夜なべ 1    100句

夜業  夜なべ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
かたはらへ雨漏りそめし夜なべかな 安田吟水 ホトトギス 199509
継ぐといふことのさみしき夜なべかな 鷹羽狩行 199811
それぞれに気儘な夜なべ家族かな 能村研三 199901
雲の上なること忘れ夜なべかな 鷹羽狩行 199908
眠る子を覚まさぬやうに夜なべの灯 田中美幸 199911
切躾余し夜なべの灯を消しぬ 辻のぶ子 俳句通信 199912
梅漬けて妻の夜なべのきりもなし 海上俊臣 酸漿 200009
なほ二三稿債残し夜なべ置く 稲畑汀子 ホトトギス 200009
夜なべして伯父の自序伝読み終えて 篠田三七子 いろり 200011
握り飯夜なべの巫女にとどきけり 小菅高雪 春耕 200011
夜なべして足袋を繕ふ老眼鏡 永野秀峰 ぐろっけ 200012
ほろほろと夜なべの爪の乾くなり 西田孝 200012
夜なべして蜥蜴とジンの匂いかな 村山半信 海程 200012
ラジオ消え夜なべの音も消えにけり 長浜好子 円虹 200101
夜なべ置くあしたがけふとなりにけり 塙告冬 ホトトギス 200101
夜なべする母にすすきの匂ひせり 浅沼久男 200101
おそひ来る睡気ふたたび夜なべ置く 稲畑汀子 ホトトギス 200109
坊が妻木綿注連綯ひて夜なべかな 鰍澤真佐子 春耕 200112
夜なべに厭き心遊んでゐるばかり 綿谷美那 雨月 200201
夜なべ終ふ紅茶にレモンたらしゐて 熊谷みどり いろり 200202
夜なべする母はいつもの鼻眼鏡 大谷茂 飛白 200208
小机でこと足る夜なべ俳諧師 鷹羽狩行 200210
昼になき知恵つぎつぎと夜なべかな 鷹羽狩行 200210
よき星の下に生れて夜なべかな 暮岸江 銀化 200211
夜なべして旅いつぱいの柿の皮 小林馨 万象 200212
見回してかばかりの捗(はか)わが夜なべ 鷹羽狩行 200309
夜なべして母の遺愛の眼鏡借る 久保田雪枝 雨月 200311
ひとやすみせよと夜なべの母の声 鷹羽狩行 200311
絎台や夜なべする妻すでに亡く 小泉豊流 酸漿 200401
夜なべしてルーペの文字の立ち上る 中村洋子 風土 200401
いとど出で夜なべの影を賑はせり 渡邉友七 あを 200402
夜なべして後ろの山の眠られず 貝森光大 六花 200412
妻と夫音を違へて夜なべかな 橋本くに彦 ホトトギス 200501
おしやべりも快調をみな集り夜なべ 定梶き悦 ホトトギス 200501
一点が字となるルーぺ夜なべの灯 林加寸美 ホトトギス 200501
老社友語る夜なべに聴き入りし 浅井青陽子 ホトトギス 200501
失ひし恋を秘めたる夜なべかな 副島いみ子 ホトトギス 200501
ながら癖今に引き摺りゐる夜なべ 林加寸美 ホトトギス 200501
虫の這ふやうに字が見え夜なべ措く 林加寸美 ホトトギス 200501
夫の寝ね子の寝ね夜なべとはなりぬ 日置正樹 ホトトギス 200501
恋故に捗る夜なべ人知らず 副島いみ子 ホトトギス 200501
漁火も疲れの見えてゐし夜なべ 定梶き悦 ホトトギス 200501
夜なべの灯のれん仕舞ひし店の奥 橋本くに彦 ホトトギス 200501
襷解くささくれの指夜なべ終ふ 橋本くに彦 ホトトギス 200501
夜なべ置きふつと終りし恋のこと 副島いみ子 ホトトギス 200501
針穴の見づらくなりし夜なべかな 鈴木蕗子 築港 200501
耳と口会話にあづけ夜なべの手 田丸千種 ホトトギス 200501
吾も又夜なべの母となつてをり 田丸千種 ホトトギス 200501
鯨尺で肩叩きては夜なべせり 亀澤淑子 万象 200502
故郷や路地曲るとき夜なべの灯 木内憲子 200503
原稿の二三残して夜なべ閉づ 稲畑汀子 ホトトギス 200509
