涼 し 17    200句

涼しさや行燈消えて水の音    正岡子規

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
百周年のコンサート果て月涼し 塩見治郎 雨月 201610
滝涼し孝子の水のほとばしり 佐藤貞子 雨月 201610
畳屋の土間の涼しさ畳の香 田中たつを 雨月 201610
ふたたびの癌告げらるる夫涼し 笹村政子 六花 201610
月涼し投函あとの遠回り 廣畑育子 六花 201610
独白に始まる舞台こゑ涼し 田村園子 201610
子らに負け蹠涼しくもどりけり 齋藤厚子 201610
虹二節とはおもろうて涼しうて 古賀しぐれ ホトトギス 201611
虚子作の百年目とふ能涼し 千原叡子 ホトトギス 201611
師の言葉父の言葉として涼し 和田華凛 ホトトギス 201611
死神といへど涼しき虚子の能 三村純也 ホトトギス 201611
生きてゐるかぎり涼しくあらまほし 中杉隆世 ホトトギス 201611
涼しさの極みといふはまだ知ら 中杉隆世 ホトトギス 201611
百僧の一斉に立つ涼しさよ 林昭太郎 201611
恐竜の背骨なだらか月涼し 篠藤千佳子 201611
オバマ氏の折鶴を見る館涼し 大石よし子 雨月 201611
みすずかる信濃は湖の星涼し 岡田貞峰 馬酔木 201611
またたきは光年の時差星涼し 金子正道 京鹿子 201611
楼門を抜け来る風の涼しかり 住田千代子 六花 201611
星涼し眠りの早き漁師町 柴田佐知子 201611
飛石や涼しき位置に次の石 深川淑枝 201611
涼しさや髭ながながと深海魚 戸栗末匿 201611
星涼し骨までゆるぶ道後の湯 永淵惠子 201611
馬上涼し河ゆるやかな国境 江見悦子 万象 201611
舟虫とわかつ破船の影涼し 玉田瑞穂 万象 201611
涼しさやチェロの奏づる木遣歌 松井佐枝子 万象 201611
夜泣子を背負ひて仰ぐ星涼し 八代洋子 万象 201611
東山魁夷の白馬秋涼し 永井恵子 春燈 201611
清流に家毎の橋鴨涼し 森清信子 末黒野 201611
アラスカの岩壁離れ星涼し 鏡英子 末黒野 201611
五十鈴川彩とりどりの石涼し 野村重子 末黒野 201611
結縁縷に畏み触れて秋涼し 森脇貞子 雨月 201612
月涼し仏頭ならぶその上に 雨村敏子 201612
戸が開いて涼しく友の訪なへり 工藤ミネ子 風土 201612
表より裏へ風抜け土間涼し 磯崎啓三 風土 201612
涼しさや過去帳めくる夜の風 磯崎啓三 風土 201612
涼しさや寺の念仏風に乗り 磯崎啓三 風土 201612
宿題の仕上げの色の涼しかり 齋藤厚子 201612
南大門涼し仁王の余り風 古賀しぐれ ホトトギス 201612
苔庭の阿吽の配置石涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201612
人を待つ心涼しくあらねばと 赤川誓城 ホトトギス 201612
灯を消して星の風入る庵涼し 藤浦昭代 ホトトギス 201612
教会の堅き木椅子や秋涼し 石黒興平 末黒野 201612
塔頭の門扉全開秋涼し 神谷さうび 末黒野 201612
秋涼し弁天島へ小さき橋 神谷さうび 末黒野 201612
涼しさや金輪際より生れし島 大坪景章 椿垣 201612
月涼し薬より効く言葉あり 栗原公子 銀の笛 201612
自由とは涼しかりけり寂しかり 栗原公子 銀の笛 201612
涼しかり星座は花の名を持たず 栗原公子 銀の笛 201612
友に会ふみちのくの旅秋涼し 安原葉 ホトトギス 201701
気休めがほどの体操秋涼し 中村房子 馬醉木 201701
朝涼し大漁旗をはためかせ 河野由美 馬醉木 201701
涼しさよ日光月光菩薩の辺 青木朋子 201612
地獄絵の前の読経や秋涼し 田中とし江 201612
京町屋くぐれば涼し素の私 梨地ことこ 船団 201701
割箸も添ヘカトラリー卓涼し 千原叡子 ホトトギス 201702
風涼しこの頃毛深いチボの指 寺田伸一 船団 201702
まなじりの涼しき巫女に受く破魔矢 菊池洋子 やぶれ傘 201703
夢の世の言葉遊びの涼しさよ 高橋将夫 蜷の道 201703
血天井霊気涼しく放ちをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
帰り来し友に乾杯灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
滞在を一と日延ばして蝦夷涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
漫談も交へ涼しき講話かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
タワーの灯見て帰路となる涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201705
いつまでも心は若し老涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201705
天涼し火星近づく夜と知れば 稲畑汀子 ホトトギス 201705
若き日に戻る涼しき心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201705
血糖値今日だけは別会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201705
六さんも六健さんもギャグ涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
