涼 し 9    200句

能もなき教師とならんあら涼し   夏目漱石   漱石俳句集

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夫の絵の葉書ポストヘ星涼し 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
コーラスの一人涼しきアイシャドー 泉田秋硯 二重唱 200806
茅葺の涼しき土間や大時計 邑橋節夫 菊揃へ 200806
帰り住む大萱葺の涼しさよ 水原秋櫻子 馬醉木 200807
篠笛や涼しき風を胸に呼び 石本百合子 馬醉木 200807
仇討を涼しく語る碑でありし 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
木々になくさざめく水面風涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200807
石柱のかな文字涼し和歌の庭 中村悦子 200807
太鼓橋くぐりて涼し蘇州かな 吉成美代子 あを 200807
風涼し橋のほとりの道祖神 水原春郎 馬醉木 200808
宵の灯の涼し水掛不動尊 緑川啓子 馬醉木 200808
光年といふ涼しさの夜空かな 塩路隆子 200808
胸に住む夫と語らふ星涼し 能勢栄子 200808
店頭に飾る松笠カフェ涼し 中川すみ子 200808
志功絵を玄関に掛け涼しかり 塩路五郎 200808
涼しさや常白波の君ヶ浜 鷹羽狩行 200808
橋といふ涼しき高さありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
羊の毛涼しく伸びてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
お人柄涼しき日々を偲ぶのみ 稲畑汀子 ホトトギス 200808
水底に魚影走る渓涼し 中村悦子 200808
星涼し島に息づく能舞台 竹内文子 遠嶺 200808
馬耳東風母は涼しく生きてをり 小林朱夏 200808
老の身を易々と抜け風涼し 林翔 200808
涼しかり口一文字十五歳 坂本俊子 200808
鍵穴の涼しき音を立てにけり 齊藤實 200808
魂棚や涼しき風の前を過ぐ 神蔵器 風土 200808
頭陀袋饅頭笠吊る涼しさよ 大竹淑子 風土 200808
風涼し足ぶら下げて庭の縁 徳丸峻二 風土 200808
風涼し舟屋茶房は海の上 山路紀子 風土 200808
文机の何も置かざる涼しさよ 落合絹代 風土 200808
風涼し黄檗山の普茶料理 奥山絢子 風土 200808
一人づつ一人づつゆく道涼し 村越化石 200808
水芸の扇涼しく水を受く 山本ミツ子 六花 200808
戸棚涼し古き大皿割りてより 篠田純子 あを 200808
池渡る風の涼しく友を待つ 森理和 あを 200808
本棚の無ければ涼し住み易し 亀田虎童子 200808
搾乳を終へし乳牛目の涼し 岡佳代子 200809
満天の星に比叡の山涼し 塩路五郎 200809
白夜なる野寒布(ノシャップ)岬波涼し 鈴木照子 200809
朝涼しメレンゲしかと立ちあがり 田下宮子 200809
飛行機の曳きし一線朝涼し 坂上香菜 200809
堂涼し転法輪を回す音 坂上香菜 200809
忌を修し涼しき余生願ひけり 木船史舟 200809
星青し山湖涼しく暮れ果てて 水原春郎 馬醉木 200809
母憶ふとき御詠歌の鈴涼し 岡田和子 馬醉木 200809
涼しさや大樹の下の童子佛 窪田粧子 馬醉木 200809
菩薩像衣紋涼しき朱の名残 佐藤いね子 馬醉木 200809
抱けばすぐ男の子の反りをもて涼し 能村研三 200809
家々の涼しく灯る飛騨格子 田所節子 200809
退院と決まる明後日涼しかれ 伊藤白潮 200809
快速の三分停車星涼し 中村恭子 200809
窟涼し首をかしげて笑む菩薩 中山皓雪 200809
風涼し運河に雲の休みをり 天野正子 200809
堂涼し子安観音抱きし子 松波とよ子 春燈 200809
寂光の一燭涼し阿弥陀仏 中村悦子 200809
旅終へて涼しき家の鍵開ける 有元文子 風土 200809
涼しさを頂く仏の膝に触る 宇都宮滴水 京鹿子 200809
沢のぼる涼しき蟹の歩みかな 博多永楽 雨月 200809
翁の碑に始まる宿場朝涼し 落合絹代 雨月 200809
骨涼し土に戻るといふ壺に 上坂渥子 雨月 200809
逝く人の甲骨墨字涼しかり 石寒太 炎環 200809
歌塚へまこと涼しき鳶の笛 宇野慂子 万象 200809
ペンギンの餌を食むかもめ風涼し 木内徴子 万象 200809
涼しさや瞼やさしき伎芸天 岡田房子 酸漿 200809
鴛鴦涼しホテルの池を見下ろしに 内藤順子 酸漿 200809
断念の涼しき顔となりにけり 柴田佐知子 200809
涼しくて本当のこと話しけり 高倉和子 200809
一夕を神楽に遊び灯涼し 安武晨子 200809
路地ふかく処々の蛇口も涼しげに 竹内弘子 あを 200809
涼しさや宇治十帖を読みすすむ 森山のりこ あを 200809
朝涼し天声人語拾ひ読む 塩路隆子 200810
楠の葉の涼しさに恋ふ妣のこと 山崎里美 200810
兄遺影笑むや涼しき方へ逝き 北尾章郎 200810
寺辞して漫ろ涼しき膳所の浜 小澤菜美 200810
もつこすの美髭を額に梁涼し 工藤義夫 馬醉木 200810
短夜の涼しと思ふところまで 岩垣子鹿 ホトトギス 200810
雨音の幽かに座禅堂涼し 村上沙央 200810
シャガールの顔逆さまに星涼し 本多俊子 200810
佳き夢を見てをり星の涼しさに 岩月優美子 200810
菓子皿を置きて涼しき机かな 竹中一花 200810
シャガールの絵より飛び出す詩涼し 岩月優美子 200810
教会に涼しき声のポリフォニー 小澤克己 遠嶺 200810
