7     100句

山畑に月すさまじくなりにけり    原石鼎   花影

  秋の月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
月白や喉に滑る刃のありて 須佐薫子 帆船 200410
月白や草書ばかりの質台帳 水野リヱ 帆船 200410
月代やまだ温かき父の顔 苑実耶 200410
嵐去り近々と照るまるい月 吉成美代子 あを 200410
半月に時刻遅れのバスを待つ 長谷川鮎 ぐろっけ 200410
月しろや灯して船の発ちにけり 尾辻のり子 河鹿 200411
月あげて屋根に火伏のあはび貝 長谷川閑乙 馬醉木 200411
窯守の武骨な壺に月の供華 長谷川翠 馬醉木 200411
海を出て森の上なる伊勢の月 鷹羽狩行 200411
高炉明りに残業の月白し 宇野九 200411
月さやか我に迷路のごとき脳 長谷川千枝子 200411
鰡はねる水面の月を乱しては 工藤進 200411
恐るるはあまりに近き赤い月 小嶋洋子 200411
月白の妻亡きあとの厨かな 金子輝 春燈 200411
月仰ぎ貰ひ湯をせし戦中恋ふ 手嶋小夜子 200411
月の滝いきなり海に落ちにけり 須佐薫子 帆船 200411
病む猫の瞼や重く月の雨 小田切陽子 帆船 200411
錠剤を口にし月の暈の内 石脇みはる 200411
月の夜の爪切る潮のながれかな 竹内悦子 200411
月白に手をかざしをる靫(うつぼ)猿 延広禎一 200411
乱調となる鉦太鼓月赤し 滝川あい子 雨月 200411
桂郎のすつぽん酔や月の庭 神蔵器 風土 200411
一本の村を出て行く月の道 神蔵器 風土 200411
夢に恋ふ月の田端の大龍寺 神蔵器 風土 200411
皎々の月を戻りぬ師を見舞ひ 河西みつる 草の花 200411
草原のゲルに半月馬頭琴 伊勢ただし ぐろっけ 200411
月天心短銃欲しとふと思ふ 内藤ゑつ ゑつ 200411
熔鉱炉月へ眠らぬ息を吐く 刈米育子 200412
月の芝能衣耀ふ采女舞 小林成子 200412
一病に月も孤独と悟りけり 慈幸杉雨 200412
月の笛熱き心に沁みにけり 田嶋洋子 春燈 200412
月の能鬼女に篝火足しにけり 山内なつみ 万象 200412
ドライブの終点こぼれさうな月 玉川梨恵 200412
師のあらば共に月下の旅をせむ 小澤克己 遠嶺 200412
世に遺す句ぞと月下の墨を磨る 小澤克己 遠嶺 200412
流水のほとりに佇てば月青し 小山徳夫 遠嶺 200412
月白や迫りくるなり山容 大野信子 草の花 200412
よき月となりゆく水を侍らせて 八田木枯 晩紅 200412
汝もまた月の都に入り給ふ 大橋敦子 雨月 200412
生家旧り天窓に浮く月下弦 松林順子 雨月 200412
天窓の月煌煌と厨かな 藤井美代子 帆船 200412
鞐なる文字引いて見る月の卓 加藤君子 火星 200412
月の村農村歌舞伎始まりぬ 大串章 百鳥 200412
山の名も草の名も聞き月を待つ 村上喜代子 百鳥 200412
アトリエの窓より見上ぐパリの月 藤森万里子 百鳥 200412
月代や豪華客船翳深し 中村重雄 百鳥 200412
小さめの椅子に月見るぬひぐるみ 中村重雄 百鳥 200412
月照れば木偶新鮮になりにけり 櫻井幹郎 百鳥 200412
月天心何んとも宇宙暗きかな 松崎鉄之介 200412
須磨浦へ放哉の見し月を見に 中野智子 春耕 200412
おほかたは海を照らして能登の月 鷹羽狩行 200412
月の縁来し方行く末とつとつと 平川倫子 ぐろっけ 200412
朝の月朝爽爽としてをりぬ KOKIA 六花 200501
預りし子に泣かされて月の窓 笹村政子 六花 200501
月代や魚籠の魚を海へもどし 荒井千佐代 200501
月天心耳納連山直立す 高倉恵美子 200501
月渡る山赤松に瑕瑾なし 戸田和子 200501
天空に月ひとつわが受精卵 辻美奈子 200501
代役をつとめ終へたり夜半の月 与川やよい 遠嶺 200501
大和しうるはし山の端の月白も さわいりまりこ 遠嶺 200501
源義師に添ひ照子師も月の人 沼口蓬風 河鹿 200501
餅を搗く月の兎や園児の絵 沼口蓬風 河鹿 200501
月天心大綱引の果てし街 沼口蓬風 河鹿 200501
火の島や故郷に尖る明けの月 山元海郎 河鹿 200501
鍵を鎖すあるじ無きより月の窓 大磯幸子 河鹿 200501
盃重ね月の叢雲かこちをり 上薗シヅ子 河鹿 200501