月涼し火星と土星侍らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
俳聖の許へ涼しき帰天かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
考へを涼しく纏め置くことに 稲畑汀子 ホトトギス 201706
一日の時間やりくりして涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201706
露座仏といふ涼しさでありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
大仏に平伏す国の人涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
山陰といふ涼しさと優しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
眼鏡美人涼しく眼鏡外されし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
月涼し火星木星土星統べ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
御影石愛でる御影の人涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
雨後といふ葉を彩れる露涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
岩崎家今に伝へて池涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
東京の下町といふ灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
宮涼し二礼二柏手一礼に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
将軍を祀る大寺鴟尾涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
高階の弥撤や祈りの声涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
露涼し句碑に再会てふ縁 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
涼しいと言へば涼しくなつて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
旅に会ひ今日又会へて会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
邂逅の涼しき旅の一頁 稲畑汀子 ホトトギス 201707
高原の風入れ替り露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
三瓶野はわがまほろばよ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
露涼し書かねば消ゆることばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201707
遠き旅終へし家居の露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
日曜のミサにはじまる露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
若き日に戻る会あり露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
一つづつ予定消しゆく汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
快晴といふ涼しさの祝ぎ心 稲畑汀子 ホトトギス 201707
東京を発ち金沢へ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201707
客席の廻る劇場とや涼し 千田百里 201708
月涼し累積遺跡秘めし地の 荒井千瑳子 201708
メタセコイヤ涼しき風が素通りす 犬塚芳子 201708
木の椅子に開く聖書や夕涼し コ田千鶴子 馬醉木 201708
はらからと向かひ合ひたる箸涼し 小野恵美子 馬醉木 201708
たこ糸に縛る肉塊蝉涼し 野中亮介 馬醉木 201708
神鈴の綱の垂直涼しかり 堀田順子 馬醉木 201708
涼しさや帽子奪ひてゆきし風 山田六甲 六花 201708
磯波の小石ひきづる音涼し 佐津のぼる 六花 201708
魂合ふも近しや永久の涼しさに 安立公彦 春燈 201708
一服の白湯飲む窓辺朝涼し 柴崎富子 春燈 201708
月涼し維新を偲ぶ五稜郭 小張昭一 春燈 201708
黒塀に軍手そのほか干し涼し 笹村恵美子 201709
子に聴こえ吾に聴こえず月涼し 笹村恵美子 201709
弟も涼しい月をみてをるか はしもと風里 201709
蝉涼し杜の小川の風あそび 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
月涼し瀬見の小川を訪はむ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
神涼し二川の睦む原生林 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
火の山の地底に巨木涼しかり 山田六甲 六花 201709
縄文の杉息吹ある闇涼し 山田六甲 六花 201709
涼しさや花の色してロゼワイン 山田六甲 六花 201709
星涼し知る術の無き結末も 久保夢女 201709

