涼 し 19    200句

涼しさや行燈消えて水の音    正岡子規

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水占の文字の涼しく浮かびけり 大杉映美 馬醉木 201909
先師の忌待つや涼しき十指組み 小野恵美子 馬醉木 201909
シャカシャカと機音の風路地涼し 鈴鹿呂仁 京鹿子 201909
大銀杏の乱れ涼しく一礼す 田中藤穂 あを 201909
触れ合ひて音の涼しさグラス選る 中島秀夫 王水 201909
南極がテレビに映る涼しさよ 中島秀夫 王水 201909
お医者さん真顔のジョーク風涼し 大槻春美 201910
錯簡(さっかん)の和綴ぢの句集涼しかり 三代川朋子 201910
真珠筏眼下の泊り月涼し 三輪温子 雨月 201910
海底を模す水槽の鯛涼し 谷村祐治 雨月 201910
水族館涼し巨大の鮫游ぎ 谷村祐治 雨月 201910
霊山や祠の馬の眼の涼し 木村あさ子 201910
森の声ともオカリナの涼しかり 種山啓子 201910
到来の酒は辛口月涼し 小倉征子 201910
朝涼し母が汁の実刻む音 佐川三枝子 201910
祈祷待つ宮千年の御簾涼し 岡澤田鶴 201910
大正の梁の涼しき茶房かな 尾崎千代一 末黒野 201910
閘門てふ水の力学淀涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201910
知つてゐて知らざる虚子よ露涼し 山田閏子 ホトトギス 201910
国賓のあり東京の空涼し 今井千鶴子 ホトトギス 201910
老といふ一字封印して涼し 山田閏子 ホトトギス 201910
城下町大動脈の淀涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201910
飛び石の五六歩ほどの池涼し 神谷さうび 末黒野 201910
湧水の涼しさ掬ぶ山路かな 岡野里子 末黒野 201910
潮風涼し終点の無人駅 山崎稔子 末黒野 201910
藤壺の殻覗きゐて涼し 光成敏子 201910
涼しさや寝具一式水の色 柳田秀子 201910
小面の眼涼しく彫られけり 工藤義夫 馬醉木 201910
沁み透るやうに入り来て秋涼し 秋葉雅治 201910
星涼し山と息づく美術館 笹村ルル 201910
シマトネリコ歩けば出会ふ涼しさよ 笹村ルル 201910
月涼しつるりと剥けてゆで卵 松井季湖 201910
板前の涼しき音の高足駄 佐津のぼる 六花 201910
星涼しバッハのシャコンヌ聴きてをり 山岸明子 201910
甘樫丘吹きかへす風涼し 善野行 六花 201911
しるべなき町に降り立つ涼しさよ 宮口征子 馬醉木 201911
首洗ひ池に緋鯉の尾の涼し 笹村政子 六花 201911
山見えてより涼しさの来たりけり 笹村政子 六花 201911
風涼しぼんぼり祭の茶の席に 岡田史女 末黒野 201911
夜の闇包む阿夫利嶺星涼し 高木邦雄 末黒野 201911
的射たる矢羽涼しくふるへをり 斉藤マキ子 末黒野 201911
涼しさを招きいれたり独り閨 阿部さちよ 201911
涼しさに歳を忘れてしまひたる 後藤比奈夫 ホトトギス 201911
己がじし虚子偲びつつ露涼し 千原叡子 ホトトギス 201911
句座涼し時に青虎の一喝を 水田むつみ ホトトギス 201911
涼しさの佛壇にまづ灯を点す 雨村敏子 201911
船津屋のかはうそ永久に月涼し 小島昭夫 春燈 201911
宇治川の瀬音涼しき茶店かな 増田裕司 やぶれ傘 201911
涼しさや里へ傾く丘の羊歯 善野行 六花 201911
橋ひとつ越ゆれば風の涼しかり 廣畑育子 六花 201911
海の家涼しきものを吊りにけり 小田司 馬醉木 201911
一直線の海風涼し段葛 下田奉枝 雨月 201911
瞭らけく季節動きて風涼し 村上悦子 雨月 201911
奈良ホテル百十年の涼しさよ 山田天 雨月 201911
涼しさや小川は草に埋もれて 河原敬子 201912
街道や機織る音のして涼し 田中とし江 201912
金箔を吹いて伸ばせる涼しさよ 永淵恵子 201912
涼しくて恋の傷さへ懐かしき 柴田佐知子 201912
木の下に在さば涼し六地蔵 志方章子 六花 201912
灯涼し瓦斯灯の街歩きけり 田中嘉信 春燈 201912
新築の柱のにほふ秋涼し 広瀬済 やぶれ傘 201912
予後の目途立ちしを伝へ露涼し 千原叡子 ホトトギス 201912
島裏は波ひたひたと蝉涼し 今井千鶴子 ホトトギス 201912
リハビリの骨の鳴る音汗涼し 千原叡子 ホトトギス 201912
繋がれる胎内外の管涼し 千原叡子 ホトトギス 201912
点滴のリズム涼しく動き出す 千原叡子 ホトトギス 201912
水音を聴く涼しさを乞ふやうに 湯川雅 ホトトギス 201912
月涼し赤ん坊の指ひらひらと おーたえつこ 201912
ポイントを移る釣人渓涼し 土井三乙 風土 201912
指輪なく涼しく淋し薬指 今井千鶴子 ホトトギス 202001
ケーブルの軋む勾配秋涼し 森田節子 風土 202001
娘の啖呵涼し父に向け夫に向け 後藤比奈夫 ホトトギス 202001
金箔を吹いて伸ばせる涼しさよ 永淵惠子 202002
涼しさや小川は草に埋もれて 河原敬子 202002
街道や機織る音のして涼し 田中とし江 202002
護摩壇の炎のいろの涼しさよ 礒貝尚孝 黄落 202003
元気てふ消息を聞く涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202005
旅帰り涼しさ恋ふる大地あり 稲畑汀子 ホトトギス 202005
主治医てふ涼しき声でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