てのひらに吉良の赤馬風涼し 遠藤和彦 遠嶺 200810
芝居果て銀座通りの灯の涼し 大曽根育代 遠嶺 200810
馬子唄の里に来てをり川涼し 横松しげる 遠嶺 200810
沈まぬ日の沈むを待つや海涼し 稲嶺法子 遠嶺 200810
涼しげに歌ふ賢治の星巡り 本橋葉月 遠嶺 200810
ブルーの灯連ね涼しき海の橋 中村悦子 200810
髪切りて涼しさのほど一センチ 鈴木セツ 200810
星涼し天体ドームを開け放ち 林陽子 万象 200810
花嫁を浄む五十鈴の水涼し 倉谷ます美 万象 200810
大樹背に涼しかりけりひとつ墓 荻野嘉代子 春燈 200810
祭壇画つぶさに見たり堂涼し 能村研三 200810
ヴエッキオの橋上店舗夕涼し 能村研三 200810
矢面に立つてしまへば涼しかり 北川英子 200810
箸置は涼しき艶の籤細工 田所節子 200810
声にして雄々しき師の句風涼し 渡辺昭 200810
涼しさの風の真ん中法話聴く 鈴鹿仁 京鹿子 200810
漢方薬はかる木の匙涼しかり 一ノ木文子 炎環 200810
妙法華経寺光悦扁額涼しけれ 乙訓淑子 炎環 200810
法華堂内陣よりの風涼し 乙訓淑子 炎環 200810
くわんおんに背を向けて背の涼しかり 杉浦典子 火星 200810
堂縁に足垂らしゐる涼しさよ 杉浦典子 火星 200810
白鳳のほとけ涼しきくびれかな 深澤鱶 火星 200810
いづこより木鋏の音の涼しかり 高橋芳子 火星 200810
日照雨去り苔の祇王寺風涼し 勝野薫 ぐろっけ 200810
炎昼を帰り佛間の涼しかり 鈴木愛子 ぐろっけ 200810
朝涼し浚ふピアノおお牧場 鈴木愛子 ぐろっけ 200810
北嵯峨や竹千幹の音涼し 和田一 雨月 200810
平家とふ姓多き里灯の涼し 和田一 雨月 200810
思ふこと片付きし日の涼しけれ 岸本林立 雨月 200810
十牛図にこころ捉はれゐて涼し 奈辺慶子 雨月 200810
黙祷の無音の刻や館涼し 奈辺慶子 雨月 200810
豪快な雷雨の後の涼しさよ 小峯雅子 酸漿 200810
雀に部屋貸して涼しき佃びと 守屋井蛙 酸漿 200810
逆波の涼し六郷の渡跡 清水伊代乃 酸漿 200810
抜け道と言ふ涼しさの森の中 村越化石 200810
暗色のジャワの更紗の涼しかり 高橋道子 200810
涼しさや旅の栞に山の風 森山のりこ あを 200810
虚子偲びあふ面々の涼しさよ 安原葉 ホトトギス 200811
虚子在すごと語らるる涼しさよ 安原葉 ホトトギス 200811
礼節の涼しき距離を崩さざる 湯川雅 ホトトギス 200811
勇と艶失すべからず老涼し 瀧青佳 ホトトギス 200811
視線合ふ幽霊画幅堂涼し 北尾章郎 200811
浮文字の水占ひや風涼し 松田和子 200811
朝涼し辺りの草木みな濡れて 岡野ひろ子 200811
光放つ水晶文鎮筆涼し 岡野ひろ子 200811
一閃の灯台明かり星涼し 加藤克 200811
涼しさの特等席にいつも犬 近藤紀子 200811
涼しさや黄瀬戸の皿の香のもの 清水晃子 遠嶺 200811
東京に南極の石星涼し 森竹昭夫 遠嶺 200811
鴨涼し東の谷の新旬会 安田久太朗 遠嶺 200811
鼎談の文殊の智恵の涼しかり 佐藤淑子 雨月 200811
夫と出て夜風涼しき小買物 渋谷ひろ子 酸漿 200811
絵手紙の絵の具涼しく溶きにけり 川島澄子 酸漿 200811
身を寄せて一本杉の影涼し 東芳子 酸漿 200811
故郷の仏間涼しくありにけり 大山妙子 酸漿 200811
八幡堀俄役者の顔涼し 奥田妙子 ぐろっけ 200811
店涼し徳利に小鉢磨かれて 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200811
古民家の板の間涼し雨宿り 伊藤康子 ぐろっけ 200811
頬ゆたかなる太子画図涼しかり 緒方佳子 火星 200811
風涼し噂供養の故人来よ 渡辺昭 200811
茅葺きが涼しと言ひて卒寿翁 山形悦子 万象 200811
民宿に涼しき土間のありにけり 國保八江 やぶれ傘 200811
夏の日を槿涼しくそよぎけり 松村光典 やぶれ傘 200811
礼状を書きて涼しき文机 市村健夫 馬醉木 200812
目薬をさして総身の涼しさよ 安西可絵 200812
新幹線ホットコーヒー飲み涼し 嶋田一歩 ホトトギス 200901
芭蕉の句間違へ涼し老船頭 大久保白村 ホトトギス 200901
句帖まだ真つ白といふ涼しさよ 岩岡中正 ホトトギス 200901
虚子山盧句碑は涼しく苔むして 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
星涼し楽器箱にて眠らむか 千田百里 200901
深大寺蕎麦に人待つ涼しさよ 柴崎英子 200901
同郷といふ親しさにゐて涼し 村上悦子 雨月 200901
宮島の本殿拝し涼しかり 岡本直子 雨月 200901
涼しさにさそはれて行く池畔かな 岡本直子 雨月 200901
よろづごと後に委ねし涼しさよ  浅井青陽子 ホトトギス 200902
涼しさのやはき目覚めへ舟戻る 宇都宮滴水 京鹿子 200902
奥の院暗し涼しと潜りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
快晴の朝へ涼しき星生れ 稲畑汀子 ホトトギス 200905
二の腕に涼しく目眩覚えけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
ツーショット涼しき距離でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
河内より涼しき笑顔もて江戸へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906

