涼 し 6    200句

涼しさや行燈消えて水の音   正岡子規   寒山枯木

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朝涼し鳥の歌声しきりなり 村瀬八千代 遠嶺 200410
古町の硝子細工の涼しさよ 岩木茂 風土 200410
方円の水と生きをり涼しかり 近藤幸三郎 風土 200410
慈眼へは涼しき礼を返したく 林裕子 風土 200410
白檀の香り涼しき茶室かな 石川とみ子 栴檀 200410
陶窯の千度の火焔涼しかり 能村研三 200410
世に在らば涼しき佳人幽霊図 都筑智子 200410
生酒を満たして涼し江戸切子 谷合青洋 酸漿 200410
ポケットの往復キップ山涼し 谷合青洋 酸漿 200410
蔵涼し母の箪笥のナフタリン 東芳子 酸漿 200410
挽きし目の涼しさを見よお六櫛 野口みどり 酸漿 200410
夕星や履きて涼しき庭の下駄 守屋井蛙 酸漿 200410
室涼し今は昔の防空壕 八木岡博江 酸漿 200410
滝の橋渡りてよりの径涼し 永田二三子 酸漿 200410
夕涼し家族が囲むバーベキュー 渋谷ひろ子 酸漿 200410
回廊に瀬音涼しき札所寺 竪ヤエ子 雲の峰 200410
拭き減りし町屋の格子燈涼し 浅川正 雲の峰 200410
うつたへる怒る悲しむ涼しき目 今瀬剛一 対岸 200410
星涼し救急患者の足のうら 石堂摩夜子 対岸 200410
控へめといふ涼しさの山居かな 荒木英雄 対岸 200410
声援の涼し日の丸の紙の旗 大橋敦子 雨月 200410
涼しく遅参演説聞いて来りしと 大橋敦子 雨月 200410
逆光の樹相涼しき欅かな 大橋麻沙子 雨月 200410
重ねきし旦暮涼しく句に遊ぶ 安部和子 雨月 200410
涼しさや海にせり出す丹の社 佐野布娑 雨月 200410
樹下涼し聖観音に合掌し 吉田眞弓 雨月 200410
浜涼し黙しつつゆく歩の揃ひ 吉田眞弓 雨月 200410
山頂のこの涼しさに天仰ぐ 林典子 雨月 200410
川風の入りて涼しき奥座敷 米林外喜子 築港 200410
省略の一日涼しく家籠 赤松せつよ 築港 200410
朝涼し夫盆栽の松葉刈り 岡村容子 築港 200410
お馬流しコンテナ埠頭の涼しき沖 松崎鉄之介 200410
涼しさや雀の学校屋根の上 村越化石 200410
船べりのごとく涼しよ修那羅さま 竹中龍青 200410
町医者の声の涼しくひびきけり 山梨幸子 200410
こね鉢の一尺二寸涼しかり 池田冨美 帆船 200410
トルストイの英字涼しき手紙かな 上原カツミ 帆船 200410
涼しさや離るる渦と寄る渦と 服部満 草の花 200410
みやう珍火箸涼しき音を発しけり 今井飛佐 草の花 200410
蔵涼し農具の中に古ミシン 薬師神和美 百鳥 200410
百歳の著者のサインの墨涼し 杉江美枝 百鳥 200410
路地涼し小さき駄菓子の資料館 中川英子 百鳥 200410
星涼しぬるき秘湯の木の枕 鍬形幸子 百鳥 200410
竹薮の涼しき風をいとしめり 芝尚子 あを 200410
二タ駅を居眠り銀座線涼し 坪井洋子 200410
涼しさは甕のぞきてふ藍の色 史あかり ぐろっけ 200410
灯涼し一見客は入れぬ店 島本知子 ぐろっけ 200410
吾を待てる瞳の涼しさよ哀しさよ 大磯幸子 河鹿 200411
建前を捨てたることの涼しさよ 吉田裕志 200411
思考回路が正常復帰夕涼し 森下康子 200411
教会のチャイムの涼し俄耶蘇 藤見佳楠子 200411
川沿ひの土塀涼しや社家の町 池本喜久恵 200411
