新走(あらばしり)     204句

新走り人ごとならぬ傘寿かな  三宅郷子  ザ・俳句

新酒 今年酒  新走

作品
作者
掲載誌
掲載年月
新走り酌むに男を借りて来る
林朋子
船団
199902
出棺の酒仙に注ぐ新走り
藤田鴎山
ぐろっけ
199902
増築し杜氏が署名の新走り
品川鈴子
ぐろっけ
199910
新走り月の汀に出でゐたり
岡井省二
199911
創業は寛政五年あらばしり
岬雪夫
199911
ひんがしに校倉二つ新走
平橋昌子
199912
新走り急ぐことなき雨脚と
中原道夫
銀化
199912
新走り鬼剣舞へ奉る
川村杳平
200001
次の間に玉兎はこびぬ新走り
水内慶太
銀化
200001
心の扉次々開き新走
華明日香
銀化
200011
とくとくととなるとのものあらばしり
竹村悦子
銀化
200011
神よりの水とぞ守りて新走
竹内喜代子
雨月
200102
堅田駅降りてよりの香新走
稲畑廣太郎
ホトトギス
200103
われらみなハナハトマメマス新走り
中尾杏子
船団
200103
一盞は天領の地の新走り
能村研三
200112
新走門外不出てふ香り
若江千萱
雨月
200112
いまだ予後ひと口だけの新走り
田所節子
200112
その名「鶴齢」新走り届きけり
野口光江
遠嶺
200201
奈良なれや菊の香のする新走
後藤比奈夫
円虹
200202
「國酒」の揮毫掲げて新走り
武田ともこ
ぐろっけ
200202
杉玉の杉あをあをと新走り
荒川香代
200203
大西洋甲板で酌む新走り
品川鈴子
ぐろっけ
200207
先代の暖簾の威厳新走り
永井一枝
200212
手びねりの器でこぼこ新走り
土田芳月
遠嶺
200212
モニターに応募者ばかり新走
泉田秋硯
200301
新走蔵には老いし杜氏ゐて
高橋照子
雨月
200301
新走十二代目の杜氏若き
稲畑廣太郎
ホトトギス
200310
香り聞くてふ言葉あり新走
稲畑廣太郎
ホトトギス
200310
杜氏の目ここが真剣新走
稲畑廣太郎
ホトトギス
200310
音立てて雨が海打つ新走り
今瀬剛一
対岸
200310
新走り飲屋の猪口の変はりけり
大串章
百鳥
200311
差入れは風の盆てふ新走り
山口マサエ
雲の峰
200312
眼が二つ映りてゐたり新走り
今瀬剛一
対岸
200312
蔵めぐり主自慢の新走り
田中敬
200401
山頭火の墓に二本の新走り
笠井育子
200401
はらからに注ぐ順のあり新走
岡和絵
火星
200401
朴葉みそほどよく焼けて新走り
淵脇護
河鹿
200402
古稀迎ふ夫としみじみ新走り
大久保恵美子
遠嶺
200402
男らの桟敷占めをり新走り
栗原梅子
対岸
200410
沢庵を奥歯で千切り新走り
土肥屯蕪里
雲の峰
200411
黒髪の豊かな巫女や新走
芝尚子
あを
200411
辻切りの大蛇に飲ます新走り
大山春江
万象
200503
柿田川湧水に寄り新走
目黒慧
遠嶺
200505
生きてゐる不思議さておき新走り
上野泰子
対岸
200511
新走赴任の子より届きけり
後藤茂
百鳥
200511
ぐい飲みは九谷が宜し新走り
安田とし子
ぐろっけ
200512
古びたる妻籠の宿の新走
塩川滋也
築港
200512
夫在らば苞にしものを新走り
一民江
馬醉木
200601
無き筈の腑に沁みわたる新走り
杉本重雄
200601
口中に秘伝のまろみ新走り
中村翠湖
馬醉木
200602
魯山人の徳利もて酌む新走
山本喜朗
雨月
200602
一人酌む傘壽の姉や新走り
小阪喜美子
二輪草
200606
献盃は朱色の月に新走り
愛澤豊嗣
馬醉木
200611
猫の目のやうなをんなの新走
小林正史
200612
下戸ながら二杯を越の新走り
品川鈴子
ぐろっけ
200612
酒販機に齢を告げて新走
杉本重雄
200701
モーツアルトの醸す味とや新走
石岡祐子
200701
別所氏を助けし商の新走
