涼 し 10    200句

鴨涼し青藻一すじ背より引き    高野素十

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
破れ寺の夕鐘六打涼しかり 山本浪子 風土 200908
床涼し一番星の大宇宙 鈴鹿仁 京鹿子 200908
禿頭にお数珠頂く涼しさよ 長戸路子 春燈 200908
汀子邸よりの水音涼しけれ 磯野しをり 雨月 200908
屋久杉の一枚天井涼しさよ 東亜未 あを 200908
吉祥天杉の一木風涼し 田中藤穂 あを 200908
杉を洩る涼しき灯あり人の住む 田中藤穂 あを 200908
法の鼓や涼しくつづけさまに打つ 八田木枯 晩紅 200908
辻涼しさらさらと画く似顔絵師 水原春郎 馬醉木 200909
灯の涼し書肆に和綴の源氏本 荒井書子 馬醉木 200909
表紙絵を決め出航の船涼し 小澤克己 遠嶺 200909
坩堝なす類想類句鴨涼し 小澤克己 遠嶺 200909
独り居に馴れて涼しき時間割 小澤菜美 200909
格子戸に楓影あり風涼し 松田和子 200909
ペデイキュアに涼しき色を選びけり 土井くみこ 200909
トロッコで燥ぐ園児ら風涼し 難波篤直 200909
鉛筆の削り香涼しアナログ派 鈴木照子 200909
昆布茶汲み利尻の宿の夕涼し 鈴木照子 200909
涼しげや心和める奥座敷 松田和子 200909
雀らの水浴びタイム涼しさう 鷲見多依子 200909
截金の涼しき棗四条辻 小澤菜美 200909
水音の届くあづまや風涼し 竹内美穂 炎環 200909
サンダルの足元涼し阿修羅像 加藤美代子 炎環 200909
天保の紅花相場表涼し 高原節 炎環 200909
黄浦江夜景遊覧風涼し 伊舎堂根自子 万象 200909
この山の風より涼しいこの話 丸山佳子 京鹿子 200909
浅草や涼しく並ぶ人力車 佐渡谷秀一 春燈 200909
星涼し墨跡しるき高野切 清水美子 春燈 200909
一声の涼しきシテの夢幻能 小澤淳子 200909
涼しかり禰宜の袴の水浅葱 小澤淳子 200909
灯涼し繋船一つ能登崎に 三浦正弘 200909
笈摺に山風涼し満願寺 塚本京子 200909
夏服を着て涼しげな顔でゐる 丑久保勲 やぶれ傘 200909
岩屋涼し古仏の口に紅の跡 橋本美代 やぶれ傘 200909
立ち並ぶ上杉御廟杉涼し 成宮紀代子 200909
はしり蚊を打ちて舌鋒涼しかり 渡辺昭 200909
涼しさよ寝支度終へし無為の時 渕上千津 200909
師の句碑の鳥の字なぞる余呉涼し 乗光雅子 雨月 200909
一灯の一仏拝む崎涼し 乗光雅子 雨月 200909
関帝廟五体投地の堂涼し 塩見治郎 雨月 200909
両の眼に涼しき涙たまるなり 竹内弘子 あを 200909
床の間の一休見上げぐ涼しさよ 東亜未 あを 200909
噴水の胴切り取れば涼しからむ 竪山道助 風土 200909
海原の風の涼しや遊覧船 清水伊代乃 酸漿 200909
日の盛り過ぎて海風涼しかり 清水伊代乃 酸漿 200909
合掌の日蓮像の眉涼し 石井邦子 酸漿 200909
遠き帆にまなざし涼しレストラン 濱田カノエ 酸漿 200909
すりきりの匙一杯の涼しさよ 服部早苗 200909
白樺の梁の涼しきシャンデリア 佐藤弘香 ろんど 200909
通し桁一本杉の廊涼し 遠藤真砂明 200909
涼しさや弥陀本堂に目つむりて 高橋あさの 200909
涼しさや懐紙に透くる青海波 楠原幹子 200909
魚網涼しく据うる深川飯処 甲州千草 200909
火涼し回して魚の串を抜く 甲州千草 200909
点描の漁火涼し七つ島 鈴木伸一 200909
百態の水の字涼し草書展 藤原はる美 200909
峰涼し石が仏になり話す 西村滋子 京鹿子 200909
降り足りしにほやかな闇涼しかり 芝尚子 あを 200909
池の岸縁取る溶岩らばや鴨涼し 小川玉泉 末黒野 200910
杉の秀の風の涼しき天城越え 田村加代 末黒野 200910
巻紙にかな文字涼し書道展 伊東和子 200910
日食の涼しそうなるダイヤかな 佐用圭子 200910
久に逢ふ娘涼しく髪切りて 塩見育代 200910
コンサート待つ間の涼し加茂の川 杉本綾 200910
水音の溢るる奥の涼しき灯 長山あや ホトトギス 200910
奈良朝の面立ち涼し吾子生るる 瀧青佳 ホトトギス 200910
焼きたての香のパン届く朝涼し 風間邦子 200910
先達の辛口涼し五感覚む 宮野照子 馬醉木 200910
竹籠の郵便受や路地涼し 村上絢子 馬醉木 200910
日蝕の木洩日揺らす風涼し 泉田秋硯 200910
説きませる師の声涼し光堂 木村美智穂 遠嶺 200910
野仏の眼細めて涼し顔 羽賀恭子 200910
蓼の葉を涼しく擂つて呉れにけり 山本耀子 火星 200910
男等に真木涼しく上がりけり 山田美恵子 火星 200910
人を見ぬ城祉の木椅子涼しかり 中谷葉留 風土 200910
