手 袋 1      238句

手袋に五指を分ちて意を決す   桂信子   ザ・俳句

手袋  手套

作品
作者
掲載誌
掲載年月
手袋の手と手袋の手の会話 稲畑汀子 ホトトギス 199812
手袋の手の思案して外しけり 稲畑汀子 ホトトギス 199812
手袋をはめて心を閉ざしたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 199812
手袋を取りて夜会の始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199812
手袋の主は遠く旅立てり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199812
護謨手袋鳴かせ野澤菜漬日和 中原道夫 銀化 199812
手袋をはめ善きことに関はらず 藤田宏 199903
指先の出る手袋で鳥を見に 夏秋明子 火星 199904
空席に片手袋のきつね色 潮崎晋作 199904
どこへ行くにも手袋は黒が好き 村田近子 遠嶺 199905
手袋も迷路のごとく海の底 稲用飛燕 船団 199912
桔梗咲いて母の手袋おちている 小西ありそ 海程 200002
手袋の右落ちてゐる聖夜かな 田中藤穂 水瓶座 200002
手袋買ふ十指組んだり反らせたり 谷泰子 ぐろっけ 200002
手袋の先が余つてゐる小指 堺井浮堂 円虹 200003
公園の木に挿してあり片手袋 小林清之介 風土 200004
手袋を外して手紙投函す 田村すゝむ 風土 200004
つかむ型形状記憶の落手袋 奥田筆子 京鹿子 200004
目を離さずに手袋の指を抜く 藤井圀彦 200005
手袋を脱げど袋のネズミかな 片岡秀樹 海程 200005
片方の落ちし手袋小鳥めく 野里ムツ 200005
置き忘る手袋に意志あるごとく 平居澪子 六花 200005
掌に残る蒅のぬくみ手袋へ 河村泰子 ぐろっけ 200005
手袋の指切の指痛みけり しおやきみこ 船団 200007
気持ちとは脱いで五指ある手袋よ 新宮譲 海程 200008
駅階に誰も拾はぬ片手袋 阿部寒林 200010
雪渓に置けば手袋遺品めく 阿部寒林 200010
やまももの下に落ちゐし革手袋 山尾玉藻 火星 200101
手袋を嵌む片手ぐう片手ぱあ 行方克巳 知音 200103
手袋の懈怠許さず五指入れて 泉田秋硯 月に逢ふ 200103
手袋の片つぽ残る寒さかな 和田あきを 風土 200104
置き忘れ指癖遺る革手袋 品川鈴子 船出 200104
掴みたるかたち手袋落ちている 神野祥子 海程 200106
手袋でゴム跳の段上げてゆく 木原今女 ぐろっけ 200106
冷えびえと革手袋の愛撫受く 高橋とも子 200107
碧蹄館舞ふ黒い手袋朱のてぶくろ 堀内一郎 あを 200112
見とれたる佛に手袋置忘れ 山田耕子 京鹿子 200201
ゆびきりの指手袋に仕舞ひけり 清水節子 馬醉木 200202
手袋や若草色のフリスビー 望月周 百鳥 200202
ヘプバーンとおんなじ手袋ときめけり 貝森光大 六花 200202
別宅の革手袋を惻隠す 堀川夏子 銀化 200202
川沿ひを急ぐ手袋はめ直し 広渡紀子 200202
片方の手袋さがし一日暮れ 大空純子 ぐろっけ 200202
手袋を除れど不器用のこりけり 暮岸江 銀化 200203
卒寿なる赤き手袋求めけり 水田清子 200203
抽斗の皮手袋の古ぶまま 水田清子 200203
手袋の中に硬貨を握り締め 永本純子 200203
手袋の守衛たいくつ体操す 今井千鶴子 ホトトギス 200204
手袋の中の十指も意を固め 佐藤博美 200204
氣短かき故の手袋嫌ひかな 岡本眸 200204
手袋をとり触れてみる石舞台 宮武美代子 ぐろっけ 200204
年とへば手袋とりて指を立つ 北村きみ子 ぐろっけ 200204
手袋と作務衣と届き誕生日 醍醐季世子 200205
共犯は春手袋と春ショール 佐藤多恵子 銀化 200205
手袋のわめく形を手熨斗にす 嵯峨根鈴子 火星 200207
手袋の手と手袋の手とつなぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200212
