椿落つ 1     200句

鵯の言葉わかりて椿落つ    阿波野青畝

落椿  椿落つ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三輪山をそびら咲きつつ椿落つ
酒井章鬼
風土
199904
椿落す鳥をしんじつ憎みけり
能村登四郎
199904
椿落つる音をかなしく記憶せり
能村登四郎
199904
薮椿落ちひきしまる籬かな
福間慶子
俳句通信
199904
椿落つ樹下に余白のまだありて
神蔵器
199905
椿落つ鵜の瀬の雪を窪ませて
田中佐知子
風土
199906
浄土とは椿落ちたる樹下のこと
中原道夫
銀化
199906
腐すなら腐せと椿落ちてける
中原道夫
銀化
199906
地の紅をひとつ増やして椿落つ
蔦三郎
ホトトギス
199908
椿落ち鳥影よぎるしじまかな
原山幸子
199908
椿落つ天の椿の一つ減り
丸山海道
京鹿子
199910
白椿落ち際の錆まとひそめ
能村登四郎
芒種
199911
風吹いて一直線に椿落つ
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
椿落ち浅き夢見し遠瀬音
鈴鹿百合子
京鹿子
200001
椿落ちて流れの芯となりゆけり
高橋邦夫
風土
200005
椿落つ西行井戸に返しけり
中谷葉留
風土
200006
椿落ち少し遅れて人語あり
佐々木市郎
200007
果しなく椿落つ夜の柱かな
山尾玉藻
火星
200105
あを空に傷一つなし椿落つ
神蔵器
風土
200105
空いてゐるてのひら椿落ちてゐる
黒田咲子
200105
椿落つ己の流儀貫きて
中西道子
百鳥
200106
けふからは茶のみ友達椿落つ
渡辺知美
銀化
200106
敗走の具足の行方椿落つ
和田照海
京鹿子
200107
椿落つ謐かに淫ら重ねつつ
石川千津子
銀化
200107
椿落つ今朝又一つ忌日くる
山内栄美子
ぐろっけ
200107
椿落つ指鉄砲で父撃てば
柳生正名
海程
200108
椿落ち水ゆっくりとくぼみけり
尾崎久子
ぐろっけ
200108
椿落つる音を悲しく記憶せり
能村登四郎
羽化
200110
日のあたるところに椿落ちにけり
川上昌子
200202
厄年の重さの椿落ちにけり
峯尾文世
銀化
200203
椿落つこれぞと思ふ句の如く
土井田晩聖
銀化
200204
椿落つ五百羅漢の泣くもあり
鎌倉喜久恵
あを
200204
椿落つごとく総代忽然と
古田考鵬
雨月
200205
椿落つ東天江の長鳴きに
朝妻力
雲の峰
200205
潔く最後の椿落ちにけり
池尻足穗
雲の峰
200205
またしても手許の狂ひ椿落つ
土井田晩聖
銀化
200205
信じたくなしこの噂椿落つ
上田繁
遠嶺
200206
椿落つ春塵煌と遅れけり
仲村青彦
200206
音たてて椿落ちけり明智道
島村絹美
200207
白椿落ち篁に風出でし
今井松子
遠嶺
200207
椿落ち石積むのみの平家墓
堀田恵美子
雨月
200207
夕暮の波の一途や椿落ち
青砥真貴子
200207
ぺージ繰る視野の隅より椿落つ
伊藤敬子
遠嶺
200208
椿落つ潮の満ち干に拘らず
宮原みさを
花月亭
200208
寒椿落ちて年尾も歩せし径
稲畑廣太郎
ホトトギス
200301
少年の瞬きに似て椿落つ
田中美智代
200302
鐘巻の跡てふ石碑椿落つ
川合広保
雲の峰
200304
ころころと椿落して栗鼠の恋
内藤順子
酸漿
200305
白椿落ちても白の意地捨てず
塩川雄三
築港
200305
逆さまに椿落ちたる波紋かな
長谷川守可
百鳥
200305
水音のどこかにありて椿落つ
伊藤白悠
200305
退屈な椿一撃椿落つ
泉田秋硯
200306
屋上庭遅咲椿落ちにけり
山下悦子
酸漿
200306
櫓山荘在りし日のごと椿落つ
松永唯道
円虹
200306
椿落つとき一瞬のゆらぎあり
松永唯道
円虹
200306
屋敷神あり落椿落椿
塩川雄三
築港
200306
椿落つ真紅の色をそのままに
大森玲子
築港
200306
椿落つ申し分なき紅のまま
青砥真貴子
200401
椿落つ沙漠にあらぬ黒土に
林翔
200404
石庭の箒目かげり椿落つ
薄美津子
対岸
200404
椿落つ祇園につづく石畳
和田一
雨月
200405
嘴あとをあらはに椿落ちにけり
酒井多加子
雲の峰
200405
迫真の演技のごとく椿落つ
田村園子
200405
いきいきと椿落ちたること知らず
恩田甲
百鳥
200405
崖椿落ちて浄土にしたがへり
外川玲子
風土
200405
紅椿落ちゐて尚も燃えつづく
清水澄江
築港
200405
椿落つ冬の定石置くごとく
西川織子
馬醉木
200405
椿落つ心の底の底の方
斉藤利枝子
