涼 し 8    200句

大の字に寝て涼しさよ淋しさよ   一茶

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水色のアロマキヤンドルゲ涼し 荻野千枝 京鹿子 200611
雲涼し朝明の堤老詩人 牧野麦芽 京鹿子 200611
水の如き師の俳懐の涼しさよ 瀧青佳 ホトトギス 200611
虚子庵へ路地の粗さも涼しけれ 館容子 200611
乾杯のグラスふれあふ涼しさよ 渡部志津子 200611
星涼し別れて立ちし発句かな 高橋道子 200611
茣蓙を織る錘は小石土間涼し 松原智津子 万象 200611
滝涼し和讃洩れくる奥の院 塩井志津 万象 200611
ジャンボ機の本気で走り出し涼し 杉浦典子 火星 200611
路面電車大きく曲り街涼し 代田幸子 200611
結界の川音涼し高野山 向井芳子 春燈 200611
人柄も涼しき文を賜りぬ 篠原幸子 春燈 200611
土間涼し平家ゆかりの大庄屋 与川やよい 遠嶺 200611
涼しさの座敷に喰らふ尾羽毛かな 中島陽華 200611
涼しさの真赤な日の出目にあふる 中野京子 200611
化石の家山よりの風涼しかり 菅沼義忠 200611
俳号を茶話と応へて涼しかり 林いづみ 風土 200611
一千万円数へし機械涼しかり 竪山道助 風土 200611
涼しさや山麓に聞く水の音 島崎勇作 酸漿 200611
涼しさや暗き旧家の通し土間 片野美代子 酸漿 200611
涼しげな女の声の竿竹屋 瀬沼利雄 酸漿 200611
子等誘ふ涼しげな音のオルゴール 兼子栄子 酸漿 200611
星涼しベリー・ダンスを見て帰る 大西まりゑ 酸漿 200611
びい玉涼しむかし喧嘩の兄いもと 山元志津香 八千草 200611
角館茶房に涼しモーツアルト 四戸和彦 八千草 200611
涼しさや魚ももいろの祝ひ膳 柴田佐知子 200611
山風を入れて食卓涼しかり 高倉恵美子 200611
母の家母の手料理涼しかり 秋千晴 200611
どこから入りても涼しき六角堂 あさなが捷 200611
水かけて累代の墓涼しうす 大久保久枝 200611
銀ぶらの女涼しき京訛り 北尾章郎 200612
塩辛きドイツのハムや朝涼し 藤本章子 200612
千手観音瞳涼しく伏せてをり 坊城俊樹 ホトトギス 200612
甲斐の山甲斐の漢の涼しさよ 木暮陶句郎 ホトトギス 200612
今更に何をか言はん老い涼し 瀧青佳 ホトトギス 200612
灯涼し遺品の竿の手ずれかな 久保久子 春燈 200612
羅のいと涼しげに小磯展 浮田胤子 ぐろっけ 200612
山苧環かざる涼しきレストラン 中里カヨ 酸漿 200612
ソプラノの昇りつめたる声涼し 嶋田摩耶子 ホトトギス 200701
点滴を見つむる一日涼しかり 苑実耶 200701
涼し気な距離を保ちて猫現るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
屋根の上鸛ゐて風涼し 梶井和呼 酸漿 200702
シャンデリア煌と涼しき舞踏会 山下佳子 200703
帰心又この涼しさに消えゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200705
腹の空くことも仏恩風涼し 百瀬七生子 海光 200705
涼しさや池に入りたる大樹の根 百瀬七生子 海光 200705
腹ばって行書の一に朝涼し 中原幸子 以上、西陣から 200705
ペン皿に耳掻きのあり夕涼し 中原幸子 以上、西陣から 200705
女人一途の祈り伝へて寺涼し 松本俊介 春燈 200706
筏追ひ越して水上バス涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
対岸は共産圏や波涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
皆涼しさうな笑顔で卓囲む 稲畑汀子 ホトトギス 200706
着て涼し丹後シルクといふ衣 稲畑汀子 ホトトギス 200706
見た目ほど涼しからざる和服かな 稲畑汀子 ホトトギス 200706
石室は涼しさ満たしをりにけり ことり 六花 200706
川を見る二人身長差の涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
石垣の肌に涼しさありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
漁火に北斗涼しく語りかけ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
句碑を見る涼しき距離を保ちつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
水涼し昔謀議のありし場所 稲畑汀子 ホトトギス 200707