月高しここの添水の聞えけり 大島翠木 200501
幻月や肉桂の葉の涕いてゐる 黒田咲子 200501
詩ごころ妻は絵心月に酔ひ 北尾章郎 200501
翻車魚のような月です海の上 有働亨 馬醉木 200501
月影を曳きて舞ひ初む野外能 三浦如水 ぐろっけ 200501
木星と月と金星一直線 小池津や子 帆船 200501
月かかげ稽古囃子が調子づく 小旙普士男 対岸 200501
水音の善峰寺に月待てり 大山文子 火星 200501
高濤の月の燈台ゆるぎなし 加藤夕陽子 百鳥 200501
眉月を上げて潮騒高まり来 大串若竹 百鳥 200501
白夜の月しらじらと有りクレムリン 堀田清江 雨月 200501
天平の甍の上の月仰ぐ 古田考鵬 雨月 200501
月下に見たかりし催馬楽高麗楽も 密門令子 雨月 200501
二つ目も跳んで月下の潦 坪井洋子 200501
月の夜を海人の歩けりさんご礁 九万田一海 河鹿 200502
志賀島海に月ある観覧車 秋千晴 200502
呼び塩のひとふりありて月清し 延広禎一 200502
月の道川の流るるごとくあり 吉田眞弓 雨月 200502
月白にいよいよ深し海の闇 松井洋子 ぐろっけ 200502
信楽狸の百態照らす里の月 丹生をだまき 京鹿子 200502
月に歩を合はせて稽古帰りかな 高橋さえ子 200502
時空間歪めをりしか紅い月 小林山狸 六花 200502
山嶺に虎うそぶきて月映ゆる 高安勝三 遠嶺 200502
月代のさやかに主税右衛門七ら 野中亮介 馬醉木 200503
鐘楼の高みに月の雲流れ 池田やよひ 200503
島人も旅人もなく月に濡れ 山田弘子 ホトトギス 200503
朝月の西へ帰路ありあたゝかし 稲畑汀子 ホトトギス 200503
写る月崩して顔を洗いけり 松井和恵 八千草 200503
砂風呂はひとりの宇宙鎌の月 伊藤希眸 京鹿子 200503
御影供や高幡山に月の暈 皆川盤水 雲の峰 200504
鶴橋に赤き月あり厄落 城孝子 火星 200504
凛々と月あり一会うつくしき 岩岡中正 ホトトギス 200505
中年と言われし時代夜半の月 馬場龍雨 200505
蛍族と呼ばれし吾に月白し 御古ゆたか 200505
月のなき夜を一気に流氷来 青野れい子 200505
月中天にあり流氷の軋む音 青野れい子 200505
池の月見てをる貌で逝きにけり 高橋将夫 星の渦 200507
天寿国曼荼羅繍帳月うさぎ 高橋将夫 星の渦 200507
文鳥の余命いくばく朝の月 大高芭瑠子 炎夏 200507
流星に月は黙してをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
峡の里蕪村の月の上りけり 成田昭男 200508
風一過雲間に月を走らする 稲畑汀子 ホトトギス 200509
事多き日々過ぎてをり月仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200509
みちのくの月皆仰ぐ御生涯 稲畑汀子 ホトトギス 200509
みちのくの月の隠れし訃報かな 稲畑汀子 ホトトギス 200509
電車過ぎて久しき門に月のかげ 瀧春一 菜園 200509
月の天網場の尾根のうかびくる 瀧春一 菜園 200509
月のこる尾根に囮もくばられし 瀧春一 菜園 200509
湧きのぼる湯畑のけむり月くらし 瀧春一 菜園 200509
月に起きて父はつぶやけり畑のこと 瀧春一 菜園 200509
椎の月鼎座の椅子を向けなほす 瀧春一 菜園 200509
風呂の窓大樹に濡れし月のぞく 渡邉友七 あを 200509
真夜の月まぼろしなるや朝の雨 稲畑汀子 ホトトギス 200510
新しき書斎に集ふ月の友 稲畑汀子 ホトトギス 200510
木の橋を月と渡りてゆきにけり 近藤公子 200510
月待ちの寺のソファーの匂ひけり 山尾玉藻 火星 200510
月代や空気のやうな句を待つて 山田六甲 六花 200510
ふるさとの月や遊子の影照らす 得田武市 河鹿 200510
酔ひにけり月下に軽き身なりけり 林翔 200510
わたつみの声なき声や残る月 藤田かもめ 200511
月の出をいよようながす舞楽面 鷹羽狩行 200511
引力や不眠の身体月に乾す 天野きく江 200511
門閉めに出て月齢を読みにけり 伊藤白潮 200511
声かくる地震とは無縁なる月へ 伊藤早苗 200511
上弦のかがやき出でて月近し 宮津昭彦 200511
月白の厠のへちま草履かな 山尾玉藻 火星 200511