どの部屋も白山へ向き朝涼し 中谷藤房 200411
涼しさや縁に古りたる男下駄 橋本良子 遠嶺 200411
フランスのKAWAGAE通り星涼し 浜中雅子 遠嶺 200411
一切を風に流して星涼し 森野俊子 遠嶺 200411
実朝の海見ゆる庫裏風涼し 伊東政勝 遠嶺 200411
文久の窓の涼しき蔵二階 近藤てるよ 酸漿 200411
涼しさや儒家に満ちたる青畳 遠野萌 200411
一切を語らぬひととゐて涼し 青山悠 200411
昼寝ぐせ植田の風の涼しさに 小池槙女 火星 200411
灯涼し空也の像に長居して 丸山照子 火星 200411
人間の骨二百五十六涼し 荒井和昭 200411
読経涼し林火の二十三回忌 松崎鉄之介 200411
大鳥居涼しき風を通しけり 佐藤悦子 百鳥 200411
三連の真珠涼しき百寿かな 杉江美枝 百鳥 200411
自画像の鋭き目差の涼しさよ 若林杜紀子 百鳥 200411
涼しさの空也の音声阿弥陀仏 中野京子 200411
一休の寺や涼しく銅鑼を打ち 山口マサエ 雲の峰 200411
玲羊の涼しき眼と会ひにけり 梅村五月 栴檀 200411
大正の古家吹き抜く風涼し 佐野布娑 雨月 200411
涼しさに心足りたる貴船宿 佐野布娑 雨月 200411
水涼し海に張り出すレストラン 吉田眞弓 雨月 200411
堀辰雄生誕百年祭書架涼し 河内桜人 京鹿子 200411
忠敬の歩巾に合はせ旅涼し 河内桜人 京鹿子 200411
色のなき大人の童話星涼し 角田信子 六花 200411
樹下涼し一羽の雀とび立つも 十文字慶子 200411
墳墓なす石の配列涼しかり 糸井芳子 200411
袴腰高き灯台川涼し 藤田かもめ ぐろっけ 200411
晩翠の校歌涼しき甲子園 藤田かもめ ぐろっけ 200411
褒められて欠伸する犬朝涼し 松浦途子 ぐろっけ 200411
おのが手にかぶり付く嬰夕涼し 永塚尚代 ぐろっけ 200411
鵺の橋渡りて涼し芦屋浜 河村泰子 ぐろっけ 200411
高天へ視線涼しく乳を吸う 達山丁字 200412
近くの灯消して遠くの灯の涼し 閑田梅月 馬醉木 200412
灯の揺れてうなじ涼しや高瀬川 増田松枝 馬醉木 200412
涼しさに読む標高といふ数字 岩垣子鹿 ホトトギス 200412
修羅を待つ韋駄天涼しげなる眉目 角直指 京鹿子 200412
かたまりて鹿臥す春日野星涼し 丹生をだまき 京鹿子 200412
床涼し三十六峰盃に受け 岩崎憲二 京鹿子 200412
慈姑の葉裂けし先端涼しかり 藤田佑美子 200412
空涼し病窓対角航空路 石川一郎 対岸 200412
涼しさや夫を外れたる風の筋 二瓶洋子 六花 200412
線香の紫煙の涼し一周忌 佐原正子 六花 200412
椅子小さくもてなす土間の涼しかり 糸井芳子 200412
毘沙門立ち千歳の榧の樹下涼し 藤田かもめ ぐろっけ 200412
そば茶飲む話し相手の涼しき風 安永圭子 風土 200501
光年は涼しき距離ぞ生まれ来よ 辻美奈子 200501
ナイル川涼しく船の向き変へる 堀内千鶴子 帆船 200501
青春の日の甦る荘涼し 安原葉 ホトトギス 200501
断崖に丸き地球を見て涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
涼しさや手さげ袋に鳩の寄り 藤田信義 春燈 200501
エプロンに庭木の湿り朝涼し 坪井洋子 200501
坐漁荘片隅篠竹涼しき音 梅村五月 栴檀 200502
物乞ひの少女のひとみ涼しかり 馬場秀 万象 200503

