夜長 3         131句

奧の温泉へ出づる馬車ある夜長かな    中村若沙

夜長   長き夜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
役終へし大石臼の夜長かな 小泉三枝 春燈 200501
沢蟹のぶつぶつぶつと夜長かな 西畑敦子 火星 200501
亡き母の話に戻る夜長かな 柿澤喜三郎 百鳥 200501
大阪の百景画集繰る夜長 中村章乃 雨月 200501
娘がミシン踏んで夜長のはじまれり 生方ふよう 200501
いくさ止まぬイラク夜長の鶴を折る 沼口蓬風 河鹿 200502
書斎てふ文字のるつぼにある夜長 山田弘子 ホトトギス 200502
源氏読む時を忘れし夜長かな 平尾信一 帆船 200502
夜長妻皺を愛しむ古鏡 三浦澄江 ぐろっけ 200502
句がゆがみ夜長はなせぬ虫眼鏡 吉田多美 京鹿子 200502
夜長し雲形定規深呼吸 梶浦玲良子 六花 200502
眠られて夜長の不安消えてゆく 辻口静夫 ホトトギス 200503
生や死や問はず語りの夜長かな 有島扇水 河鹿 200503
スケジュール整理捗る夜長かな 稲畑汀子 ホトトギス 200509
稿債のための夜長となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200509
ここまでは電話かからぬ旅夜長 稲畑汀子 ホトトギス 200509
うたた寝も夜長仕事の一部分 稲畑汀子 ホトトギス 200509
島宿に夜長の星の増えはじむ 稲畑汀子 ホトトギス 200510
指のとげ歯でぬいてゐる夜長かな 山田六甲 六花 200510
面白くなき笑劇を観る夜長 竹内弘子 あを 200510
幾度も星を仰ぎて窓夜長 稲畑汀子 ホトトギス 200511
メールでは伝へきれない夜長かな 倉持梨恵 200511
メル友といふ付合ひも夜長かな 宮津昭彦 200511
行事終へ心平らに夜長酒 木藤ヒデ子 築港 200511
ドア隔てもの音もなし夜長人 淵脇護 河鹿 200512
さりげなくし征(しちよう)当りを置く夜長 田中芳夫 200512
山中の夜長や何もせずにゐる 鷹羽狩行 200512
一睡の夢のあやふき夜長かな 益田寿美子 春燈 200512
十団子を夜長の家の魔除けとす 村越化石 200512
考へるまばたき猛き夜長人 戸田和子 200512
夜長かな右手の爪の染めにくし 倉持梨恵 200512
目を病みてつくづく夜長夜長かな 大橋敦子 雨月 200512
旅果の津軽じょんがら聞く夜長 三輪温子 雨月 200512
羊小屋に羊帰れる夜長かな 杉浦典子 火星 200512
バレエに身やつす舞姫夜長かな 河合佳代子 栴檀 200512
そこだけが白き夜長の冬瓜畠 藤井昌治 200512
夜長さの古き映画のよかりけり 鹿野佳子 200512
鼻毛抜きさてそれよりの夜長かな 淵脇護 河鹿 200601
額寄せパズル解いてる夜長かな 木原紀幸 河鹿 200601
獺祭のおもむくままの夜長かな 遠方靉 遠嶺 200601
遺言めく夜長まかせの備忘録 岸田爾子 200601
万博の余韻に浸る夜長かな 内田エミコ 四葩 200601
父母に父母ありて夜長の吾が居り 八牧美喜子 200601
円座して飛鳥泊りの夜長びと 河合佳代子 栴檀 200601
旅夜長数ふる羊群なして 禰寝瓶史 京鹿子 200601
しぶしぶと打つ大時計夜長なり 三浦澄江 ぐろっけ 200601
つけ足して余計なものとなる夜長 倉持梨恵 200601
励ましのことば夜長を使ひきり 倉持梨恵 200601
一睡の後の夜長を如何にせむ 石垣幸子 雨月 200601
鍵かけて夜長の殻に閉ぢこもる 守屋井蛙 酸漿 200601
夜長かな古い映画の美男美女 角田信戸 六花 200601
おくんちの囃子を復習ふ町夜長 山本喜朗 雨月 200602
病室に一人の夜長はじまれり 山田をがたま 京鹿子 200602
灰ふかく立てし火箸の夜長かな 久保田万太郎 春燈 200603
夜長の灯消せば覺めゐて否む子よ 瀧春一 常念 200606
子と共にビートルズ聴く夜長かな 小阪喜美子 二輪草 200606
染筆や夜長の墨を磨ることに 稲畑汀子 ホトトギス 200609
旅の荷にあれもこれもと足す夜長 稲畑汀子 ホトトギス 200609
旅重ね夜長の稿を携へて 稲畑汀子 ホトトギス 200609
夜長人さも無きこともある如し 堀内一郎 あを 200610
心不全夜長の灯し暗すぎて 宇都宮滴水 京鹿子 200611
火星見に夜長の家居楽しまむ 稲畑汀子 ホトトギス 200611
灯下てふ絵や仏蘭西の灯も夜長 宮津昭彦 200611
わが夜長森の夜長とつながれり 村越化石 200611
笑ひ声絶えて久しき夜長なる 堀内一郎 あを 200611
祝ぎあとの明かりしらじら夜長星 三好千衣子 200611
淵明の夜長子を責む詩を詠めり 松崎鉄之介 200612
一遍忌夜長も閉めぬ寺の門 久保栞 200612
