遅 日 1      210句

この庭の遅日の石のいつまでも   高浜虚子

遅日  遅き日

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
大工来て夫よろこばす遅日かな 萩原記代 199901  
簪に碧き玉ある遅日かな 瀧澤和浩 船団 199903  
締切の迫る遅日の稿重ね 稲畑汀子 ホトトギス 199904  
東京へ引返したる遅日かな 稲畑汀子 ホトトギス 199904  
展示せるゆかりのものを見て遅日 稲畑汀子 ホトトギス 199904  
孤独死の遅日をスリッパ散乱し 佐々木峻 ヒッポ千番地 199905  
篩ひをる遅日の沙のながれけり 西田孝 199906  
聴鐘庵に待てば遅日の鐘いたる 窪田佳津子 雨月 199906  
樟脳の角のとれたる遅日かな 小形さとる 199907  
渦巻の指先にある遅日かな 今木偉郎 199907  
猫好きの猫に好かれて遅日かな 竹内久子 京鹿子 199907  
搾乳の指美しき遅日かな 木村仁美 馬醉木 200006  
柵越に馬のいななく遅日かな 内藤八重 俳句通信 200006  
凍蝶がいつのまにやら去り遅日 池田澄子 船団 200006  
沖の帆に遅日の充溢れをり 石本秋翠 馬醉木 200007  
木偶ひとつ転つてゐる遅日かな 小山徳夫 遠嶺 200007  
立て膝のまんま遅日の継ぎ竿師 西田孝 200007  
旅人の野の一帆となる遅日 小澤克己 遠嶺 200008  
集ふより遅日の心生れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200104  
焼売の凹のあたりの遅日かな 小形さとる 200105  
海峡の船をかぞへて遅日なる 小野喬樹 馬酔木 200106  
雨止みし寺に遅日の門一つ 岩垣子鹿 円虹 200106  
スフィンクス遅日の夕日とどめをり 阿部州子 円虹 200106  
敷きつめてある栗石の遅日かな 中島陽華 200106  
杖ありてこその歩みの遅日なる 村越化石 200106  
まんぼうに人が見らるる遅日かな 泉田秋硯 200107  
宝生寺の遅日の塔の朱の匂ひ 渡辺政子 俳句通信 200107  
突堤に漢がひとりゐる遅日 鴫海清美 六花 200107  
悠久の長江下る遅日かな 山田春好 200108  
妻ありて遅日の駅に待ち合はす 金子つとむ 俳句通信 200108  
川べりにて頼られてゐし遅日かな 岡井省二 200111  
法隆寺よぎり遅日の郵便夫 安養寺美人 200112  
遅日かな萎れはじめる肘から先 池田澄子 船団 200201  
一日の帰らぬ時間とて遅日 稲畑汀子 ホトトギス 200204  
水つかひ腕を使ひてなほ遅日 酒本八重 200204  
水呑みて身の芯立たす遅日かな 森田博 200205  
天空に遅日の能の足拍子 武藤ともお 京鹿子 200206  
爪楊子きつちり詰まり遅日かな 大村孝 百鳥 200206  
庭師みな帰りてよりの庭遅日 野沢しの武 風土 200206  
捜し当つ露伴旧居の遅日かな 及川澄江 風土 200206  
眉とんで写楽の奴遅日かな 川井政子 風土 200206  
遠来の顔ぶれそろふ遅日かな 三村純也 円虹 200206  
笯を据ゑて遅日の水面まぶしめる 蟇目良雨 春耕 200206  
どの墓も人待ち顔に遅日かな 亀田憲壱 銀化 200206  
仔山羊飼ふ遅日の島の保育園 長谷川祥子 馬醉木 200207  
工区遅日終業ベルの鳴つてをり 土井三乙 風土 200207  
駅遅日旅の誘ひの大看板 佐野幸子 百鳥 200207  
読みづらき子規の書簡を読む遅日 福井鳳水 円虹 200207  
集ひ果てそぞろに歩む浜遅日 西村しげ子 雨月 200207  
発掘に遠き世が現れ城遅日 中原吟子 雨月 200207  
寺遅日日向はなべて花了へし 岡本眸 200207 世田谷寺町通
良寛の乞食すとふ村遅日 山本喜朗 雨月 200208  
真中を渡る遅日の流れ橋 小林玲子 ぐろっけ 200208  
