卯 浪      156句

あるときは船より高き卯浪かな    鈴木真砂女

卯波  卯浪  卯月波(浪)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
俯瞰して明るき卯浪見え隠れ
稲畑汀子
ホトトギス
199905
宮島へ渡る五分の卯浪かな
稲畑汀子
ホトトギス
199905
大橋に卯浪つなぎて淡路島
稲畑汀子
ホトトギス
199905

 祝 稲岡卓様ご結婚

卯浪越えゆけば届ける未来あり

稲畑汀子
ホトトギス
199905
原子力空母卯浪を蹴立て発つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
199905
満潮の磯に卯浪膨れくる
春田淳子
俳句通信
199906
傳説の松伸びてゆく卯浪寄せ
梅原悠紀子
遠嶺
199908
卯浪散る埠頭の鉄路錆び深し
内藤八重
俳句通信
200007
夕星のこぼれて引きし卯浪かな
内藤八重
俳句通信
200007
卯浪その相剋を世も忘れざる
泉田秋硯
月に逢ふ
200103
大渦も小渦も卯浪なりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200105
戻り路の渦を平らにせし卯浪
稲畑汀子
ホトトギス
200105
百八十人乗りの船卯浪寄す
稲畑廣太郎
ホトトギス
200105
つながれて卯浪に軋む巡視艇
朝妻力
俳句通信
200106
卯浪立つ下田港の通ひ妻
安達加寿子
200108
卯浪立ち日がな船見ぬ佐渡の海
江木紀子
雨月
200109
父ありし日の岬あり卯浪立つ
川端和子
星月夜
200112
大川を繋ぐ卯浪でありしかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200205
卯浪越えゆかん仕事も楽しみも
稲畑汀子
ホトトギス
200205
卯浪蹴り一本釣りの帰帆船
林和子
200208
声届きさうな淡路へ卯浪越ゆ
田中子
円虹
200208
立膝の黒衣に卯浪はしり来る
城孝子
火星
200209
瀬戸大橋と卯浪一と越えタオルの街
金澤明子
火星
200209
ひそやかに漂泊の夢卯浪立つ
祐森彌香
遠嶺
200210
秋燕の疳高きかな阿波卯浪
黒田咲子
200211

