団 扇 4    100句

美人繪の團扇持ちたる老師かな    高浜虚子

うちわ  団扇

作品
作者
掲載誌
掲載年月
源氏名の風送りたる古団扇 津田富司 201208
源氏名を朱書の団扇そば処 藤見佳楠子 201209
やはらかな団扇の風をいただきぬ 十川たかし 201209
泥鰌屋に貰ひし団扇すぐ使ふ 北崎展江 くりから 201209
団扇風寝てばかりゐるおかあさん 篠田純子 あを 201209
団扇風質素を旨の峡暮し 能勢栄子 201210
団扇より拡ぐる内緒話かな 野坂民子 馬醉木 201210
江戸川へぞろぞろとくる団扇かな 望月晴美 201210
小刻みの団扇につもる無聊かな 荒井千瑳子 201210
主婦の座を明け渡したる渋団扇 前田恵美子 青鷹 201210
寝入りたる曽孫の手ゆるみ団扇置く 加藤八重子 末黒野 201210
そよ風に恋の語らひ団扇椰子 福島せいぎ 万象 201210
団扇風しみじみと見る坐りだこ 木戸渥子 京鹿子 201211
団扇手にエコエコエコとまどろみぬ 林美智 ぐろっけ 201211
余生とは余れる至福団扇風 三浦澄江 ぐろっけ 201211
生き死にを越え来し伯父の渋団扇 織田高暢 201211
呉服屋のあがり框に団扇かな きくちきみえ やぶれ傘 201212
渋団扇浮世の憂さは捨てたかに 高田風信子 京鹿子 201301
絵団扇に猫の目したる女の子 大島英昭 やぶれ傘 201309
居眠りの団扇揺らしてゐるつもり 大島英昭 やぶれ傘 201309
飾り馬をあふぐふたりの大団扇 山田美恵子 火星 201309
百年の上がり框の渋団扇 松岡和子 201310
難読の荷風日記や白団扇 小局昭夫 春燈 201310
寄り合ひの上座下座と団扇かな 岡田史女 末黒野 201310
絵団扇の風と語らふ「安房」のこと 望月晴美 201310
祭団扇貰ひて心弾むかな 大橋晄 雨月 201310
団扇手に「芝浜」を聞く昼の寄席 有賀昌子 やぶれ傘 201310
戦利品のやうに祭りの団扇かな 石田きよし 201311
去年団扇少し色褪せ風同じ 池田久恵 ぐろっけ 201311
心傾けて語れる団扇かな 竹下陶子 ホトトギス 201312
一塊の空気動かし来る団扇 稲岡長 ホトトギス 201312
里春の名入れ団扇も旧りしかな 安原葉 ホトトギス 201312
おぞましきをのこありけり捨団扇 山崎青史 ろんど 201312
気がつけば三人の子の団扇風 寺岡ひろし 雨月 201312
長老の団扇のおいでおいでかな 山本耀子 絵襖 201404
ティッシュ配り団扇配りへ替りゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
あるだけの団扇を出して客設 稲畑汀子 ホトトギス 201407
熟考の間も動く団扇の手 高橋将夫 201408
御八つ時団扇の風を良しとして 長崎桂子 あを 201409
街川の灯影離れぬ団扇かな 中田みなみ 201409
団扇とはをみな言葉とおもひけり 山田六甲 六花 201410
祖母のつかふ団扇の風は祖父に向け 有松洋子 201410
扇ぐたび団扇の写楽にらみけり 和田幸江 春燈 201410
空返事らしき団扇のリズムなり 甲州千草 201410
渋団扇火の用心の墨字剥げ 大島寛治 雨月 201410
欄干に依りて団扇を使ひをり 藤井美晴 やぶれ傘 201410
手に馴染む母の手擦れの渋団扇 粟倉昌子 201410
方丈さんへ祖母にならひし団扇風 小林成子 火星 201410
ソーランの揃ひ拍子や腰団扇 森田利和 201410
