竹の秋 2     205句

そろりそろり始まりにけり竹の秋    伊万里梅城

竹秋  竹の春  竹の秋  竹の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
揺れもせで夕風さそふ竹の秋 廣島泰三 200406
雷丘とふはこれ竹の秋 高垣和恵 雨月 200406
古民家に風の音聴く竹の秋 鈴木實 百鳥 200406
招かれし生前葬や竹の秋 天野みゆき 風土 200406
山風に擦れ合ふ竹の秋の音 石見実人 草の花 200406
竹の秋稲荷神社に夕日射す 斉藤利枝子 対岸 200406
この家の遺影遺稿や竹の秋 高橋千美 京鹿子 200406
まつくろな電線通る竹の秋 岡本眸 200406
明るさは金明竹の竹の秋 稲岡長 ホトトギス 200407
羅漢さん勢揃ひして竹の秋 丹生をだまき 京鹿子 200407
たかが一書読みあぐねゐて竹の秋 窪田佳津子 雨月 200407
雨脚のまたひとしきり竹の秋 山下青坡 200407
竹の秋旧家に残る車井戸 保田英太郎 風土 200407
狼藉のやう葉を散らす竹の秋 中村清志 200407
竹の秋鍛冶屋に十能懐しむ 中島瑞枝 百鳥 200408
竹の秋道明寺守る尼七人 松崎鉄之介 200408
青空を刷く風の音竹の秋 松山正江 河鹿 200408
通夜の客ひとり残りし竹の秋 近藤幸三郎 風土 200409
日吉館ぴたりと閉ざす竹の秋 四葉允子 ぐろっけ 200409
竹の秋嵯峨野の女より来し便り 都留嘉男 八千草 200412
想念のふくるる絵画竹の秋 片山茂子 遠嶺 200506
俳人の群れて黙して竹の秋 今瀬剛一 対岸 200506
鬱の扉を敲きし風や竹の秋 若泉真樹 200506
竹の秋長子に生れし身を想ふ 徳田正樹 河鹿 200507
竹の秋長子の性を思ひけり 徳田正樹 河鹿 200507
竹の秋ぬぬつと出でし亀の首 大島翠木 200507
山門に入るやそびらの竹の秋 谷村幸子 200507
西山の大竹藪も竹の秋 山路紀子 風土 200507
山頂の古墳への道竹の秋 松崎鉄之介 200507
竹の秋過疎化に残る母の家 望月喜好 200507
竹の秋始まる獅子庵周りの藪 長村雄作 栴檀 200507
半眼の小さき地蔵や竹の秋 竹内太郎 200507
人肌の匂ひ濃くなる竹の秋 近藤喜子 200508
保険証に子の名消えたり竹の秋 鈴木實 百鳥 200508
鎌倉の海の白波竹の秋 根岸善行 風土 200508
廃線と決まりし車窓竹の秋 宇田秋思 ホトトギス 200509
人住みて道拓らかるる竹の秋 守屋井蛙 酸漿 200511
名園の刻む歳月竹の秋 松村多美 四葩 200605
安産の祈願寺多し竹の秋 松崎鉄之介 200606
埋もれて瓶子横たふ竹の秋 荒木甫 200606
自叙伝が形見となりし竹の秋 谷村幸子 200606
年ごとに眠りの浅き竹の秋 藤井昌治 200606
竹の秋百獣の王雨に濡れ 山元海郎 河鹿 200607
繰り出せる風小刻みに竹の秋 藤原たかを 馬醉木 200607
嵯峨野路や古刹訪ぬる竹の秋 小林文良 春燈 200607
禅林のしづけさあつめ竹の秋 山口速 200607
竹の秋人追ふなりに舞ふひぐれ 豊田都峰 京鹿子 200607
竹の秋光と影の小径かな 大島寛治 雨月 200607
城山の麓の一寺竹の秋 赤松丹山 雨月 200607
鎌倉山にのこる石仏竹の秋 堀田こう 雨月 200607
竹の秋真間の井夫の後にのぞく 上村葉子 風土 200607
竹の秋リスの占拠の霊跡地 伊藤律子 四葩 200609
ひちりきの遅れがちなる竹の秋 奥田筆子 京鹿子 200609

