夜寒 1    200句

猿どのゝ夜寒訪ゆく兎かな   蕪村

夜寒  夜を寒み  宵寒

作品
作者
掲載誌
掲載年月
飛火野の闇一枚の夜寒かな 山田弘子 春節 199503
追ひかけて一人の旅の夜寒かな 山田弘子 春節 199503
夜寒さやつらつら褪せし齢はも 小栗佳批奈 京鹿子 199901
秦嶺の夜寒声なく越えにけり 松崎鉄之介 199901
夜寒さのそのでこぼこの岩rs 飯塚ゑ子 火星 199905
夜寒山塁のごとしや五条坂 丸山海道 海道全句集 199910
夜寒さに稿を起こせば捗りぬ 須藤常央 円虹 199912
岬鼻の夜寒に徹す灯なるべし 岡本眸 199912
旅よりの夜寒の帰宅とはなりぬ 稲畑廣太郎 「廣太郎句集」 199912
包丁を研ぐ妻の背の夜寒かな 徳丸峻二 風土 199912
夜寒さに星空育ち始めけり 須藤常央 円虹 199912
旅先にゐて夜寒さに書く手紙 須藤常央 円虹 199912
点きにくき電球ばかり寮夜寒 須藤常央 円虹 199912
辞書の字の小さすぎたる夜寒かな 須藤常央 円虹 199912
錨綱引けば夜寒の潮のこゑ 石本秋翠 馬醉木 200001
桟橋と船の灯むつみあふ夜寒 鷹羽狩行 200001
夜寒さや覚めて個室の壁白き 政木紫野 馬醉木 200001
読みすすむほどに夜寒の灯を近く 熊岡俊子 雨月 200001
耳底に槌一対の夜寒かな 山県總子 銀化 200001
泊船に夜寒の潮のふくらめる 石本秋翠 馬醉木 200001
白鳥の碧く暮れゆき夜寒来る 村上光子 馬醉木 200002
観客の夜寒の頭ばかりかな 早乙女健 200004
目薬の滴外れし夜寒宿 藏本博美 ぐろっけ 200012
地震あとの鰥鰥とせる夜寒かな 浜明史 風土 200012
朝寒に夜寒に聞かな湯揉唄 村越化石 200101
ていねいに新聞たたむ夜寒かな 保田英太郎 風土 200101
絹を縫ふ針の光の夜寒かな 宮下本平 200101
窈窕の漓江明りに夜寒来ぬ 千代田葛彦 馬醉木 200101
老深き母を宥むる夜寒かな 谷榮子 雨月 200101
ロンドンの古書街を行く夜寒かな 保田英太郎 風土 200102
早寝せし一人が欠けし旅夜寒 谷口和子 ホトトギス 200103
出迎へて夫の夜寒を分かたるる 林敬子 酸漿 200103
しのびよる夜寒さにふと振返り 谷口和子 ホトトギス 200103
口に飴ふふみて急ぐ道夜寒 稲畑汀子 ホトトギス 200110
忌を修し母を見舞ひぬ道夜寒 稲畑汀子 ホトトギス 200110
三姉妹夜寒の家路別々に 稲畑汀子 ホトトギス 200110
レストラン出れば夜寒の二人かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200110
夜寒さの大福の豆睦みあふ 春川暖慕 銀化 200111
折鶴に息吹き入れる夜寒かな 米澤光子 火星 200112
首ぬけんばかりに嘆き木偶夜寒 鷹羽狩行 200112
思考力鈍つてをりし夜寒かな 福井鳳水 円虹 200201
静けさの音の一つも夜寒かな 福井鳳水 円虹 200201
蝸牛ででむしに灯りの洩れてゐる夜寒 千代田葛彦 馬醉木 200201
言の葉の尾の消えてゐる夜寒かな 本郷桂子 円虹 200201
姨捨の田ごと夜寒の汽笛かな 小宮山勇 遠嶺 200201
砂時計白々と落つ夜寒かな 山田由利枝 雨月 200201
写楽絵の月代気になる夜寒かな 水島夜雨 京鹿子 200201
夜寒さの空見て歩く御堂筋 大山文子 火星 200201
一灯にまつはる如き夜寒かな 福井鳳水 円虹 200201
ふと夜寒覚えて稿の進まざる 福井鳳水 円虹 200201