役立ちぬ手袋去年のポケットに 稲畑汀子 ホトトギス 200212
焼香に脱ぐ手袋を預かりし 梅原富子 200302
手袋の小指のいつも余りけり 伊藤早苗 200303
手袋の右手を上げて笑顔来る 泰江安仁 百鳥 200303
神馬の碑撫づる手袋外しけり 柴田久子 風土 200303
手袋を拾ふ火種を拾ふごと 櫂未知子 銀化 200303
左利き手袋しても外しても 高橋伸 200304
忙中の手袋にある右ひだり 小林澄子 200304
置き忘れし手袋片手春めきぬ 菅原健一 200305
嵌めてみて赤き手袋小さかり 加古みちよ 火星 200305
手袋の毛玉取らばやバスの中 大塚まや 京鹿子 200305
手袋のいらぬ東京三ヶの月 春日久子 八千草 200305
手袋を拾ひたる間も雪降れり 浦川聡子 水の宅急便 200305
手袋の五指に個室のありにけり 藤原かかし 200306
手袋でこの指パパと母の膝 浅井よしみ 八千草 200307
手袋に十指納めて人の死へ 須田紅三郎 200312
手袋の拍手もらひしピエロかな 山田六甲 六花 200312
しんなりと皮手袋に愉さるる 嵯峨根鈴子 火星 200402
手袋に指つめなほし約束す 豊田都峰 京鹿子 200402
亡き妻の編みし手袋濯ぎけり 大山利雄 草の花 200403
手袋の右手大きくなりにけり 高倉和子 200403
手袋をはめ出発の刻と告ぐ 岩永恵子 百鳥 200404
駅員の白き手袋去年今年 浜和佳子 百鳥 200404
手袋を暫く嵌めず祈りしあと 青山悠 200405
手袋の上に手袋握手なる 木下栄子 築港 200406
カシミアの手袋の穴愛おしき 飯田泰子 八千草 200408
手袋を取れば佳人でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200412
手袋を針金干しに汐見小屋 大西八洲雄 万象 200501
手袋に左右ある寒さかな 堀内一郎 あを 200501
手袋や片道切符の角硬く 無田眞理子 馬醉木 200501
手袋で指さしあれが壇の浦 鷹羽狩行 200502
手袋の片方パリに忘れ来し 長野純顕 対岸 200503
艶増せる皮手袋のなじみ皺 栗原公子 200503
手袋の階に踏まるる九番線 那須淳男 馬醉木 200503
片方のみ残る手袋捨てられず 清水澄江 築港 200503
手袋を非常袋に加へたり 早崎泰江 あを 200503
手袋の小指余りし園児かな 金子慶子 遠嶺 200503
手袋をはづす一瞬の憂鬱 倉持梨恵 200503
千体仏拝す手袋脱ぎにけり 橋添やよひ 風土 200504
恋はるか手袋一指一指はづす ほんだゆき 馬醉木 200504
こんな日に手袋忘れてしまひけり 倉持梨恵 200504
落してもよいなどと言ひ古手袋 百葉箱 京鹿子 200505
不器用は承知手袋編みにけり 中川智恵子 200505
両の手に左手のみの手袋を 二瓶洋子 六花 200505
絶交と手袋投げて先ゆく娘 漢隆司 八千草 200507
片方の手袋ぽつん生垣に 漢隆司 八千草 200507
縄のれんくぐり手袋噛んで脱ぐ 吉田かずや 春燈 200601
畑中の杭に手袋干されあり 高橋ふじ 酸漿 200602
手袋を脱ぎて触もし綾子句碑 梅村五月 栴檀 200602
手袋の干されて夕日招きおり 渡邉友七 あを 200602
手袋のままに指切りふと不安 上田玲子 200603
手袋を嵌めて子供にかへりけり 三輪慶子 ぐろっけ 200603
手袋のまま受け取りしルームキイ 飛鳥由紀 200604
手袋に思ひとどかぬ指満たす 柴田佐知子 200604
手袋に歯型の残りゐる三日 迫田白庭子 百鳥 200604
拝みたる手を手袋に納めけり 重本文子 百鳥 200605
ポケットにいつも手袋ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200612
車にも積んで手袋なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200612
手袋をどのポケットに入れしかと 稲畑汀子 ホトトギス 200612
