涼 し 5    200句

涼しさは波のうしろを次の波   岩田由美   夏安

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
祝ぎ果てて瀬音涼しき泊りかな 竹内喜代子 雨月 200310
琴坂をとよもす水音涼しけれ 江木紀子 雨月 200310
献笛に涼しき音声菩薩かな 坂本禧枝 雲の峰 200310
土蔵の扉涼し鏝絵の猿田彦 堀田政弘 200310
朝涼し漆塗りなる能登の宿 椙山正彦 200310
知辺なき山ふところにゐて涼し 松内佳子 百鳥 200310
石垣の反りの涼しき夕かな 長谷川守可 百鳥 200310

 杖の身を嘆けば

牛歩でも母よ涼しく歩むべし

高千夏子 200310

 祝句

シャンデリア涼しき心集めけり

稲畑汀子 円虹 200310
序破急の急の涼しき囃子方 内田哀而 円虹 200310
舞囃子よりの対談灯の涼し 梅田実三郎 円虹 200310
祝ぎの帯白く涼しき弘子かな 大久保白村 円虹 200310
会いに来て山田弘子の涼しさよ 木割大雄 円虹 200310
舞涼し虚子みそなはし給ふらん 小竹由岐子 円虹 200310
一〇〇号の賀の小鼓の音の涼し 中村芳子 円虹 200310
祝ぎ一途舞ふ実朝の涼しさに 藤浦昭代 円虹 200310
ヴァイオリンの音色涼しきシャンデリア 松宮哲夫 円虹 200310
場外へ消ゆホームランとは涼し 蔦三郎 円虹 200310
首すじの涼しく下る夏目坂 後藤志づ あを 200310
枝折戸や声の涼しくおいでやす 後藤志づ あを 200310
レントゲン写真光背に医師涼し 十河波津 200310
仰ぎみるお手植松に雲涼し 丸山佳子 京鹿子 200310
一山に鳥語の澄みて紫衣涼し 鈴鹿仁 京鹿子 200310
涼しさのまんなかに居て女の嘘 鈴鹿仁 京鹿子 200310
田水走る一直線は涼しかり 奥田筆子 京鹿子 200310
門を入る西隅涼しつかずの鐘 門馬貴美子 京鹿子 200310
杉山の涼しき風を宮参り 岡崎桂子 対岸 200310
美術館へと木橋涼しく渡りけり 斎藤博子 対岸 200310
風涼しトロツコ列車軋みゐて 岡田有峰 築港 200310
花のなき薬草園の涼しさよ 青山丈 200310
朝空や青の涼しさ幾重にも 糸井芳子 200310
山門の暗きに入りて涼しかり 粂谷京子 200310
辞書繰るも涼し談笑はづみゐて 中島霞 ぐろっけ 200310
緞帳のするする上がる涼しさよ 市川十二代 ぐろっけ 200310
少年の挨拶涼し耐久舎 木野裕美 ぐろっけ 200310
愚痴言はぬ漢を見たる涼しさよ 吉田裕志 200311
銃眼を抜けて涼しき風とどく 栗原広志 200311
槙売りの声の涼しき一の橋 池田光子 風土 200311
ひよどり花木陰に咲きて山涼し 大内恵 酸漿 200311
大甕の黒酢の音の涼しかる 植木戴子 200311
切株に座し水音の涼しかり 幡江美智子 百鳥 200311
涼しさの鎌研ぐ音のつづきをり 影山わこ 百鳥 200311
朝涼し木の花白くこぼれをり 影山わこ 百鳥 200311
宮涼し尺余の鼻の天狗面 木村仁美 馬醉木 200311
職退きし涼しさにゐて陶土練る 半田順子 馬醉木 200311
山門を去る香煙の涼しさよ 坊城俊樹 ホトトギス 200311
湖涼し千古の松を島に置き 増田善昭 ホトトギス 200311
鐘涼し菩薩は御衣ゆるやかに 和田敏子 雨月 200311
涼しさに老蘇の杜を打ち連れて 大堀鶴侶 雨月 200311
手話学ぶ娘の眼差しの涼しかり 近藤豊子 雨月 200311