月の影やどす夜寒の酒の蔵 村上一葉子 200202
浅草の夜寒ぞよけれ句に集ひ 岡本眸 200202
センサーで街灯ともる夜寒かな 辻田明 200202
錠剤をぽとりと落す夜寒かな 浅井千鶴子 いろり 200203
あきらかに迫る夜寒の救急車 落合伊津夫 馬醉木 200203
門灯の見えて安らぐ夜寒かな 和田喜智子 酸漿 200203
頁繰る音に夜寒のつのり来る 高橋たか子 馬醉木 200203
告知されガンと闘う夜寒かな 篠田三七子 いろり 200203
一冊の本読みふける夜寒かな 吉岡妙子 ぐろっけ 200204
終バスを待つ駅前の夜寒かな 望月力男 帆船 200212
管弦の果てし夜寒を戻るなりり 水原春郎 馬醉木 200212
カクテルの紅を酌む夜寒かな 斉藤由美子 ぐろっけ 200212
辞書になき語句につまづく夜寒かな 伊藤和枝 百鳥 200301
黙しゐる夫のそびらの夜寒かな 山田由利枝 雨月 200301
舞殿に笙を温める夜寒かな 近藤幸三郎 風土 200301
さるぼぼののっぺらぼうとゐる夜寒 山本喜朗 雨月 200301
外出より帰りて灯す夜寒かな 岩切久乃 帆船 200301
灯火延ぶる岬は下北夜寒かな 杉本綾 200301
愚痴吐けば子に諭されて夜寒かな 刈米育子 200302
乳匂ふ子のすり寄つてくる夜寒 松田都青 京鹿子 200302
衿合はす夜寒の道やさびしいぞ 安西静 帆船 200303
能舞台夜寒の床を踏みならす 岩上とし子 200303
すなどりの北を目差せる夜寒かな 大郷耕花 草の花 200401
いつよりか糸切歯無き夜寒かな 井田てるの 草の花 200401
旅戻りの己が影踏む夜寒かな 阪上多恵子 雨月 200401
水槽のガラス曇りし夜寒かな 堀博子 火星 200401
新都心墓碑めく街の夜寒かな 山本無蓋 200401
教へ子と呑み屋に出会ふ夜寒かな 淵脇護 河鹿 200401
デルボーの娘の瞳で待ちぬ駅夜寒 山元志津香 西の峰 200401
星ひとつ夜寒の町の木遣かな 今井松子 遠嶺 200402
夜寒さの机上に物の溜り出す 坪井洋子 200402
終着駅まとい付かれし夜寒かな 藤原りくを 八千草 200404
持込みし琥珀の酒や夜寒宿 赤座典子 あを 200410
どちらから言ひし夜寒や風つのる 谷口みちる 200412
バイブルの皮の匂ひの夜寒かな 鈴木智子 草の花 200412
行平の粥ふつふつと夜寒なる 横森みゆき 雲の峰 200501
寄合の人を待ちたる夜寒かな 上原敬子 200502
物言うて応ふ者なき夜寒かな 杉山瑞恵 雨月 200502
五色豆の白がふえゆく夜寒かな 川勝春 馬醉木 200503
前をゆく人の曲りてより夜寒 塙告冬 ホトトギス 200503
新治療迷ひ迷ひし夜寒かな 的場うめ子 ぐろっけ 200504
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 中村汀女 200507
湯揉み唄夜寒のこゑのそろひたる 瀧春一 菜園 200509
時間湯に夜寒の顔のつどひくる 瀧春一 菜園 200509
地震いかに夜寒いとはれたまへとぞ 稲畑汀子 ホトトギス 200510
校了の椅子にしばらく居り夜寒 岡本眸 200511
大辞典夜寒の膝に乗せて見る 三浦如水 ぐろっけ 200512
たそがれの水底ふくれ夜寒なる 渡邉友七 あを 200512
散髪屋のみが灯れり街夜寒 定梶じょう あを 200512
床の間に蒔絵文箱の夜寒宿 赤座典子 あを 200512
夜寒かな虎の敢へなき四連敗 赤座典子 あを 200512
迷ひ犬のポスター揺るる夜寒かな 須賀敏子 あを 200512
