夜 長 2         100句

山鳥の枝踏かゆる夜長哉    蕪村

夜長   長き夜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
退院やまづは夜長を愉しまむ 辰巳比呂史 200202
手術室前に生死の並む夜長 荻野千枝 京鹿子 200202
白いカーテン引いて眠れぬ夜長闇 荻野千枝 京鹿子 200202
独り居の寿命伸ぶかに夜長なる 久保龍 200202
白濁の出湯に浸る夜長かな 石井邦子 酸漿 200202
荒地詩集読み返しゐる夜長かな 石城幸子 百鳥 200202
一人居はつくづく夜長を思はする 木戸波留子 いろり 200202
することの無きとは云はず夜長かな 木戸波留子 いろり 200202
一人居になす事多き夜長かな 浅井千鶴子 いろり 200202
病み臥して寝嵩なき夫夜長し 岡部三和江 ぐろっけ 200202
夜長子に微分方程式解けず 野沢しの武 風土 200206
江戸囃子途絶え夜長の城下町 大谷茂 飛白 200208
時折こゑにしてもみて夜長稿 小林呼溪 200210
夜長きころの杉の実句会かな 宮津昭彦 200210
王室の家系を縷縷と夜長人 辰巳比呂史 200211
呱々の声待つや夜長の煌々と 柴田雪路 200211
もう一度木曽の湯に入る夜長かな 立脇操 雲の峰 200211
縫絲をとがらせ夜長の人となる 佐藤喜孝 あを 200211
遺本繰り書きこみなぞる夜長かな 磯野至子 あを 200211
篆刻の切っ先にあり夜長の灯 永井雪狼 200212
興湧かぬ書物閉ぢれば夜長し 森良子 築港 200212
檣灯のひとつは夜長の名残りとも 豊田都峰 京鹿子 200212
星一つ見えて夜長の独り酒 林翔 200212
書出しの謎に誘はれ夜長の書 西村操 雨月 200212
ヴィオロンの溜息を聴く夜長かな 山下佳子 200301
夜長かな寝る時が来てねむるのみ 三好淡紅 200301
振り出しにもどす地球儀夜長の灯 高橋澄子 200301
ペンの尻押して芯出す夜長かな 矢島久栄 200301
きっちりと話を詰める夜長かな 上野孝行 百鳥 200301
いくたびも眼鏡を替へる夜長かな 上野孝行 百鳥 200301
気に入りの帽子繕ふ夜長かな 藤井初江 百鳥 200301
夜長の打消えて真闇の熊野かな 落合由孝女 雨月 200301
天眼鏡に活字ふくらむ夜長かな 渡部義雄 200301
歳時記を繰りて夜長の遊びとす 平野静 京鹿子 200302
家族三人それぞれの夜長かな 小西瑞穂 ぐろっけ 200302
人の世に夜がありなかんづく夜長 鷹羽狩行 200309
旅終へて夜長の稿を継ぎにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200309
爆笑のラジオを消してより夜長 鷹羽狩行 200310
川音は川音として村夜長 村越化石 200311
見えて遠き忍者屋敷の夜長の灯 波多野蟻仗 200311
教へ子のTが画面に佳き夜長 林翔 200311
黙読の背に柱ある夜長かな 宇利和代 雲の峰 200311
幾度も志ん生を聴く夜長かな 後藤志づ あを 200311
夜長の灯ワインに揺れて子等遠し 田所節子 200312
訃を聞きてよりの夜長となりにけり 伊藤宇太子 200312
介護記の分厚くなりし夜長かな 飯田はるみ 築港 200312
丁寧に煮豆の灰汁をとる夜長 清水ミツコ 200312
明日への事務処理終る夜長かな 杉山喜代子 帆船 200312
曾祖母の武勇伝聞く夜長かな 伊藤とら 雲の峰 200312
つまみ食ひばかりしてゐる夜長かな 辻本興雲 雲の峰 200312
何処からか暮れて夜長となりにけり 長谷川守可 百鳥 200312
鮎落ちて峡の夜長のはじまれり 藤井昌治 200312