足ひたす糺の森の床涼し 斉藤陽子 雨月 200311
手に涼し苔にまろめる句碑の肩 渡邉友七 あを 200311
レマン湖の小舟行き交ふ涼しさよ 三崎由紀子 遠嶺 200311
少年の眼涼しき球遊び 高梨美佐子 遠嶺 200311
柵をさらりと捨てて星涼し 村林久子 遠嶺 200311
涼しさや潮風に増す髪の嵩 吉田三保 200311
旅果ての選りて涼しき飯茶碗 糸井芳子 200311
涼しさは淋しさ朝の町閑散 宮沢千恵子 200311
教会へ上る百段風涼し 中島霞 ぐろっけ 200311
庭涼し大硨磲貝の手水鉢 川合正男 ぐろっけ 200311
水尾すぐに泡となりゆく涼しさよ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200312
取戻す平常心の涼しけれ 山田弘子 ホトトギス 200312
言ひ放ちたる横顔の涼しけれ 杉山瑞恵 雨月 200312
涼しさの真ん中に置く赤ん坊 西村葉子 京鹿子 200312
館涼し鰭もつものの数百種 竹下道子 京鹿子 200312
パゴダ涼し曉の星右肩に 佐藤喜孝 あを 200312
ペンダント外し涼しさとり戻す 三井孝子 六花 200312
煉瓦蔵小窓小窓に涼しき灯 及川茂登子 対岸 200312
涼しさのたちまち湖の音なりし 岡井省二 省二全句集 200312
星涼し大橋の陰重なりて 石積知恵子 ぐろっけ 200312
千本格子の軒涼しかり木曽の風 芦川まり 八千草 200401
落書も古りし屋敷の燈の涼し 中村禎子 八千草 200401
入日とて日の出とてパゴダに來て涼し 佐藤喜孝 あを 200401
手鏡に山の映れる涼しさよ 飯塚雅子 200401
土間涼し柳生家紋の藍暖簾 小林成子 200402
涼しき闇へ戻りし千の佛塔たち 佐藤喜孝 あを 200402
朝涼しブラッシングの髪素直なり 中野英歩 八千草 200402
ひかり苔生ふや涼しき岩の窪 田中きよ子 酸漿 200403
思ひ出の虚子の涼しさ語るべし 木村享史 ホトトギス 200403
涼しさの虚子をきのふのごと語る 木村享史 ホトトギス 200403
あこがれのマウントクックの風涼し 須賀敏子 あを 200403
葉桶の漆文樣朝涼し 佐藤喜孝 あを 200403
朝涼し金のパゴダの坐しませる 佐藤喜孝 あを 200404
サイカ涼し広びろとある行けぬ道 佐藤喜孝 あを 200404
鴨涼し夕日に夢を膨らます 安西静 帆船 200404
水音の涼しまむし草首たてて 有馬籌子 ぐろっけ 200404
景涼し三〇一・二メートル 稲畑廣太郎 ホトトギス 200405
ていれぎに水の涼しさ流れをり 稲畑汀子 ホトトギス 200405
水音といふ涼しさに風渡る 稲畑汀子 ホトトギス 200405
邂逅の言葉短く涼しけれ 稲畑汀子 ホトトギス 200405
新しき仲間涼しき灯の下に 稲畑汀子 ホトトギス 200406
二百回記念涼しく写さるる 稲畑汀子 ホトトギス 200406
牧涼し黒々と牛横たはり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200406
はつぴいな瞳涼しく並ぶ句座 稲畑廣太郎 ホトトギス 200406
さざ波のかたより刻む池涼し 富安風生 200406
ビル涼し皇居の風を返しつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
天女めく俳人集め松涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
卓涼し花のいろいろ活けられて 稲畑汀子 ホトトギス 200407