チセ並ぶ水際涼しき萱の径

 アイヌ語で家

林陽子 万象 201709
あるがまま暮らす余生や月涼し 吉永すみれ 風土 201709
Tシャツに山頭火の句涼しかり 森田節子 風土 201709
富士を見る朝の散歩の涼しさよ 中嶋陽子 風土 201709
約束に遅れし山廬松涼し 奥田茶々 風土 201709
草原のあをき曼陀羅露涼し 矢崎すみ子 201709
夕鐘の涼しき余韻をんな坂 渡辺輝子 201709
返信の五文字とは涼しすぎないか 千田百里 201709

 祝・能美様

詩の道の豊かなる歩や月涼し

甲州千草 201709
「あれ」「それ」で分る涼しき仲間かな 田所節子 201709
目礼にしばし涼しさ貰ひけり 菊地光子 201709
玄海灘の孤島涼しき遺産なる 内山花葉 201709
神主の祓ふ大幣声涼し 秋山ユキ子 201709
涼しさや気息流るる素描集 溝呂木信子 201709
碑に波郷の文字の涼しさよ コ田千鶴子 馬醉木 201709
ここからは東大寺領風涼し 狭川青史 馬醉木 201709
味噌焼きて香る朴葉や朝涼し 西村梛子 馬醉木 201709
会心の一手涼しく駒の音 中村房子 馬醉木 201709
御用達の墨書涼しき嵯峨豆腐 川合弘子 馬醉木 201709
風の丘潮の香の丘星涼し 松本三千夫 末黒野 201709
参道を掃く竹箒音涼し 遠藤清子 末黒野 201709
古民家の琴の音色や土間涼し 長尾タイ 末黒野 201709
首筋に涼しき風や更衣 石田朝子 末黒野 201709
涼しくてピーターほどの兎波 高橋道子 201709
涼しき風通る仏間に姉妹かな 磯野しをり 雨月 201709
達筆の師の軸拝す句も涼し 久保田雪枝 雨月 201709
雲ヶ畑の水音涼しき行者宿 蒲田雅子 雨月 201709
弥陀堂の曲線涼し檜皮葺 荻野周子 雨月 201709
朝涼し木の葉浮かべる露天風呂 稲田延子 やぶれ傘 201709
涼しさや竹林わたる風青き 楠原幹子 201710
遺されし一語一韻涼しかり 酒本八重 201710
テーブルに光る塩粒朝涼し 大川ゆかり 201710
星涼し人の数だけ皿の出て 林昭太郎 201710
星涼し板盛りの蕎麦波打つて 大沢美智子 201710
青色の糊で封する涼しさよ 稗田寿明 201710
灯涼し俳諧飽きぬ遊びかな 大室恵美子 春燈 201709
百花咲く竜飛岬や風涼し 木村みどり 春燈 201709
帰宅するや先づ普段着の涼しさよ 長谷仁子 春燈 201709
豆柴犬姿涼しく通りゆく 高田令子 201710
涼しかり北極熊の水しぶき 相良牧人 201710
橋涼し穂高連峰真向ひに 門伝史会 風土 201710
涼しさや空に星座を溢れしめ 山田暢子 風土 201710
星涼し世の喧騒を消すやうに 岩月優美子 201710
月涼し南無阿弥陀仏の墨の色 平野多聞 201710
涼しさにいざ漕ぎ出でな芭蕉翁 藤田美耶子 201710
広沢へ軋む牛車や車夫涼し 鈴鹿呂仁 京鹿子 201710
見ゆれば二尊は涼し右手左手 鈴鹿呂仁 京鹿子 201710
からす鳴く声さへ涼し永平寺 村田あを衣 京鹿子 201710
雨上る墨痕涼しき溥傑の書 山下良江 万象 201710
葭長者訪ねて涼し葭のペン 須賀允子 万象 201710
池の面の水は平らに蝉涼し 藤生不二男 六花 201710
吹き抜けに蝶の来てゐる館涼し 谷村祐治 雨月 201710
ほどほどの旅の計画月涼し 竹内喜代子 雨月 201710
除草作業終へたる庭の涼しげに 久保晴子 雨月 201710
書道展涼しく仮名を散らしたる 堀井英子 雨月 201710
堰をきる水勢涼し音涼し 三輪温子 雨月 201710
長き貨車涼しき風を引きにけり 太田チヱ子 末黒野 201710
水音は父の生家や星涼し 石田静 201711
オルゴールの蓋ゆつくりと星涼し 篠藤千佳子 201711
ゴジラ抱く子と浜にあり星涼し 中島陽華 201711
月涼し父は黄泉路へ吾は家路 石田きよし 201711
又明日があると涼しき星仰ぐ 湖東紀子 ホトトギス 201711
木屋町のそぞろ歩きや月涼し 今村千年 末黒野 201711
吹き抜くる風や涼しき古墳群 岡田史女 末黒野 201711
ぼんぼりの灯の涼しさや実朝祭 原和三 末黒野 201711
一切を糺の森の風涼し 鷺山珀眉 京鹿子 201711
禅林の碁を打つ音の涼しさよ 塩見治郎 雨月 201711
挨拶の言葉涼しく交しけり 村上悦子 雨月 201711
潮騒は海の吐息や浜涼し 中野匡子 ホトトギス 201712
夜遊びと言ふ吟行や星涼し 千原叡子 ホトトギス 201712
母と見し夜を重ねて月涼し 藤浦昭代 ホトトギス 201712
今日もまた恙なく終へ月涼し 藤浦昭代 ホトトギス 201712
研ぎ上げて光涼しき肥後の守 奥山テル子 万象 201712
爪切ればぱつちんと飛び月涼し おーたえつこ 201712
時計無き佳人の腕の涼しさよ 石黒興平 末黒野 201712
湯の底の小石のまろみ星涼し 平沢恵子 春燈 201712
婚礼の朝は涼しき松の風 竹中一花 201712
神苑の小橋小橋の瀬の涼し 村田あを衣 京鹿子 201712
一礼と言ふ涼しさも嵯峨小径 井尻妙子 京鹿子 201712
涼しかり星座は花の名を持たず 栗原公子 201801
涼し→18      

 

2021年8月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。