卯 波      196句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
卯波越えゆける旅路の晴となる 稲畑汀子 ホトトギス 199805
遙かより木屑寄り来し卯波かな 竹内悦子 199807
念入りに足拭いてをる卯波かな 竹内悦子 199808
卯波より虹の生まれて空近し 高木伸宜 船団 199811
松陰の潜みし小島卯波立つ 中西和子 船団 199811
ときじくの卯波なりける脛腓 岡井省二 199905
鳥影の一閃したる卯波かな 大槻久美 円虹 199909
韓やまと二分けざまに卯波立つ 秋葉雅治 199911
バンコク湾卯波の数を誰知るや マブソン青眼 海程 199911
蹠は卯波の砂を踏みゐたり 岡井省三 200005
浜茶屋は骨組みのまま卯波立つ 朝妻力 俳句通信 200006
能登卯波終と思ひし旅了へて 能村登四郎 200007
突堤に手を振る別れ卯波散る 木内美保子 六花 200008
桶押して卯波に乗りし徒人海女 中村翠湖 馬醉木 200009
石を積み舷ときに卯波越ゆ 品川鈴子 船出 200104
佐渡沖の卯波の騒ぐ礁かな 阿波谷和子 俳句通信 200107
帆柱が卯波にせめぐ船だまり 古川利子 200108
卯波航くホバークラフト弾みけり 宮津昭彦 200108
能登卯波終と思ひし旅了へて 能村登四郎 羽化 200110
湾口に砂嘴のせりだし卯波寄す 渡辺昭 200206
断崖に小さき祠卯波立つ 辰巳陽子 雲の峯 200207
灯台は若者ひとり卯波立つ 中川悦子 酸漿 200207
ヘリコプター発つ印度洋卯波際 品川鈴子 ぐろっけ 200207
江の島を沖へ動かす卯波かな 大沼眞 200208
卯波月頭の中透いてをりにけり 金澤明子 200208
積丹のカムイ伝説卯波立つ 芝宮須磨子 あを 200208
卯波立つみな中古車の駅埠頭 加藤たかね 風土 200209
卯波立つ岬の上の白き街 櫻井恭比古 帆船 200209
三間に満たぬ川口卯波寄す 朝妻力 雲の峯 200306
卯波立つ二見の浦に塩の神 山口たけし 雲の峯 200307
甌穴を見せて大佐渡卯波たつ 渡辺政子 雲の峯 200307
盥舟沖に卯波の見ゆる湾 阿波谷和子 雲の峯 200307
真砂女逝く生家に卯波遠からじ 高橋英子 ぐろっけ 200308
龍馬立つ視野の限りに卯波寄せ 久保知音 対岸 200309
クロイツエルソナタ卯波の立ちにけり 堀内康男 帆船 200401
戌の日の札受けてゐる卯波風 山田六甲 六花 200405
卯波立つまでは育たず和歌浦 山田六甲 六花 200405
卯波晴名工伊八は波刻む 能村研三 200406
群千鳥卯波びかりに旋回す 能村研三 200406
窓際に考へる人卯波立つ 今瀬剛一 対岸 200406
昼深し卯波の洗ふ地震の跡 川野喜代子 雲の峰 200406
墨痕の卯波となりし飛白かな 雨村敏子 200407
領布振の伝へ切なし卯波立つ 伊藤月江 雲の峰 200407
卯波立ち灯台の白少し老ゆ 北川英子 200407
卯波立つ真砂女の句碑は生家向き 杉本光祥 200407
卯波立つ安寿の母の七五調 今瀬剛一 対岸 200407
まつしろな船足早き卯波かな 三橋泥太 遠嶺 200408
朝日差す卯波真白きカーフェリー 三橋泥太 遠嶺 200408
野島岬二百七十度の卯波 三橋泥太 遠嶺 200408
潮騒に目覚め卯波を見てをりぬ 三橋泥太 遠嶺 200408
卯波越え江戸へ醸せし下り酒 高松由利子 火星 200408
浦賀水道刑場跡や卯波立つ 平田紀美子 風土 200408
九十九里弧のゆるやかに卯波たつ 内山花葉 200408
卯波さへゆりかごとせむ真珠貝 中尾公彦 200408
初午の奉納書の卯波かな 竹内まさ子 帆船 200504
卯波冷して帆船の帰港かな 小澤克己 雪舟 200506
等伯の波濤の竜へ卯波立つ 松波とよ子 春燈 200507
夕暮の窓いつぱいの卯波かな 江見悦子 万象 200507
卯波とは海女桶揺らす波のこと 遠野萌 200507
母性にもありし父性や卯波来る 中嶋陽子 風土 200508
借景は江の島なりき卯波立つ 舘泰生 風土 200509
海へ向く師弟の句碑や卯波寄す 中沢三省 風土 200509
卯波立つ誓子詠みたる海の門に 光野昌平 築港 200509
旅の夜の語りつくせぬ卯波かな 赤司美智子 酸漿 200602
赤松につゞく黒松卯波寄す 滝沢伊代次 万象 200605
気多卯波切れぎれに見え句碑生るる 成宮紀代子 200606
卯波とほし動物園に人混み合ふ 浜明史 風土 200607
卯波打つ絶壁岬流人島 坂上香菜 200608