分ちあふ灯影涼しき万灯会 佐藤信子 春燈 200910
灯涼し戦火くぐりし貯金箱 柴崎富子 春燈 200910
さからはず老いと道連れ風涼し 久本久美子 春燈 200910
庭師ゐる八雲旧居の涼しかり 前原早智子 春燈 200910
灯涼し師のお言葉の精気かな 岸本久栄 雨月 200910
晩年のひとりの庵風涼し 細川コマヱ 雨月 200910
早朝の奉仕涼しき円覚寺 尾崎みつ子 雨月 200910
法話きく五山一位の手涼し 尾崎みつ子 雨月 200910
黒壁の旧家涼しきビル谷間 出口誠 六花 200910
絵巻物流し置かるる堂涼し 平居澪子 六花 200910
嵯峨涼し人力車夫の腕っ節 小阪律子 ぐろっけ 200910
新札で釣りを貰ひて夕涼し 近藤倫子 ぐろっけ 200910
古民家の蚕室に吹く風涼し 青木政江 酸漿 200910
水上タクシー横付けの宿夕涼し 檀原さち子 酸漿 200910
夕涼し乳吸ひゐたるややこかな 内田玉G 炎環 200910
正午茶事涼しく水の耀けり 峰村浅葱 炎環 200910
峡の風涼し掌に載す朴葉寿司 小澤淳子 200910
釘一本使はぬ飛騨の家涼し 小塩世津 200910
駅裏へ廻れば涼し湖の風 水野久代 200910
白衣の女医に涼しき胸を触れらるる 篠田純子 あを 200910
省くものなくて涼しきこけしかな 渡部節郎 転舵の渦 200911
選挙戦終へて涼しくなりにけり 落合晃 200911
灯涼し懐古は虚子へつながりて 千原叡子 ホトトギス 200911
涼しさに黎の杖を突いて出る 後藤比奈夫 ホトトギス 200911
失敗を恐れぬ心意気涼し 水田むつみ ホトトギス 200911
真蹟を蒐めて資料館涼し 村上沙央 200911
書道塾涼し朱墨の瓶を立て 桑島啓司 200911
涼しさや木賊の丈を風渡り 中谷葉留 風土 200911
くつろぎて涼しき夜の童話集 黒滝志麻子 末黒野 200911
雲昏き水平線や灯の涼し 山崎稔子 末黒野 200911
放たれし牛つれ帰る夕涼し 石脇みはる 200911
此所はだに如意樹の森の涼しけれ 雨村敏子 200911
大星座組みたる人の輪の涼し 東良子 遠嶺 200911
星涼し声の零るる女人像 内藤紀子 遠嶺 200911
ひとしきり雛呼ぶ鳰の声涼し 原田しずえ 万象 200911
立ち上る波すきとほる涼しさよ 田中道江 万象 200911
組む指の細く真白き涼しさよ 大川ゆかり 200911
涼しくて片付けてゐる夜の家 川崎よしみ 200911
ひとり分涼しき方へ膝送り 風間史子 200911
展覧会出て海よりの風涼し 舷越美喜 京鹿子 200911
庵治石を積める教会涼しかり 加藤千津 ろんど 200911
蓮華坐に在す仏の面涼し 田中裕美子 200911
素描画の横顔涼し乙女かな 田中裕美子 200911
涼しさや大理石像首かしげ 松木溪子 200911
鍬を振る吾が子涼しき地鎮祭 鈴木浩子 ぐろっけ 200911
字宙より還り涼しき目の会見 森山八重子 ぐろっけ 200911
祭果て涼しき夜風身にまとふ 片野美代子 酸漿 200911
てにをはの魔法の一字涼しかり 田中きよ子 酸漿 200911
野良猫の朝に涼しきトタン屋根 きくちきみえ やぶれ傘 200911
星涼しくだりはペダル遊ばせて 小嶋洋子 泡の音色 200912
しまうまに草食といふ涼しさよ 小嶋洋子 泡の音色 200912
橋くぐる終便船の灯の涼し 五領田幸子 馬醉木 200912
朝涼し蝋燭灯し鉦を打つ 能勢栄子 200912
芝に寝て三瓶の鼓動とは涼し 竹下陶子 ホトトギス 200912
レーダーの魚影涼しき操舵室 木暮陶句郎 ホトトギス 200912
百年の品格誇る宿涼し 安原葉 ホトトギス 200912
蛸壺に付きて涼しき小貝たち 後藤比奈夫 ホトトギス 200912
子等去りて涼しき夕となりしかな 小宮寿子 遠嶺 200912
近道の涼しき路地の暮れにけり 國保八江 やぶれ傘 200912
前生の風の涼しき藩祖廟 池内結 ろんど 200912
涼しさは大師の数珠に触れてより 鈴木浩子 ぐろっけ 200912
ぶだう棚より涼しさを貰ひけり 伊藤セキ 酸漿 200912
噴水のしぶき程よき涼しさよ 梶井和呼 酸漿 200912
天金の医学書並び書肆涼し 山田しづ惠 200912
棚その他無事で地震止み灯の涼し 嶋田摩耶子 ホトトギス 201001
寺涼し生々流転の生貴と 池田倶子 雨月 201001
涼しかり島の風生句碑の前 大内恵 酸漿 201001
涼しかりけりフォルティッシモで弾き了へて 荒井千佐代 201002
川すぢにまた出て風になる涼しさ 豊田都峰 土の唄 201002
涼しさを言ひて怖さを言はぬ橋 稲畑汀子 ホトトギス 201005
若き日の写真華やぐ涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201005
夜は星を仰ぐ涼しさ期待して 稲畑汀子 ホトトギス 201005
