あたたか 3     117句

あたたかに白壁ならぶ入江かな    子規

あたたか 暖か 春暖 ぬくし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木と糸をつなぎし遊びあたたかし 清水晃子 遠嶺 200607
あたたかや蹠てのひらふたつづつ 柴田佐知子 200607
川なりに歩みて大地あたたかし 清水裕子 200607
餡パンが出てあたたかな句会かな 岩岡中正 ホトトギス 200608
虚子百句語り来し日々あたたかし 長山あや ホトトギス 200609
婿といふ息子がをりてあたたかし 岩岡中正 ホトトギス 200610
野辺のもの旅に満たしてあたたかし 前田貴美子 万象 200610
惜命の稿の朱筆やあたたかし 林いづみ 風土 200611
川なりに歩みて大地あたたかし 清水裕子 200702
足さすりくれし吾子の手あたたかし 桑田青虎 ホトトギス 200703
ふるさとを思うてをればあたたかし 永嶋みね子 火星 200703
残る日や手を入れて米あたたかし 竹貫示虹 京鹿子 200703
声出してみればあたたか一人の夜 高倉和子 200703
絵付する素焼の肌のあたたかし 松崎鉄之介 200704
あたたかや問診の医師前屈み 青山悠 200704
今はむかしチッキに木札あたたかし 定梶じょう あを 200704
無理するな楽をするなとあたたかし 津野朝子 馬醉木 200705
あたたかや藻の屑浮きし忘れ潮 横田初美 春燈 200705
あたたかや魚の腹から小魚出て 百瀬七生子 海光 200705
埴輪見てきて鉄棒のあたたかし 百瀬七生子 海光 200705
山やまに呱々の声ありあたたかし 百瀬七生子 海光 200705
文士らの直筆の稿あたたかし 石橋萬里 ぐろっけ 200705
あたたかや料理上手の友ありて 谷寿枝 酸漿 200705
安万侶の書きし古事記のあたたかし 松崎鉄之介 200706
赤絵陶器の十六羅漢あたたかし 稲垣光子 200706
あたたかや少年席をゆづり呉れ 出口賀律子 雨月 200706
へうたんを買ひて鎌倉あたたかし 八木下巌 200706
酔つてゐる牧水の字のあたたかし 服部早苗 200707
あたたかや墓地より望む白き船 池崎るり子 六花 200707
あたたかや祖父書き上げし紀行文 小林奈穂 200708
病室に家族来たりてあたたかし 高倉恵美子 200708
籠る身に旅の誘ひのあたたかし 桑田永子 ホトトギス 200709
干潟かなポテトスープのあたたかさ 矢野千佳子 京鹿子 200709
経あたたか源氏平氏の隔て無く 堀井英子 雨月 200709
今日寒くあしたあさつてあたたかし 堀内一郎 あを 200712
口元にスープの湯気のあたたかし 福地初江 200801
訛りあるナースの言葉あたたかし 峰尾秀之 200802
梟に見えゐて真闇あたたかし 工藤義夫 馬醉木 200803
小学校の椅子の低さもあたたかし 高倉和子 200803
あたたかや竹でつぱうの試し打ち 内山花葉 200803
あたたかや竜宮城の亀の役 鷹羽狩行 200804
採血のうまき看護師あたたかし 二村蘭秋 雨月 200804
蕎麦掻は夫の一芸あたたかし 勝見玲子 200804
若きらの献血の列あたたかき 岡佳代子 200805
広縁のほほけ畳のあたたかし 飛鳥由紀 200805
西行の真筆に会ふあたたかし 神蔵器 風土 200805
あたたかき色のスカーフ胸にあり 斉藤小夜 風土 200805
あたたかし牛も羊も声伸ばし 西村梛子 馬醉木 200805
くろぐろと子犬の瞳あたたかし 緑川啓子 馬醉木 200805
あたたかや時の素通り許しをり 近藤喜子 200805
あたたかやビタミンEの琥珀色 塩路隆子 200806
あたたかき月をあげたる良寛忌 小坂灯村 馬醉木 200806
あたたかや子の描く月は目鼻持ち 畑絹枝 馬醉木 200806
4Bで母と筆談あたたかし 赤木亜華里 200806
瓦斯燈に星の生まれてあたたかし 川口襄 遠嶺 200806
あたたかや永年座る計量器 星井千恵子 遠嶺 200806
千切り絵の太陽に顔あたたかし 掛井広通 200806
雑木山芽吹きの色のあたたかし 羽賀恭子 200806
各駅に標高表示あたたかし 大橋晄 雨月 200806
あたたかや天下の瞼を登り来て 大橋晄 雨月 200806
あたたかや祝がるに薔薇を五十本 西村しげ子 雨月 200806
梅の村称ふる校歌あたたかし 三輪温子 雨月 200806
あたたかや小石一つが波つくり 藤岡紫水 京鹿子 200806
あたたかや文士の古き相関図 篠田純子 あを 200806
歪みつつ伸ぶる旧道あたたかし 柴田佐知子 200806
あたたかく吾を見守りゐる遺影 西澤さち女 ホトトギス 200807
あたたかや水飴は糸引きやまず 八染藍子 200807
煩悩の数の旅路やあたたかし 島玲子 風土 200807
晩年のちちを思へばあたたかし 荒井千佐代 200807
首筋を風にさらしてあたたかし 吉田陽代 200807
南極の石あたたかし姫女苑 大坪景章 万象 200808
花鳥園にひと日誘はれあたたかし 福盛悦子 雨月 200808
あたたかや阿弥陀堂より人のこゑ 岩岡中正 ホトトギス 200809
切株にあたたかな夜おりてくる 火箱游歩 船団 200809
先生の手紙行間あたたかし 大槻右城 ホトトギス 200812
あたたかや絵双紙の色いたく褪せ 片山博介 春燈 200812
御用邸冬あたたかき海を抱き 稲畑汀子 ホトトギス 200901