印を押す手許涼しく見られけり 稲畑汀子 ホトトギス 200407
みちのくの涼しき旅となりぬべし 稲畑汀子 ホトトギス 200407
その人に似合ふ涼しき色と見し 稲畑汀子 ホトトギス 200407
一言に涼しき笑顔生れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200407
涼しさや火星近づくてふ話題 稲畑汀子 ホトトギス 200407
星を見る計画に乗る涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200407
高きこと纏ふ涼しさありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200407
ナビゲーターセット涼しき家路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200407
島唄に三味の音に風また涼し 金山千鳥 酸漿 200407
しゆるしゆると鉋の音の涼しさよ 滝沢伊代次 万象 200407
回送電車涼しげに通過せり 竹内弘子 あを 200407
夕涼し何となけれど膝揃へ 岡本眸 200407
石橋のめがね涼しく火山容れ 淵脇護 河鹿 200407
木蝋の商人屋敷夕涼し 能村研三 200407
囃子方待つ御簾内の燈涼し 能村研三 200407
人形の顔のろまとは涼しかり 今瀬剛一 対岸 200407
祈り涼し石を重ねるだけのこと 今瀬剛一 対岸 200407
陳列のケース空つぽ涼しけり 大野里詩 帆船 200408
笛方の伏目涼しく薪能 平尾信一 帆船 200408
鑿あとの天衣涼しき観世音 水原春郎 馬醉木 200408
鳴き竜を鳴かせて涼し深山寺 植松昌子 馬醉木 200408
涼しさや比叡まぢかの石の庭 中野京子 200408
槐山房風おほらかに涼しかり 黒田咲子 200408
雨涼し姪来てガスの点火音 岡本眸 200408
学寮涼し蛍光燈を縦横に 小林希世子 200408
笹越しに加茂の瀬音や京涼し 朝妻力 雲の峰 200408
ねね像へ雨の涼しき橋渡る 竪ヤエ子 雲の峰 200408
土師窯あとに涼しく咲けり土器菜 山上カヨ子 200408
ほそく戸を開け九尺二間は涼しかり 岡田鉄 200408
河内野を見下し涼しわが家の灯 茂里正治 200408
飛石をせきれい渡る庭涼し 永岡セツ 酸漿 200408
涼しさを分けあひ星と人の灯と 山仲英子 200408
円空仏鑿の省略あと涼し 渕上千津 200408
水くぐりくぐりて和紙の涼しかり 浅田浦蛙 対岸 200408
法悦や四恩奉謝の躬の涼し 橘澄男 山景 200408
今いちど涼しき瞳開け賜へ 品川鈴子 ぐろっけ 200408
涼しさや和紙で束ねし巫女の髪 北川キヨ子 200409
水色に染めしプードル夕涼し 坂上香菜 200409
乗りこなす児の涼しさよ一輪車 谷内順子 200409
伽羅の香の膝の涼しき女かな 山岡季郷 馬醉木 200409
波形の欄間の涼し地蔵堂 山本敦子 万象 200409
盗掘をのがれて涼し武官俑 佐渡谷秀一 春燈 200409
日なか来て伏目涼しや伎芸天 荻野嘉代子 春燈 200409
真砂女語る先生の目の涼しかり 小林リン 春燈 200409
墓涼し若絮は遊女の名 能村研三 200409
小深山かたばみ米粒ほどの花涼し 田所節子 200409
涼しさの柳に隣る海鼠壁 吉田島江 火星 200409
少林山羅漢五百の貌涼し 鈴木石花 風土 200409
土間涼し縄絢ふ機械錆びてをり 杉江美枝 百鳥 200409
蔵涼し箱階段の取つ手とれ 杉江美枝 百鳥 200409
