夜 長 6     216句

みちのくの頭良くなる湯に夜長   大野林火   月魄集

夜長   長き夜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
地球てふ籠に飼はれて夜長かな 田尻勝子 六花 201310
青春の匂ふ啄木夜長の書 鈴木照子 201311
ブルースの嘆き節聴く夜長かな 鈴木セツ 201311
一行のどうにも読めぬ夜長かな 山田六甲 六花 201311
エンデイングノートめ続き書べ夜長 金森教子 雨月 201312
電源を切つて夜長を終りとす 内山花葉 201312
孫描きし漫画を壁に夜長かな 國保八江 やぶれ傘 201312
頑張らぬ介護のすすめ聞く夜長 塩千恵子 201312
落し蓋ぱふぱふ遊ぶ夜長かな コ田千鶴子 馬醉木 201312
秋夜長太平洋越え子と電話 伊吹之博 京鹿子 201312
秋夜長づきんづきんと右の膝 森理和 あを 201312
夜長の燈消して漁火引き寄する 森脇貞子 雨月 201312
夜長の灯背戸にもらしてひとり棲み 豊田都峰 京鹿子 201312
「楽天」に夫の破顔の夜長かな 山口キミコ 201312
望遠鏡に土星を探し夜長かな 塩見治郎 雨月 201312
家計簿の辻棲合はぬ秋夜長 明石文子 ぐろっけ 201312
子規の書を閉ぢては開く夜長かな 大橋晄 雨月 201312
秒針の刻む音聴く夜長かな 森下康子 201312
ひたすらにイラストパズル解く夜長 松村晋 ぐろっけ 201312
詠み続く軍記に夜長長からず 佐津のぼる 六花 201312
ロボット掃除機の秋の夜長の舞踏会 平野加代子 春燈 201312
びらうどのやうなワインを酌む夜長 竹内弘子 あを 201312
引揚の直筆自伝読む夜長 数長藤代 201312
空想を広げて発熱の夜長 馬場由紀子 201401
机広く使ひ一人の夜長かな 野上杳 201401
楽しげに母娘の電話夜長し 田村元 ホトトギス 201401
夜長人紅茶に垂らすブランデー 藤見佳楠子 201401
夜長月泳ぎつ眠る回遊魚 甕秀麿 201401
夜長しと言ひて人逝く朝かな 今井千鶴子 ホトトギス 201401
母の忌に行けぬ詫び書く夜長かな 占部美弥子 末黒野 201401
夫早寝秋の夜長を独り占め 市橋香 ぐろっけ 201401
病むことに飽き七と母の夜長かな 高倉和子 201401
散骨の話をすこしする夜長 根橋宏次 やぶれ傘 201401
農繁期ひたすら眠る夜長かな 大木清美子 201401
読みさしの読書に耽る夜長かな 鈴木芙蓉 末黒野 201401
雨音に目覚めしあとの夜長かな 中山静枝 201401
雨漏りの音を身近に夜長かな 山田春生 万象 201401
釣談義きりなき夫の夜長かな 久保久子 湖心 201402
寸劇も演じ夫婦の夜長かな 山田ゆう子 馬醉木 201402
久々に淡谷のり子を聴く夜長 小泉欣也 ろんど 201402
方寸の紙で鶴折る夜長かな 松本三千夫 末黒野 201402
阿波弁の妻のスピーチ夜長し 福島せいぎ 万象 201402
引き慣れて膨るる字引夜長し 師岡洋子 ぐろっけ 201402
忘れし名ひよつこり浮かぶ夜長かな コ永千鶴子 馬醉木 201410
とつおいつ思案の文の夜長かな 大口堂遊 春燈 201411
湖へ向く千の仏の夜長かな 高松由利子 火星 201411
取説の厚さに挑む夜長かな 平松うさぎ 201411
鈎裂きを手縫ひしてゐる夜長かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201411
病みてより酒絶ちて知る夜長かな 大越義雄 201412
文人の集ふ角屋の夜長かな 渡部法子 201412
推敲し原句に戻る夜長かな 杉本綾 201412
電子辞書の鳥の声聞く夜長かな 石黒興平 末黒野 201412
諍ひも夫ゐてこその夜長かな 中野さき江 春燈 201412