土屋利之
ぐろっけ
200701
モニターの指名快諾新走り
泉田秋硯
200702
桂郎忌味見の盃の新走り
橋添やよひ
風土
200702
あをあをと関東平野新走り
佐々木幸
200702
酒断つにそぞろ押し寄す新走り
中野英歩
八千草
200708
新走供へ忌明けの席となる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200710
てんご言うたら新走やらへんで
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
三味線を置き新走り召せと言ふ
岡野イネ子
春燈
200711
日本語のファド聴く夜の新走り
小澤克己
遠嶺
200711
新走りの酒場(バー)に漢ら肩閊え
品川鈴子
ぐろっけ
200711
新走り高麗王の銘貼られたり
酒本八重
200711
てのひらの四角でありぬ新走
佐藤喜孝
あを
200711
外孫より卒寿祝ひの新走り
仲安俊雄
200712
「新走り入りました」と大書あり
柳生千枝子
火星
200712
けものらの闇音もなし新走り
浜口高子
火星
200712
新走り人を笑ませる蔵の町
黒澤登美枝
200801
母の忌の母に一献新走
杉浦典子
火星
200801
新走り四股名の如く並びをり
森岡正作
200801
客人と杯を鳴らして新走
泉田秋硯
200802
金箔のゆらりと沈む新走り
前川由美子
200802
新走り翫摺唄は五人衆
松村紀久男
ぐろっけ
200802
老いてなほ五勺の歓や新走り
土屋啓
馬醉木
200803
無造作に酌してくれぬ新走り
柳生千枝子
火星
200808
奉納の天の戸といふ新走り
山形悦子
万象
200810
辛口の夫に一献新走り
松田とよ子
200812
新走男の浪漫肴にす
神崎あい
遠嶺
200812
新走り舌の平たくなりにけり
戸田和子
200901
酒槽の押蓋重し新走り
小林成子
200902
なにはさておつとつとつと新走
延広禎一
200902
新走り得て銀髭の破顔かな
小山徳夫
遠嶺
200902
古九谷の徳利あふるる新走り
杉本絢之助
万象
200902
何はさてミューズに捧ぐ新走り
相良牧人
200902
鍋底に魚の煮くづれ新走り
天野美登里
やぶれ傘
200901
俗名にまさる戒名新走り
加茂達彌
200908
ベルトサイン消え天空の新走
秋葉雅治
200909
泊雲と虚子の縁や新走
稲畑廣太郎
ホトトギス
200910
味わかる舌は我がもの新走り
山仲英子
200910
かつぽ酒青き味する新走り
木村公子
花貝母
200911
俳論の潔く飛ぶ新走り
田原陽子
200912
もう一献いや止しておく新走
田中貞雄
ろんど
200912
新走り板谷波山のうすきいろ
吉弘恭子
あを
200912
新走りのその名は「翁」伊賀の旅
臼杵游児
春燈
201001
けふもまた今日に乾杯新走
佐山五稜
風土
201001
新走り胃の腑ゆるりとかけめぐる
吉弘恭子
あを
201001
新走愚陀佛庵の仲間たち
赤木和代
201001
断酒後の未練の横目新走り
辰巳比呂史
201002
まなかひに熊野の潮新走
山田禮子
遠嶺
201002
もつ煮込む音を間近に新走り
齋藤博
やぶれ傘
201002
新走われ酔つ払ひにて候
有吉桜雲
201003
躍る泡もろとも汲まれ新走
立村霜衣
ホトトギス
201004
忌の膳や遺影の前の新走り
石田きよし
201012
二上山に入る日真つ赤や新走り
山田春生
万象
201012
ひと口を馬上杯より新走り
塩路隆子
201101
金継ぎの盃になみなみ新走
松本文一郎
六花
201101
新走り三和土の隅に火消壼
宮沢治子
春燈
201102
新走の表面張力啜りたる
久染康子
201102
蔵元やふくみて薫る新走
小川玉泉
末黒野
201102
酒蔵の梁の煤けや新走
外山生子
末黒野
201102
新走り定席の友天に帰す
