涼 し 18    200句

涼しさや行燈消えて水の音    正岡子規

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
自由とは涼しかりけり淋しかり 栗原公子 201801
高山のまつりの夜の涼しさよ 伊藤更正 やぶれ傘 201710
堂涼し天井龍になき死角 村田あを衣 京鹿子 201801
大きことしみじみ涼し盧舎那仏 北村梢 京鹿子 201801
広目天火焔涼しく負ひ給ふ 北村梢 京鹿子 201801
出刃包丁研ぎて涼しくなりゐたり 岩井京子 201712
鳶鳴いて涼しくなりし夕ベかな 志方章子 六花 201712
我に母母に祖母あり月涼し 津田このみ 船団 201802
名園に息づく和歌の涼しさよ 後藤比奈夫 ホトトギス 201803
こけし売るすり膝尼の涼しさよ 石川桂郎 風土 201803
涼しき灯ここは小樽と思ひつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201805
なつかしき会話行き交ふ涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201805
亡くなりし二人を悼む会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201805
皆齢を忘れ涼しき灯の下に 稲畑汀子 ホトトギス 201805
旅幾つ終へて涼しき灯の下に 稲畑汀子 ホトトギス 201805
二週間留守にせし家の涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201805
庭めぐり来て会場の涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201805
天守閣小さく涼しく天を突き 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
芭蕉めく人蕉像と涼しく居 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
還暦を迎へし朝や蝦夷涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
涼しさを傾けてゐる主翼かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
蝦夷で会ひ江戸で会ひ葉流さん涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
五十年は永久への一歩灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
朝涼し神奈川大学評論集 中原幸子 船団 201806
由良川の流れに乗りて鐘涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
バス過る宮本幸子邸涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
露涼し寺苑を忍者走るはしる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
由良川の涼しき流れ荒れし日も 稲畑汀子 ホトトギス 201806
風涼し辿り着きたる高さかな 稲畑汀子 ホトトギス 201806
ふと睡り誘はれてゆく涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201806
涼しさに馴れてはならぬ出先あり 稲畑汀子 ホトトギス 201806
残りたる人に涼しき句会かな 稲畑汀子 ホトトギス 201806
桟橋を離るる船に星涼し 齊藤實 201807
屋久杉の木目涼しき椅子に座す 佐々木よし子 201807
露涼し正俊さんと酌みし日々 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
天守てふ涼しき高さありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
十二代城主涼しくグラス手に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
写生文作家で城主灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
白涼し石見大崎鼻灯台 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
カレー組より三瓶蕎麦組涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
光年のここに尽きたる星涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
白壁といふ涼しさに風生れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
江戸と吉備繋ぐ涼しき鉄路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
灯涼しクイズ全問正解者 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
大吉を引きたる君や露涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
水音に触れて来し風涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
健康を取り戻されて露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201807
川風の涼しき旅もはや遠く 稲畑汀子 ホトトギス 201807
癒え給へ涼しき旅の心もて 稲畑汀子 ホトトギス 201807
百号を祝ふ涼しき心寄せ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