 未来図二十五周年を祝して

未来図の線の一本づつ涼し

鷹羽狩行 200906
裸電球灯る味噌蔵涼しかり 高橋あさの 200906
白川に流れ涼しき勇歌碑 松田とよ子 200907
涼しさや雲退きて退きて 稲畑汀子 ホトトギス 200907
帰路の齟齬似たりよつたり旅涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200907
齟齬少しありしも旅の涼しさに 稲畑汀子 ホトトギス 200907
手を洗ひ取り戻したる涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200907
懐古てふ消してはならぬ涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 200907
虚子山廬句碑は涼しく苔むして 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
仇討ちを今に伝へて墓涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
山陰といふ涼しさに明るさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
涼しさは虚子の辿りし辺りより 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
異国めく涼しさ異国めく家並 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
もてなしのポプラ涼しく刈り込まれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
涼しさを蹴り上げて跳ぶ女子選手 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
西方に涼しく虚子と遊ばれよ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
座禅待つ座布団五十涼しかり 神蔵器 風土 200907
黒塀の木目涼しき蔵通り 近藤敏子 200907
マハラジャのダイヤ涼しき彩放つ 小林玲子 ぐろっけ 200907
缶開けて注ぐ麦酒の泡涼し ことり 六花 200907
寝間に聴く暁の雨涼しかり ことり 六花 200907
うすぐらく涼しき視力検査室 竹内弘子 あを 200907
さらさらと余生涼しや砂時計 水原春郎 馬醉木 200908
濤声の拝殿の間の涼しかり 笠井清佑 200908
涼しさや加賀の城下の娶唄 田下宮子 200908
阿修羅像の全面観せて朝涼し 田下宮子 200908
磴険し涼し国盗り物語 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
夜遊びは涼しき佐比売星を見に 竹下陶子 ホトトギス 200908
涼しげに語る鵜匠の目のやさし 稲畑汀子 ホトトギス 200908
神殿に涼しき風のありにけり 仲山秋岳 万象 200908
百選の松に涼しき人語かな 成宮紀代子 200908
爪切つて十指涼しく街へ出る 松井志津子 200908
柱みな幹の涼しさ僻村塾 鷹羽狩行 200908
涼しさや指でさしては星座の名 鷹羽狩行 200908
誰にでも撞ける高さの鐘涼し 久保山満末 200908
岩ずらし子の輪涼しき声あげし 河崎尚子 火星 200908
三階の回廊デッキ涼しき風車小屋 品川鈴子 ぐろっけ 200908
涼し→ 10      

 

2021年8月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。