鳥帰る 5    200句

日露戦争で捕虜となつたロシア人たち

中海の白鳥帰るはシベリヤか   法橋正   獐

鳥歸る  鳥引く  引鳥  鳥雲に

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鳥帰る哀しみを眼に焼きつけて 川上久美 ろんど 201206
鳥帰る畝おほらかに貸農園 河村啓花 ろんど 201206
鳥帰る四国連山縹渺と 石本秋翠 馬醉木 201207
鳥帰る使はぬ鍵の数多かな 池田光子 風土 201207
天泣の空のすがしく鳥帰る 小林美登里 かさね 201207
光るもの落して白鳥帰りけり 水野恒彦 201207
一群れにひとむれの声鳥帰る 石井美智子 風土 201211
大航海時代も今も鳥帰る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
さよならは心に秘めて鳥帰る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
啼き合へる白鳥帰心確かむや 松井志津子 201303
ティーショットの球より高く鳥帰る 岡野安雅 かさね 201305
望遠のレンズを過り鳥帰る 岡野安雅 かさね 201305
鳥帰る後の筋書き見せぬまま 塩貝朱千 京鹿子 201305
白鳥帰る赤城颪の吹く日かな 門伝史会 風土 201305
鳥帰る言問橋に潮満来 平城静代 201305
ポケットの中の手のひら鳥帰る 蘭定かず子 火星 201305
鳥帰る子の旅立ちを見る思ひ 大橋晄 雨月 201305
鳥帰る見ゆる限りを見送りぬ 大橋晄 雨月 201305
廃帝の陵の空鳥帰る 塩見英子 雨月 201305
鳥帰るゆふべ竹林揺れやまず 綱徳女 春燈 201306
吊橋のたわみに添うて鳥帰る 能村研三 201306
沖の石ふりさけみれば鳥帰る 岩木茂 風土 201306
安芸国一の宮居を鳥帰る 根岸善行 風土 201306
退官の机上整理や鳥帰る 森屋慶基 風土 201306
鳥帰る風紋刻む砂丘かな 遠藤逍遙子 風土 201306
鳥帰る空につらなる嶺のかず 林いづみ 風土 201306
遠汽笛名残の空に鳥帰る 寺田すず江 201306
鳥帰る標なき空ただ北へ 松原智津子 万象 201306
持たせたきものに季寄せや鳥帰る 上野かりん ろんど 201306
海蝕の材木岩や鳥帰る 柿本麗子 千の祈り 201307
縹渺の四国連山鳥帰る 石本秋翠 馬醉木 201307
国後島の日暮の縹鳥帰る 土屋草子 ろんど 201309
海神わたつみは光のうつは鳥帰る 本多俊子 光のうつは 201404
オーロラの大気圏へと鳥帰る 宮井知英 201405
シーサーの守る島民鳥帰る 秋千晴 201405
摩天楼の空八の字に鳥帰る 横山昭子 雨月 201405
鳥帰るあたかも人生壮年期 貝森光洋 六花 201405
鳥帰るあふみに桜坡子敦子句碑 今井妙子 雨月 201405
鳥帰るぽかんと沼の残りけり 久染康子 201405
鳥帰る縄文遺跡川に沿ひ 田中佐知子 風土 201405
鳥帰る夕空を声つなぎあひ 山崎刀水 春燈 201405
灯台の空けぶらせて鳥帰る 神田恵琳 春燈 201406
灯台の空に道あり鳥帰る 谷村祐治 雨月 201406
三門に上がれば浄土鳥帰る 奥田茶々 風土 201406
八十路には八十路の旅情鳥帰る 笹倉さえみ 雨月 201406
欄干の寂しくなりぬ鳥帰り 増田一代 201406
改築の終の棲家や鳥帰る 門伝史会 風土 201406
それとなき気配の空や鳥帰る 藤岡紫水 京鹿子 201406
たましひを連れ去るやうに鳥帰る 佐々木紗知 京鹿子 201406
あらたなるビルの稜線鳥帰る 峰崎成規 201406
折り紙の小さき四角や鳥帰る 中村洋子 風土 201406
潮目よく見ゆる日和や鳥帰る 多田文子 201406
鳥帰る雲間の光追ひながら 後藤桂子 万象 201406
鳥帰る海原高嶺きつからむ 小林清彦 末黒野 201406
鳥帰る空に人なき観覧車 橋本知笑 201406
鳥帰る湖北を守る観世音 中村洋子 風土 201406
鳥帰る色絵硝子のくるわ窓 坂口夫佐子 火星 201406
鳥帰る川に静けさ戻りけり 羽賀恭子 201406
鳥帰る薄紫に烟る空 後藤マツエ 201406
鳥帰る岬の風にあふられて 谷村祐治 雨月 201406
鳥帰る煉瓦倉庫にレストラン 山田暢子 風土 201406
ひらひらとやがてきらきら鳥帰る 根岸善行 風土 201406
オルガンは天空の音鳥帰る 本多俊子 201407
落慶の平等院や鳥帰る 小峯綾子 風土 201407
街角の歌声背ナに鳥帰る 庄司久美子 201407
