10       100句

長瀧を容れて滝壷大いなる   山口誓子   続十方

  瀑布

作品
作者
掲載誌
掲載年月
滝裏にのぞくこの世の面白き 中条さゆり 201011
滝の前睡毛重しと少女子ら 守屋井蛙 酸奬 201011
滝の上ゴンドラ行き交う手を振りて 長瀬節子 ぐろっけ 201011
瀧落つる原始の森の口開けて 市村健夫 馬醉木 201012
正面の滝正面に見据えたり 久保東海司 201012
考ふる力を断たる滝真白 若井新一 201012
一と二は見えず深山の三の滝 渡部志津子 201012
月白の滝壷ひかり溜めてをり 杉浦典子 火星 201012
白妙の裳裾を広げ那智の滝 大沼遊魚 201101
一人づつ渡る木の橋滝しぶき 熊切修 末黒野 201104
望む滝青岸渡寺のきざはしに 阿部ひろし 酸漿 201105
滝落ちて四囲の静寂極まれり 布川直幸 201106
滝音を被せられ龍の神拝す 布川直幸 201106
滝壺へ落ちれば水となる分子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
物の怪を集めて滝となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
ふたたびは訪ふこともなき深山滝 稲畑汀子 ホトトギス 201107
滝しぶき浴びてこれより帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 201107
滝しぶき時に神馬のたてがみに 荒井千佐代 201107
やがて吾も遡上してゆく滝の中 大石誠 201107
盛り塩ふたつ一条の滝の前 天谷翔子 火星 201107
滝しぶき万歩の脛に賜りぬ 永井博光 201107
母許へ滝の一景見逃さず 中川すみ子 201108
空奔る雨降り山の滝谺 近藤幸三郎 風土 201108
滝落ちる瞬に無音の世界あり 能村研三 201108
滝になることを知らざる流れかな 浅沼久男 201108
瀧浴ぶる行者この頃なくなりぬ 大西八洲雄 万象 201108
千仞の渓底碧し滝ひびく 小野千枝子 万象 201108
木隠れの谿へせり出す滝見茶屋 荒木甫 201108
滝つぼに水の女神の集ひたる 近藤公子 201108
滝しぶき全身に浴び無垢となる 中田禎子 201108
松蝉や孝子の滝をまなかひに 田中清子 雨月 201108
滝壺に水色に水もどりけり 山田六甲 六花 201108
瀧落ちて草の姿も色も消す 蟻蜂 六花 201108
岸の子の両手広げて瀧を見る 蟻蜂 六花 201108
瀧を飲むポーズにさせて写真撮る 蟻蜂 六花 201108
沸くやうに飛沫の出づる瀧の上 蟻蜂 六花 201108
強き風起こして滝のおちにけり 蟻蜂 六花 201108
群青の滝の一句や奈良団扇 水原春郎 馬醉木 201109
大滝に打たれて体透きとほる 高倉和子 201109
木洩日や滝を離れて滝の音 加藤静江 末黒野 201109
魚止めの滝その先をいまだ見ず 小林輝子 風土 201109
群青の滝を仰ぎし祖の師系 能村研三 201109
合歓の葉のそよぎ止まずよ滝行者 定梶じょう あを 201109
神の手をこぼれて滝の落つるなり 岩岡中正 ホトトギス 201110
滝道を人に遅れて母と行く 椿和枝 201110
滝しぶき空が微塵にくだかれて 田所節子 201110
大空より滝は一途に落ちて来し あさなが捷 201110
大巖へ炎のごとく瀧の落つ 織田高暢 201110
滝行の女黒髪流し立つ 松本恒子 ぐろっけ 201110
見上げては滝の長さを測りけり 有本勝 ぐろっけ 201110
さつきとは違ふ滝音足ふんばる 山本耀子 火星 201110
滝の上にひるがへりては木の葉散る 中條睦子 万象 201110
耳の底耳の底へと滝落つる 古賀しぐれ ホトトギス 201111
滝の端のめくれしままに落ちにけり 深澤鱶 火星 201111
吊橋は一人づつなり七つ瀧 藤井久仁子 ぐろっけ 201111
庭下駄のまま滝音にいざなはれ 齋藤朋子 やぶれ傘 201111
宿の下駄履きし滝見となりにけり 天野美登里 やぶれ傘 201111
笑みつつ呟く滝壺に帰れる ことり 六花 201111
握り締めた拳滝水にほどく ことり 六花 201111
滝水に流す子守歌にくるみ ことり 六花 201111
滝が落ちる水が壊れきつてゐる ことり 六花 201111
うすつぺらい手滝水に遊ばせる ことり 六花 201111
蝋涙のぬくき流れや瀧祠 笹村政子 六花 201111
瀧じめりしたる句帳を持ち帰る 笹村政子 六花 201111
痩滝のしぶきは風に消されけり 笹村政子 六花 201111
痩滝のしぶきを風の消しにけり 笹村政子 六花 201111
滝涼し滝の名句を口ずさみ 岩木茂 風土 201111
せせらぎの奥より滝の音柱 岩木茂 風土 201111
街道に滝音洩れてゐたりけり 岩木茂 風土 201111
滝音の中に戻つて来る小鳥 岩木茂 風土 201111
惜しみなく滝すべて見せ迸る 栗原京子 201112
声掛けて言葉散りじり滝の前 久保東海司 201112
裸身ひるがへして滝の落ちにけり 岩岡中正 ホトトギス 201201
滝落ちて光陰とどむすべもなし 岩岡中正 ホトトギス 201201
滝壺をめがけてわれもわれもと水 岩岡中正 ホトトギス 201201
山路来て荷の軽くなる滝の音 辻紅葉 かさね 201201
しばらくは体の浮きし滝の前 高倉和子 夜のプール 201203
滝音に閉ぢ込められてをりにけり 志方章子 蟋蟀 201203
現へと返り滝見の昇降機 上月智子 末黒野 201204
十一文関所跡より滝見えて 長谷川鮎 ぐろっけ 201206
幣搖らせ水あふれ出る那智の滝 長谷川鮎 ぐろっけ 201206
ぐらぐらの揺ぎ岩なり滝の前 山田六甲 六花 201206
大岩に姿見せ得ぬ龍の滝 坂根宏子 201207
ゆるやかに流れゐし水滝となる 稻畑汀子 ホトトギス 201207
まわりにも風を起こして滝しぶき 安藤虎酔 かさね 201207
レースカーテン張りし如くに人工滝 丹生をだまき 京鹿子 201207
正面の滝を見据ゑてしぶき浴び 久保東海司 201208
晴天や渓薄暗き滝しぶき 池内とほる かさね 201208
風に舞ひ陽に燦めくや滝しぶき 池内とほる かさね 201208
深閑と木立の奥より滝の音 佐々木薫 かさね 201208
見返れば滝のしぶきの中に山 小林朱夏 201208
滝白し落ちてより水清らかに 山田正子 201208
からだより魂去りぬ滝の前 広渡敬雄 201208
滝風のそのまま若葉風となり 南うみを 風土 201208
息荒き犬に出会へり滝の道 浅田光代 風土 201208
滝に入る女行者の束ね髪 高瀬博子 六花 201208
滝行者見守る吾も合掌す 高瀬博子 六花 201208
滝行者息つぐ水を放ちけり 高瀬博子 六花 201208
滝に来て迷ひ一気に断ちにけり 高瀬博子 六花 201208
ほとばしる大滝仰ぎ深呼吸 福本すみ子 201209
滝 →11      

 

2021年5月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。