団 扇 3    110句

美人繪の團扇持ちたる老師かな    高浜虚子

うちわ  団扇

作品
作者
掲載誌
掲載年月
天空に魂ぬけてゆく団扇かな 中野京子 200611
一政の金魚の泳ぐ大団扇 山岡季郷 馬醉木 200611
団扇手にとれば何となく煽ぐ 柴田佐知子 200611
八十が不思議でならぬ古団扇 立石萌木 雨月 200701
ええ仕事しまつせ団扇買うてんか 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
一番風呂はや出て団扇つかひをり 小林清之介 風土 200709
転寝の手より逃れし団扇かな 横田初美 春燈 200709
バスの客宣伝団扇にて煽ぐ 岡有志 ぐろっけ 200709
連山を軽く叩ける団扇かな 高倉和子 200709
想ひ出の一つに母の団扇風 坪井洋子 200709
渋団扇置かれし愛染不動かな 延広禎一 200710
一人居の素顔に親し古団扇 小野寺節子 風土 200710
正論と切り捨てられし団扇かな あさなが捷 200710
手に団扇ありて夕風呼びにけり 村越化石 200710
わが余生団扇の作る風でよし 松田都青 京鹿子 200710
長良川堤を下りて団扇買ふ 大西八洲雄 万象 200711
相槌をうちつ団扇の風送る 山口天木 雨月 200711
蛇見しと団扇を宙にをどらして 竹下陶子 ホトトギス 200802
渋団扇配りて老舗店を閉づ 平賀扶人 馬醉木 200807
手作りの風こころよし団扇店 塩路隆子 200809
久々に使ふ団扇や生家土間 小澤菜美 200809
大津絵の鬼高笑ふ団扇風 泉礼子 馬醉木 200809
決心のつきてあふぎし渋団扇 石寒太 炎環 200809
濡れ縁にめがねと団扇置かれあり 木村佳寿江 炎環 200809
帯にはさむ団扇一本佃つ子 大西八洲雄 万象 200809
黄昏の一葦の水に団扇かな 吉弘恭子 あを 200809
団扇風子に送る母眼は遠く 鎌倉喜久恵 あを 200809
文明を吾がものとせず団扇風 宮崎左智子 200810
手に団扇四囲壮観の観覧車 山口キミコ 200810
居眠りの胸の上にある団扇かな きくちきみえ やぶれ傘 200810
撓らせて風ゆたかなり奈良団扇 丑久保勲 やぶれ傘 200810
大澁団扇を省二ゆつくり使ふかな 水野恒彦 200811
吾子達を団扇の風と育てたり 堤陽子 遠嶺 200811
宿場町厨に残る渋団扇 西氏宣子 遠嶺 200811
団扇よりこの世の風の暑さかな 菊谷潔 六花 200811
老人の語りになじむ団扇かな 市村健夫 馬醉木 200812
臥す父に祭団扇の風送る 石川等 200812
骨だけの団扇波間に漂へる KOKIA 六花 200812
沈黙をかき混ぜてゐる団扇風 北島和奘 風土 200901
団扇絵の閻魔の怒りはみ出せる 宮平静子 雨月 200901
元政の深草団扇孝の風 林日圓 京鹿子 200907
はんなりと来てつと消えし団扇風 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
ひとり者「京鹿子」句の団扇 新関一杜 京鹿子 200908
団扇撒一つに百の手が伸びて 大橋晄 雨月 200908
鯖を焼く炭火を熾す渋団扇 山田六甲 六花 200908
いつまでも寝癖直さぬまま団扇 吉田希望 200909
持ち替へて風新しき団扇かな 青山正英 200909
鷹揚な風賜はれり京団扇 伊藤洋子 200909
寧らぎや手描き団扇の風にゐて 小澤菜美 200909
名刹の団扇の風を見舞とす 濱田カノエ 酸漿 200909
やさしさの団扇の風や懐かしき 羽賀恭子 200910
棚経のすむまで団扇風送る 大坪景章 万象 200910
聞き流すことにも慣れて団扇風 上原恒子 雨月 200910
古びたる家の鴨居に団扇かな 坂本幸子 酸漿 200910
大団扇したり顔して児が遣ひ 和田郁子 200911
風送る団扇に文字の神楽坂 水谷洋子 十進法 200911
手枕の父もう在らず団扇風 半澤正子 馬醉木 200911
立ち呑みの肘突台の団扇かな 荒井和昭 200911
見下さるのみの病床豆団扇 相良牧人 200911
動かない空気動かす渋団扇 松田都青 京鹿子 200911
もちかへて風あらたまる団扇かな きくちきみえ やぶれ傘 200911
ひとり居の手持無沙汰や奈良団扇 藤見佳楠子 201007
形見なるほゝけし団扇手に取りて 稲畑汀子 ホトトギス 201007
古団扇使ふことなきまま置かれ 稲畑汀子 ホトトギス 201007
講釈を添へておまけの渋団扇 藤野力 馬醉木 201008
元政の短歌を刷りし団扇かな 林日圓 京鹿子 201008
納涼や楊貴妃絵図の絹団扇 ことり 六花 201008
七転び八起きを描き福団扇 大松一枝 201009
しなやかに動く手首や団扇風 宮崎左智子 201009
饒舌の人に忙しき団扇かな 千田敬 201009
夕暮れの団扇片手に唄愉し 筒井八重子 六花 201009
閻魔団扇の激怒に恐れ入りますと 大橋敦子 雨月 201009
閻魔団扇の激怒に畏まって候とも 大橋敦子 雨月 201009
病む母の眼指遠し古団扇 工藤美和子 酸奬 201009
百ばかり煽ぎし母の古団扇 井上淳子 火星 201010
今日を謝し姉に送るや団扇風 仙石君子 雨月 201010
気遣ひを団扇の風に乗せてくる 安居正浩 201010
小説の佳境か団扇動かざる 山田孝枝 酸奬 201010
左手の衿を浮かせる団扇かな 東亜未 あを 201010
うしろから団扇の人のかをりくる 吉弘恭子 あを 201010
団扇すてし女と見ばや門楸 松尾竹後 ぐろっけ 201011
縁側に程よく馴れし団扇置く 秋千晴 201012
絵団扇の美女しなやかや風を生む 岡野里子 末黒野 201012
裾端折る腰に団扇の男衆 稲垣佳子 末黒野 201104

