涼し 15    200句

涼しさや行燈消えて水の音    正岡子規

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
良心の見張番棲む月涼し 卯木堯子 春燈 201410
そば食うて涼しく去りぬ柏原 箕輪カオル 201410
涼しさや掌ほどの湖の波 市川伊團次 六花 201410
涼しさの法衣に朝の折目かな 成宮紀代子 201410
涼しさの星の一つと交信す すずき巴里 ろんど 201410
涼しげに草履揃ひし阿弥陀堂 中村紀美子 春燈 201410
涼しかり気負ひなければ気後れも 栗原公子 201410
立つたまま馬の居眠り風涼し 荒井和昭 201410
嵐電の駅名を読み夕涼し 杉浦典子 火星 201410
木下風受けて楽しむ滝涼し 筒井八重子 六花 201410
三更に覚めて涼しき月明り 藤浦昭代 ホトトギス 201410
名画なる湖畔のをんな風涼し 桂敦子 201410
寂とのみ一字の茶掛涼しかり 山本漾子 雨月 201410
借景の山の風入れ館涼し 武生喜玖乃 雨月 201410
涼しさや掌ほどの湖の波 市川伊團次 六花 201410
母涼し赤子のやうに洗はれて 佐藤弘香 ろんど 201410
母となる人に涼しく席譲る 川崎真樹子 春燈 201410
墓買うて涼しき風を身の内に 生井慶子 万象 201410
家路へと向ふ涼しき灯を目当て 水谷直子 京鹿子 201410
天蓋の琵琶抱く飛天涼しかり 江見悦子 万象 201410
師を偲ぶ心は一つ館涼し 森幸 雨月 201410
標高の千余の峠露涼し 安斎久英 末黒野 201410
百歩にて池一巡り風涼し 松本三千夫 末黒野 201410
百幹の竹の匂へる涼しさよ 熊川暁子 201410
散歩かも涼しき朝の鴉かな 仁平則子 201410
磐座を天に戴き里涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201410
半畳の広さ涼しく坐禅組む 林八重子 馬醉木 201410
白檀の妣の扇子の風涼し 塩見英子 雨月 201410
白狐涼し屋敷の稲荷神 塩路隆子 201410
あたら夜の涼しき月を独り占 藤井明子 馬醉木 201410
波音の引くとき涼し星の綺羅 松本三千夫 末黒野 201410
黄金の千手観音燭涼し 藤本秀機 201410
敦子師の御影涼しき追悼会 横山昭子 雨月 201410
ねえあなた池の向こうは涼しそう 池田澄子 201410
鉄橋を渡れば涼し我が故郷 西田史郎 201410
みな齢かさねしことも露涼し 安原葉 ホトトギス 201410
木曽塚の右に翁の墓涼し 中村ふく子 201411
電線を綱渡りせる月涼し 伊藤憲子 201411
涼しき灯すゞしけれども哀しき灯 久保田万太郎 春燈 201411
をちこちの目に入る街の灯みな涼し 長坂正昭 春燈 201411
背を撫づる風の涼しや皿洗ふ 小川玉泉 末黒野 201411
涼しさの言葉はいらず吹かれをり 大橋伊佐子 末黒野 201411
出格子の風の涼しや飛騨民家 石黒興平 末黒野 201411
涼しさや石敷きつめし坂の町 岡田史女 末黒野 201411
目薬の一滴涼し夜の静寂 及川照子 末黒野 201411
涼しさや船のかたちに灯の点り 斉藤マキ子 末黒野 201411
曲屋の農具展示や秋涼し 石井雲雀 末黒野 201411
戸を開けて朝の涼しさ迎へ入れ 野村鞆枝 京鹿子 201411
指先の言葉涼しくフラダンス 佐藤弘香 ろんど 201411
土間涼し大樹の風の通り道 川上久美 ろんど 201411
夕星や影も涼しき竹細工 大川ゆかり 201411
イクメンの涼しく吾子を抱きにける 中田禎子 201411
富士塚の海抜を聞く涼しさよ 礒貝尚孝 201411
薔薇窓へ祈り涼しき朝の弥撒 小河原清江 201411
涼しさや名城にして無彩色 鳳蛮華 201411
寄り添ひし男女動かぬ川床涼し 久保東海司 201411
月涼し白壁にある松の影 飛高隆夫 万象 201411
星涼し恐竜博の長き列 高野春子 京鹿子 201411
九回まで投げ抜き球児涼しき目 石黒興平 末黒野 201411
朝ごとの我流体操涼しかり 北川孝子 京鹿子 201411
座り胼胝通る瑞江の涼しさよ 伊藤希眸 京鹿子 201411
塀のない隣のひびき月涼し 神田美千留 京鹿子 201411
清水寺に「舌切茶屋」てふ涼しかり 神蔵器 風土 201411
影あれば影に憩ひて蝉涼し 岡淑子 雨月 201411
千畳の御堂涼しや正信偈 竹内喜代子 雨月 201411
父といふ比良母といふ湖涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201412
病みし日を明るく語り露涼し 安原葉 ホトトギス 201412
面かぶりの先導の僧影涼し 加藤静江 末黒野 201412
地下道に涼しさ覚ゆけふの朝 松村光典 やぶれ傘 201412
涼しさや名城にして無彩色 鳳蛮華 201412
涼しくて細き足首手首かな 天谷翔子 201412
正面に甲斐駒ヶ岳秋涼し 野畑さゆり 201412
信号の青連なりて秋涼し 森田尚宏 201412
月涼し甕にあしたの水満たす 杉浦典子 火星 201412
酔芙蓉観音の御手秋涼し 笹村恵美子 201412
生きてをることを涼しと思ひけり 中杉隆世 ホトトギス 201412
涼しさに包まれてゐる神の森 藤井啓子 ホトトギス 201412
手術痕撫づる首筋風涼し 吉村摂護 201501
乳歯抜け口に涼しき風吹くと 澤近栄子 京鹿子 201501
月涼し波音の降る里の世 藤井杏愛 京鹿子 201501