 悼 鈴木眞砂女様

卯浪まだ立たざるに逝きたまひけり

松崎鉄之介
200305
卯浪立つ昼をひとりの焼むすび
塙三千男
馬醉木
200308
空海も最澄も発ちし海卯浪
堀田清江
雨月
200308
佐渡見ゆる良寛堂や卯浪立つ
田下宮子
200309
海峡の卯浪激突かもめ散る
石岡祐子
200309
逆さ富士崩して伊豆の大卯浪
藤岡紫水
京鹿子
200309
卯浪にも馴れたとメール部活生
松原安治
遠嶺
200310
卯浪立つ海裏返り裏返り
山崎ミチ子
帆船
200406
寄せ返す卯浪砂丘に夜もすがら
田中芳夫
200407
太平洋見て来し卯浪荒るる日に
稲畑汀子
ホトトギス
200505
由比ヶ浜稲村ヶ崎卯浪立つ
直井たつろ
風土
200507
燈台の礁に荒き卯浪かな
神田一瓢
雨月
200507
卯浪の色違ふ島裏島表
落合絹代
雨月
200508
卯浪見て終着駅を引き返す
萩谷幸子
雨月
200508
やがて月出でて照らさむ夜の卯浪
今井千鶴子
ホトトギス
200510
卯浪寄す湾末広に千賀の浦
小島左京
ホトトギス
200511
卯浪寄す大和の時代近づけて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200605
卯浪はるかに逆叉を飼ひ慣らし
辻美奈子
200607
一湾の卯浪乗り切る少女の帆
室伏みどり
雨月
200608
卯浪寄すわが郷愁の港町
溝内健乃
雨月
200608
鍵盤を叩く指先卯浪かな
中村星児
八千草
200608
猿岩の果ては卯浪に壱岐の國
後藤洋子
ぐろっけ
200609
生涯のしまひは寝かす卯浪かな
水野恒彦
200610
卯浪立ちがつんと渡船着岸す
山田天
雨月
200701
卯浪立つ東京湾を発ちしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200705
卯浪立つ高き心の移民の碑
大橋晄
雨月
200708
殉教徒発ちしてふ磯卯浪寄す
森脇貞子
雨月
200708
両津へのジェットフォイルに寄す卯浪
市橋香
ぐろっけ
200708
卯浪見ることに遠州灘に彳ち
嶋田一歩
ホトトギス
200709
さう言はれさう見る卯浪立ちて来る
嶋田一歩
ホトトギス
200709
途中富士見ることできて卯浪見る
嶋田一歩
ホトトギス
200709
砲台跡は攘夷の証卯浪立つ
落合絹代
雨月
200709
流木へとどかず返す卯浪かな
加藤季代
万象
200710
卯浪うつ礁のしぶき風信帖
南一雄
200711
卯浪越えゆかねばならぬ旅路かな
稲畑汀子
ホトトギス
200805
いひそびれしことば卯浪の攫ひゆく
近藤紀子
200807
卯浪立つ地名に偲ぶ平家の世
和田一
雨月
200807
岩々が咲かす卯浪や犬吠埼
鷹羽狩行
200808
灯台の隠れ岩にも卯浪寄す
鷹羽狩行
200808
冠島沓島みえて卯浪かな
谷村幸子
200808
アフロディテ生るる泡かも卯浪立つ
岩月優美子
200808
震禍越え神戸の港卯浪立つ
大橋晄
雨月
200808
港町の風の陸橋卯浪寄せ
溝内健乃
雨月
200808
どこ行きのバスもどこかへ卯浪立つ
中原幸子
船団
200809
島裏へ回りて卯浪どんと打つ
岩垣子鹿
ホトトギス
200811
卯浪寄す銀座の老舗一つ消え
稲畑廣太郎
ホトトギス
200905
卯浪越えゆける大橋渡りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200905
船酔を怖れし人も乗る卯浪
稲畑汀子
ホトトギス
200905
卯浪越え来しも阿波へは陸つゞき
稲畑汀子
ホトトギス
200905
渦を巻くやうで巻かざる卯浪かな
稲畑汀子
ホトトギス
200905
阿修羅の前わが胸中に卯浪立つ
千田敬
200907
汐木負ふ独りに夕べ卯浪立ち
渡辺昭
200907
那智越の棚田にひびく卯浪かな
小山香月
酸漿
200907
白砂の流人の泪卯浪立つ
武田漣
炎環
200908
外洋のさだかならずに卯浪立つ
東野鈴子
雨月
200908
卯浪寄す水平線を糺しつつ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200911
小名木川卯浪に倦んでをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
対岸は妹の国卯浪寄す
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
大橋に来て歪みたる卯浪かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
湾は凪ぎ島裏白き卯浪かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
卯浪寄す潮の息とも鼓動とも
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
暮れなづむ砂丘の虜囚卯浪呼ぶ
泉田秋硯
201008
豪華船停泊卯浪穏しかり
大橋晄
雨月
201008
卯浪寄す横一列に隊なして
太田寛郎
201011
継続は力なりけり卯浪寄す
稲畑廣太郎
ホトトギス
201103
0十年てふ館の未来へ卯浪寄す
稲畑廣太郎
ホトトギス
201105
あの橋の先は卯浪を寄せる色
稲畑廣太郎
ホトトギス
201105
卯浪寄す港イージス艦の黙
稲畑廣太郎
ホトトギス
201105
卯浪越え来たる旅路の大橋に
稲畑汀子
ホトトギス
201105
神業めくタワーの高さ卯浪越
村上すみ子
201108
卯浪寄す九鬼水軍の興りし地
柴田良二
雨月
201108
川幅が卯浪を呼んでをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201111