鳥帰るいつより「紙の本」てふ語 荒井千瑳子 201407
鳥帰る礎石踏みゐてほとけみち 宮川みね子 風土 201407
鳥帰る天の一隅切り開き 吉村摂護 201407
北国へ憑かれた如く鳥帰る 後藤マツエ 201408
山姥に逢はずじまひの鳥帰る 村田岳洋 ろんど 201408
鳥帰る自づと恙無き祈り 宮崎正 ホトトギス 201408
鳥籠の鳥は水浴び鳥帰る 小林朱夏 201408
鳥帰る自然法爾に導かれ 落合由季女 雨月 201411
鳥帰る寂光の沼明りかな 近昌夫 春燈 201412
鳥帰る日本海といふ史実 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
集ひしはビルの上空鳥帰る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
鳥帰る千年前と同じ道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
伸ぶるだけ首を伸ばして鳥帰る 柴田佐知子 201503
つなぐ手の無くて一列鳥帰る 戸栗末廣 201503
メタセコイア写す池面や鳥帰る 高橋泰子 201504
変りける母校の山河鳥帰る 米山のり子 馬醉木 201505
鳥帰る地に塩の道絹の道 矢崎すみ子 201505
鳥帰る家庭菜園十坪ほど 河口仁志 201505
鳥帰るわが故郷は北つ方 松本文一郎 六花 201505
国引の岬はるかに鳥帰る 宮原悦子 雨月 201506
北の空変体仮名の鳥帰る 野村鞆枝 京鹿子 201506
稜線に陽を置きながら鳥帰る 岸上道也 京鹿子 201506
ベゼクリク石窟真つ赤鳥帰る 辻水音 201506
夕照にいそぐ一群鳥帰る 高橋明 末黒野 201506
鳥帰る集団下校するやうに 濱上こういち 201506
鳥帰る姿とらふに手間どりて 池田崇 201506
見送るや声かけ合ひて鳥帰る 頼田幸子 201506
先頭の声を信じて鳥帰る 塩野谷慎吾 201506
玄海の風を味方に鳥帰る 小林朱夏 201506
鳥帰る浜の鴉は魚せせり 田丸千種 ホトトギス 201507
葬送の真白き空に鳥帰る 本多俊子 201507
鳥帰る夕映ながき塔の空 佐藤信子 春燈 201507
鳥帰る伊會保物語の国へ 千田百里 201507
鳥帰る家系図などはありませぬ 宮ア高根 201507
胸像の虚子を残して鳥帰る 柴田久子 風土 201507
一線のやがて一点鳥帰る 雲所誠子 風土 201507
たかだかと変体仮名の鳥帰る 野村靹枝 京鹿子 201507
島に句碑建つを見届け鳥帰る 千原叡子 ホトトギス 201508
みよし野に未練ありつつ鳥帰る 千原叡子 ホトトギス 201508
どこまでも空鳥帰る一路あり 亀井福恵 京鹿子 201508
釣舟の波任せなり鳥帰る 渡部恭子 馬醉木 201510
鳥帰る蛭ヶ小島の一本松 吉永すみれ 風土 201511
にんげんのつくる境界鳥帰る 畑佳与 京鹿子 201601
鳥帰る空の一劃伸びてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201603
鳥帰る近くて遠き国後へ 大橋弘子 末黒野 201604
鳥帰る海より臨む麿崖仏 宮内とし子 201605
帰らねばならぬ一心鳥帰る 大畑善昭 201605
吉兆へ一心不乱鳥帰る 根岸善行 風土 201605
海道はこの先船路鳥帰る 間島あきら 風土 201605
暮れぎはの富士の確かさ鳥帰る 神田美穂子 万象 201605
鳥帰る母の手首にゴムの跡 浅木ノヱ 春燈 201605
鳥帰り新墓ひとつ残りけり 有松洋子 201606
鳥帰る翼は神に賜りし 中田禎子 201606
両腕を持たぬヴィーナス鳥帰る 林昭太郎 201606
更地とはおほかた矩形鳥帰る 広渡敬雄 201606
鳥帰る羽音はやがて風音に 能美昌二郎 201606
鳥帰る眼に海光の痛きほど 田川美根子 201606
鳥帰る帰還叶はぬ町の上 笠井敦子 201606
厄介な話を残し鳥帰る 三上程子 春燈 201606
鳥帰る沖を見つめてさやうなら 大嶋洋子 春燈 201606
鳥帰る相模大山晴るる日に 齋藤晴夫 春燈 201606
鳥帰る佃住吉あづま町 石橋邦子 春燈 201606
脚跡の乱るる田面鳥帰る 升田ヤス子 六花 201606
鳥帰る都電一日乗車券 菊池洋子 やぶれ傘 201606
鳥帰る林泉の小鷺の動かざる 福田禎子 末黒野 201606
鳥帰る沼のかたちを眼にとどめ 内海良太 万象 201606
解体の家をがりがり鳥帰る 亀田やす子 万象 201606
鳥帰る郷関遠くなりにけり 下平しづ子 雨月 201606
安曇川の流れに沿ひて鳥帰る 大橋晄 雨月 201607