 宮坂冬郎君の結婚を祝ひて

土偶の尻掌にして重くあたたかに

瀧春一 深林 200901
もう癒えぬ夫の掌あたたかき 助口弘子 火星 200902
旅増えてゆけることにもあたたかし 稲畑汀子 ホトトギス 200903
左手に書かれし師の字あたたかし 村上絢子 馬醉木 200903
休日出勤コピー機のあたたかし 飯塚恵美子 炎環 200903
あたたかや無口な人のそばにゐて 小倉陶女 春燈 200903
山寺の大きな鐘もあたたかし 高倉和子 200903
手術屋と自称の主治医あたたかし 坂上香菜 200904
あたたかき勇魚の海に出でにけり 小形さとる 200904
あたたかや乳歯にもある糸切歯 林昭太郎 200904
あたたかや妊婦の腹にこゑかけて 樋口みのぶ 200904
あたたかし残り湯を吸ふ洗濯機 吉沢陽子 200905
一冊の思はぬ本買ひあたたかし 壬生きりん 炎環 200905
あたたかや膝に散らして紅絹の屑 太田陽子 200905
病む人にあたたかき灯のひとつづつ 橋本榮治 馬酔木 200905
あたたかや光となりて鳥が飛ぶ 石田邦子 遠嶺 200905
生きるとは影のあることあたたかし 本多俊子 200905
白鳳仏の倚像ふたたびあたたかし 井口ふみ緒 風土 200905
あたたかや匠伝への菓子木型 能村研三 200905
鳥の群かぞへ偶数あたたかし 小林朱夏 200905
本堂に四角く座りあたたかし 城孝子 火星 200905
あたたかや歩み励ます水の音 井上春子 春燈 200905
あたたかや親しきものを詠ひつぎ 木村傘休 春燈 200905
浦島の絵巻解く宮あたたかし 山口キミコ 200906
あたたかや少年ふたり池覗く 一ノ木文子 炎環 200906
あたたかや切つて木の香に包まるる 根岸善行 風土 200906
祝宴の末席にゐてあたたかし 矢口笑子 春燈 200906
円空仏の里に立ち寄りあたたかし 大井彌雨 雨月 200906
ニコライ堂秘めたる闇のあたたかし 平野伸子 馬醉木 200907
思ひ出はあたたかきことのみならず 今井千鶴子 ホトトギス 200907
あたたかや郷土の老樹見にゆかな 木下もと子 200907
あたたかや納屋に蚕棚と父の椅子 近藤敏子 200907
ひとり来し父祖の山墓あたたかし 城孝子 火星 200907
あたたかや金の成る木に花満ちて KOKIA 六花 200907
小物屋のはにかむ媼あたたかし 箕輪カオル 200908
古書店の主は若者あたたかし 武政礼子 雨月 200908
あかんたれ洟垂れへたれあたたかし 火箱游歩 船団 200909
点滴の父の手今日のあたたかし 小嶋洋子 泡の音色 200912
一天を統べ温顔のあたたかき 伊藤敬子 201001
日当りて障子の桟のあたたかし 海村禮子 春燈 201002
あたたか →4      

 

2021年3月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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