野口喜久子
ぐろっけ
201102
新走夫婦茶碗へ注ぎ合へり
松本文一郎
六花
201104
新走り三和土の隅に火消壺 宮沢治子 春燈 201102
新走の表面張力啜りたる 久染康子 201102
蔵元やふくみて薫る新走 小川玉泉 末黒野 201102
酒蔵の梁の煤けや新走 外山生子 末黒野 201102
新走り定席の友天に帰す 野口喜久子 ぐろっけ 201102
新走夫婦茶碗へ注ぎ合へり 松本文一郎 六花 201104
新走り若き主宰の誕生す 水原春郎 馬醉木 201112
塩盃に「赤穂浪士」の新走 田下宮子 201201
ぐい呑みは夫の形見新走り 岡野ひろ子 201201
新走りタッチパネルで寿し注文 福田かよ子 ぐろっけ 201201
杉玉の新走なり試飲せむ 東秋茄子 京鹿子 201201
門に立つ助役の揉み手新走 高松由利子 火星 201201
山姥に新走かと問うて見る 池田華甲 201202
人間が丸くなつたと新走 宮内とし子 201202
人と言ふ支へに生きて新走り 鈴木一三 末黒野 201203
新走きしみ聞こえる喜寿の坂 岡山敦子 京鹿子 201203
青竹の盃なみなみと新走 岡崎伸 遠眼鏡 201203
旅に読む河北新報新走り 岩永はるみ 白雨 201203
すこしだけ少しだけよと新走 前田恵美子 青鷹 201210
米どころ銘「潟舟」の新走り 田下宮子 201211
米どころ銘「潟舟(かたふね)」の新走 田下宮子 201211
蝦蟇の棲む山懐や新走り 萩庭一幹 馬醉木 201211
親族の皆集まりし新走 石脇みはる 201211
新走り手向く鬼貫親子塚 藤田かもめ ぐろっけ 201212
訛解く飛騨には飛騨の新走 森岡正作 201212
新走りその名の山も愛しけり 藤原照子 201212
新走漢すつきり自説曲げ 藤沢秀永 201212
旅は佳しのどにしみ入る新走 小林はじめ 六花 201212
柄に合はぬ溜息つきて新走り 石田きよし 201301
柄に合はぬ溜息つきて新走り 石田きよし 201301
新走りまづ師の墓に献じけり 山田春生 万象 201301
柄に合はぬ溜息つきて新走り 石田きよし 201301
外人も並びて試飲新走り 福田かよ子 ぐろっけ 201302
満願や高野に祝ふ新走り 福島吉美 万象 201302
歯石取り終へたる日なり新走 田中貞雄 ろんど 201302
飲み干せし猪口の蛇の目や新走 山田六甲 六花 201310
新走りこゑを潰せし女かな 加藤みき 201311
もう少しと父の所望の新走り 奥山テル子 万象 201311
口寄せて信濃を啜る新走 神戸やすを 201312
先づ香り味はふ仕草新走り 鈴木阿久 201312
小半刻雨宿りせむ新走 阪本哲弘 201312
みなどこか恙のありて新走り 田所節子 201312
杉玉の青き居酒屋新走り 長谷川歌子 春燈 201401
亡き父へ先づ酌ませたき新走 小倉正穂 末黒野 201401
コルク栓きりきりと抜く新走り 井上あき子 ぐろっけ 201401
信楽の狸迎へる新走り 三木千代 201402
旅半ば夫へ送らむ新走 岩崎可代子 ぐろっけ 201402
北国街道「七本鎗」てふ新走り 久保久子 湖心 201402
小鼓と名付けしは虚子新走 池田かよ ぐろっけ 201403
新走り一気に呑みて験直し 能村研三 201411
伝説は自らつくれ新走 広渡敬雄 201411
新走り丹波小鼓酌み交はす 西田史郎 201412
成田屋を観てきし夜の新走り 山尾玉藻 火星 201412
三人の舎弟白髪新走り 田原陽子 201412
新走り下戸は言葉に酔ひにけり 吉田政江 201501
ぐい呑の表面張力新走 鎌田篤 雨月 201501
ぐい呑みの並べてありし新走り 中道愛子 201501
角打ちの馴染みの客と新走り 田中貞雄 ろんど 201501
能面はわづか口開く新走 箕輪カオル 201501
父の忌や墓に掛けたる新走 波多野孝枝 末黒野 201502