ペン先にインク固まる夜長かな 小山陽子 やぶれ傘 201412
ITの迷路にはまる夜長かな 高橋将夫 201412
象の時間鼠の時間夜長かな 岩下芳子 201412
ナイフ研ぐ鉄の匂ひの夜長かな 比嘉半升 万象 201412
鉛筆の芯尖らせてゐる夜長 佐藤淑子 雨月 201412
面白や夜長いびきの息継ぎは 山田六甲 六花 201412
頬ずりは二児に等しく夜長の妻 堀内一郎 堀内一郎集 201412
夜長かな言葉のつぎ穂さがしゐて 宮川みね子 風土 201412
ファックスの続いてとどく夜長の灯 宮川みね子 風土 201412
里ことば姉妹の夜長電話かな 鈴木セツ 201412
夜長し机に肘をついてより 柴田佐知子 201501
推敲の一字に迷ふ夜長かな 石黒興平 末黒野 201501
捨つるものあれやこれやと夜長かな 前田貴美子 万象 201501
心気泣きこほろぎとゐる夜長かな 菊谷潔 六花 201501
時計屋の時はばらばら夜長かな 有松洋子 201501
朝隣る夜長へ不眠勝ち気なる 柳本渓光 ろんど 201501
クレヨンの巻き紙はがす夜長かな 丑久保勲 やぶれ傘 201501
まだ吾に為すこと多き夜長かな 林加寸美 ホトトギス 201502
本といふ樹海さ迷ふ夜長かな 内山照久 201502
まだ客のありて夜長の理髪店 松田泰子 末黒野 201502
前掛をはづしてよりの夜長かな 宮本加津代 万象 201502
本二冊手枕に乗せ夜長かな 小林正史 201502
夜長かな携帯電話充電す 小林正史 201502
厨より書斎に移る夜長の灯 林加寸美 ホトトギス 201502
五七五巡る夜長の前頭葉 田中一美 ろんど 201503
にせものときまりし壺の夜長かな 木下夕爾 春燈 201508
ナイフ研ぐ鉄の匂ひの夜長かな 比嘉半升 万象 201508
相談をうけて夜長を使ひきる 八木健 八木健俳句集 201509
妻夜長昨日スペインより帰国 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
水槽に夜長を分かつ灯を消せり 布川直幸 201510
難問のパズルに嵌る夜長かな 大木清美子 201511
乱読に文字飛びゆける夜長かな 黒澤登美枝 201511
完成のパズルを崩す夜長かな 中嶋陽子 風土 201511
雨音の淋しく聞こゆ夜長かな 斉藤裕子 あを 201511
夫の鼾聞きつつ寝入る夜長かな 斉藤裕子 あを 201511
スワンネックの形(なり)に夜長のランプかな 細川洋子 201511
人肌の恋し夜長のの日本酒も 岡部玄治 201511
目覚めては刻もてあます夜長かな 水原春郎 馬醉木 201512
薄切脳筆もて掬ふ夜長かな 近藤真啓 春燈 201512
夜長にはジャズを選びて灯消す 田中信行 201512
早寝してすぐに鼾となる夜長 谷岡尚美 201512
話したくなるまで訊かぬ夜長かな 有松洋子 201512
夜長人箪笥の底をかきまはす 高橋道子 201512
隣接のテレビ姦し夜長かな 岡野ひろ子 201512
晩酌に独りほろ酔ふ夜長かな 及川信二 末黒野 201512
バスタブの栓の締まらぬ夜長かな 奥田茶々 風土 201512
神戸港碇泊の灯も夜長の灯 堀井英子 雨月 201512
独り居の夜長やバッハほしいまま 森脇貞子 雨月 201512
句をつむぎをれば夜長の鳩時計 栗山恵子 雨月 201512
生きることは励むことなり夜長の灯 片山喜久子 雨月 201512
読み終へて栞のいらぬ夜長かな 鈴木庸子 風土 201512
丑三つの妻も寝返る夜長かな 松崎雨休 風土 201512
マイナンバーまた読み返す夜長かな 石井美智子 風土 201512
腕まくりおろすもひとり夜長かな 数長藤代 201601
夜長かな針目正せと母のこゑ 奥井あき 201601
聞き上手話し上手の夜長かな 高橋泰子 201601
本棚の本の背中を見て夜長 大崎紀夫 やぶれ傘 201601