七色に変はる橋の灯見て夜長 和田一 雨月 200612
あの人を想うため息夜長し わかやぎすずめ 六甲 200612
爪を切る音のみありて夜長かな 高倉和子 200612
『放射路』に偲ぶ師の句や夜長の灯 山本康夫 200701
夜長し古き書に百元札出でて 陳錫恭 春燈 200701
点滴の音なき音の夜長かな 横田初美 春燈 200701
紅茶淹れポールモーリア聴く夜長 指尾直子 雨月 200701
万年幹事一人作業の夜長し 舘泰生 風土 200701
ぺージ繰りつまみ食ひして夜長なる 岩松八重 六花 200701
夜長かな子鹿の声を思ひ出す わかやぎすずめ 六花 200701
塩の温泉(ゆ)に火照る夜長やストレッチ 山中宏子 200702
夜長の灯ひとりの刻を「罪と罰」 千坂美津恵 200702
一燈を遺影と分つ夜長かな 宮野照子 馬醉木 200702
いつか読む切り抜き溜めて夜長人 陳錫恭 春燈 200702
髭長き田螺が這ふてくる夜長 市場基巳 200702
宿坊に流るるショパン夜長き 岩淵彰 遠嶺 200702
夜長とは己見つむる時空なり 落合由季女 雨月 200702
燭つぎて夜長経読むしづごころ 水野節子 雨月 200702
癒えし身をいとひ夜長の湯泉に浸る 山田をがたま 京鹿子 200702
挨拶の稽古ビデオに撮る夜長 今井忍 ぐろっけ 200702
針仕事ぽつりと話す夜長妻 滝沢伊代次 万象合同句集 200703
夜長の灯使ひ切つたる百句かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
合資会社ホトトギス社の夜長の灯 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
夜長の灯滑り新幹線発車 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
訪ひ来しは旅の夜長の一過客 稲畑汀子 ホトトギス 200709
これよりの夜長の稿をつゞる灯に 稲畑汀子 ホトトギス 200709
旅夜長楽しむ時間経ち易く 稲畑汀子 ホトトギス 200709
灯ともせば旅の夜長のはじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200709
講演の準備に追はれたる夜長 稲畑汀子 ホトトギス 200709
風音のいつかしづまりゐし夜長 稲畑汀子 ホトトギス 200709
これよりは夜長楽しむ会となる 稲畑汀子 ホトトギス 200709
久々の停電といふ夜長かな 鷹羽狩行 200710
原石をもてあそびゐる夜長かな ことり 六花 200710
ハングルのドラマで泣きし夜長かな 遠藤実 あを 200710
マーラーのアダージョ夜長なかば過ぐ 宮津昭彦 200711
色違ふ荷の紐を足す夜長かな 能村研三 200711
夜長の灯復習さらい髪結ふをとこかな 千田百里 200711
大欠伸せし眼に涙夜長かな 木暮剛平 万象 200712
思ひ出を卵のやうに抱く夜長 栗原公子 200712
霊安室訪ふも夜長の宿直医 鎌田篤 雨月 200712
仏の灯消して一人の夜長かな 廣瀬義一 雨月 200712
ビルの灯の二つ残れる夜長かな 廣瀬義一 雨月 200712
散策の夜長楽しむエルベ川 田中きよ子 酸漿 200712
コンビニ夜長気働きよき娘をり 長崎桂子 あを 200712
一つ灯に足りる生活の夜長かな 福地初江 200712
死者に言ふごとき日記や夜長し 柴田佐知子 200712
久闊の友に文書く夜長の灯 関戸文子 酸漿 200712
寝付かれぬ幼とぬりえする夜長 大塚民枝 酸漿 200712
ヘッセゐて清張がゐて夜長なる 白井友梨 馬醉木 200801
しまひては便りまた読む夜長かな 内野俊子 春燈 200801
わが余生占ふカード繰る夜長 大島寛治 雨月 200801
戦争のころのこと聞く夜長の子 大西八洲雄 万象 200801
イザヤ書の鶴の章まで読む夜長 岡有志 ぐろっけ 200801
心にもなき事云ひて夜長夫 上林孝子 200801
吾のみに使ふ夜長のうれしさよ 山田弘子 ホトトギス 200802
道に席しつらへ酒を酌む夜長 小泉三枝 春燈 200802
本閉ぢるまでの夜長となりにけり 倉持梨恵 200802
心電図病態論じあふ夜長 岡有志 ぐろっけ 200802
パピルスに古代文字書く夜長かな 大西裕 酸漿 200802
口下手で思ひのたけを文夜長 嶋田摩耶子 ホトトギス 200803
手作りの針を運べり夜長の灯 盧田富代 ホトトギス 200803
干支ねずみ尾の様変へて縫ふ夜長 濱田ヒチヱ ぐろっけ 200803
墨の香を満たして夫の夜長かな 府川房江 遠嶺 200806
夜長→4      

 

2021年9月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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