ワープロに向かひすなはち夜なべかな 稲畑汀子 ホトトギス 200509
うたた寝をして又夜なべつづけけり 稲畑汀子 ホトトギス 200509
又うつらうつら夜なべを切り上げん 稲畑汀子 ホトトギス 200509
染筆の夜なべとなつてしまひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200509
みな老いて夜なべの筬の絶えにけり 得田武市 河鹿 200510
七夕や夜なべしごとの糊のあと 斉藤裕子 あを 200511
目薬をさして夜なべにとりかかる 有元文子 風土 200512
夜なべなどする気も無くて老いたりな 斉藤陽子 雨月 200512
夜なべして原稿一つ書き上がる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200609
投句して夜なべを終へし安堵かな 木暮剛平 万象 200611
忙中閑消えて「二十句」夜なべかな 舘泰生 風土 200701
籾殻の山となりたる夜なべかな 小林馨 万象 200701
夜なべの背まるく絹糸はじく母 山元志津香 八千草 200704
前後して隣家も消しぬ夜なべの灯 鷹羽狩行 200710
ちちははの夜なべや曲尺鯨尺 辻直美 200710
ぬくもりを残し夜なべの部屋を出づ 鷹羽狩行 200710
まどろみの身を正しては夜なべかな 鷹羽狩行 200711
卓袱台の夜なべめきたる燈下かな 岡本眸 200711
夜なべして繕ふことも久しけれ 萩谷幸子 雨月 200712
うたたねの覚めて夜なべの輪に入りぬ 山本喜朗 雨月 200712
崩さざる母の正座よ夜なべの燈 府川房江 遠嶺 200806
句を作る時はいつでも夜なべ妻 須賀敏子 あを 200811
夜なべまだつづく鳩舎に鳩ねむり 定梶じょう あを 200901
針だこをなめつつ夜なべ仕舞かな 八田木枯 晩紅 200908
夜なべの灯ひとり点せる机辺かな 安立公彦 春燈 200911
節つけて物を言ふ癖夜なべ妻 山田六甲 六花 200911
篝火に野良の夜なべのはるかなり 鈴木セツ 200912
夜の秋記憶の父の夜なべ音 小澤正信 200912
夜なべの灯言葉少なに刻が過ぐ 米山喜久子 200912
あくびして夜なべの母のもと去らず 田中春生 200912
夜なべの灯一つづつ消ゆ木曽漆 富田範保 201001
遠き日の母の夜なべや柚煮詰め 阿部悦子 酸漿 201003
十二時へ針のそばだつ夜なべかな 鷹羽狩行 201009
区切り付け眼鏡を夜なべ稿の上 布川直幸 201010
お手玉の柄撰ることも夜なべかな 加古みちよ 火星 201012
母真似て運針をする夜なべの灯 加古みちよ 火星 201012
夜なべせり空気のやうに夫置いて 田所節子 201101
手火鉢に膠溶きつつ夜なべせる 石川裕子 万象 201102
夜なべする母の隣りで睡るわれ 續木文子 あを 201102
車座に渋柿を剥く夜なべかな 柳澤宗正 万象 201108
夜なべ終ふ月たかだかと上がりけり 海村禮@子 春燈 201201
夜なべして母と娘が仲直り 林哲夫 ぐろっけ 201202
咳払ひに安堵の夜なべふたり住み 塩路隆子 201202
灯を洩らしまだ起きてゐる夜なべかな 池田光子 201210
脈々とをんな仕事の夜なべかな 松岡和子 201301
少年の竹槍尽きし夜なべかな 鴨下昭 201301
菜食の母の背しゃんと夜なべの灯 鈴木夕起子 信州からの風 201302
夜なべ置きたるより眠くなくなりし 今井千鶴子 ホトトギス 201302
夜なべ →2      

 

2023年9月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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