枕辺へ猫のすり寄る夜寒かな 芝尚子 あを 200512
泡沫や白き木道夜寒明 森理和 あを 200512
しまひ湯のタオル干しをり夜寒かな 斉藤裕子 あを 200512
子には子の言ひ分のあり夜寒かな 須賀敏子 あを 200512
折れ曲るやうに労りあふ夜寒 篠田純子 あを 200512
渾身の長き手紙を書く夜寒 森理和 あを 200512
左手に右手を重ね夜寒かな 田中藤穂 あを 200512
こつこつと靴音ついてくる夜寒 竹内弘子 あを 200512
湯上りの肌ひきしまる夜寒かな 鎌倉喜久恵 あを 200512
店じまひの貼り紙を見し夜寒かな 早崎泰江 あを 200512
工事場の裸電球夜寒き 早崎泰江 あを 200512
われの咳多くなりたる夜寒かな 長崎桂子 あを 200512
湯上りのパックを剥がす夜寒かな 河島和子 六花 200601
入院の夜は旅に似て霜夜寒 吉田かずや 春燈 200601
止め椀に京の夜寒の来たりけり 近藤幸三郎 風土 200601
寝がへりて夫の背に触る夜寒かな 山本耀子 火星 200601
夜寒さの星になりたる火の粉かな 林いづみ 風土 200601
頤の音海馬にひびく夜寒かな 佐藤恭子 あを 200601
病む妻と夜寒の床に覚めゐたり 徳田正樹 河鹿 200601
頑張れの言葉のみこむ夜寒かな 稲嶺法子 遠嶺 200602
夜寒さに夫の遣影を仰ぎをり 柳生千枝子 火星 200602
母病めば夜寒の床に覚め居たり 徳田正樹 河鹿 200602
思ひきや入院指示来夜寒かな 山田をがたま 京鹿子 200602
買つて來しものに夜寒のさくらもち 久保田万太郎 春燈 200603
ころころと薬まろばせたる夜寒 大橋敦子 雨月 200611
夜寒さや凭れ合ひたる本と本 近藤喜子 200612
盲猫畳すりくる夜寒かな 鎌須賀礼子 万象 200612
読みすすむ次の頁らある夜寒 豊田都峰 京鹿子 200701
夜寒さの壁に奇妙なステンシル 野口光江 遠嶺 200701
さみしらに猫にもの言ふ夜寒かな 見田英子 春燈 200701
しんと夜寒夫の遺影を仰ぎをり 柳生千枝子 火星 200703
落した薬すぐに拾つて飲む夜寒 篠田純子 あを 200703
用一つ済ます夜寒の机かな 久保田嘉郎 酸漿 200712
夜寒とは別の寒さが背に残る 藤井昌治 200801
別れ来て夜寒の衿をかき合はす 小泉良子 200801
夜寒さの錠剤まろび易きかな 坪井洋子 200802
夜寒さや蛇口を漏れる水の音 小城綾子 200802
夜寒さの枕の窪み深くして 佐藤郭子 200802
聞き澄ます夜寒の母の息づかひ 本杉千保子 万象 200802
温くして子が寝ねよとふ夜寒かな 落合由季女 雨月 200802
独り棲む吾に夜寒の押し寄する 中山三渓 200802
一冊に頬と頬寄る夜寒かな いしだゆか 遠嶺 200802
すみわたる遠吠ひびく夜寒かな 菊谷潔 六花 200805
人生の縮図集めて駅夜寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
忌心に夜寒の帰路となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
予期せざる夜寒の星となられたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
不夜城といふ明るさの夜寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
足だけを夫に添はせる夜寒かな 斉藤裕子 あを 200812
残生の仄見えてくる夜寒かな 永峰久比古 馬醉木 200812