猫がゆき犬ゆき月の祠かな 山尾玉藻 火星 200511
月の家の裏に流木積みてあり 山尾玉藻 火星 200511
月代や厩の耳の動きゐる 浜口高子 火星 200511
球体の欠けそめしより月親し 長屋璃子 火星 200511
月さして白布に隔つははの顔 うまきいつこ 200511
子規の逝く午前一時や月天心 神蔵器 風土 200511
会ひに行く月の田端の大竜寺 神蔵器 風土 200511
鬼瓦月の雫をしたたらす 根岸善行 風土 200511
月ありて夜具にさしたる薄明り 井上幸子 酸漿 200511
放生会お化け屋敷の上に月 小林朱夏 200511
丁寧に子に答へゐる月の夜 苑実耶 200511
今宵こそ単刀直入月の恋 和田森早苗 200512
のつと出て団子の山を越ゆる月 木寺仙游 四葩 200512
天心に月あり揺るる舫ひ綱 工藤義夫 馬醉木 200512
金箔の月かかげたり東大寺 千手和子 馬醉木 200512
母と見れば月に兎のくつきりと 窪田粧子 馬醉木 200512
今し弾く箏の並びて月出づる 窪田粧子 馬醉木 200512
月迎ふ藩主の庭にかしこまり 白神知恵子 春燈 200512
琴尺八やうやく園の月産まる 白神知恵子 春燈 200512
御堂出づ月にも双手合はすべく 林翔 200512
罅多き地球に細き月昇る 栗原公子 200512
きちきちばつた月の微塵を舐めにけり 工藤進 200512
ワイングラスに月をまろばせ誕生日 工藤進 200512
月を待つ礁打つ波やはらかく 佐久間由子 200512
海に出て天心の月風を抱く 松原仲子 200512
月代や命の長さ決めよとは 荒井和昭 200512
秒針に呼吸を合はす真夜の月 瀬下るか 200512
まだ誰もいかない月のハイゥエー 富沢敏子 200512
胸元に真珠一粒月を待つ 中村恭子 200512
小さき波見えて月下の相賀岬 小山漂葉 酸漿 200512
街灯の無き古里や月の道 大房帝子 酸漿 200512
月の車夫一葉の世をふと思ふ 東野鈴子 雨月 200512
残されし思ひのつのり月仰ぐ 溝内健乃 雨月 200512
駅の辺の開拓者墓地月上る 丸山照子 火星 200512
月代や岸四五本の木立かな 豊田都峰 京鹿子 200512
この山の木でゐる柱月が出る 丸井巴水 京鹿子 200512
人逝きて下弦の月となりゆけり 岩木茂 風土 200512
縁側は吾の憩ひ場月仰ぐ 有元文子 風土 200512
波止を指す単線鉄路月の照り 三枝邦光 ぐろっけ 200512
月天心庭に一脚椅子残し 宮原利代 ぐろっけ 200512
稜線をしづめて月の昇り来し 佐脇葭紅 築港 200512
月映る掬うて見たき池の面を 千田久美子 築港 200512
残業し今宵は月の径となり 千田久美子 築港 200512
隠れんぼ月も見えたり隠れたり 高木昌子 築港 200512
月の燭ほのと照らせる巫女の舞 前田久子 築港 200512
月を待つ渚に佇てば流人めく 長沼三津夫 200512
月のいま闇をあまさず日本海 長沼三津夫 200512
墨磨るや繊月けぶる西の方 小島みつ代 200512
松島に遊びしその夜月の雨 今井千鶴子 ホトトギス 200601
灯を消して月の白きを浴びにけり 松田有伽 河鹿 200601
句帖もつ女と出合ひぬ月の苑 小山徳夫 遠嶺 200601
月高し風力計の止まりけり 今井松子 遠嶺 200601
篠笛の音色かそけし夜半の月 田巻和子 遠嶺 200601
たちまちに昏れて童話のやうな月 村田菊子 遠嶺 200601
庭先のいつか梳かれて昼の月 村田菊子 遠嶺 200601
季寄せ閉づ月の光を人れしまま 田巻和子 遠嶺 200601
故里はるか待つや待つらむ宵の月 高安勝三 遠嶺 200601
照る月を須磨に明石に仰ぎけり 峯桜子 遠嶺 200601
中天にふはりふはりと羊の月 滝澤秀克 遠嶺 200601
鴟尾の上に月押し上げて奈良太郎 山下佳子 200601
月皎皎天山遠く連なれる 山田智子 200601
月満ちて御迦話は続くなり 小坂了子 四葩 200601
月白の撒き餌撒きゐる船着場 垣岡暎子 火星 200601
月の出の海星乾びてをりにけり 竹内悦子 200601
ヴィオロンや月弓形に遠ざかる 天野きく江 200601
緋縅のさねの傷みや月の弓 久保久子 春燈 200601
老人をゆらりと据ゑて月を待つ 柴田佐知子 200601
月 8→      

 

2021年10月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。