涼 し 7    200句

涼しやと莚もてくる川の端    野水

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
笛方の白衣涼しき鎮め能 青山悠 200510
涼しさの宇宙にありし穴と泡 高橋将夫 炎心 200510
染め抜きし波の涼しき大漁旗 遠藤真砂明 波太渡し 200510
風涼しテントに星の色透けて 田所節子 200510
涼しさの音軋ませて蔵梯子 栗城静子 200510
試し酒よばれ涼しき仕込蔵 栗城静子 200510
ワキ方の背筋涼しき能舞台 安藤しおん 200510
返信を姉へ弟へ朝涼し 坪井洋子 200510
大暑けふこの涼しさを淋しとも 鹿野佳子 200510
霧涼し会ふも別れも手を挙げて 前田陶代子 200510
暗がりに涼しさ溜まる畳かな 田中藤穂 あを 200510
慈母観音の傍ら涼し子等遊ぶ 芝尚子 あを 200510
竹筆の大書かすれて涼しかり 新田巣鳩 馬酔木 200511
画展出で弾む話の涼しさよ 神宮きよい 馬酔木 200511
志高く涼しくあれかしと 今井千鶴子 ホトトギス 200511
ホトトギス俳人とゐて羅府涼し 嶋田一歩 ホトトギス 200511
共にせしシルクロードの旅涼し 桑田青虎 ホトトギス 200511
ふたりきりの涼しき嵩を濯ぎけり 田所節子 涼しき嵩 200511
涼しさや点景に舟描き足し 戸田円三 200511
大の字に寝る涼しさよ青畳 内海良太 万象 200511
夕涼し娘の家までの土手伝ひ 曽根咲子 200511
涼しさや千畳閣に笛一管 中西みどり 火星 200511
風涼しご恩廻しといふ言葉 能村研三 200511
吊橋へらせんに登る涼しさよ 鈴掛穂 200511
木洩れ日にそよぐ手話の手涼しかり 篠藤千佳子 200511
お祓や風の涼しき控の間 浜崎芙美子 対岸 200511
割り箸の杉の香ほのと宿涼し 宮原利代 ぐろっけ 200511
建長寺柏桜師軸星涼し 鈴木石花 風土 200511
歌舞伎座の一列五番席涼し 鈴木石花 風土 200511
風涼しかり舌鼓打つほどに 根岸善行 風土 200511
人を待つ夜風涼しき山の駅 近藤てるよ 酸漿 200511
白道の声明涼しき散華かな 清水伊代乃 酸漿 200511
堂涼し見目麗しき九品仏 清水伊代乃 酸漿 200511
絵葉書の二行の便り涼しかり 片野美代子 酸漿 200511
賢人の書に囲まれて涼しかり 竹内旦 百鳥 200511
四阿に棋譜見る翁朝涼し 中里とも子 百鳥 200511
正直に過して一と日涼しかり あさなが捷 200511
連山の庭となりたる涼しさよ 高倉恵美子 200511
朝涼し御巣鷹の事故ふた昔 河合佳代子 栴檀 200511
梅花藻の流れになびく涼しさよ 桑添礼子 栴檀 200511
縦横の太梁涼し鵜匠の家 矢田邦子 栴檀 200511
扁額や読めて涼しきはつか飴 大村美知子 京鹿子 200511
かゞり火や火花散らして川涼し 木内美保子 六花 200511
カリヨンの鐘を待つ間の樹下涼し 田所洋子 雨月 200511
庭一番涼しき処犬が占め 北嶋薫 築港 200511
縄文の墳墓平らか草涼し 坪井洋子 200511
紅蓮の真正面にゐて涼し 木内憲子 200511
麻酔覚む涼しき声に呼ばれゐて 真塩実 200511
ひと雨できのふと違ふ涼しさに 石堂絹子 河鹿 200512
比良ヶ嶺の暮れて涼しき星現るる 松村軍 200512
西行も芭蕉も座せる土間涼し 里見紀子 四葩 200512
浅間嶺の裾踏んでゐる涼しさよ 渡部志津子 200512
山寺の涼しき風を貰ひけり 赤川誓城 ホトトギス 200512
句碑涼しわが俳諧のよりどころ 藤井充子 ホトトギス 200512
小綺麗に涼しく住まひをられけり 藤井充子 ホトトギス 200512
言の葉のこころにしみて涼しけれ 浅井青陽子 ホトトギス 200512
青石といふ涼しさに彫られたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
四万十の川風涼し屋形船 武本節子 築港 200512
灼熱に鍛へし太刀の涼しかり 小島左京 ホトトギス 200601
十一面のそれぞれ涼し観世音 小野道子 200601
一睡ののちたましひの涼しさよ 服部早苗 200601
奉納の鈴の音涼し巫子の舞 関戸文子 酸漿 200601
嘗て年貢収めし蔵の中涼し 藤原りくを 八千草 200602
鰡の稚魚藻を潜りたる川涼し 井山幸子 万象 200604
受付に君の涼しき会釈かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200605
雀逃げ鯉は寄り来る苑涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200605
河内弁涼しく季題語らるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200605
名苑といへる涼しき峡路あり 稲畑汀子 ホトトギス 200605
