夜 長 5     103句

みちのくの頭良くなる湯に夜長   大野林火   月魄集

夜長   長き夜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
のど太き鴉夜長に入りにけり 井上信子 201012
新聞を妻が捲れる夜長かな 根岸善行 風土 201012
一千羽鶴折る子の真顔夜長し 羽賀恭子 201012
補聴器を外して音のなき夜長 柴田良二 雨月 201012
婚近き子との思ひ出繰る夜長 足立典子 雨月 201012
一枚の写真に夜長始れる 足立典子 雨月 201012
ことに妣と喜び分ちたき夜長 足立典子 雨月 201012
なつかしく夜長を子らの服を編む 長崎桂子 あを 201012
針穴のちいさく見えし夜長かな 長崎桂子 あを 201012
画仙紙に五言絶句を書く夜長 城戸愛子 酸漿 201012
子の電話この日未だ無き夜長かな 井上幸子 酸漿 201012
彗星や旅に夜長の始まりて 山田ひさし 馬醉木 201101
おほかたは留守居の夫夜長し 数長藤代 201101
容赦なく捨つるもの捨て夜長の灯 黒滝志麻子 末黒野 201101
負けてやるトランプ続く夜長かな 松嶋一洋 201101
妻の灯と吾が灯と二つ夜長守 菅谷たけし 201101
煮詰めたる果実の匂ふ夜長かな 篠藤千佳子 201101
一冊と一献ありてよき夜長 丹生をだまき 京鹿子 201101
語り合ふ友ゐて島の夜長かな 和田崎増美 雨月 201101
何せむと豊かに灯し夜長の灯 大泉美干代 雨月 201101
難しきパズルを解きて夜長し 高倉恵美子 201101
一二冊故い「馬醉木」を見る夜長 竹内弘子 あを 201101
泣く孫に乳さはらする夜長かな 篠田純子 あを 201101
配偶者無しと書き込む夜長かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201101
峡の灯のひとつとなりし夜長かな 松岡和子 201102
秒針の刻みあきらか夜長かな 渡辺安酔 201102
仏心が重くてならぬ夜長月 松田都青 京鹿子 201102
歩の一手いぶし銀なる夜長かな 竹田ひろ子 ろんど 201102
独り居の夜長端切れの海の中 平居澪子 六花 201102
温め酒夜長相手に又一本 山口博通 ぐろっけ 201102
故里の友と語らふ夜長かな 大里快子 酸漿 201102
季寄せあり一人の夜長マグカップ 須賀敏子 あを 201102
拳玉の穴に蠟塗る夜長かな 大崎紀夫 やぶれ傘 201102
床の間の払子夜長を守りをり 東亜未 あを 201103
筆書きの戸籍謄本読む夜長 山本鬼之介 201105
待たせたる夜長枕にあなかしこ 丸山佳子 京鹿子 201105
いくたびも心に問うて夜長かな 稲畑汀子 ホトトギス 201109
ともかくも夜長の時間使はねば 稲畑汀子 ホトトギス 201109
思ひ出しつい目の潤む夜長かな 長崎桂子 あを 201110
通販のカタログ繰れる夜長かな 石川かおり 201111
打掛に百の鳥舞ふ夜長かな 高松由利子 火星 201111
買ひ置きしままの新刊夜長星 池田加寿子 201112
父の忌に猫を囲みて夜長なる 山崎里美 201112
葬儀果て逝きし経過を聞く夜長 仁平則子 201112
秋夜長ブラジル医師の和文メール 伊吹之博 京鹿子 201112
亡き夫の文読み返す夜長かな 戸田澄子 末黒野 201112
死者の夢ばかり現る夜長かな 木下もと子 201112
観音と邪鬼並びゐる夜長かな 杉浦典子 火星 201112
同部屋にゐて別のことする夜長 年森恭子 ぐろっけ 201112
パソコンの壊れてよりの夜長し 前田玲子 ぐろっけ 201112
庭に出で夜長の星を見てゐたり 安永圭子 風土 201112
寝やうとは思はずに寝る夜長かな ことり 六花 201112
長々と生きて夜長をもてあます 大橋敦子 雨月 201112
夜長星あかんぼ宛にハガキ書く 田中藤穂 あを 201112