護衛艦卯波を越えて帰還せり 谷村修二 200608
日輪の生るる卯波の立ちにけり 三沢蘭 遠嶺 200608
直筆にしのぶ人柄卯波風 小宮山勇 遠嶺 200608
卯波立つポケットサイズの時刻表 富沢敏子 200608
卯波立つ長八鏝絵竜うねり 中出敦子 200608
卯波濃しかなしい鮫を追ひつめて 柴田朱美 京鹿子 200608
遠見には海はも同じ卯波寄す 鈴木榮子 春燈 200706
卯波寄す灯台守の土佐がらす 鈴鹿仁 京鹿子 200707
紺碧の極まれば黒卯波立つ 黒辻美奈子 200707
鎌倉の古刹はるかに卯波立つ 山川好美 春燈 200708
イルカショー果てて眩しき卯波かな 木村冨美子 遠嶺 200708
卯波立つ沖に漁船の影かすか 伊東政勝 遠嶺 200708
卯波寄す利休の色の安房郡 田村すゝむ 風土 200709
卯波立つ丸くなりてはつまらなし 中条さゆり 200709
卯波立つ舟屋商ふつみれ汁 大井邦子 ぐろっけ 200710
梵鐘の余韻卯波に消えゆけり 廣見知子 200807
蛸壺に長き幹縄卯波立つ 山路紀子 風土 200808
ちちははの骨卯波する白銀河 小堀寛 京鹿子 200808
小千鳥の飛ぶ海峡の卯波かな 田中よしとも 酸漿 200808
卯波までひゞき仕舞の足拍子 川合まさお ぐろっけ 200808
巖頭に寄する卯波の潮煙 川口襄 遠嶺 200809
裂織の卯波まとへる心地とも 伊丹さち子 馬醉木 200906
老境や引き潮どきも卯波立ち 北川英子 200907
夜はさらに波音たかき卯波かな 都丸美陽子 春燈 200907
晴れやかな安房の卯波に迎へらる 河本由紀子 春燈 200907
駱駝坐し沖の卯波を見て動かず 泉田秋硯 200908
艫綱を解くや卯波の高けれど 川口襄 遠嶺 200908
卯波立つひと日濃くなる島の色 鹿島釣人 炎環 200908
卯波寄せ仁右衛門島の岩険し 川島澄子 酸漿 200908
胸CT検査を明日に卯波立つ 鈴木石花 風土 200908
卯波立つ天平人の越えし海 山本浪子 風土 200908
一身の発条を鍛へむ卯波たつ 山崎靖子 200908
卯波荒れ倭寇の島の見え隠れ 片山博介 春燈 200908
卯波立つベイブリッジは沖へ伸び 佐藤博重 春燈 200909
舞ひ上がる卯波を蹴つて島渡船 大竹欣哉 200909
國境ゆく五能線卯波寄す 國永靖子 ぐろっけ 200909
卯波寄す水平線をそこなはず 関根洋子 風土 200911
ライダーの一団卯波見てをりぬ 坂場章子 201002
卯波立つ火の跡しるき海蝕洞 松本三千夫 末黒野 201008
見下ろしてTOKYOBAYの卯波かな 関根洋子 風土 201008
指呼の間の塩屋岬や卯波晴 渡辺安酔 201009
機窓より竜飛岬の卯波かな 金山藤之助 201009
まづ卯波とらへ潜望鏡始動 和田照海 京鹿子 201010
漁夫渡る真珠筏に卯波立つ 鈴木愛子 ぐろっけ 201011
海女潜き卯波に遊ぶ桶二つ 大橋伊佐子 末黒野 201104
首塚を攻めあぐねゐる卯波かな 塩路隆子 201106
一艘の過ぎてし卯波また卯波 定梶じょう あを 201106
卯波立つ離島減らしの橋架かる 能村研三 201107
卯波よりたちあがりたる智挙印 西村純太 201108
わだかまりを卯波に乗せて遠ざくる 近藤紀子 201108
遥か来ししまなみ海道卯波立つ 金山藤之助 201109
夫たちの特攻の碑や卯波立つ 小野口正江 末黒野 201109
大いなるものに包まれ卯波立つ 山田佳子 201109
百里来し人と卯波の浜歩く 大西八洲雄 万象 201110
千枚田裾に卯波の砕けたり 井村和子 風花 201206
浜に坐す破船めがけて大卯波 松嶋一洋 201207
卯波立ち幽かに聴こゆ鎮魂歌 西村純太 201208
足跡を残す和綴や卯波立つ 杉原ツタ子 201208
卯波立つ根無雲より白く立つ 松本三千夫 末黒野 201208
御用邸の黒松林卯波立つ 松本三千夫 末黒野 201208
流木の見え隠れして卯波飛ぶ 堀田順子 馬醉木 201209
村ひとつ安房にまだあり卯波立つ 酒井秀郎 返り花 201211
句碑の立つ気比神宮や卯波立つ 岡野安雅 かさね 201307
卯波立つ構造線の神の島 稲山忠利 ぐろっけ 201310
岬山の発電パネル卯波寄す 田中貞雄 ろんど 201407
岩陰ゆ渡しの舳先卯波立つ 森清堯 末黒野 201409
膳臣かしわでのおみの塩田卯波立つ 田中佐知子 風土 201411
果てしなく卯波押し寄す流離佛 田中佐知子 風土 201411
畳々と寄せ来る高志の卯波かな 井上石動 あを 201506

