303
あたたか→ 5      

 

2021年3月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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