残心のありて古里月涼し 藤井杏愛 京鹿子 201501
土間涼し陣屋のくどに釜八つ 倉橋あつ子 京鹿子 201501
安らぎてあれば涼しき卒寿かな 竹下陶子 ホトトギス 201501
水滴に観音菩薩居て涼し 原ゆき 船団 201502
涼しいといふことをはき違へたる 後藤比奈夫 ホトトギス 201502
そば食うて涼しく去りぬ柏原 箕輪カオル 201502
手枕を解く涼しさありにけり 箕輪カオル 201502
寺町や仰ぎ見るものみな涼し 戸栗末廣 201503
露涼し虚子の息吹を感じつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
濠涼し五羽の醜い家鴨の子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
涼しさを通り越したる蝦夷の旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
白樺に涼しく旅の始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
邂逅に旧交に蝦夷旅涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
幾度も訪ひし曽遊の街涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
いつまでも老を遠ざけ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
きつかけは何はともあれ会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
朝の間の仕事片づく涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201505
客人にせめて涼しき雨上がり 稲畑汀子 ホトトギス 201505
邂逅の話弾める涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201505
集ふてふ力漲る会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
たとへ耳遠くとも汗涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201505
友老いぬ我も老いしか露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
快晴の道迷ひしと汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
露涼し老と思ひしことはなし 稲畑汀子 ホトトギス 201505
皆無事に集ひし仲間汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
惜しまるる人柄なりし露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201505
月涼し対潮楼の潮暦 鈴木鳳来 故山 201505
涼しくて細き足首手首かな 天谷翔子 201505
盗掘を逃れて涼し武官俑 佐渡谷秀一 対座 201505
この山路行けば着くてふ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201506
質間を受けて応へて露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201506
紫の似合ふ涼しき汝が心 稲畑汀子 ホトトギス 201506
港町涼しく未来重ねゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
積み上がる高層ビルの灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
虚子を知る泊雲を知る人涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
たましひのあしたに涼し孔子かな 神蔵器 風土 201506
浮世絵の版画の手順見て涼し 渡会昌広 馬醉木 201506
昼の音みな遠ざかり星涼し 岩月優美子 グピドの瞳 201506
昼の音みな遠ざかり星涼し 岩月優美子 グピドの瞳 201506
返らざる今日といふ日よ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
涼しさに馴れてしまひし部屋を出る 稲畑汀子 ホトトギス 201507
計画のぐんぐん進む涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201507
邂逅に空白はなし涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201507
涼しさに居て涼じさを忘れゐし 稲畑汀子 ホトトギス 201507
ただ偲ぶ心寄せ合ひ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
汝が心偲べば辺り露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
なつかしき友を送らん汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
涼しさに馴れてはならぬ旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 201507