真四角に誤字塗りつぶす夜長かな 小山陽子 やぶれ傘 201601
顔と名が合うて夜長の宴かな 高橋将夫 201601
誤字一つメールにありし夜長なる 安野眞澄 201601
タワーの灯マンションの灯の夜長かな 菅澤陽子 春燈 201601
電子辞書言葉探しの夜長かな 赤岡茂子 春燈 201602
夜長さの機内に古き映画かな 森田節子 風土 201602
書き溜めて夜長つまらぬものばかり 池田澄子 201602
一合の酒を夜長の伴として 谷島弘康 末黒野 201603
夜長の灯山の空気を彩りて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
話したくなるまで訊かぬ夜長かな 有松洋子 201608
痩身を夜長の椅子に沈めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
命日を近付けてゐる夜長かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
句心を夜長の椅子に沈めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
又かかる夜長の電話待ちしもの 稲畑汀子 ホトトギス 201609
あれこれの画鑑拡げる夜長かな 内田郁代 万象 201609
地酒酌む夜長に兆す旅心 山本喜朗 雨月 201611
ふたり在ることのよかりし夜長かな 田中佐知子 風土 201611
夜長来るなり佛飯の山盛りに 井上信子 201611
悪女とも呼ばれずつまらなき夜長 高倉和子 201611
とつおいつ自分史綴る夜長かな 森脇貞子 雨月 201612
改めて夫の自分史読む夜長 森幸 雨月 201612
早寝して目覚めしのちの夜長かな 下田奉枝 雨月 201612
鶴折りて君の帰宅を待つ夜長 下田奉枝 雨月 201612
深く飲んで熱く語りし夜長かな 岩下芳子 201612
古文書を幡く夫の夜長かな 錫木妙子 馬醉木 201612
夜長かな読み継ぐ遠野物語 小林共代 風土 201612
万葉の夜長楽しも飛鳥の蘇 山田六甲 六花 201612
茶目つけを忘れぬ母の夜長かな 豊谷ゆき江 春燈 201612
夜長しべーカー街に馬車の音 平林ひろこ 船団 201612
橋長く延べ一湾の夜長かな 金森信子 雨月 201701
いつの間にペン胼胝消えし夜長かな 近藤紀子 201701
生命線夫と比べる夜長かな 岩田洋子 201701
問ふわれと答へるわれのゐて夜長 清水美恵 馬醉木 201701
読み終へて栞のいらぬ夜長かな 鈴木庸子 風土 201701
煮詰まつて鍋ことことと夜長かな 坂入妙香 春燈 201701
あちこちに乾電池要る夜長かな 木戸渥子 京鹿子 201701
読み止しに文鎮を置く夜長かな 丑久保勲 やぶれ傘 201701
息止めて糸通しをる夜長かな 岩田洋子 201702
ホームズの子爵の怪し夜長かな 西本郁子 京鹿子 201702
山のものあまたに吊りて夜長の灯 大内和憲 万象 201702
墨擦りて江戸文字なぞる夜長かな 長谷川はまゆう 末黒野 201702
ど忘れのふつと名のでる夜長かな 菊池洋子 やぶれ傘 201702
手相見のメールみてゐる夜長の灯 菊池洋子 やぶれ傘 201702
新鮮でない新聞を読む夜長 木戸渥子 京鹿子 201703
夜長し鏡と遊ぶ百面相 平川陽三 船団 201707
もう一編書かねばならぬ夜長かな 稲畑汀子 ホトトギス 201709
屋形船夜長に向けて試運転 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
布見れば何か縫ひたき夜長かな 長谷川翠 馬醉木 201711
平坦ならぬ余生を思ふ夜長かな 密門令子 雨月 201711
気散じのギターあだ弾く夜長かな 井上石動 あを 201711
干し肉と煎餅パソコン夜長かな 石森理和 あを 201711