涼しさをやうやく感じはじめけり 稲畑汀子 ホトトギス 201005
涼しさはこの太鼓橋渡るより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
苦しみの玄義涼しく和してをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
浮かびくる温顔ありて句碑涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201006
計画は着々水の音涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201006
質問の始まるまでの涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201006
大橋を渡して瀬戸の灯の涼し 鷹羽狩行 201006
能面の飾られあるは涼しかり ことり 六花 201006
湖畔この図柄涼しき皿時計 定梶じょう あを 201006
牧涼し木の香草の香大地の香 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
ボランティア熱く語れる目の涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
灯涼し昨日も今日も午前様 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
皆歳を重ねゐし会とて涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201007
結局は十一人の会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201007
若き日に戻る涼しき仲間かな 稲畑汀子 ホトトギス 201007
朝の雨旅の涼しさいざなへる 稲畑汀子 ホトトギス 201007
皆老を諾ひしより旅涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201007
旅涼し北へ向つてをりしとき 稲畑汀子 ホトトギス 201007
名園の水の涼しさ俯瞰して 稲畑汀子 ホトトギス 201007
札幌の涼しさに今降り立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201007
今わが家涼しき音と聞く工事 稲畑汀子 ホトトギス 201007
伽石も吾を待ちくれし涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201007
慕はるる百寿涼しく矍鑠と 稲畑汀子 ホトトギス 201007
武蔵野の井を汲みたたへ皿涼し 水原秋櫻子 馬醉木 201007
鯉の背の立つる水輪や朝涼し 潮田博久 風土 201007
星涼し南国と呼び西と呼び 鷹羽狩行 201007
灯涼しドナウ河畔の塩の庫 能村研三 201007
トランペットのこだま返しや湖涼し 能村研三 201007
涼しさや振り向く故郷あることも 高倉和子 201007
仏に侍すかくも涼しく黒を着て 中田みなみ 201007
祇王図の涼しき色を眺めをり ことり 六花 201007
朝涼しショパンの曲に目覚めたる 和田郁子 201008
川幅を涼しく消してゆく豪雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
彌陀拝す鉦の余韻の涼しさに 石田厚子 馬醉木 201008
水郷の真昼涼しき櫂の音 窪田粧子 馬醉木 201008
涼しさや何も映さぬ鏡石 鷹羽狩行 201008

浦の名を囗ずさむさへ須磨涼し

鷹羽狩行 201008
漱石の住みたる町や風涼し 片山由美子 201008
涼しさや机に置きて無の一字 神蔵器 風土 201008
星涼しさそひあひゐる里棚田 豊田都峰 京鹿子 201008
山の腑のごとミイラ仏涼しかり 豊田都峰 京鹿子 201008
誕生日無職無宗派にて涼し 千田百里 201008
百歳のホ句志す涼しさよ 山本喜朗 雨月 201008
拭き上げて網戸涼しくなりにけり ことり 六花 201008
墨の香を涼しみながら擦りゐたる ことり 六花 201008
涼しさや朱の落款の大書緊め 小澤菜美 201009
きりんの首難なく下がり梅雨涼し 宮崎左智子 201009
ふるさとの書展友の名涼しかり 坂根宏子 201009
針山になな色の糸風涼し 森下康子 201009
菜を洗ふ川端かばたの水の涼しかり 石川かおり 201009
少年の踏み出す一歩風涼し 松原仲子 201009
琴の糸紡ぐ里なり鴛鴦涼し 中島昌子 201009
涼し →11      

 

2021年8月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。