もてあます夜長にもまた慣れにけり 高倉和子 200312
贈られし句集繙く夜長なり 石積知恵子 ぐろっけ 200312
中世の禁断の恋読む夜長 片山クケ子 200401
夜長さの紅茶にレモン香りけり 斉藤陽子 雨月 200401
馥郁と酒蔵寄席の夜長かな 田中敬 200401
湯上りにワイン楽しむ夜長かな 斉藤豁子 築港 200401
話から話うまれて夜長し 中村茂子 築港 200401
テレビにも飽き物思ふ夜長かな 沼口蓬風 河鹿 200401
妻の亡きただの夜長となりにけり 小泉豊流 酸漿 200401
クルーズに夜長楽しむ街明り 小松渓水 酸漿 200401
香木の揺蕩ふ雨の夜長かな 中島紅からす 草の花 200401
晩学を睡魔の襲ふ夜長かな 松山正江 河鹿 200402
忍びよる老や夜長は暗き海 中元英雄 河鹿 200402
亡母を語りて倦まぬ夜長の三姉妹 丹生をだまき 京鹿子 200402
縫ひ合す端布と会話する夜長 平居澪子 六花 200402
寂聴の法話の中の夜長かな 江成幸子 帆船 200403
サリー着て旅の夜長を愉しめり 竹内喜代子 雨月 200403
夜長の灯尖り突き出す写楽の顎 三浦澄江 ぐろっけ 200403
夜長し吐息吹込む紙風船 橘沙希 月の雫 200404
片耳が途方にくれてゐる夜長 橘沙希 月の雫 200404
一燈を残し夜長の灯の消ゆる 栢森定男 風よ 200407
喪ごころのつのれる夜長不整脈 橘澄男 山景 200408
江戸言葉つと出て酒舗の夜長し 橘澄男 山景 200408
天帝の威に怯えゐるビル夜長 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
又今日も夜長の稿に向ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200409
かの日より夜長倦むてふこと知らず 稲畑汀子 ホトトギス 200409
岳麓の旅を語らん夜長かな 稲畑汀子 ホトトギス 200409
枷の如夜長の稿に向ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200409
夜長かな一人の時間使ひきり 能村研三 200411
周平の「義民」鳩首の夜長かな 荻野嘉代子 春燈 200411
俎板に塩素ふりかけ夜長なり 土肥屯蕪里 雲の峰 200411
猫が鈴鳴らして通る夜長かな 浅川正 雲の峰 200411
夜長妻哀れ私を介護する 堀内一郎 あを 200411
火の酒のカクテル夜長また夜長 泉田秋硯 200412
脇坂藩赤穂家来の夜長かな 鈴木榮子 春燈 200412
文鳥に声かけてゐる夜長かな 中條睦子 万象 200412
沈き笑ひさせて夜長の受賞作 石渡芳枝 200412
「初恋を偲ぶ会」に招ばれし夜長かな 平田紀美子 風土 200412
ジャズを聴く夜長ひとりにふさはしく 寺島順子 雨月 200412
支線夜長乗客の減るばかりなる 松崎鉄之介 200412
手と足を撫でやる夜長来りけり 村越化石 200412
抱きしめて眩いてみる夜長かな ことり 六花 200501
松籟や夜長に捲くるかの子伝 信崎和葉 六花 200501
ふたりゐてひとりの夜長たのしめり 藤原照子 200501
夜長さの白湯吹き窪め吹きくぼめ 坂ようこ 200501
夫も子も帰らぬ夜長句作せり 村瀬八千代 遠嶺 200501
聾ひて死と向き合へる夜長かな 泉田秋硯 200501
退屈な音の運びに夜長添ひ 宮津昭彦 200501
夜長 3      

 

2021年9月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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