星を恋ひ涼しき三瓶泊りかな 稲畑汀子 ホトトギス 200707
祝ぎ心抱き集へる涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
さわらびを祝ふ心の涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
美容院まで杖と五十歩風涼し 岩岡里子 春燈 200707
火照る身に触るる君の手涼しかり ことり 六花 200707
乳白色涼しマンモスの牙の数珠 大橋敦子 雨月 200707
涼しさといふふところにマストの灯 鷹羽狩行 200708
涼しさや視線合はさぬ阿吽像 高橋将夫 200708
そそけたる糸ほどけたり夏涼し 中島陽華 200708
高麗屋夫人涼し子の子の初舞台 鈴木榮子 春燈 200708
ビラ配る剣劇姿の顔涼しげ 大塚美孝 200708
旧街道千本格子の風涼し 笹原紀世子 200708
オホーックの汀塵なき涼しさに 岸川素粒子 万象 200708
お文庫の涼しきものに古今集 三枝正子 万象 200708
頬杖の桂郎に供花涼しかり 相沢有理子 風土 200708
個室めき漫画喫茶の灯の涼し 相沢有理子 風土 200708
吊さるる百万遍の数珠涼し 中谷葉留 風土 200708
ベツド涼し腹這ひて書く稿一つ 小林清之介 風土 200708
直哉宛の漱石書簡涼しかり 中谷葉留 風土 200708
なかんづく誕生の間の涼しかり 中村洋子 風土 200708
登四郎の母郷の句碑や灯の涼し 竹田昭子 風土 200708
鐘涼し最後の一つ打ち損じ 林いづみ 風土 200708
旅をきて車田涼し飛騨の里 千田敬 200708
海老蔵の坊主頭の涼しさよ 竹内弘子 あを 200708
坑道のあたまを低うして涼し 杉浦典子 火星 200709
湧水の涼しき音の岩に坐す 大坪景章 万象 200709
舫はれしごと沼尻の鴨涼し 風間史子 200709
軒下の流れ涼しき宿場見世 玉川悠 遠嶺 200709
涼しさや生春巻を大皿に 大西洵子 遠嶺 200709
明珍火箸涼しき風を集めをり 神蔵器 風土 200709
奈落なる回り舞台の下涼し 鈴木石花 風土 200709
涼しとは文字さへ涼し令夫人 鈴木榮子 春燈 200709
名園の風涼しきもひとところ 宮津昭彦 200709
円空仏の薬師細身の涼しげに 関口昌代 200709
染物屋白地積まれし棚涼し 高田幸枝 200709
登山電車スイッチバックして涼し 安陪青人 雨月 200709
学僧と交す挨拶涼しけれ 竹内喜代子 雨月 200709
読経涼し憩ふ札所の堂縁に 仙石君子 雨月 200709
追伸に涼しき一句添へらるる 上原恒子 雨月 200709
涼しき声聞ゆるごとし師の書信 高木典子 雨月 200709
シャッターに広重図絵の波涼し 能村研三 200709
大理石の階涼し博物館 小嶋洋子 200709
橘寺つつじ残りて風涼し 田中章子 酸漿 200709
バンコクのビルの迷宮風涼し 中村輝子 酸漿 200709
畏まる巫女の涼しき富士額 中条さゆり 200709
涼しさの固まつて来る足の先 吉村摂護 200709
夕涼しうたげ戻りに雨少し 岡本眸 200709
身の芯に夢の余韻や朝涼し 坪井洋子 200709
燈涼し簿記帳繰れば夫の文字 福地初江 200709
噴煙も涼しく見えて十勝岳 須賀敏子 あを 200709
庭涼し市松模様苔と石 長崎桂子 あを 200709
ほうと笑む父の遺影や書架涼し 水原春郎 馬醉木 200709
直と立つ橅・水楢や涼しかり 伊藤稔代 200710
カリスマの整形外科医涼しき瞳 白髭美佐子 200710
親方の力士追ふ眼の鋭く涼し 林八重子 馬醉木 200710
尊徳廟薪負ふ像の眉涼し 神山志堂 春燈 200710
出流原の湧水池や涼しかり 佐藤健伍 200710
ホ句涼し一語消ゆれば一語生れ 後藤比奈夫 ホトトギス 200710
羽ばたいて涼しい風に乗りにけり 高橋将夫 200710
菩提寺の涼しきところ人のこゑ 雨村敏子 200710
また一つ夜に沈みゆく音涼し 岩月優美子 200710
絣着て絣涼しく織りゐたり 川口崇子 万象 200710
方丈の大座布団や寺涼し 森山暁湖 万象 200710
別院の鐘の音涼し朝な朝な 井村和子 万象 200710
ラジオより魏志倭人伝こゑ涼し 勝見玲子 200710
涼しかり星座は花の名をもたず 栗原公子 200710
忘るとは涼しかりけり淋しかり 栗原公子 200710
涼しさや火より生まれし吹ガラス 生田恵美子 風土 200710
子の耳のピアス外して涼しかり 生田恵美子 風土 200710
いらぬ物捨てたる母の涼しさよ 秋千晴 200710
林中に面輪涼しき観世音 阿部ひろし 二の杉 200710
涼しさや舳の指せる神の島 蘭定かず子 火星 200710
捜し物抽斗の鈴涼しげに 白井米子 200710
山深くゆくほどに風涼しかり 久永つう 六花 200710
敬礼は掌みせず海涼し 大井邦子 ぐろっけ 200710