渦巻いて卯浪ぶつかり合ふところ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201111
牙を剥く卯浪と知りて怖れけり
稲畑汀子
ホトトギス
201205
卯浪見てゐて被災地に置く心
稲畑汀子
ホトトギス
201205
少し渦巻ける卯浪を越えて旅
稲畑汀子
ホトトギス
201205
接岸の艇を卯浪の引き離す 荒井千佐代 201207
離島せば船窓叩く卯浪かな 甕秀麿 201209
曽祖父の島へ卯浪の手漕ぎ舟 長山あや ホトトギス 201210
卯浪越えゆかねばならぬ旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 201305
阿波近き俯瞰渦巻く卯浪かな 稲畑汀子 ホトトギス 201305
夕富士の影一湾の卯浪かな 河野美奇 ホトトギス 201310
嫁ケ島時に沈めて卯浪かな 藤呈念 ホトトギス 201310
相州の富士へかむさる卯浪かな 井上石動 あを 201306
卯浪寄す渚に恋を語りし日 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
快晴の卯浪越えゆく旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 201405
卯浪越えゆける旅路を折返す 稲畑汀子 ホトトギス 201405
陸奥の御魂鎮めの卯浪かな 笠井清佑 201407
遙か来て真砂女の海の卯浪かな 中田みなみ 201407
子の郷へ卯浪に揺られ急ぎ旅 川崎利子 201407
身の内に一問一答卯浪立つ 間島あきら 風土 201408
湾の奥へ火急の用事荒れ卯浪 田部井幸枝 201409
どんと卯浪利尻の岬の音羽の碑 上家弘子 ろんど 201410
伊勢湾の絵画の展示卯浪かな 長崎桂子 あを 201508
卯浪寄す釣人達の午後の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
桂浜あの辺りとや卯浪寄す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
大橋を渡る卯浪の光る中 稲畑汀子 ホトトギス 201605
人住まぬ島へまぶしき卯浪かな 松本三千夫 末黒野 201608
ますほの小貝拾ふ卯浪の種ヶ浜 室伏みどり 雨月 201608
青卯浪梯子径なる句碑岬 和田照海 京鹿子 201609
卯浪立つ水平線の高くあり 湖東紀子 ホトトギス 201610
卯浪寄す水切り石を弾ませて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
卯浪寄す東京湾を俯瞰して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
空の旅とて卯浪越え来し思ひ 稲畑汀子 ホトトギス 201705
真砂明の忌日近づく卯浪かな 古居芳恵 201707
杖ついて卯浪の船に立つてをり 柴田志津子 201709
濃き青に明るき白に卯浪立つ 立村霜衣 ホトトギス 201710
海荒く呼吸して卯浪となりぬ 立村霜衣 ホトトギス 201710
綺羅はこぶ卯浪風早西ノ下に 立村霜衣 ホトトギス 201710
卯浪寄す大阪湾を折り畳み 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
門潜るやうに卯浪の寄せ来たる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
橋桁となる島いくつ瀬戸卯浪 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
飛翔体落ち卯浪立つ日本海 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
卯浪立つ辺り地球の涯といふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
断崖を覗いて見れば卯浪の手 山田六甲 六花 201806
網元の土間は卯浪へつづきけり 栗坪和子 201807
大川の嵩を統べゆく卯浪かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
卯浪てふ鳴門の渦の叫びかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
歩き来し浜の長さや卯浪晴れ 門伝史会 風土 201908
日が差して時にやさしき卯浪かな 浜崎素粒子 ホトトギス 201910
卯浪立つ空母を沖に侍らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
卯浪越えはじまる土佐の旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 202005
遠くより白し卯浪の波頭 稲畑汀子 ホトトギス 202005
卯浪寄す絵島に小さき供養塔 和田華凛 ホトトギス 202009
子規保養せし須磨浦へ卯浪寄す 千原叡子 ホトトギス 202011
舫ひ綱ぎいと卯浪に応へけり 山下美典 ホトトギス 202110
卯浪寄す人工島を持ち上げて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202205
卯浪寄す底に英霊眠らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202205
湾を出る船に卯浪の打ち寄せる 佐藤稲子 やぶれ傘 202210
オートバイ次々止まる卯浪かな 中田みなみ 202304
卯浪立つ「愛はちから」のチャペルの碑 中田みなみ 202304

 

2023年5月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。