対岸
200406
落椿落ちたるままに重なりぬ
浅田浦蛙
対岸
200406
椿落つみづからの意志示すごと
高重京子
百鳥
200406
アスファルト列列椿落ちてずる
吉弘恭子
あを
200406
家しづか雨しづかなり椿落つ
伊藤佳代
対岸
200407
椿落つ水面の硬さありにけり
今橋眞理子
ホトトギス
200408
椿落つ不惑といふも燃ゆいろに
鈴鹿仁
京鹿子
200504
参道に木洩れ日ああと椿落つ
成井侃
対岸
200505
来し方も行方も不安椿落つ
舩越美喜
京鹿子
200505
紅椿落ちて華やぐ色とどめ
中嶌テル子
築港
200505
椿落つ身ぬちにたしかなる余燼
清水節子
馬醉木
200506
海光のまぶしく椿落ちにけり
城間芙美子
対岸
200506
白椿落ちて東湖の碑の裏に
関根義行
対岸
200506
脱ゆとり物は言ひやう椿落つ
赤座典子
あを
200506
椿落ちまた新しき生き処
松田有伽
河鹿
200507
箒目を乱さず椿落ちにけり
高橋紀子
対岸
200507
椿落ち地を這ふものを驚かす
園多佳女
雨月
200507
ひよどりの喜怒直情に椿落つ
工藤ミネ子
風土
200508
御祓の声の徹りて椿落つ
木場田秀俊
200509
椿落ちて象の小川の底に咲く
長山あや
ホトトギス
200510
魂を蕊に納めて椿落つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200603
幾万の椿落ちねばならぬかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200603
曲水の庭に真紅の椿落つ
苑実耶
200605
竹林をぬける小径や椿落つ
森山のりこ
あを
200605
椿落つくらき日よりの咳止まず
渡邉友七
あを
200605
咲く椿落ちし椿も紅椿
蓮井崇男
対岸
200605
上向いて下向いて椿落ちにけり
飯島かほる
対岸
200605
夏椿落つるを見たり京の夕
平島利男
酸漿
200609
椿落つ地球自転の日は西に
沢聰
馬醉木
200703
外厨ある住まひかな椿落つ
黒田咲子
200705
うしろより水の音して椿落つ
片山タケ子
200705
椿落つ土芳の墓に重なりて
吉田郁子
風土
200705
椿落つる音聞きに来し法然院
山尾玉藻
火星
200705
椿落つ息あるうちに天に對く
佐藤喜孝
あを
200711
一瞬といふ刻のあり椿落つ
山田天
雨月
200801
椿落つ別れの美学貫きて
塩路隆子
200805
椿落つ人も今際は光り曵き
天野みゆき
風土
200805
くれなゐの驕りの椿落ちにけり
永峰久比古
馬醉木
200806
つじつまの合はぬ子椿落とす風
池田光子
200806
紅椿落ちて画布なりアスファルト
鈴木セツ
200806
機械室出て落椿落椿
戸栗末廣
火星
200806
椿落つ天と向き合ふはじめなり
松平菩提子
京鹿子
200807
またげ石またげ損ねて椿落つ
岡本幸枝
ぐろっけ
200807
椿落ちそのままと言ふ刻移り
松本鷹根
京鹿子
200808
椿落つ利休果てたるその日はも
稲畑廣太郎
ホトトギス
200903
その沖は東支那海椿落つ
山中宏子
200905
石庭に落款のごと椿落つ
峰尾秀之
200905
水匂ふとき白椿落ちにけり
本多俊子
200905
椿落つ唐突にきく師の訃報
須賀敏子
あを
200905
椿落ち磴かけ下ることをせる
井田実代子
雨月
200905
紅椿落ちし箒目みだれなし
前田忍
火星
200906
椿落つ「どろぼう橋」の底へかな
竹生田勝次
風土
200906
椿落ち六聯隊の終焉碑
柴田良二
雨月
200906
椿落つ取り澄ましたる矮鶏の顔
淺場英彦
万象
200910
考へてゐる間も椿落ち止まず
久津見風牛
201003
勧請縄かかる谷川椿落つ
坂上香菜
201004
椿落つ音や波郷のこゑ知らず
千田百里
201004
さきがけて咲きゐし椿落ちにけり
東芳子
酸漿
201004
椿落つうち重なりて白椿
五十嵐勉
201005
熊野道晴れて巨石に椿落つ
広瀬峰雄
201005
嵌め殺し窓に真っ赤な椿落つ
遠藤実
あを
201005
言の葉を紡ぎし一生椿落つ
秋葉雅治
201006
椿落つ千丈渓へま逆さま
三輪温子
雨月
201006
鳶苗や夜泣きの椿落ち継げる
工藤ミネ子
風土
201007
椿落つただそれだけのことながら
北村香朗
京鹿子
201007
弁財天鳥居の前に椿落つ
渡邉孝彦
やぶれ傘
201008
椿落つ装ひといふ疲れ見せ
布川直幸
201104
椿落つ真紅の色を重ねあひ
西田史郎
201106
海峡の汽笛に椿落ちにけり
井上淳子
火星
201106
大古より傾ぐ大岩椿落つ
谷岡尚美
201106