雨予報しりぞけて行く涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200605
久々に揃ふメンバー会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200606
開け放つ涼しさ選ぶ人数に 稲畑汀子 ホトトギス 200606
計画は早目々々にして涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200606
一枚の絵の涼しさに佇みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200606
邂逅は涼しき絵にもありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
齟齬ありしことも涼しく解決す 稲畑汀子 ホトトギス 200606
君が居てこその涼しさありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
堂涼し伎芸天女の指の反り 亀田やす子 万象 200606
南無大師遍照金剛背ナ涼し 冨松寛子 200606
賜りし淋漓涼しき一行詩 戸村よねこ 遠嶺 200606
涼しさの柱の創も古りにけり 岸風三樓 200606
ハプニング二日続いて会涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
迷ひたることを涼しく語らるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
涼しさを極めアロハの貴人たり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
筏曳く船の涼しく上りゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
商港と漁港涼しく隔てられ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
鳴くものの一つ一つに耳涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
みちのくの涼しさを恋ふ旅心 稲畑汀子 ホトトギス 200607
みちのくの涼しさに旅終へしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200607
雨止んで涼しき旅となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200607
先達としての涼しき五十年 稲畑汀子 ホトトギス 200607
誰彼に逢へば涼しき同顧あり 稲畑汀子 ホトトギス 200607
人々に涼しき出逢ひある旅路 稲畑汀子 ホトトギス 200607
北国の涼しさすぐに忘れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200607
古都に泊つ涼しき会に加はりて 稲畑汀子 ホトトギス 200607
皆齢を涼しく加へゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200607
皆出掛けゆきて涼しく残さるる 稲畑汀子 ホトトギス 200607
会場の涼しく灯るシャンデリア 稲畑汀子 ホトトギス 200607
贅沢な涼しき時間共有す 稲畑汀子 ホトトギス 200607
富士見えて降下はじまる旅涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200607
やり残したる仕事持ち旅涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200607
板の間の黒く涼しき蚕屋名残 伊藤白潮 200607
またたく灯涼しと思ひ初めにけり 大橋麻沙子 雨月 200607
涼しさは雨のあとなる星の数 鷹羽狩行 200607
夕涼しパセリ刻むに執しゐて 岡本眸 200607
力・佐助犬は嗅ぎ合ふ朝涼し 森理和 あを 200607
水族館魚に声なき涼しさよ 渡邊千枝子 馬醉木 200608
沖の灯と星と涼しく出合ひたり 渡邊千枝子 馬醉木 200608
森林太郎とのみ墓涼しかり 神蔵器 風土 200608
草筆のしなやかに反る涼しさよ 神蔵器 風土 200608
見目涼し藤村旧居下地窓 落合絹代 風土 200608
縁借りて俳諧道場涼しかり 柴田久子 風土 200608
瀬戸の潮こんとんとして涼しけり 高橋将夫 200608
振り向かぬうしろがありて涼しかり 柴田佐知子 200608
朝涼し素足ま白の幼な児よ 柳生千枝子 火星 200608
茅舎忌の鐘の音涼し寒山寺 伊藤通友 200608
米百俵解説の師の眼の涼し 阿部由紀子 200608
掌にすくふ眞水に息の涼しさよ 中山純子 万象 200608
人参の畑さみどりの目に涼し 青木陽子 酸漿 200608
水晶をつけて心の窓涼し 環順子 夢帽子 200608
川涼し江戸に二つの芭蕉堂 環順子 夢帽子 200608
窓ごしに書架と灯と見ゆ夕涼し 千葉栄子 200608