馥郁とあり枡の香と新走り 竹田ひろ子 ろんど 201502
思はざる客来る夜の新走り 小池一司 やぶれ傘 201502
蔵元の墓誌の享保新走り 藤原照子 201512
星空の父と一献あらばしり 今田清三 馬醉木 201512
新走り酌みて白寿を言祝げり 工藤義夫 馬醉木 201601
土器を押し頂くよに新走り 佐藤恭子 あを 201601
窓明り乗せて戴く新走 上野進 春燈 201601
新走光のごとく注がるる 藤井啓子 ホトトギス 201602
大盃にぴたりと注がれ新走 三村純也 ホトトギス 201602
反論をひとまづ控へ新走り 白水良子 201602
新走り下戸も上戸も祝ひ膳 三橋玲子 末黒野 201602
コンサート跳ねて友との新走り 萩原渓人 やぶれ傘 201604
会ふだけのひと日豊かに新走り 大上充子 馬醉木 201610
ぐい呑みは備前と決めて新走 峰崎成規 201611
むこ殿へ丹波杜氏の新走 山田六甲 六花 201612
放言もいとはぬ檀徒新走り 山崎靖子 201612
奉納と墨痕太く新走 佐藤信子 春燈 201612
手捻りの猪口をめづるや新走 綱徳女 春燈 201701
新走り健康寿命てふ脅し 石田きよし 201701
閂の太き門より新走り 内海良太 万象 201701
新走り夫はいまでも一本気 小川田鶴子 馬醉木 201702
賞状のならぶ鴨居や新走り 森清堯 末黒野 201702
一合に酔ひて饒舌新走り 菅野日出子 末黒野 201702
新走り沁むる地の味地の心 鍋島武彦 末黒野 201702
叱られてなほ頼られて新走り コ田千鶴子 馬醉木 201710
極道の墓に供ふる新走 水谷靖 雨月 201711
新走桐生君に乾杯! 波戸辺のばら 201712
表札を屋号で徹す新走り 五十畑悦雄 201712
蔵元に「べこ」が首振る新走り 岡真紗子 201801
新走りさては品川女郎衆かな 中島陽華 201801
欣一忌近くなりしよ新走り 山田春生 万象 201801
盛切の粋な飲み振り新走り 小林文良 春燈 201801
ふるさとの香りを飲めり新走り 太田良一 末黒野 201802
十七文字と内縁関係新走り 木戸渥子 京鹿子 201802
賞状のならぶ鴨居や新走り 森清堯 末黒野 201702
一合に酔ひて饒舌新走り 菅野日出子 末黒野 201702
新走り沁むる地の味地の心 鍋島武彦 末黒野 201702
叱られてなほ頼られて新走り コ田千鶴子 馬醉木 201710
極道の墓に供ふる新走 水谷靖 雨月 201711
新走桐生君に乾杯! 波戸辺のばら 201712
表札を屋号で徹す新走り 五十畑悦雄 201712
蔵元に「べこ」が首振る新走り 岡真紗子 201801
新走りさては品川女郎衆かな 中島陽華 201801
欣一忌近くなりしよ新走り 山田春生 万象 201801
盛切の粋な飲み振り新走り 小林文良 春燈 201801
ふるさとの香りを飲めり新走り 太田良一 末黒野 201802
十七文字と内縁関係新走り 木戸渥子 京鹿子 201802
灘五郷香り放ちて新走 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
言はでもの一語すべるや新走り 大西由美子 春燈 201812
胸中に鎮めむことば新走 藤井寿江子 馬醉木 201901
飲むといふほどには注がぬ新走り 中島和子 やぶれ傘 201902
じよつぱりも肥後もつこすも新走 雨宮桂子 風土 201902
ちよつとした縁のありて新走 斉藤マキ子 末黒野 201902
ヒマラヤの岩塩含み新走り 橋本順子 201903
茅葦の厚き切り口新走り 原友子 201904
怖々と回し飲みする新走 江島照美 発火点 201909
新走り →2      

 

2021年10月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。