友よりの旅のしるしや飛騨団扇 吉田きみえ 末黒野 201411
さりげなく読経の僧へ団扇風 大川暉美 末黒野 201411
団扇もて軍師の弾く勢ひ水 吉田葎 201411
団扇風しやべるクマモン挟みては 岡田桃子 201411
絵団扇の軍配と化す砂被り 元橋孝之 京鹿子 201411
風追つて風の生まるる団扇かな きくちきみえ やぶれ傘 201411
山里の腰に団扇の農ひとり 元橋孝之 京鹿子 201411
街騒を抜け欄干の白団扇 丹羽武正 京鹿子 201411
深川の風を団扇にさそひけり 岸上道也 京鹿子 201411
かたくなに団扇はなさぬ老夫婦 河島坦 京鹿子 201411
団扇絵の閻魔の皓歯風を吐く 山田夏子 雨月 201411
飾り団扇骨八十の綺羅なせり 三輪温子 雨月 201411
捨団扇オール電化の話など 佐瀬晶子 ろんど 201412
硝子戸に飾られ秋の奈良団扇 杉浦典子 火星 201412
面白き葉団扇楓もみぢかな 園部早智子 ろんど 201502
水団扇長良遠しと思ひつつ 後藤比奈夫 ホトトギス 201504
厄除けの団扇さづかる梅の寺 山田春生 万象 201505
うつむきて聞こえぬふりの団扇かな 吉村さよ子 春燈 201508
人生に犠打もありけり渋団扇 小松誠一 201508
渋団扇おき釣人に櫂をさす 渡たみ 馬醉木 201509
団扇にて隠す本音のありにけり 藤井彰二 馬醉木 201509
病むひとに藍染団扇選びけり 川勝ミヨ 馬醉木 201509
民宿の生臭きかな渋団扇 前田美恵子 201509
絵団扇のピカソの目玉飛び出せり 黒滝志麻子 末黒野 201509
退職の夫の寝癖や渋団扇 川崎真樹子 春燈 201509
明けやらで踊り団扇の踏まれあり 山田六甲 六花 201509
配られし団扇を使ひ帰途につく 安藤久美子 やぶれ傘 201510
こだはりの書肆の奥棚団扇風 能村研一 201510
添ひ寝子に母の団扇のぱたと落つ 堀田清江 雨月 201510
繰り言をまたも飲み込み渋団扇 石黒興平 末黒野 201511
絵団扇の隠す媼の欠伸かな 東小薗美千代 末黒野 201511
歌麿の絵団扇江戸の風生る 東小薗美千代 末黒野 201511
川風の機嫌よろしき渋団扇 北川孝子 京鹿子 201512
大団扇あふぎて忍者見習ひ中 岸本順子 京鹿子 201601
静けさや団扇の竹の撓る音 落合由季女 雨月 201602
拳骨に毛の生えてゐる団扇かな 岡田一夫 201602
船乗込待つ絵団扇や小桟橋 水原秋櫻子 馬醉木 201608
団扇風小分けに使ひもてなせり 武田巨子 春燈 201608
おぼえ書き団扇に書いてあふぎけり 山田六甲 六花 201608
伏す人へひねもす送る団扇風 コ田千鶴子 馬醉木 201609
団扇手にとほき端居の父憶ふ 安立公彦 春燈 201609
渋団扇分厚き風を起こしけり 松井季湖 201609
先頭は団扇シャカシャカ早足で 笹村恵美子 201609
和紙に透く葉脈美しき団扇かな 大森慶子 201609
渋団扇昭和の風を起しけり 石田朝子 末黒野 201609
あぢさゐの赤と紫江戸団扇 田中たつを 雨月 201609
はたと止む団扇の波や土俵際 松本美代子 京鹿子 201609
渋団扇話まとまりさうもなく 松本美代子 京鹿子 201609
軍配の団扇あふげり大相撲 藤田美耶子 201609
大風とそよ風起す渋団扇 長崎桂子 あを 201609
状差しに覗く美人絵古団扇 谷島弘康 末黒野 201610
団扇→5      

 

2021年7月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。