夜寒かな國友鉄砲火薬店 中村洋子 風土 200901
背すぢより夜寒の入りて禅書読む 薗田英治 遠嶺 200901
けふよりもあしたの夜寒派遣村 佐藤恭子 あを 200902
宿さがし鮪丼食む夜寒かな 松本和子 酸漿 200904
またたける夜寒の星の名を知らず 八田木枯 晩紅 200908
恐れたることが起りて夜寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
夜寒さや書斎にこもる孤独癖 佐藤喜仙 壁炉 200911
ただ一語妻のつぶやく夜寒かな 川崎光一郎 京鹿子 201001
百数へ痛みをそらす真夜寒し 山田をがたま 京鹿子 201002
夜寒の犬走りを忘れ散歩型 禰寝瓶史 京鹿子 201002
二時間のサスペンス見る夜寒かな 網野茂子 酸漿 201002
門灯の古りて瞬く夜寒かな 藤井美晴 やぶれ傘 201003
鳴き龍の目の血走れる夜寒かな 空音 六花 201003
一人居の京の夜寒でありしかな 安原葉 ホトトギス 201003
自らのぬくみに気付く夜寒かな 高橋将夫 201011
布裁ちぬ夜寒の息を整へて 山仲英子 201011
目薬の一滴それし夜寒かな 芝尚子 あを 201012
レントゲンに持病の二文字夜寒かな 安永圭子 風土 201101
介護レポート夜寒の筆のはかどらず 高村和子 春燈 201101
子を当てにせじと思へど夜寒かな 嶋津泰子 酸漿 201101
今見し夢巻き戻しゐる夜寒かな 久世孝雄 やぶれ傘 201101
わだつみの祭夜寒の灯を仰ぐ 田中臥石 末黒野 201101
頁繰る指先にある夜寒かな 松本三千夫 末黒野 201201
風の棕梠夜寒の音を鳴らしけり 大橋伊佐子 末黒野 201201
ココア注ぎ分くる夜寒のマグカップ 坂場章子 201202
終電の遠のく尾灯夜寒し 長尾良子 末黒野 201202
夜寒さの墨絵のごとし渡月橋 長尾良子 末黒野 201202
夜寒かな辻占ともす煉瓦道 三枝邦光 ぐろっけ 201202
発車ベル響くホームの夜寒かな 長尾良子 末黒野 201202
ビーズ玉床にこぼるる夜寒かな 藤井久仁子 ぐろっけ 201202
生誓ふ夜寒の崖に幕下りる 禰@寝瓶史 京鹿子 201203
過ぎしこと熱く語つている夜寒 高橋将夫 201211
歳時記に家計簿重なる夜寒かな 和田政子 201212
もののけの戸板に当たる夜寒かな 田尻勝子 六花 201212
潮騒におけさ節聞く夜寒かな 竹内悦子 201301
年ばかり重ねて夜寒疎ましき 大橋敦子 雨月 201301
夜寒さに阿波野青畝忌惟みて 大橋敦子 雨月 201301
木曽谷の闇の底なる夜寒の灯 柴田良二 雨月 201301
半分は居眠るドラマ夜寒かな 村上倫子 201301
夜寒さを洋酒の壜の琥珀色 松本三千夫 末黒野 201302
したたむる別れの文や通夜寒し 尾崎みつ子 雨月 201302
冬鳥のこゑや「夜寒の句碑」翳る 田中貞雄 ろんど 201303
わが立てし音に驚く夜寒かな 中村房子 馬醉木 201303
追悼のこどば聴いてゐる夜寒かな 鴨下昭 201305
己が手で手を温める夜寒かな 高橋将夫 如意宝珠 201306
ひきつづく十一月の夜寒かな 島谷征良 風土 201311
夜寒の肩古湯坊の湯に叩かせる 瀧春一 花石榴 201312
夜寒さや藁の匂ひの文庫本 瀧春一 花石榴 201312
孫の手の背中を滑る夜寒かな 上谷昌憲 201401
夜寒→2      

 

2021年11月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。