お隣へ涼しき蔭を拾ひつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
墨を磨る心涼しくなつて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201807
一本の電話涼しく受けとめし 稲畑汀子 ホトトギス 201807
涼しさや二た言三言よき報せ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
歳月の過ぎゆく早さ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201807
誰彼の消息となる涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
手に溢れくる涼しさもありぬべし 稲畑汀子 ホトトギス 201807
祈りとはいつか涼しき心生れ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
涼しさは明るき心いざなへる 稲畑汀子 ホトトギス 201807
クイズにも興じたるより汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201807
歳月を語り未来へ涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201807
夜の涼し賢治の星を探しゐて コ田千鶴子 馬醉木 201807
涼しさや三段壁の怒濤音 長谷川翠 馬醉木 201808
一言の願ひ涼しき神まゐり 市村明代 馬醉木 201808
ひとりづつ渡る涼しきかづら橋 蒲生繁代 馬醉木 201808
月涼し浮桟橋のゆれ止まず 神田恵琳 春燈 201808
涼しさや産土洗ふ波の音 小山繁子 春燈 201808
縁側の花一輪や風涼し 浅木ノヱ 春燈 201808
涼しさの縁側に壺ひとつあり 平沢恵子 春燈 201808
沢音の涼しき俳諧道場かな 持田信子 春燈 201808
星涼し板盛りの蕎麦波打つて 大沢美智子 旬日 201808
着せ替へて白涼しかれ黄泉へ父 大沢美智子 旬日 201808
星涼しグラスに泡の囁けば 林昭太郎 201808
瀬音きく涼しさ淡水魚の図鑑 井原美鳥 201808
鴨涼しゆつたりと引く水尾ひとつ 梅田武 末黒野 201808
川音の和やかなるや風涼し 池谷鹿次 末黒野 201808
水音の涼しさに居て祈りあり 稲畑汀子 ホトトギス 201808
稿一つ仕上げ涼しき家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 201808
タクシーは船にもありて水尾涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
大屋根の涼しき反りでありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
星涼し鰭を収めて寝まりけり 能村研三 201809
錫皿の槌打ちの波涼しかり 細川洋子 201809
俳諧は布衣(ふい)の交はりいと涼し 千田百里 201809
星涼し夜の入口に錠のなき 辻美奈子 201809
神輿屋の板間涼しや玻璃戸越し 森村江風 201809
たわいなき昔語りに月涼し 竹内喜代子 雨月 201809
須磨涼し離宮の在りし日もかくや 堀井英子 雨月 201809
城下町涼しく水を巡らせり 柴田昭子 雨月 201809
星涼し束ねてしまふ父の文 本多俊子 201809
真つ直に磨られし墨の涼しかり 市村明代 馬醉木 201809
花道の奥の涼しさうら座敷 伊藤希眸 京鹿子 201809
ひと泣きして星を涼しく鏤める 井上菜摘子 京鹿子 201809
ラメ入りの涼しき靴やピアニスト 鷺山珀眉 京鹿子 201809
十秒息止め潜るCT胸涼し 篠田純子 あを 201808
人工の島に生まれて月涼し おーたえつこ 201809
ランプの灯涼し客待ちのピアノ 辻水音 201809
兄の音弟の音涼しかり はしもと風里 201809
3Dプロジェクションマッピング月涼し 笹村恵美子 201809
月涼し原因不明の水庖が たかはしすなお 201809
腹割つて佛を見せる寺涼し 丸井巴水 京鹿子 201810
小劇場へ外階段の灯の涼し 赤座典子 あを 201809
グランドピアノすつくと脚の涼しかり 林昭太郎 201810
夕涼し花街といふ裏通り 宮内とし子 201810
星涼し火星接近して遠し 辻美奈子 201810
紙細工作る鋏の音涼し 西村渾 201810
大江戸の揚戸造りの店涼し 西村渾 201810
縄文の女神涼しき十頭身 中西恒弘 201810
白薩摩一壺置きたる涼しさよ 落合絹代 雨月 201810
クルーズに始まる旅吟星涼し 辻田玲子 雨月 201810
龍子邸涼し網代に組める軒 下田奉枝 雨月 201810
湯上りの吾子の呼ぶ声星涼し 笹村政子 六花 201810
あしか涼し空飛ぷやうに水をゆく 古賀しぐれ ホトトギス 201810
それぞれにそれぞれの虚子あり涼し 今井千鶴子 ホトトギス 201810
涼しかりランプを吊す山の茶屋 間島あきら 風土 201810
涼しさは一調を追ふ葉擦れかな 内藤静 風土 201810
酢の匂ひして厨こそ涼しけれ 内藤静 風土 201810
和紙に描くランプシェードや灯涼し 落合絹代 風土 201810
笛の音の闇に吸はるる寺涼し 片桐紀美子 風土 201810
駅出でて涼しき距離に円覚寺 石井秀一 風土 201810
灯の船となりて出てゆく湾涼し 落合絹代 風土 201810
野外演奏曲の合間の風涼し 落合絹代 風土 201810
青鷺舞ふ水面涼しき夕べかな 中里よし子 春燈 201810
涼しさや撒きたる程の岬の灯 池田葉子 春燈 201810
大時計徐に鳴る涼しさよ 中上馥子 春燈 201810
漁火の星に連なる涼しさよ 石黒興平 末黒野 201810
離れ家や竹林洩るる灯の涼し 前川美智子 末黒野 201810