牧涼しぽつんぽつんと草ロール 門脇なづな 対岸 200409
からつぽの交番の灯の涼しけれ 門脇なづな 対岸 200409
神官の揃ふ沓音夕涼し 志水千代子 京鹿子 200409
涼しさや糺の森を抜くる風 川合広保 京鹿子 200409
シヤンプーの済みし老犬星涼し 中野薫 京鹿子 200409
雲涼し手もち無沙汰で久に逢ふ 丸山佳子 京鹿子 200409
衰へを涼しさにして半跏趺坐 直江裕子 京鹿子 200409
曲屋も厨も涼し土間つづき 須佐薫子 帆船 200409
サンプルの肉の一塊涼しかり 池田冨美 帆船 200409
涼しさや壁にカナダのカレンダー 竹田圭子 帆船 200409
塔涼し浄瑠璃界に薬師在し 服部菰舟 雨月 200409
経に曰く九品往生塔涼し 服部菰舟 雨月 200409
現世や闇が涼しと灯を消して 喜多初枝 雨月 200409
山野草みな値をもちて風涼し 佐野布娑 雨月 200409
ひなびたる白帝城の風涼し 村山みよ 築港 200409
延命水涼しき竹の柄杓持つ 河村靖子 築港 200409
抽象画赤を涼しく散らせけり 宮津昭彦 200409
涼しさの人それぞれに刻流れ 宮津昭彦 200409
入院の荷の筆箱の涼しかり 藤田あけ烏 草の花 200409
絵手紙に涼しき風の来たりけり 小澤規子 草の花 200409
涼しさや万葉歌碑の筆の跡 夏目満子 酸漿 200409
朝涼し川の面かすめ黄鶺鴒 東口博美 酸漿 200409
転寝の耳元過る風涼し 増田八重 酸漿 200409
私服なる笑顔涼しき神父さん 中里カヨ 酸漿 200409
猪口才なジェットスキーの水尾涼し 鷹羽狩行 200409
湖を外濠として城涼し 鷹羽狩行 200409
三和土より通されてゐる涼しさよ 佐藤博美 200409
無宗教葬済ませしと文涼し 伊藤白潮 200409
バンドエイド貼るに涼しきおまじなひ 片山タケ子 200409
炎天や老いて喪服を涼しげに 岩上とし子 200409
うすべりを敷きて一と間を涼しくす 竹内弘子 あを 200409
白髪の主賓涼しく席に着く 田中藤穂 あを 200409
ハンドベル涼しぐろっけ祝典に 史あかり ぐろっけ 200409
ヴェネツィアより届きしグラス青涼し 鈴木照子 200410
杉玉の高さ涼しき酒どころ 鷹羽狩行 200410
涼しさや火伏せの蔵に火吹竹 鷹羽狩行 200410
壺を持つおよび涼しき観世音 伊藤洋子 200410
雨上がりさうなきらめき苔涼し 木暮陶句郎 ホトトギス 200410
術前の陰部涼しく剃られけり 淵脇護 河鹿 200410
涼しさは煙管突いたる型にこそ 中村嵐楓子 春燈 200410
風涼しカウベル鳴らし二頭馬車 菅沢陽子 春燈 200410
窟より涼しき風のきたりけり 高橋将夫 200410
赤き鼻はずしピエロの涼しき顔 秋岡朝子 200410
曼荼羅の間に坐しをり庭涼し 岩下芳子 200410
竹涼し人の火照りのちかぢかと 黒田咲子 200410
涼しさの釈迦が笑まへば脇侍とて 奥田節子 火星 200410
八角釜一面づつの景涼し 奥田節子 火星 200410
着物派になりて涼しき眉目かな 小澤克己 遠嶺 200410
灯の涼し郡上紬の草木染 小澤克己 遠嶺 200410
病窓に寄りくる鳩の涼しき瞳 邑橋淑子 遠嶺 200410
山小屋に星の涼しき酒を酌む 長志げを 遠嶺 200410
涼しさはブルーの胸のペンダント 田澤初枝 遠嶺 200410
涼し→ 6      

 

2021年7月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。