飛鳥道歩きて遅日を使ひ切る 門伝史会 風土 200211  
聞きとれぬ言聞き返しゐて遅日 伊田和風 円虹 200211  
白壁の古りて溶け合ふ遅日かな 楠木薫子 200211  
同潤会アパート探検したき遅日 竹内弘子 あを 200304  
手を打つて婆が矮鶏呼ぶ遅日かな 朝妻力 雲の峰 200304  
アスピリン遅日の腦を迂回せる 中原道夫 銀化 200304  
若狭井の鵜瓦光る遅日かな 渡辺政子 雲の峰 200305  
村に入る道なだらかに遅日かな 樋口多嬉子 雲の峰 200305  
内股にぬぎある下駄の遅日かな 高松由利子 火星 200306  
海峡に遅日の夕日誓子亡し 岸しのぶ 築港 200306  
島の端を踏んで遊びし遅日かな 柴田佐知子 200306  
紀州路の遅日の旅の手毬唄 岸本久栄 雨月 200306  
交替す遅日のバスの運転手 鈴木てるみ ぐろっけ 200306  
サーファーの波切り返す遅日光 近藤伸子 馬醉木 200307  
下総の七福めぐり遅日かな 古田考鵬 雨月 200307  
海女番屋ひねもす屯して遅日 古田考鵬 雨月 200307  
嫁がせし後の遅日をいかにせむ 平居澪子 六花 200307  
白妙の枕の上の遅日かな 里中章子 200403  
やうやくに遅日の家居たまはりし 稲畑汀子 ホトトギス 200404  
踏み減りし板絵に見入る遅日かな 朝妻力 雲の峰 200404  
立候補なくて遅日の役員会 川瀬さとゑ 雲の峰 200404  
風立つや遅日岬の馬の影 小澤克己 遠嶺 200405  
達磨船水尾広げ来る遅日かな 岡村葉子 栴檀 200405  
土器破片つなぐ土練る遅日かな 梶川智恵子 200406  
竹竿を曳き売るこゑや遅日光 浜明史 風土 200406  
校庭に球転がつてゐる遅日 石本百合子 馬醉木 200407  
砂利船の喫水深き遅日かな 山本輝明 馬醉木 200407  
二月堂遅日の夕日目の高さ 河合佳代子 栴檀 200407  
湾深く遅日の波の寄せるのみ 稲岡長 ホトトギス 200409  
糸通し頼まれてゐる遅日かな 中和田洋美 万象 200409  
あの石も墓石によしや渓遅日 山元志津香 八千草 200409  
父母の船待つ子と遅日共にせり 鈴木榮子 春燈 200503  
遅日の鵜ながめてをとこ退屈な 淵脇護 河鹿 200505  
まだ出来る経理の仕事遅日かな 杉山喜代子 帆船 200505  
仏具屋の奥まで届く遅日かな 尾辻のり子 河鹿 200506  
ひとりごと言うて遅日の鼻眼鏡 平子公- 馬醉木 200506  
桟橋にひびく遅日の汽艇音 西村博子 馬醉木 200506  
泣き顔の遅日の海を見て戻る 小澤克己 遠嶺 200506  
土塊をほぐしてをりし遅日かな 石脇みはる 200506  
駄菓子屋横丁黒蜜にほふ遅日かな 大沢美智子 200506  
とっぷりと暮れて遅日の行果つる 仙石君子 雨月 200506  
石庭の石の余白にある遅日 藤岡紫水 京鹿子 200506  
岨道を抜けし草原遅日かな 得田武市 河鹿 200507  
もの想ふごとく遅日の岩座せる 村越化石 200507  
海水の交じる遅日の運河かな 飯塚ゑ子 火星 200508  
滅ぶもの何か呟く沼遅日 荻野千枝 京鹿子 200508  
車麩の輪切りを崩す遅日かな 高橋あゆみ 200510  
三四郎池常の濁りの遅日かな 堤京子 馬醉木 200605  
越後屋の出入り千人遅日かな 三宅文子 春燈 200605  
鳩除けのネット張りたる遅日かな 宮津昭彦 200605  
実朝の御しるし塚に遅日光 松村多美 四葩 200605 実朝御首塚
ミサ終る火山の麓遅日光 岩城湍 四葩 200606  
草摺りの七重遅日の石人に 角直指 京鹿子 200606  
にぎり飯火事場に届く遅日かな 内田郁代 万象 200606  
遅日なる砂流紋を追ひもして 豊田都峰 京鹿子 200607  
塚十余風土記の丘の遅日かな 和田一 雨月 200607  