 「若竹」九百号を祝して

明るさのこれ以上なき竹の秋

鷹羽狩行 200704
乙訓に始まつてゐし竹の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200704
方針を換へし老舗や竹の秋 池崎るり子 六花 200704
竹の秋土芳の墓を猫よぎり 吉田郁子 風土 200705
姑の納骨修す竹の秋 市橋章子 ぐろっけ 200706
新しきスーツ身に添ふ竹の秋 篠藤千佳子 200707
竹の秋移築民家の竜吐水 府川房江 遠嶺 200707
竹の秋軽い目暈の緋のブルゾン 井上あき子 ぐろっけ 200707
伊豆の山々はそのまま竹の秋 鷹羽狩行 200708
瞽女おりんと来合はす若狭の竹の秋 岡井しげ女 春燈 200708
僧遷化されし山内竹の秋 安原葉 ホトトギス 200709
門前に中陰とあり竹の秋 安原葉 ホトトギス 200709
杉山の裾金茶なす竹の秋 丹生をだまき 京鹿子 200709
禅院の裏山騒ぐ竹の秋 菊地惠子 酸漿 200710
竹の秋ひらひら落つる落し紙 土井田晩聖 万事 200711
野々宮の昼なを暗き竹の秋 山田六甲 六花 200802
古都といふ静寂にありて竹の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
竹の秋雀のお宿この辺り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
竹の秋てふ水の色風の彩 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
お隣と風の境界竹の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200804
一劃は金明竹の秋とこそ 稲畑汀子 ホトトギス 200804
設計図庭に及びぬ竹の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200804
竹の秋防風林となりゐたり 金田美恵子 ぐろっけ 200804
竹の秋光陰吾れの経し日かな 松波とよ子 春燈 200805
おとなひのなき尼寺の竹の秋 徳田千鶴子 馬醉木 200806
軒裏に梯子吊る納屋竹の秋 根橋宏次 やぶれ傘 200806
石仏へ光揺らめく竹の秋 廣見知子 200807
神鶏の鬨あげて鳴く竹の秋 石田野武男 万象 200807
ともす灯に潮の香のあり竹の秋 馬崎千恵子 春燈 200807
そよ風の代官山や竹の秋 醍醐季世女 200808
落柿舎の竹の庭下駄竹の秋 木暮剛平 万象 200808
閉門は日暮までとや竹の秋 片野光子 ぐろっけ 200808
竹の秋富山の薬売り来たり 鈴木直充 素影 200811
てのひらの昔話や竹の秋 井上かつ美 炎環 200905
横臥せる釈迦の石像竹の秋 中川すみ子 200906
関東弁に染まる母訪ふ竹の秋 森下康子 200906
竹の秋一村同じ形の屋根 山本耀子 火星 200906
夕映のさやさやさやと竹の秋 石垣幸子 雨月 200906
声色をつかふ朗読竹の秋 佐藤午後 炎環 200907
竹の秋裏山動きはじめたり 原田達夫 200907
噂には入らぬ矜恃や竹の秋 大塚和子 200907
節目とは歩き出すこと竹の秋 七種年男 200907
影長き織部灯篭竹の秋 渡邉孝彦 やぶれ傘 200906
金泥もて描かん父郷の竹の秋 豊田都峰 京鹿子 200907
瞳中に小瀬の渦巻く竹の秋 土本渓光 ろんど 200907
久闊を叙すも出でぬ名竹の秋 北尾章郎 200908
踏台にふんばるおゆび竹の秋 中山純子 万象 200908
竹とんぼ高くは飛ばぬ竹の秋 山口速 200908
遠山に見えてさだかや竹の秋 大山妙子 酸漿 200908
竹の秋洗ひ晒しの齢となり 松田都青 京鹿子 200908