 四つ手網』序句

涼しさやゆつくりと揚げ四手網

鷹羽狩行 200609
家抜ける涼しすぎたる浦の風 増田菖波 春燈 200609
八坂道紗の帯涼し京の人 伊藤やゑ 四葩 200609
涼しさのはじめに波の千鳥かな 黒田咲子 200609
竹人形涼しき声の通りけり 近藤きくえ 200609
涼しかり同じ長さの夫婦箸 杉浦典子 火星 200609
軟骨をスープに仕立て星涼し 浜口高子 火星 200609
産土の流れ涼しき暗渠かな 関根洋子 風土 200609
涼しさと幸たまはりぬ新帽子 小澤克己 遠嶺 200609
絵本より漕ぎ出す小舟星涼し 田島勝彦 遠嶺 200609
質問の女性議員の涼し気に 高田令子 200609
米をとぐ拳ひとつが涼しかり 齊藤實 200609
外燈の磁器のポールの呉須涼し 松崎鉄之介 200609
涼しさに一木一草みな立てり 村越化石 200609
七夕竹飾りて涼し滝の道 中里信司 酸漿 200609
浄蓮の滝の涼しさに子持羊歯 中里信司 酸漿 200609
一つ灯に千体仏の涼しけれ 大石よし子 雨月 200609
川風の涼しさクーラーなき生活 二村蘭秋 雨月 200609
芬々と檜の香る宮涼し 三輪温子 雨月 200609
路地涼しく風よく通る島の径 岡本直子 雨月 200609
日本の端に住みゐる涼しさよ 高倉和子 200609
涼しさの樹となれゐなら欅よき 野路斉子 200609
星涼し少女の爪の銀のいろ 篠田純子 あを 200609
星涼し夫と寝床分ちゐて 篠田純子 あを 200609
北大路魯山人なる皿涼し 篠田純子 あを 200609
手で開けるエレベーターの錆涼し 篠田純子 あを 200609
ほつほつと点る港都の灯の涼し 友田直文 200610
子役出て御候へと声涼し 永井雪狼 200610
ペンギンと海遊館にゐて涼し 辰巳比呂史 200610
湯上りにシャネルパウダータ涼し 田下宮子 200610
箔を切る双手涼しき作務衣びと 山口順子 200610
脇役の眉目涼しき能舞台 後條さと子 200610
瞑想で締めくくるヨガ風涼し 石田玲子 200610
その中に星の涼しさ網干せり 小野恵美子 馬醉木 200610
涼しさの縞柄裁ちて英国屋 野中亮介 馬醉木 200610
子規庵へ路地の柴垣涼しかり 佐藤いね子 馬醉木 200610
神の山指して涼しき方位盤 徳永亜希 馬醉木 200610
涼しさや手に載るほどの旅の苞 櫨木優子 200610
線描の遺作涼しき机上かな 村上沙央 200610
退院や開けて涼しきわが書斎 桑島啓司 200610
玉三郎口跡涼し妖婉に 松波とよ子 春燈 200610
多摩の丘楷の木かげの涼しかり 市川玲子 春燈 200610
大椋に別の風吹く涼しさよ 谷村幸子 200610
石像の涅槃にふれて灯の涼し 谷村幸子 200610
風穴涼し死火山の息づかひ 延広禎一 200610
大黒柱語りかけくる涼しさよ 本多俊子 200610
灯涼し白洲次郎の外厨 丸山照子 火星 200610
緒の離れし臍を涼しと泣ける嬰 河崎尚子 火星 200610
こぼれたる糠に茄子色燈涼し 高木美波 万象 200610
涼しさや千筋の糸は落つる水 林翔 200610
立つ巖は神の膚か陽も涼し 林翔 200610
もの言はぬ膚に代りて涼しと言ふ 林翔 200610
海ほたるあはれ涼しき瑠璃けむり 北川英子 200610
涼しさを師の短冊の一句より 遠藤和彦 遠嶺 200610
手の届きさうな水底星涼し 花島陽子 遠嶺 200610
涼しさや登四郎句碑の黒御影石(みかげ) 小山徳夫 遠嶺 200610
黒竹や鐘の涼しき抜小路 小宮山勇 遠嶺 200610
園涼し孤高の句碑と対峙して 府川房江 遠嶺 200610
屏風絵の浜の暮しや館涼し 府川房江 遠嶺 200610
淵明の恋ひし鄱陽湖風涼し 松崎鉄之介 200610
軽井沢婦人の声の涼しげに 阿部由紀子 200610
死顔に心の見ゆと医師涼し 大橋敦子 雨月 200610
まっすぐな御生涯の涼しけれ 山田夏子 雨月 200610
分水嶺涼しさもらふ風に逢ふ 宇都宮滴水 京鹿子 200610
声明の音階涼し魚山さと 林日圓 京鹿子 200610
からくり時計涼し飲食くりかへし 伊藤希眸 京鹿子 200610
たましひの涼し魁夷の夕星も 神蔵器 風土 200610
人に遅れて仁王門前涼しかり 生田恵美予 風土 200610
涼しさを身にまとふなり滝の前 東芳子 酸漿 200610
柏槇の大樹や祠涼しかり 中里カヨ 酸漿 200610
帰り来て我が家涼しき青畳 沖倉好秋 酸漿 200610
鉄筋のハイカラ本堂嵐涼し 四葉允子 ぐろっけ 200610
土間涼し沓脱石の高きこと 四葉允子 ぐろっけ 200610
宵涼し幼子を追ふ下駄の音 西田敏之 ぐろっけ 200610
潮曇して橋上の灯の涼し 高橋さえ子 200610
床あげの足に涼しき青畳 久保田真理 200610
窓涼しイルミネーション消えてより 篠田純子 あを 200610
涼しげにハンカチたたみ王子行く 田中芳夫 200611
出国審査済ませ涼しきエアポート 藤本章子 200611
涼し→ 8      

 

2021年8月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。