牧遅日鼻を寄せ合ふ親子牛 金居欽一 万象 200608  
草の香に噎せてをりけり旅遅日 佐々木幸 200702  
園丁に付かぬこと訊く遅日かな 岡崎るり子 200704  
草木染の行程たどる遅日かな 竹内慶子 春燈 200705  
長泛子の魚信ひた待つ遅日光 塙三千男 馬醉木 200706  
ふたすぢの雲の交はる遅日かな 中根美保 風土 200706  
昼の星望遠鏡に見て遅日 石垣幸子 雨月 200706  
婚礼の多し男爵邸遅日 奈辺慶子 雨月 200706  
さし湯して茶筅をすすぐ遅日かな 高野万里 200706  
生きてゐる遅日の空の茜雲 山下青坡 200707  
紙縒立つ文学館の遅日かな 小林成子 火星 200707  
浅草に友を案内す遅日かな 須藤美智子 風土 200707  
砂かむる雑魚見下ろしに遅日かな 佐藤山人 200707  
砂文字を遅日の須磨に残しけり 中村碧泉 ぐろっけ 200707  
煙突の影のふくらむ遅日かな 真保喜代子 200708  
避難所に又も余震のある遅日 藤浦昭代 ホトトギス 200709  
余震にも遭ひつつ見舞来し遅日 藤浦昭代 ホトトギス 200710  
石ひとつ投げて遅日の川面かな 蘭定かず子 火星 200806  
客を得て勢ふ遅日の人力車 椋本一子 雨月 200807  
校庭の遅日雉鳩睦みゐる 溝内健乃 雨月 200807  
吉野より遅日の帰路や雨も良き 長山あや ホトトギス 200809  
うすぎぬの水をすべらせ石遅日 山田弘子 ホトトギス 200810  
湯桶置く音の響ける遅日かな 片山博介 春燈 200812  
鴎外の遺徳に触れもして遅日 稲畑廣太郎 ホトトギス 200903  
いくたびも庭に出てみる遅日かな 稲畑汀子 ホトトギス 200904  
尼寺の恋文塚の遅日かな 田中藤穂 あを 200905  
ゆりかもめ布反すかに発ち遅日 松井倫子 火星 200906  
航跡の白きひとすぢ遅日かな 星野晃夫 炎環 200906  
落柿舎の屋根に人ゐる遅日かな 浅田光代 風土 200907  
濤音を統べて遅日の暮光かな 安立公彦 春燈 200907  
眼裏に安房の渚の遅日かな 河本由紀子 春燈 200907  
振子時計の振子の振りも遅日かな 井田実代子 雨月 200907  
この句碑の遅日の庭を去り難し 河野美奇 ホトトギス 200909  
虚子の声流るる館に聴く遅日 宮崎正 ホトトギス 200909  
咲くものもやがて散りゆく庭遅日 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
水音を纏ひ遅日の庭に立つ 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
虚子没後五十年展終へ遅日 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
事終へて遅日の予定組み替ふる 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
肩の荷を下ろし遅日でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
旅終へて旅ふり返る遅日かな 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
みよし野の遅日の旅を栞る日々 稲畑汀子 ホトトギス 201004  
幼子に戻る母看て遅日かな 鈴木セツ 201005  
貝に砂吐かせてゐたる遅日かな 窪田粧子 馬醉木 201006  
酒器まろししばし遅日を置いている 服部郁史 京鹿子 201006  
遅日かな竹生島より最終舟 川中佐知子 風土 201007  
夕刊も手紙も来ぬ□遅日かな 根岸善行 風土 201007  
網焼の魚介燻らせ安房遅日 卜部黎子 春燈 201007  
相席に蕎麦を待ちゐる遅日かな 小林愛子 万象 201007  
リハビリの窓に遅日の落暉かな 西垣順子 201008  
思ひ出すやうに遅日の鳩時計 岩崎慶子 201008  