手袋に母の形の残りけり 久永淳子 春燈 200702
手袋を脱ぎて十指に海聞かす 小澤克己 遠嶺 200702
しなやかに嵌める手袋巴里土産 谷榮子 雨月 200702
手袋を脱ぎて触れたる太柱 ことり 六花 200702
手袋をぬいで手を振る別れかな 首藤知茂 200703
呆れたる言葉手袋噛んでぬぐ 瀬下るか 200704
手袋の二歳ふたつの形に落ちてをり KOKIA 六花 200704
手袋をまた忘れたり落したり 片野光子 ぐろっけ 200705
廟の門春手袋をしまひけり いしだゆか 遠嶺 200705
手袋の馴染まぬままに仕舞ひけり 繁芸春香 万象 200706
干し手袋天に向かひて合掌す 尼嵩太一郎 ぐろっけ 200706
肩竦めじ手袋の手を振りてゆく 林翔 馬醉木 200801
手袋を脱ぎて握手の列に着く 代田青鳥 風土 200802
あかんぼのゆび手袋に充満す 竹内弘子 あを 200802
手袋の片方ばかり残りけり 代田青鳥 風土 200803
目印の赤い手袋見せ合うて 代田青鳥 風土 200803
手袋をにぎる一寸先の闇 竹下昌子 200803
革手袋胸のボタンをかけ違ふ 戸田春月 火星 200803
手袋を入れては出して旅仕度 河井富美子 ぐろっけ 200803
手袋のまま手を取りし別れかな 岸上二條 200804
新しき手袋雪を掴みけり 岩木茂 風土 200804
手袋を脱ぎ曾孫と手をつなぐ 波田美智子 火星 200804
手袋の捨てきれぬまま穴のまま きくちきみえ やぶれ傘 200804
片手袋無名庵主をメモにとり 大阪河村泰子 ぐろっけ 200805
ポケットに手袋の見え授業中 浅田光喜 絵巻物 200806
レース手袋そと捨てし別れ来て 新関一杜 京鹿子 200808
トリトンの絵本土産に革手袋 府川房江 母の空 200808
手袋も指環もはづし赤児抱く 品川鈴子 ぐろっけ 200812
手袋に指収まらぬ幼かな 伊藤憲子 200902
手袋の指を反らせば長く見ゆ 横井明子 200902
手袋の早欲しと思ふ悪の身 青垣和子 雨月 200902
骨の無き手袋と辞書鷲掴む 丸井巴水 京鹿子 200902
手袋の指の個室にをさまりぬ 辻美奈子 200902
手袋に指ゆきわたり外出す 松本圭司 200902
手袋の一指曲りて忘れらる 常田創 200903
手袋の十指に分かつぬくみかな 中村洋子 風土 200903
手袋へ自嘲の指をねぢ込めり 風間史子 200903
いつよりか右の手袋はめぬ癖 船越美喜 京鹿子 200903
革手袋贈りくれたるひとのゆび 村田とくみ ぐろっけ 200903
手袋をたたみ菩薩の鐘撞けり 高尾幸子 遠嶺 200904
みどり子を抱く手袋外しけり 黒坂紫陽子 馬醉木 200904
ていねいに五本の指に手袋す 中野京子 200904
指揮者なり女性巡査の手袋舞ふ 遠藤逍遙子 風土 200904
噛んで脱ぐ皮手袋の皮匂ふ 藤本る衣 炎環 200904
手袋の鼠が梯子のぼり来る 梶浦玲良子 六花 200904
掃除機に手袋あっと吸われけり 金井香ル 200905
手袋に指の長さを確かめる 倉持梨恵 200905
手ふるごと誰が手袋まだ枝に 梶川智恵子 200905
手袋の片つぽ宇宙の落しもの 直江裕子 京鹿子 200905
手袋も揃ひ双児上機嫌 稲次登美子 雨月 200905
我は素手子は手袋に雛納む 金原亭馬生 炎環 200906
手袋の指のぬけがら触れてみし 黒川俊郎 200908
手袋へ幼き指の迷ひ込む 小嶋洋子 泡の音色 200912
皮手袋機先制するやうに脱ぐ 田村園子 201003
吊革に女の手袋伸びて来し 廣畑忠明 火星 201003
手袋もめがねも忘れ終電車 林哲夫 ぐろっけ 201003
手袋を脱ぎて寄りゆく募金箱 金山千鳥 酸漿 201003
指先のなき手袋に釣りもらふ 安藤久美子 やぶれ傘 201004
微かなる革手袋の音のして 安藤久美子 やぶれ傘 201004
手袋の効き指の先破れけり 小林朱夏 201004
手櫛してまた手袋をはめにけり 天谷翔子 火星 201004
革手袋指輪の形のもり上がる 天谷翔子 火星 201004
君を待ち手袋人形出来上る 鈴木浩子 201004