番号で呼ばるる古墳竹の秋 永井惠子 春燈 200908
竹の秋こころをしばし休めをり 伊藤敬子 200908
風の来て美しく舞ふ竹の秋 小澤昭之 200908
賎ヶ岳雲の流れて竹の秋 市橋敬子 200908
塗香の手薫るや苑の竹の秋 杉山瑞恵 雨月 200909
ずぶぬれをこよなく愛す竹の秋 池田光子 200910
森青き中の黄金よ竹の秋 中里カヨ 酸漿 200910
竹の秋風の裏なる欠灯籠 淺井照子 京鹿子 201001
仰ぎつつ正す姿勢や竹の秋 和田郁子 201005
一幅の草書のをしへ竹の秋 鈴鹿仁 京鹿子 201005
吾子抱きて父に逢ひたや竹の秋 竹永和代 201006
朱の門を潜れば羅漢竹の秋 中川すみ子 201006
水底に日輪もゆる竹の秋 神蔵器 風土 201006
主の亡く除幕待つ句碑竹の秋 小川玉泉 末黒野 201007
鹿ヶ谷奥ざうざうと竹の秋 橋添やよひ 風土 201007
道場に塵を留めず竹の秋 田中幹也 万象 201007
竹の秋数寄屋造の邸巡り 山本漾子 雨月 201007
竹の秋へと風溜めてゐるところ 湯川雅 ホトトギス 201008
子育てのまつ盛りにて竹の秋 青木康明 201008
靴べらの手づくりを賞で竹の秋 伊藤妙 201008
酷使する百骸九竅竹の秋 吉村摂護 201008
腐葉土を離れぬ鳩や竹の秋 渡邉孝彦 やぶれ傘 201010
竹の秋赤い句帳の終りけり 大村美知子 京鹿子 201105
小流れにベンチの茶席竹の秋 上田玲子 201105
竹の秋三毛猫寺に飼はれけり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
若冲の絵の虎笑ふ竹の秋 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
金色の千木の眩しく竹の秋 小川玉泉 末黒野 201107
竹の秋東西南北寺の門 奥田茶々 風土 201107
竹の秋農機具小屋の土の壁 久世孝雄 やぶれ傘 201108
震度六地震に震へる竹の秋 松嶋一洋 201108
風の道擦れ軋みあふ竹の秋 宮脇百合子 201108
目交に泛かぶ初島竹の秋 加藤静江 末黒野 201108
山間の里の静けし竹の秋 中野久雄 末黒野 201108
三重の塔見え隠れ竹の秋 中山良子 末黒野 201110
風やをら髪を梳きをり竹の秋 日下部亞こ ろんど 201112
寝室も馬屋も一家竹の秋 雲所誠子 風土 201201
谷戸深く風渡りゆく竹の秋 コ田千鶴子 馬醉木 201204
高札の定の太字竹の秋 高橋泰子 201204
竹の秋隣の借家引越しに 長谷川鮎 ぐろっけ 201204
思ひゆたに村はこぞりて竹の秋 井田実代子 雨月 201205
石積の化粧井戸なり竹の秋 中川すみ子 201206
竹の秋道に迷うて日の昏れて 西村純太 201206
子離れの思案そろそろ竹の秋 佐藤弘香 ろんど 201206
暮るるまで歩く鎌倉竹の秋 塩田博久 風土 201207
蕉庵に休園の札竹の秋 柴田久子 風土 201207
日のぬくみ地に行き渡る竹の秋 宇都宮敦子 201207
豚肉に凧糸を巻く竹の秋 瀬島洒望 やぶれ傘 201205
布かけて鏡ねむらす竹の秋 大島翠木 201207
竹の秋始まる神の垢落とし 柳本渓光 ろんど 201207
竹の秋寺の孔雀の彩拡げ 松本三千夫 末黒野 201207
南朝の古蹟に続く竹の秋 鈴木阿久 201208
はけ水の音弾みけり竹の秋 森岡恵子 万象 201208
竹の秋風を聴かんと杖に佇つ 神田恵琳 跫音 201303
百幹に風一つづつ竹の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
ここよりは熊野への道竹の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