鳥帰る綴ぢ糸切れし父の辞書 隅田恵子 雨月 201607
鳥帰る雨の安曇川しぶく瀬を 多方清子 雨月 201607
波重き津軽海峡鳥帰る 黒滝志麻子 末黒野 201607
鳥帰るわれ居酒屋へ寄り帰る 橋本くに彦 ホトトギス 201608
谷川に石ごろごろと鳥帰る 遠山のり子 201608
鳥帰る浮き桟橋は雨に揺れ 谷貝美世 末黒野 201608
鳥帰る漆黒の闇恐れずに 飯田久美子 末黒野 201608
鳥帰る我が安住の地や何処に 東野鈴子 雨月 201608
地震の空整然として鳥帰る 岩岡中正 ホトトギス 201609
鳥帰りゆくかトーストこんがりと 中原幸子 船団 201612
みちのくの白鳥帰る日の深空 大森三保子 馬醉木 201704
まん中に通し柱や鳥帰る 苑実耶 201704
里心つくタイ暮し鳥帰る 大口堂遊 春燈 201705
街道の水かげろふや鳥帰る 田中とし江 201705
河から川流れを追うて鳥帰る 頓所友枝 201705
房総の海は球形鳥帰る 大沢美智子 201705
保存樹に通し番号鳥帰る 内藤静 風土 201706
啄木の多喜二の小樽鳥帰る 竪山道助 風土 201706
鳥帰る拾へば貝の砂こぼれ 門伝史会 風土 201706
鳥帰るうつらうつらと大欅 神蔵器 風土 201706
鳥帰るトランペットのミュート音 藤代康明 201706
テトラポッド乾きやすしや鳥帰る 岡本秀子 201706
風吹いて恋知らぬまま鳥帰る 江島照美 201706
地球儀の海の広さや鳥帰る 太田良一 末黒野 201706
朝やけを使ひきりたり鳥帰る 上野紫泉 京鹿子 201706
鳥帰る点となる迄見送りぬ 堀田こう 雨月 201706
琵琶湖より安曇川に沿ひ鳥帰る 大橋晄 雨月 201706
鳥帰るまなざし遠き望東尼像 角野良生 201707
鳥帰る大地に根差す「母の塔」 溝越教子 春燈 201707
ぽつねんと坐る餌台鳥帰る 田原陽子 201707
任せよの声天にあり鳥帰る 平野多聞 201707
鳥帰る屋根に大きな砂袋 井上和子 201707
寄り添ひて空の高きを鳥帰る 早川八重子 末黒野 201708
流人の島防人の島鳥帰る 柴川志津子 201803
鳥帰る高さに淡き月の影 今井肖子 ホトトギス 201804
時差のなき一枚の空鳥帰る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201805
寄せて引く波の律儀や鳥帰る 菊地光子 201805
鳥帰るひと粒のこる正露丸 七種年男 201805
銀嶺に影のさざ波鳥帰る 七種年男 201805
朽ち船に残る船霊鳥帰る 森岡正作 201805
鳥帰る比叡は京の鬼門筋 鈴鹿仁 京鹿子 201805
鳥帰る汀に寄せる湖の黙 鈴鹿呂仁 京鹿子 201805
この辺り大奥の跡鳥帰る 塙誠一郎 201805
鳥帰るわがはらわたを食ひ尽し 小宮山遠 201805
ふるさとの一級河川鳥帰る 笹村政子 六花 201805
ひとこゑを若狭の海に鳥帰る 竹中一希 201805
一団の列確かなり鳥帰る 雨村敏子 201805
鳥帰る雲の切れ間を縫ひながら 安斎久英 末黒野 201806
鳥帰る朝市の椅子とりどりに 浅田光代 風土 201806
鳥帰るキックボードの駈ける坂 甲州千草 201806
鳥帰る振らぬと決めた別れの手 井尻妙子 京鹿子 201806
鳥帰る航路の果ての国境 加藤直人 末黒野 201806
鳥帰る志賀のさざなみ後にして 西村しげ子 雨月 201806
鳥帰る鯉は川上向きしまま 黒澤次郎 やぶれ傘 201806
鳥帰る摂取不捨の風の中 平野多聞 201807
青年の唄ふイマジン鳥帰る 津川かほる 風土 201807
山なみの隠れなき日や鳥帰る 佐津のぼる 六花 201807
鳥帰り人は水辺に戻りくる 今橋眞理子 ホトトギス 201808
鳥帰る人は大地に捕はれて 木暮陶句郎 ホトトギス 201809
鳥帰る畝は正しき影を持ち 布施政子 馬醉木 201812
鳥帰る乗換ヘキップ風に乗せ 菊池和子 京鹿子 201901
呱々を抱く里曲の芽ぐみ鳥帰る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201903
鳥帰る思ひ出数多詰め込みて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
鳥帰る富士の残雪乱吹く中 平野多聞 201904
鳥帰る幅三尺の露地の空 田辺満穂 201905
一休み庭へ十五羽鳥帰る 鈴木友子 末黒野 201905
鳥歸る→ 1

 

2021年3月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。