せがまれてまた絵本読む夜長かな 岡崎春菜 万象 201712
灯されて廊下の奥の夜長かな おーたえつこ 201712
寿の暗唱もして夜長かな 齊藤哲子 201712
筆持てば言葉溢るる夜長かな 大西由美子 春燈 201712
平成のゴール近づく夜長かな 岩下芳子 201712
消灯の時刻夜長の宵の口 志方章子 六花 201801
夜食とる腹満ぷくの夜長かな 溝渕弘志 六花 201801
弘法寺さんは大寺夜長の灯 栗坪和子 201801
夜長し時計互ひに節曲げず 三木享 201801
火酒ぐいとまたぐいと飲む夜長かな 木村瑞枝 やぶれ傘 201712
猥雑な芸人の芸夜長し 黒木東吾 やぶれ傘 201712
姉妹の話尽きざる夜長かな 永島雅子 春燈 201801
脳トレをもて余しをる夜長かな 篠原幸子 春燈 201801
枕辺にラジオ引き寄す夜長かな 荒井ハルエ 春燈 201801
見ぬ国へ夜長の飛行滑走路 海村禮子 春燈 201801
句敵と語り尽くせぬ夜長かな 山田閏子 ホトトギス 201802
昨日とまた同じ夜長でありにけり 山田閏子 ホトトギス 201802
世界遣産の切手で巡る夜長かな 新倉ゆき江 末黒野 201802
歳時記の葦編つくろふ夜長かな 懸林喜代次 春燈 201802
ゴッホの耳ばかり気になる夜長かな おーたえつこ 201803
太棹のしらべ哀しき夜長かな 磯貝尚孝 清閑 201804
看護師の靴音遠くなる夜長 林徹也 201804
秋の夜長の蛍光ペンの米印 池田澄子 201805
一日を使ひ切つたる夜長かな 稲畑汀子 ホトトギス 201809
結局は夜長を使ひ果たしけり 稲畑汀子 ホトトギス 201809
過ぎてゆく時間と別にある夜長 稲畑汀子 ホトトギス 201809
時に無駄夜長にはまり込むことも 稲畑汀子 ホトトギス 201809
酒房出づ次の夜長の待つてゐし 千田百里 201810
夜長の灯ワインに溶けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
対称に畳むリハビリ秋夜長 吉武美子 201811
歳時記を手に子に語る夜長かな 山本喜朗 雨月 201811
夫の間より洩るる灯も亦夜長かな 足立典子 雨月 201811
まだ針に糸が通せて夜長かな 浜福恵 風土 201811
言霊を待ちし心の夜長かな 鷹崎由未子 春燈 201811
縫ひぐるみとお話してる秋夜長 田中藤穂 あを 201811
上手ではありませんが般若心経夜長星 辻響子 201812
アイデアが湧いて眠れぬ夜長かな 林田麻裕 201812
親知らずうずうず痒い夜長かな おーたえつこ 201812
一睡の後の夜長のもの思ひ 栗原公子 201812
ママさんの来し方を聞く夜長かな 千田百里 201812
夜長の灯窓それぞれに物語 森村江風 201812
お手玉縫ふ妻に夜長の鼻めがね 中西恒弘 201812
一切の音遠ざけて夜長酒 甲州千草 201901
初恋の話におよび夜長妻 土井三乙 風土 201901
曼荼羅の絵解き夜長のつれづれに 田丸千種 ホトトギス 201901
友の名を思ひ出せずに夜長かな 坂本和穂 やぶれ傘 201902
ロボットのカタログ眺めゐる夜長 鈴木昌子 やぶれ傘 201902
欠伸して屁をして秋の夜長かな 高橋均 やぶれ傘 201902
一句成し二度寝に入る夜長かな 岡田桃子 201902
楽しみの次々浮かぶ夜長かな 古賀恵子 201902
下駄履いて夜長の庭にしばしかな 千葉惠美子 末黒野 201904
夜長かな合わぬ眼鏡で読書する 治部少輔 201905
これよりの夜長はじまる一書の香 兒玉充代 201905
一茶と寝木枯とも寝夜長かな 佐藤恭子 あを 201906
怪我癒えていつもの如くある夜長 稲畑汀子 ホトトギス 201909
夜長→7      

 

2021年9月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。