 悼・遠藤真砂明さん

ますらをの卯波うねりを鎮めをり

能村研三 201507
潮仏洗ふ荒々しき卯波 渡部節郎 201507

 悼・遠藤真砂明様

卯波たつ飛沫の高さ男逝く

渕上千津 201507
卯波立つ島に集へり同窓会 安達正行 春燈 201508
頬杖は詩を待つかたち遠卯波 千田敬 201508
遠くより勢ひづいて卯波かな 鈴木良戈 201508
卯波寄すトーチカに似て新舞子 塩田杉郎 風土 201508
房総は真砂女の海よ卯波立つ 水井千鶴子 風土 201508
引きぎはに小石唄はす卯波かな 高橋道子 201509
寝返りの卯波寄せくる福の耳 児玉有希 京鹿子 201510
嘶けば卯波応ふる岬かな 小林朱夏 201605
卯波晴蛸壺干しの口揃へ 能村研三 201607
天城嶺は今日も雨雲卯波寄す 葦原葭切 春燈 201607
橋桁に卯波のかけら北斎忌 萩庭一幹 馬醉木 201608
卯波立つ夕暮人を思ふ刻 江草礼 春燈 201608
船を置く水平線より卯波来る 小林朱夏 201608
卯波蹴る漁船や舵の重たげに 黒滝志麻子 末黒野 201608
崖下は卯波の寄する日本海 赤堀洋子 万象 201609
卯波立つ水陸バスに鯨の絵 間島あきら 風土 201610
岬めぐり海は卯波の反射光 鷺山珀眉 京鹿子 201707
砕けては卯波しづもる潮溜り 渡部節郎 201707
義経の卯波呼びゐる男舞 山崎靖子 201708
阿弖流為の影は幻し卯波立つ 伊藤希眸 京鹿子 201710
崖壁の鉄階降りる卯波風 下山田美江 風土 201808
サーファーの次の卯波へ立て直す 高橋まき子 風土 201808
卯波立つわたつみの声寄せ来たる 阪倉孝子 201808
卯波津波大波小波大海原 加藤みき 201809
卯波立つ宮へいざなふ朱の鳥居 吉田悦子 201812
網元の土間は卯波へつづきけり 栗坪和子 201901
風にのる卯波は機を織るごとし 栗坪和子 201907
夕されば卯波高まる稚児ヶ淵 高木邦雄 末黒野 201909
一礁の浮力のつきし卯波寄す 和田照海 京鹿子 202006
卯波立つたびに記憶の甦る 浜崎喜美子 202007
釣人の足元奪ふ卯波かな 前田美恵子 202007
迫りくる卯波高波夫よ死ぬな 直江裕子 京鹿子 202008
松風の一の鳥居に卯波立つ 永淵惠子 202010
卯波立つ海峡背負ふ交番所 くどうひろこ 202106
人流とふ賢しら言葉卯波立つ 塙誠一郎 202107
遠き日を遠き卯波に見てをりぬ 中村重幸 202108
卯波立つタンク七基の三池港 西村安子 京鹿子 202108
一艘の船足早し卯波立つ 黒滝志麻子 末黒野 202109
みどり児は母の胸許卯波寄す 林いづみ 風土 202109
世なほしの人欲しき世ぞ卯波立つ 間島あきら 風土 202109
よく笑ふ人のうしろで越す卯波 井尻妙子 京鹿子 202205
由比ヶ浜卯波の残す忘れ貝 高木邦雄 末黒野 202209

 

2023年5月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。