 東日本大震災

泣きむしの爺に少女の団扇風

山尾玉藻 火星 201107
土産なる団扇飛騨路と大書され 田中藤穂 あを 201107
手団扇で綿毛を払ふ五月かな 松村光典 やぶれ傘 201108
節電の話などのせ団扇風 黒澤登美枝 201108
団扇太鼓橋渡りゆく薄暑かな 松井志津子 201108
団扇美人ファッション街の夕そぞろ 鈴木照子 201109
群青の滝の一句や奈良団扇 水原春郎 馬醉木 201109
あるかなしの風呼び入れて絹団扇 高木曽精 春燈 201109
蒲葵くば団扇ときをり婆娑と衣かすめ 呉屋菜々 万象 201109
節電と書きたる団扇京老舗 浅岡麻實 末黒野 201109
すみませぬと閻魔団扇に詫び言ひて 大橋敦子 雨月 201109
浮世絵の団扇の風をもらひけり 川崎良平 雨月 201109
テキストを団扇代はりに深呼吸 角谷美恵子 ぐろっけ 201109
受付に団扇の並ぶ接骨院 須賀敏子 あを 201109
入り王にとんで香車や団扇風 吉弘恭子 あを 201109
宣伝の団扇派手目や繁華街 飯田美千子 201110
港絵の団扇風来るベニスかな 宮田香 201110
節電と書かれし団扇拾ひけり 涼野海音 火星 201110
節電といへり団扇の紙はがれ 大坪景章 万象 201110
病む人の団扇の風にただ眠る 荻野加壽子 万象 201110
父の背に祖母在りし日の団扇風 コ田千鶴子 花の翼 201111
団扇背に差せば踊り手米寿翁 手島靖一 馬醉木 201111
配られし祭団扇の小さかり 榎本桂子 万象 201111
手にとりし思ひ出団扇に影動く 小野寺節子 風土 201111
夕風に団扇の風を重ねけり 白石正躬 やぶれ傘 201112
梅花藻の団扇珍らか妙なれや 大橋敦子 雨月 201201
団扇→ 4      

 

2021年7月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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