思ひ出は尽きず遅日の別れかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010  
主婦といふ枷を身近に遅日かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201104  
塔尾に古漬を買ふ遅日かな 川端俊雄 火星 201105  
大き過ぎのリュック背負はせる遅日 高橋泰子 201106  
西空に眞赤な火の玉遅日かな 芝宮須磨子 あを 201106  
撥の音に木偶動き出す遅日かな 大谷昌子 馬醉木 201107  
天平の遅日の柱影かさぬ 豊田都峰 京鹿子 201107  
白鷺の大屋根に立つ遅日かな 村上留美子 火星 201107  
動くまで岩でありけり犀遅日 古賀しぐれ ホトトギス 201108  
音先へ先へと進み船遅日 古賀しぐれ ホトトギス 201109  
映画果て遅日の海に妻と佇つ 碇天牛 雨月 201201  
引波の真砂つぶやく遅日かな 高橋 明 末黒野句集 201203  
復興の遅日の街でありしこと 稻畑汀子 ホトトギス 201204  
書き足して足して遅日の予定表 稻畑汀子 ホトトギス 201204  
み吉野の遅日の旅に加はりぬ 稻畑汀子 ホトトギス 201204  
碁をならぶ遅日の縁や猫脇に 松岡利秋 かさね 201204  
松おほき葛飾みちの遅日かな 安立公彦 春燈 201204  
歳時記の死語と向き合ふ遅日かな 亀井紀子 201205  
ライオンの迷惑顔の遅日かな 竹生田勝次 風土 201205  
路地遅日ブリキの玩具かたかたと 細川洋子 201206  
鐘の音の間合はかれる遅日かな 荒井千瑳子 201206  
踏む仁王踏まるる邪鬼も遅日厭く 定梶じょう あを 201206  
風みだす遅日の髪に手櫛かな 小山繁子 春燈 201207  
香炷いて老舗女将に店遅日 中原吟子 雨月 201207  
いつまでも風を見てゐる遅日かな 今井肖子 ホトトギス 201209  
句碑三基揃ひし枳殻邸遅日 安原葉 ホトトギス 201209  
閉門を遅らせてゐる園遅日 安原葉 ホトトギス 201209  
車麸の水にふくらむ遅日かな 服部早苗 201209  
人波の続く仲見世遅日光 伊東和子 201306  
頼朝の墓へ遅日のひだる神 太田昌子 馬醉木 201306  
石二枚ずしりと据ゑて橋遅日 林昭太郎 201306 六義園
烏骨鶏の顔に遅日の目鼻かな 土居通子 ろんど 201306  
森の空茜に染むる遅日かな 森清信子 末黒野 201306  
桜蕊降るや遅日の芭蕉句碑 安立公彦 春燈 201307 清澄庭園
そのあとは枝移りして遅日かな 鷺山珀眉 京鹿子 201401  
鯉跳ねしあとの静けさ遅日かな 阪上多恵子 雨月 201405  
地球儀のふんはり浮かぶ遅日かな 菅谷たけし 201405  
鍋底を木杓子の掻く遅日かな 山本耀子 火星 201405  
鳥籠の和毛舞ひ立つ遅日光 大上充子 馬醉木 201406  
ひとことが余韻となりし遅日かな 近藤紀子 201406  
かまど守る遅日の椅子に桟俵 田所節子 201407  
毛糸解くや手よりころげる遅日かな 吉村さよ子 春燈 201407  
道草を重ねて戻る遅日かな 服部珠子 雨月 201407  
いもうとの兄老ひ易き遅日かな 岡田一夫 201410  
陶芸の森に迷うて遅日かな 前田美恵子 201410  
手斧目の黒き柱に遅日かな 赤座典子 あを 201504  
綾とりの二段梯の遅日かな 高野春子 京鹿子 201506  
なにやらにポケット膨れゐる遅日 青谷小枝 やぶれ傘 201506  
野のものの灰汁ぬいてゐる遅日かな 田所節子 201506  
瀬田川の船が船曳く湖遅日 武生喜玖乃 雨月 201507  
海のいろ河口をのぼる遅日かな 大崎紀夫 虻の昼 201510 遅日 →2

 

2020年3月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。