 あじろ200号を祝して

涼しさのこれ以上なき網代笠

鷹羽狩行 200503
神鈴の音の涼しさよ奥秩父 野口みどり 酸漿 200505
句座涼し恙を抜けし人迎へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200506
ピアノ涼しうるみて映る室のもの 林翔 200506
透明度涼しき距離で見てをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
百の目が涼しく親子句碑を見し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
帰りたくない涼しさに親しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
東京で会ひ名古屋でも会ひ涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
偲ばるる涼しく活けてあることも 稲畑汀子 ホトトギス 200507
山の池甦りたること涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200507
伽石の語る涼しさなりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200507
早暁を発ちて来しこと旅涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200507
水といふ魔性の大河涼しく見 稲畑汀子 ホトトギス 200507
十本の指の間にある涼しさよ 鷹羽狩行 200507
画学兵の目もと涼しき自画の像 木暮剛平 万象 200507
堂涼し神馬の手綱猿が取り 直井たつろ 風土 200507
涼しさの銅版に引く線なりし 高橋将夫 星の渦 200507
細き流れを小さく跳んで女涼し 大高芭瑠子 炎夏 200507
空海の影の涼しき千字文 高橋将夫 200508
年寄のリュックサックルック駅涼し 藤井圀彦 200508
風涼し媽祖に供へし朱蝋燭 能村研三 200508
師と同じ涼しき風を水辺かな 坂本京子 200508
木道に歩荷の鈴の涼しかり 渡部節郎 200508
豆腐切る刃に涼しさを残しけり 齊藤實 200508
母まとひたまふ涼しさとさみしさと 服部早苗 200508
大観の絨毯墨の染み涼し 今瀬剛一 対岸 200508
目を瞑り風の音聴く涼しさよ 田中敬子 百鳥 200508
薬師如来の納衣の襞の涼しかり 松崎鉄之介 200508
蔵涼し会津木綿の錆藍選る 佐藤喜代子 200508
灯涼し注射上手のナース来て 仙石君子 雨月 200508
涼しかり静御前の中之舞 宮川みね子 風土 200508
なによりも厨涼しく父母の家 中村房枝 六花 200508
南京錠解けば土蔵の涼しかり 小林朱夏 200508
遠に父近に母の瞳星涼し 渡邉友七 あを 200508
自画像の男涼しき喉仏 水原春郎 馬醉木 200509
オアシスの椰子の一本づつ涼し 鷹羽狩行 200509
泡沫は魚のおしやべり星涼し 小澤克己 遠嶺 200509
情景の座右の銘や星涼し 橋本良子 遠嶺 200509
新しき遊子の句集星涼し 川崎洋吉 遠嶺 200509
鋏研ぐ涼し涼しと鋏むべく 太田具隆 春燈 200509
学問所の小さき机涼しかり 坂本京子 200509
岩越ゆる水の羽二重涼しかり 楠原幹子 200509
藥草茶涼しくよばれ城国寺 中山純子 万象 200509
百僧の読経涼しき開山忌 小池槙女 火星 200509
模写の椅子絵具も着いて涼しかり 杉本薬王子 風土 200509
園丁の妙齢にして涼しき目 飛鳥由紀 200509
笑ふとき涼しき人と思ひけり 杉山みゆき 百鳥 200509
日盛りを来て水槽の泡涼し 安室敏江 百鳥 200509
水亭を墨で画きゐる涼しさよ 安室敏江 百鳥 200509
涼しさやローランサンの絵の少女 村上葉子 百鳥 200509
お大師に献花の任を終へ涼し 竹内喜代子 雨月 200509
転舵してよりの船足風涼し 堀井英子 雨月 200509
橋殿の涼し和服の佳人在し 東野鈴子 雨月 200509
翁堂旅杖涼しく置かれをり 梅村五月 栴檀 200509
病院の裏道涼し著莪の花 長谷川幸恵 酸漿 200509
鉈彫の仏の在す堂涼し 村田さだ子 酸漿 200509
藍暖簾古民家の土間涼しかり 神保みね子 酸漿 200509
縁涼しかくもちひさき足の痕 瀧春一 菜園 200509
御木曳の斎竹揺らす風涼し 森下光江 築港 200509
軒提灯川風涼し屋形船 飯田政子 築港 200509
単純といふ涼しさや杉真直 糸井芳子 200509
涼しさや天平のまま湯のあふれ 得田武市 河鹿 200510
べた凪ぎの艫の灯涼し鉤結ぶ 塙三千男 馬醉木 200510
彼の人は涼しき国にゐるといふ 泉田秋硯 200510
藍涼し手機に掛かる伊予絣 小林成子 200510
喝采の余韻に浸り星涼し 橋本靖子 200510
五重塔のんど涼しく仰ぎけり 沖祐里 200510
乾杯のワイングラスの音涼し 中道愛子 200510
如是我聞鳥の呼び合ふ声涼し 岩月優美子 200510
関西に果つ生涯か星涼し 柳生千枝子 火星 200510
迎への時告ぐ看護師の声涼し 中上照代 火星 200510
目元涼しき馬の親子や右ひだり 水上多美子 春燈 200510
風涼し梵字ばかりの格天井 四葉允子 ぐろっけ 200510
尾の縺れほぐれ権現舞涼し 及川茂登子 対岸 200510
二番星探し正座の母涼し 藤井英子 対岸 200510
涼しさや扉に刻まれし古代文字 山田禮子 遠嶺 200510
雲水のすがた涼しく鈴の音 吉澤利治 遠嶺 200510
青磁器に自慢の料理星涼し 赤池英津子 遠嶺 200510
軍刀利社しじまの森に鈴涼し 田中よしとも 酸漿 200510
涼しさや卓にガラスの金魚飼ふ 村田さだ子 酸漿 200510
清流に涼しく家鴨棲みつけり 大串章 百鳥 200510
蔵涼し箪笥一竿黒びかり 永井由利子 百鳥 200510
足踏みのミシン・オルガン蔵涼し 安室敏江 百鳥 200510
六甲の山は緑に涼しかり 藤原浩 栴檀 200510
星涼し京歳時記に我が一句 園多佳女 雨月 200510
仏彫る無なる心の涼しさよ 足立典子 雨月 200510
シャンデリア涼し師の声鈴を振る 足立典子 雨月 200510
舟唄を今に伝へて船涼し 川上恵子 雨月 200510
雲透けて涼しき風の吹き抜ける 二瓶洋子 六花 200510
涼しさや演奏会の中の島 浜田久美子 六花 200510
権大僧正栄雄不生位涼しかり 南奉栄蓮 風土 200510
神酒三升とどく鉾蔵涼しかり 武久昭子 風土 200510
南洲のツンを祀りて杉涼し 大磯幸子 河鹿 200510
吊り橋を渡りきつたる涼しさよ 松山正江 河鹿 200510
降り立ちて大正池の風涼し 伊藤政子 築港 200510
涼し→ 7      

 

2021年7月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。