木洩れ日の青き回廊風涼し 片野美代子 酸漿 200710
モルダウ川流れ涼しくカヌー漕ぐ 小泉和代 酸漿 200710
城塞の街に蹄の音涼し 小泉和代 酸漿 200710
城跡の椋の大樹の下涼し 君島栄子 酸漿 200710
家に見て高尾涼しく火点せり 永見嘉敏 酸漿 200710
涼しさや飛龍の鐘と名づけられ 角直指 京鹿子 200710
蘇生の師の謝辞生き生きと涼しけれ 磯野しをり 雨月 200710
樹下涼し疏水ゆたかに流れゐて 加地芳女 雨月 200710
縁側とふ余白の涼し家居かな 三輪温子 雨月 200710
百齢の命涼しく老い給ふ 三輪温子 雨月 200710
奇蹟の人と師をよぶ僧の涼しけれ 菅谷弘子 雨月 200710
涼しさや古道名残の石畳 川崎良平 雨月 200710
朝涼し光は木々にさし込みぬ 鈴木多枝子 あを 200710
一列といふ涼しさに杭の鴨 加瀬美代子 200710
スープ皿傾げば透きて灯の涼し 西口万佐子 200710
星涼しゼロ番線を京都発 岡谷栄子 200711
端正なスイス衛兵風涼し 藤本章子 200711
ようおいでたなもしといふ涼しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
涼しさは炎にもあり登り窯 林光興 200711
雛連れし芦の蔭なる鴨涼し 若島久清 万象 200711
風涼し低公害のバスに乗る 生井慶子 万象 200711
涼しさや鯉の泳げる絵封筒 瀬戸悠 風土 200711
十万光年のはづれの星涼し 根岸善行 風土 200711
テノールの歌声ひびき星涼し 矢嶋みつ江 遠嶺 200711
何もかも終へて一人の涼しさよ 大塚和子 遠嶺 200711
都大路下れば山の影涼し 小林朱夏 200711
経唄の暑をよせつけず涼しかり 大川冨美子 ぐろっけ 200711
魚の名にみたさるる湯呑み涼しかり 中江恵子 200711
淵よりも浅き流れの涼しさよ 中野京子 200711
涼しさや櫟の樹液黒光り 竹中一花 200711
土間涼し納戸に蒸籠積まれあり 今井妙子 雨月 200711
さり気なく差し伸べくるる手の涼し 杉山瑞恵 雨月 200711
涼しさや千体仏と吹かれゐて 三輪温子 雨月 200711
涼しけれ先師の遺稿世に問うて 山田夏子 雨月 200711
容赦なき警策一打涼しかり 土屋啓 馬醉木 200711
生花の花どれとなく涼しかり 青木陽子 酸漿 200711
朝風の涼しさに立つ紅茶の香 梅田秀子 酸漿 200711
涼しさの波打際の砂の音 佐々木幸 200711
やん衆と同じもの食む涼しさよ 佐々木幸 200711
雨の打つ葉音涼しくまくらがり 糸井芳子 200711
かつて龍馬ピストル撃ちし川涼し 篠田純子 あを 200711
句碑涼し建ちたる処また涼し 岩垣子鹿 ホトトギス 200712
命毛や仙紙一反天涼し 雨村敏子 200712
句碑を抱く鹿島の神の御目涼し 小野寺節子 風土 200712
百済観音永久の微笑みこそ涼し 玉置かよ子 雨月 200712
白黒の涼しき世界書法展 丹生をだまき 京鹿子 200712
もの問へば若き作務僧眉涼し 岡田章子 ぐろっけ 200712
大理石結跏趺坐してなお涼し 岡本幸枝 ぐろっけ 200712
涼しさの隠れてゐたり酒造蔵 高橋英子 ぐろっけ 200712
盆栽園名主の家の土間涼し 藤原りくを 八千草 200712
涼しさは上り框にもの置かぬ 伊藤奈津 200712
文鎮や涼しかりける夜の机 雨村敏子 200801
想ひ出を涼しくたたむ旅衣 今川千鶴子 春燈 200801
玄室の巨石三段隙涼し 高橋大三 ぐろっけ 200802
涼しさはここが一番よと尼僧 大槻右城 ホトトギス 200803
女坂下りて昇り星涼し 新関一杜 京鹿子 200804
僚船と仰ぐ湖上の星涼し 東良子 首座星 200804
びしよ濡れの蕉像なほも涼しき目 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
どこまでも涼し曽遊の地の旅路 稲畑汀子 ホトトギス 200805
水と石もて涼しさを演出す 稲畑汀子 ホトトギス 200805
鷺の曳く風ひとすぢを涼しとす 豊田都峰 草の唄 200805
旅の日をつなぐ涼しき会話あり 稲畑汀子 ホトトギス 200806
皆若き日を知る仲間涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200806
鈍色も涼し高濱年尾像 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
日照雨てふ涼しき水面ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
涼し →9      

 

2021年7月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。