涼しさをもてなすホテル十勝川 稲畑汀子 ホトトギス 202005
旅衣著迷ふといふ涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202005
オセアニア南十字や風涼し 島玲子 風土 202006
青空と涼しき雲と入れ替る 稲畑汀子 ホトトギス 202006
露涼し晴れゆく大地輝かす 稲畑汀子 ホトトギス 202006
ハンドルを今日は握らぬ母涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
メモ一つ消し一つ足す涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
涼しさをせめて馳走の会場に 稲畑汀子 ホトトギス 202007
消息に一喜一憂友涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
涼しさに馴れてはならぬ旅支度 稲畑汀子 ホトトギス 202007
旅多き疲れ解きて風涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
草原の一歩一歩に風涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
知り尽くす三瓶まだまだ汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
移転の荷解く指先の露涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
六十の瞳涼しく快癒待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
宮内庁式部職てふ声涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
城下町信号の無き涼しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
旅涼し遠くて近き浜田かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
ビル街と別の涼しさある移転 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
見送らる孫の視線の涼しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
露涼し虚子の遺墨を見付けもし 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
インタビュー受ける心の涼しさに 稲畑汀子 ホトトギス 202007
花籠の青の涼しさ活けられし 稲畑汀子 ホトトギス 202007
世の中は世の事として露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
過ぎてゆく時間を追はず露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
上京の手順に馴れて露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
稿債の一つ終へたる露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
出会ひとは涼しき別れあることを 稲畑汀子 ホトトギス 202007
この晴をたまはる涼しかりし旅 稲畑汀子 ホトトギス 202007
明日へ又踏み出す一歩涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
涼しさにゐて旅疲れ消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 202007
忘れゐし涼しさはたと出会ひたる 稲畑汀子 ホトトギス 202007
忙しさよりも涼しさ勝りけり 稲畑汀子 ホトトギス 202007
稿債を一つ仕上げし涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
旅疲れ失せ涼しさを身に纏ひ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
引越を控へ涼しく現はるる 稲畑汀子 ホトトギス 202007
俳号も決まり涼しき席の待つ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
一歩づつ又一歩づつ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
遺句集の届きし朝の涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
要人の泊りしホテル涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 202007
サミットを終へし大阪とは涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202007
虚子龍子茅舎を繋ぐ秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
川風を涼しくしたる波の綺羅 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
移転して近くなりたる句座涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