心の襞のばして語る夜長かな 谷村幸子 201201
浮子ならべ居間に海呼ぶ夜長かな 太田良一 末黒野 201201
漱石を読み返しをり夜長の灯 浅川幸代 末黒野 201201
夜長言ふ母に聞かするノクターン 塩見英子 雨月 201201
耳鳴りと取り引きしたし夜長かな 山本孝子 ろんど 201201
寿司シエフの新作を食む秋夜長 伊吹之博 京鹿子 201201
独り言に独りうなづき夜長し 古井公代 ぐろっけ 201202
妻と居て寡黙にテレビ夜長かな 神田惣介 京鹿子 201202
層籠に紙ゆるむ音夜長かな 笠置早苗 火星 201202
アフリカの地図を拡げる夜長かな 金田けいし ろんど 201202
病む猫の呼吸見てゐる夜長かな 神田美穂子 万象 201203
雨音と雨垂れの音夜長かな 松下八重美 夢見の鐘 201203
彼の窓のまた灯されし夜長かな 秋葉貞子 やぶれ傘 201203
古雑誌読み返しゐる夜長かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201204
三人が同時にものを言ふ夜長 近藤牧男 六月 201206
夜長さの樹下の木椅子に来てふたり 相模創 万華鏡 201206
思案倦む振子時計とゐる夜長 田中一美 ろんど 201204
透明に放射線降り夜長美し 布川直幸 201209
寝返りて源氏読む夫夜長かな 北崎展江 くりから 201209
夜長かな推理小説読み尽くし 溝渕弘志 六花 201211
取り落とすペンの転がる夜長かな 松本三千夫 末黒野 201211
差し水にポットの騒ぐ夜長かな 熊川暁子 201211
読みかけの本に染みある夜長かな 佐藤喜仙 かさね 201212
句作りもまとまらぬまま夜長考 中山静枝 201212
紛争のニュースの続く夜長かな 松嶋一洋 201212
大正の古きアルバム繰り夜長 若江千萱 雨月 201212
田の縁にもの焼いてゐし夜長かな 山田六甲 六花 201212
うつり来る欠伸が折目宿夜長 北尾章郎 201301
夜長し鏡に隣室の夫 池田澄子 船団 201301
サスペンスと駄菓子のありて夜長かな 竹田ひろ子 ろんど 201301
一つ灯となりて夜長の灯なりけり 大橋伊佐子 末黒野 201301
天声人語写すペンとる夜長かな 菅野蒔子 末黒野 201301
清張の推理に嵌る夜長かな 外山節子 末黒野 201301
被災地の夜長や果てぬクラス会 横路尚子 末黒野 201301
隣室の小さき物音夜長人 志方章子 六花 201301
一睡の後の病棟夜長し 苑実耶 201301
夜長かな考へてゐる捨てるもの 佐瀬晶子 ろんど 201302
筆先の割れをなだめて夜長し 師岡洋子 ぐろっけ 201302
植物図鑑人物図鑑夜長かな 和良牧人 201302
あとがきに心囚る夜長かな 平居澪子 六花 201302
書棚より大辞林抜く夜長かな 久世孝雄 やぶれ傘 201302
退屈で真面日な話聞く夜長 松田都青 京鹿子 201303
今更に運命線を見る夜長 加藤八重子 末黒野 201303
握手して見舞の客となる夜長 秋田直己 ぐろっけ 201303
瓢箪の種を出しゐる夜長かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201303
妻逝きて喧嘩相手もなき夜長 木村享史 ホトトギス 201304
父母の忌日妻に確かめゐる夜長 野沢しの武 風土 201308
癒ゆること願ひ夜長の祈りかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309
図らずも二人残されたる夜長 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309
夜長 →6      

 

2021年9月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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