虚しさを溜めこみ椿落ちやまず
柴田朱美
京鹿子
201106
石臼が庭石となり椿落つ
柴田朱美
京鹿子
201106
椿落つしづかに雨の多宝塔
武生喜玖乃
雨月
201106
椿落つ夢二嫌ひは母ゆづり
中田みなみ
201107
丸太道行き交ふたびに椿落つ
長瀬節子
ぐろっけ
201107
雨足の過ぎて静かに椿落つ
石井喬子
末黒野句集
201203
椿落つ音の静寂を共有す
稻畑汀子
ホトトギス
201204
音たてて椿落ちけり仏の間
鈴木セツ
201204
椿落つ古刹の庭の朝濡れて 小野喬樹 馬醉木 201205
椿落つ寺苑浄土の石畳 加藤北天 雨月 201205
水底の雲の乱れに椿落つ 宇都宮敦子 201205
行き交ふは他所者ばかり椿落つ 柴田朱美 京鹿子 201206
肥後椿落つるも矜恃武家屋敷 木内徴子 万象 201207
島椿落つや磯波華やぎて 石黒興平 末黒野 201207
紅椿落ちて画布なりアスファルト 鈴木セツ 201208
椿落つ日に魂を還す時 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
椿落つかすかな音を目が探す 伊藤百江 春燈 201305
影一つまとひて椿落ちにけり 樺山翠 雨月 201305
いささかの逡巡もなく椿落つ 長谷川閑乙 馬醉木 201306
白椿落つる寺苑の思惟仏 伊東和子 201404
椿落つ忌日の空を仰ぎつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
椿落つこと夜も昼もなかりけり 井上信子 201405
篁の風にあふられ椿落つ 谷村祐治 雨月 201406
半世紀のたつきの思ひ椿落つ 西垣順子 201407
いさぎよき切れ字の一句椿落つ 小泉欣也 ろんど 201407
シナリオになき紅椿落ちにけり 梶浦玲良子 六花 201407
椿落つトロッコ電車始発駅 阿部月山子 万象 201407
椿落つ瀬見の小川の水光る 杉原ツタ子 201407
椿落つ庭暗くして家人無し 藤波松山 京鹿子 201407
椿落つ音の頻りや裏弥彦 佐藤雄二 万象 201408
椿落つ船蔵跡の急石階 荒井千佐代 201503
椿落つさながら紅蓮地獄かな 布川直幸 201504
椿落つ現なりけり白骨を抱く 寺田すず江 201505
椿落ち古刹を照らす緋のむくろ 丸井巴水 京鹿子 201505
退屈てふ自由もありし椿落つ 塩見かず子 京鹿子 201506
紅椿落ちて尚且つ華を放つ 臼井珊瑚 201506
くちびるのごとくに椿落ちにけり 山本則男 201506
一日の無事を重ねて椿落つ 石田きよし 201507
藪椿落ちて地上の火となりぬ 杉本薬王子 風土 201507
白椿落ちて発止と音を断つ 内藤静 風土 201507
過ぎし日の夢に疲れて椿落つ 松田都青 京鹿子 201507
八重椿落ちて三日の留守の嵩 今井洋子 雨月 201507
関守の石その先に椿落つ 大崎紀夫 虻の昼 201510
未来てふ雌蕊残して椿落つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
椿落つ流れに乗れば孤舟めく 千田百里 201604
椿落つ夕ベの闇を重ねつつ 饗庭悳子 末黒野 201604
椿落つ天与の彩を鏤める 鈴鹿呂仁 京鹿子 201605
日向より日影へ椿落ちにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201605
此の先は足摺岬椿落つ 今井妙子 雨月 201605
椿落つ音におどろく椿山 窪田佳津子 雨月 201605
ぽとりとふ椿落つおと聞き留めし 窪田佳津子 雨月 201605
椿落つ大事はいつも突然に 栗原公子 銀の笛 201612
椿落つまっ赤な午後のひとかけら 火箱ひろ 船団 201701
下向いて咲き上向いて椿落つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
椿落つ天の知らざるもののなし 鈴鹿呂仁 京鹿子 201705
利休忌の雨の銀いろ椿落つ 藤井明子 馬醉木 201705
深追ひの一語さらりと椿落つ 北川孝子 京鹿子 201706
椿落つ水に明暗ありにけり 近藤喜子 201706
紅椿落ちて水際に留まりぬ 神谷さうび 末黒野 201707
薮椿落つわたくしでゐるために 井上菜摘子 京鹿子 201707
夕闇を動かす色や椿落つ 高濱朋子 ホトトギス 201707
山寺の静寂を穿ち椿落つ 三輪温子 雨月 201707
椿落つ →2      

 

2022年4月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。