やうやくに辿り着きたる露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202008
人生の旅路果てなく露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202008
涼しさや鴨の川辺の水の音 荻布貢 202008
生涯の一と日一と日の露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 202008
いつの間にか夫と涼しき間合ひかな 森清信子 露の堂 202008
樹下涼し流るる水の軽き音 黒滝志麻子 末黒野 202008
マスターは浄土真宗琵琶涼し 篠田純子 あを 202009
言ひきつてしまひしあとの涼しさよ 近藤牧男 春燈 202009
墨痕淋漓涼しき風の渡りけり 木多芙美子 春燈 202009
月涼し今宵海亀の産卵 波戸辺のばら 202009
湖の風涼しへしこの鯖太し 辻水音 202009
縁側に夫の呼ぶ声月涼し 内山みち 末黒野 202009
今日も又記入の社朝涼し 村田あを衣 京鹿子 202009
ビジネス本捨てし書棚の涼しさよ 川高郷之助 202009
涼しさや水の底へと絹一丁 中村重幸 202009
月涼し電柱歩きだしさうな 南うみを 風土 202009
露涼し夫露の世を去りてより 小林輝子 風土 202009
窯変の火色涼しき備前焼 中村洋子 風土 202009
涼しさや一力の灯も簪も 竹中一花 202009
しやりしやりと鎌研ぐ音や露涼し 藤生不二男 六花 202009
今日すべきことけふ終ふる涼しさに 黒滝志麻子 末黒野 202009
五線譜の絵皿の涼しミュージアム 田中春江 末黒野 202009
毘沙門堂手水を使ふ涼しさよ 本田武 やぶれ傘 202009
涼しさや見返る少女の目の細く 中野さき江 春燈 202009
目眩くときの流れや月涼し 高井修一 春燈 202009
カクテルは無間地獄ぞ咽喉涼し 篠田純子 あを 202009
路線図のライトブルーの涼しさよ 篠田大佳 あを 202009
影あれば秋の涼しき順路あり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
田村麻呂太刀奉納の寺涼し 延川笙子 六花 202010
マネキンの涼しき姿してゐたり 齊藤實 202010
待つことに飽きて涼しくなりにけり 柴田佐知子 202010
噴く竹を涼しく回し籠を編む 中田みなみ 202010
六匹を生みたる犬の瞳の涼し 中田みなみ 202010
残心の摺り足涼し橋掛り 平松うさぎ 202010
露涼し菩薩のやうな岩の相 小倉征子 202010
涼しさの広がり来たる工芸茶 升田ヤス子 六花 202010
浜風の芝渡り来て涼しかり 永田万年青 六花 202010
山肌のゆれて涼しき歯朶の波 平居澪子 六花 202010
猫池てふ変な名の池風涼し 廣畑育子 六花 202010
月涼し軽業のごと畦わたり 石川桂郎 風土 202010
名優の隠れ家にして路次涼し 高木晶子 京鹿子 202010
涼しさや巌の襖を船頭歌 善野行 聖五月 202010
秋涼し小犬にじつと見つめられ 大島英昭 やぶれ傘 202010
秋涼しハトに米撒く人のあり 松村光典 やぶれ傘 202010
上田吉二郎のポスターにある涼しき字 佐藤恭子 あを 202010
涼しきは師のあの一句この一句 和田華凛 ホトトギス 202011
麻の葉の初着より足夕涼し 小林清子 末黒野 202011
何事も無きことありがたく涼し 安原葉 ホトトギス 202011
しみじみと涼しさまとふ外出かな 松山ひとし ホトトギス 202011
月涼し原爆ドームのその上に 雨村敏子 202011
山羊の仔に小さき角あり月涼し 小原芙美子 風土 202011
古墳山昔ばなしの風涼し 西村白杼 京鹿子 202011
星ひとつ涼し白血病憎し はしもと風里 202011
吾のあくびにつられたる猫涼し 辻水音 202011
深き谷吹き上ぐ風の涼しかり 延川笙子 六花 202011
一望は花の丘陵風涼し 丸井巴水 京鹿子 202011
飛石を設ふテラス月涼し 黒滝志麻子 末黒野 202011
蔵涼し価値のわからぬ物ばかり 石黒興平 末黒野 202011
ニニ・ロッソのトランペットや耳涼し 岡野里子 末黒野 202011
宵涼し浦廻の明かり真向ひに 大川暉美 末黒野 202011
ジャージーの乳搾りゐる牧涼し 沼崎千枝 末黒野 202011
一人おきの座席役者の所作涼し 沼崎千枝 末黒野 202011
曇る日の都心涼しき一人旅 安原葉 ホトトギス 202011
煤けたる古民家の土間風涼し 津野桂子 末黒野 202011
忘るるといふを涼しき事として 中杉隆世 ホトトギス 202012
わたつみの庭へ里びと歌碑涼し 大木さつき ホトトギス 202012
嬬恋にいま妻とある涼しさよ 中杉隆世 ホトトギス 202012
灯涼し椿子人形化身とも 本郷桂子 ホトトギス 202012
会釈てふ涼しき距離のありにけり 涌羅由美 ホトトギス 202012
つくづくと白き豆腐や秋涼し 小田嶋野笛 末黒野 202012
月涼し新内流しの伝馬船 今井康子 202101
途中より連れ立つ旅や秋涼し 安原葉 ホトトギス 202101
山の闇ならば涼しき星数多 湖東紀子 ホトトギス 202101
生きてゐてこその再会秋涼し 安原葉 ホトトギス 202101
窯出しの貫入の音秋涼し 吉田幸恵 やぶれ傘 202101
老木の風の涼しき閻魔堂 井上和子 202102
余裕ある乗換駅や秋涼し 安原葉 ホトトギス 202103
涼し →20

 

2021年8月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
22/08/23 2022年8月23日 2022年8月23日