一幹を風揺するより竹の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
岐れみち又逢ふみちや竹の秋 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
息切れの女坂です竹の秋 中田のぶ子 ろんど 201305
竹の秋背筋伸して老い隠す 上田雪夫 ぐろっけ 201305
中腹に伏屋並びて竹の秋 小柳千美子 かさね 201305
会ふことの思ひ出ひとつ竹の秋 市川伊團次 六花 201306
書くことの好きな遺伝子竹の秋 山田暢子 風土 201306
竹の秋筍守る網の垣 田島昭久 かさね 201306
ひとときを足場に使ひ竹の秋 市川伊團次 六花 201306
文塚の土居一畳竹の秋 伊東和子 201307
岩風呂に古葉降り注ぐ竹の秋 松木清川 ぐろっけ 201307
公開の古墳の冥さ竹の秋 伊藤純子 201307
亡き兄の病状用紙竹の秋 森理和 あを 201405
華やかに生きて淋しき竹の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201405
竹の秋とはさやさやとそよそよと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
失敗は山ほどもあり竹の秋 森下康子 201406
理を曲げぬ利休の眼竹の秋 岩月優美子 201406
閘門を差し潮くぐる竹の秋 渡邊孝彦 やぶれ傘 201406
きつちりと長針合はす竹の秋 中山静枝 201406
わだつみのひかりをあつめ竹の秋 上谷昌憲 201406
金色に夕日が滲む竹の秋 青野安佐子 201406
逸れ球の消えたるあたり竹の秋 岩上行雄 末黒野 201407
尼寺やかそけき風の竹の秋 落合絹代 雨月 201407
竹の秋粗壁小屋の耕耘機 久世孝雄 やぶれ傘 201407
白雲を片寄する風竹の秋 森清信子 末黒野 201408
人もまた自づと老いて竹の秋 齋藤晴夫 春燈 201408
木洩れ日の幾筋注ぎ竹の秋 河合とき 末黒野 201410
竹の秋蔵持つ家に水流れ 生田恵美子 風土 201411
戸袋に鳥ゐる気配竹の秋 瀬島洒望 やぶれ傘 201505
嵯峨野なる風の均せる竹の秋 豊田都峰 京鹿子 201505
街騒のとどかぬ城址竹の秋 堺昌子 末黒野 201506
菩提寺の裏の風騒竹の秋 河口仁志 201506
竹の秋住職はいま揮毫中 酒本八重 201506
やはらかき杣の日差や竹の秋 米尾芳子 馬醉木 201507
筆勢に快気の伸びや竹の秋 石井清一郎 馬醉木 201507
糸で切る陶土ひんやり竹の秋 広渡敬雄 201507
暮れさうで暮れぬ水面や竹の秋 武藤嘉子 201507
門前に蕎麦打つ音や竹の秋 水井千鶴子 風土 201507
竹の秋神を鎮めていく代なる 豊田都峰 京鹿子 201507
野点傘にしばし安らぎ竹の秋 安斎久英 末黒野 201507
散れば掃き掃けばまた散る竹の秋 青野安佐子 201507
竹の秋つづく抜け道嵯峨暮色 大島寛治 雨月 201507
吹く風のかたちに撓む竹の秋 蒲田豊彦 雨月 201507
陵の開かずの門や竹の秋 平居澪子 六花 201508
ただ風の音がゆくのみ竹の秋 住田千代子 六花 201509
陽の中へ竹の秋風透き通る 生田作 風土 201512
捨てるもの捨てて卆寿や竹の秋 寺石恵美子 京鹿子 201601
俳磚の庭淋しめず竹の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
増えてゆく庭の一劃竹の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201604
竹の秋→3      

 

2021年4月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。