洗ふほど涼しくなりぬ織絣 須賀敏子 あを 201810
連願の涼しき調ベカテドラル 酒井湧水 ホトトギス 201811
光秀の依代なりし鯱涼し 吉田節子 ホトトギス 201811
邂逅や与謝に涼しく住める君 千原叡子 ホトトギス 201811
木造の長き廊下や風涼し 古賀恵子 201811
漁火に涼しき星の水平線 竹村淳 201811
星涼し白蝶貝のイヤリング 大川ゆかり 201811
歌詞なべて忘れぬ寮歌星涼し 大島寛治 雨月 201811
七階に古書骨董の市涼し 大石よし子 雨月 201811
ことごとく襖外され堂涼し 藤岡紫水 京鹿子 201811
アルゼンチンタンゴ涼しき石畳 片山煕子 京鹿子 201811
蝉涼し熱き茶ほしくなりにけり 宮川みね子 風土 201811
靴左右色違へたる涼しさよ 橘正義 春燈 201811
灯明の揺れて涼しき読経かな 田中嘉信 春燈 201811
大山の表も裏も見て涼し 永淵惠子 201812
ムックリの響き翁の髭涼し 窪みち子 201812
きつぱりと断られたる涼しさよ 岸洋子 201812
爪切って少し涼しくしたりけり 佐藤喜孝 あを 201811
渓谷の吊橋涼し息ひそむ 小林紫乃 春燈 201812
宵涼し白く浮きたつ天文台 山下健治 春燈 201812
涼しさや母の遺品の小鈴鳴り 岡部名保子 馬醉木 201901
来し方を刻む面輪の涼しさに 千原叡子 ホトトギス 201901
月涼しガラスの鳥の青き翳 斉藤マキ子 末黒野 201904
風涼し山門の磴登り来て 大川暉美 末黒野 201904
本堂のみ仏涼し合掌す 大川暉美 末黒野 201904
白鳳仏反らす小指の御手涼し 大川暉美 末黒野 201904
空に入るファウルラインの白涼し 山旧邦彦 201904
着いてすぐ締切といふ涼しさよ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
吟行を済ませ涼しき灯の下に 稲畑汀子 ホトトギス 201905
稽古会涼しく集ひ来たりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201905
半世紀以上経つ会涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201905
皆話したき心もて涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201905
露涼し地震二日目となる集ひ 稲畑汀子 ホトトギス 201906
旅共にせしを語らん涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201906
夕食のあとの紅茶に涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201906
大江山あの山と思へば涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
露涼し墓石を城の石垣に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
涼しさは丹波の一会ありてこそ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
健脚を取り戻したる汗涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
新主宰囲みし縁灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
涼しさや信長よりの革袴 橋添やよひ 風土 201906
杣人の余韻涼しきひと日旅 橋添やよひ 風土 201906
星涼し酌むカクテルのうすみどり 白井友梨 馬醉木 201907
ろくなもの残らぬパン屋風涼し 小山よる やぶれ傘 201907
露涼し会ひたき人に会へし旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
船頭の艪の音涼しく流れけり 田嶋洋子 春燈 201908
大食堂マントルピースの石涼し 岡田桃子 201908
仏像の海外出張星涼し 宮内とし子 201908
朝涼し歌塚に松匂ふなり 田中佐知子 風土 201908
勅願寺声の涼しき案内僧 田中佐知子 風土 201908
礼拝の右繞三匝涼しかり 門伝史会 風土 201908
べた凪の洋上にゐて星涼し 佐久間敏高 201908
瑞泉寺夢窓国師の風涼し 黒滝志麻子 末黒野 201908
風音の路地に入りくる宵涼し 黒滝志麻子 末黒野 201908
検査台涼しバリウムほの甘し 篠田純子 あを 201909
月涼し塩原の湯の掛流し 須賀敏子 あを 201909
祖よりの備前大皿涼しけれ 伊藤希眸 京鹿子 201909
せせらぎの一筋涼し香を聞く 塩貝朱千 京鹿子 201909
うらさびし涼しき土間も庭の木も 川村欽子 雨月 201909
子規の句碑高崎川の涼しけれ 小林共代 風土 201909
夕涼し小路に暖簾出揃ひて 土井三乙 風土 201909
涼しさの土蔵造りの店に入る 田中美恵子 201909
故郷訪ひ来し娘の顔や夕涼し 川崎雅子 春燈 201909
堂守涼し世襲五代目台湾スア 廖運藩 春燈 201909
吊橋を渡りて涼し大井川 榊山智惠 末黒野 201909
オペラグラス役者涼しき舞姿 西本花音 春燈 201909
船笛に亭午と知りぬ風涼し 松本三千夫 末黒野 201909
雀すずめ慈母観音の涼しさよ 佐藤あさ子 201909
大手町牧場ビルの灯涼し 平野無石 201909
笈負ふて遠眼差しの曾良涼し 能村研三 201909
木星を徳星と呼び星涼し 細川洋子 201909
空濠の草生き生きと露涼し 石川笙児 201909
若竹よ目もと涼しき青年よ 久保夢女 201909
図書館に活字ただよふ涼しさよ 高橋将夫 201909
涼し →19

 

2021年8月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。