手袋を噛みて脱ぐ癖改札口 斉藤雅子 末黒野 201004
落とされし手袋虚空つかみをり 松嶋一洋 201004
手袋のときどき行方知れずなる 吉成美代子 あを 201004
手袋の片方づつや桐の箱 齋藤厚子 201102
手袋で葉書つまんで道あるく 佐藤喜孝 あを 201102
手袋を脱ぎ弁当を広げけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201102
手袋のままで指切り停留所 沖則文 ぐろっけ 201102
指の傷隠す手袋母の前 沖則文 ぐろっけ 201102
手をつながむと手袋を脱ぎにけり 荒井千佐代 201103
手袋編む簡略にしてミトン型 新実貞子 201104
手袋を脱ぎて触れたる震災碑 阪本哲弘 201104
手袋の指の優しく脱がれあり 山本素竹 ホトトギス 201104
革手袋に手を差し入れて男前 泉田秋硯 201105
左手の手袋左ポケットヘ 丑久保勲 やぶれ傘 201105
手袋をはづしてよりの本気かな 会田仁子 ホトトギス 201106
小心を黒手袋につつみける 竹内弘子 あを 201112
手袋の人さし指を立てて干す 木村茂登子 あを 201201
あたらしき手袋はや失せにけり 柳田皓一 かさね 201202
手袋の指先あまる久女の忌 丹羽啓子 馬醉木 201203
手袋を脱ぎし両掌の御撫で石 田村すゝむ 風土 201203
手袋を外し名前を連らね書く 松下八重美 夢見の鐘 201203
カシミヤの手袋ぬくし嫁ぬくし 柴田歌子 201204
やすやすと古里捨てし革手袋 吉田葎 201204
手袋に握手のぬくみ収めけり 森清信子 末黒野 201204
きつちりと革手袋の置かれをり 田尻勝子 六花 201204
脱ぎ置きの皮手袋の指動く 有賀昌子 やぶれ傘 201206
手袋の小指はいつも余りたる 高倉和子 201302
夜の卓の皮手袋に握り皺 米澤光子 火星 201303
合掌の手袋脱ぐや阿弥陀仏 永島雅子 春燈 201303
手袋を買ふきつねの子遠き日よ 桑原逸子 201303
手袋の片手拝みに道祖神 三枝邦光 ぐろっけ 201303
会へぬひと生涯多し皮手袋 栗原京子 201303
手袋の女園丁高梯子 三枝邦光 ぐろっけ 201304
落とし物手袋一方虚空指す 太田健嗣 ぐろっけ 201304
手袋の指人形の話し出す 安藤久美子 やぶれ傘 201304
歩きけり手袋の手を振るとなく 山内四郎 春燈 201305
抗菌の手袋うすし冴返る 藤丸誠旨 春燈 201312
手袋に指入れ記憶さぐりゐる ほんだゆき 馬醉木 201401
指先のなき手袋や歯のさみし 米澤光子 火星 201402
手袋や幸と不幸を合せ持ち 小山田子鬼 201402
黒革の手袋に受く銀貨かな 柿沼盟子 風土 201403
手袋の親指だって強情だ 坪内稔典 船団 201403
手袋を編む棒先の格闘技 石川寿夫 ろんど 201403
赤手袋しかと早朝散歩癖 鈴木照子 201403
手袋を脱ぎつつ語る祖父の事 古川忠利 末黒野 201404
時刻表手袋の手で拭ひ読む 菅野蒔子 末黒野 201406
手袋もマフラーもして塾帰り 塩路彩奈 201501
片手袋枝にはめられ遊歩道 山荘慶子 あを 201501
手袋を脱いでサーカス小屋に入る 飯塚ゑ子 火星 201502
手袋に五指入れ考の温み思ふ 三輪温子 雨月 201503
新しき物より失くす手袋も 山本無蓋 201503
手袋に幼き指の迷ひをり 岡崎春菜 万象 201503
ランナーの手袋捨てて追ひ込めり 近藤鉦子 201503
手袋を脱ぎ湖風に深呼吸 藤森すみれ 201504
麦とろを啜り手袋忘れ来る 仁平則子 201504
手袋の指先空(くう)を掴みけり 伊東和子 201504
メール打ち右手袋を落としたり 伴秋草 末黒野 201505
手袋を脱ぎ駄菓子屋に入りにけり 廣瀬推男 やぶれ傘 201505
指先の空く手袋で抱きしめる 辻村拓夫 船団 201508
手袋の捨てきれぬまま穴のまま きくちえみこ 港の鴉 201510
手袋→ 2      

 

2020年12月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。