友葬る日なりしせめて涼しさに 稲畑汀子 ホトトギス 201507
迷はずに知らぬ町行く涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201507
別れとはさりげなきもの露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
ふと眠しかく涼しさに包まれて 稲畑汀子 ホトトギス 201507
汗涼しリフト上りて下りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201507
よく晴れし三瓶の朝の露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
歩くこと楽しむ三瓶露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
世の中の心集めし涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201507
羅に見えてさほど涼しくなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201507
二千年経し楠の木の森涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201507
まだ誰も居ない会場涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201507
句座涼し四十八の瞳かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
声涼し十八歳のバスガイド 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
月涼し三河の夜の伽として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
旅人の心濡らして月涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
飛機涼し星の余白を縫うてゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
文豪の悲喜を納めて宿涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
国宝に視線涼しく集まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
墨すつて一字を贈る涼しかり 神蔵器 風土 201507
水郷の湖を平らに舳(じく)涼し 鈴鹿仁 京鹿子 201507
布引のダム湖を渡る風涼し 大橋晄 雨月 201507
絵馬涼し迦陵頻伽の音を立て 山田六甲 六花 201507
暑を発ちて六百キロの街涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
家よりは徒歩一時間秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
孫抱いてすもりとなるも涼しかり コ田千鶴子 馬醉木 201508
橋涼し老に手を貸す下校の子 堀田順子 馬醉木 201508
勝馬の首たたかれて涼しき目 那須禮子 春燈 201508
鬼剣舞角なき面涼しかり 辻美奈子 201508
軽焼の生成り色なる涼しさよ 細川洋子 201508
踏み込めば南部曲家土間涼し 杉本光祥 201508
涼しき灯吊る曲り家の手斧梁 柴田近江 201508
曲り家の嬶座にかよふ風涼し 柴田近江 201508
星七つつなぐ指先風涼し 湯橋喜美 201508
これやこの亡母の小言の涼しくて 神蔵器 風土 201508
露涼し礼文敦盛草の母衣 林いづみ 風土 201508
一水の走る涼しさ竹筧 下山田美江 風土 201508
涼しさや渡り廊下へ笹の音 山田六甲 六花 201508
渾身のゴールを決めし涼しさよ 山本喜朗 雨月 201508
舌頭にごろがす一句涼しくて 高橋将夫 201508
寝惜しむや涼しき星を身ほとりに 近藤喜子 201509
のぼりきて闇に一つの燈涼し 柴田靖子 201509
心も色も透明が好き星涼し 柴田靖子 201509
円空の祈り涼しき木目襞 能村研三 201509
神杉の五本一魂涼しけれ 能村研三 201509
向き合へる父と児抱つこ紐涼し 細川洋子 201509
学歴を問はざる詩界涼しかり 千田百里 201509
野の花の一つ一つに涼しき名 平松うさぎ 201509
直りたる振子時計の音涼し 小川玉泉 末黒野 201509
風涼しダム湖を分かつ橋の上 安斎久英 末黒野 201509
大仏の胎内めぐり出て涼し 内海良太 万象 201509
世の端の女世帯や灯の涼し 綱徳女 春燈 201509
故郷を知らぬヒマラヤ杉涼し 笠井敦子 201509
鐘涼し観音の日の法話聞き 磯野しをり 雨月 201509
早起きの畦にゐる父露涼し 斉藤裕子 あを 201509
デモ隊への野党議員の拍手涼し 篠田純子 あを 201509
道迷ひたる友偲ぶ露涼し 安原葉 ホトトギス 201510
宴涼し聞く軽井沢物語 安原葉 ホトトギス 201510
九十九折登り切りたる汗涼し 後藤比奈夫 ホトトギス 201510
涼しかり八百八橋てふ祝辞 後藤比奈夫 ホトトギス 201510
朝涼し作務僧木魚たたくのみ 大崎紀夫 虻の昼 201510
渓流の風の涼しき普茶料理 大上充子 馬醉木 201510
強がりを言ふ声涼し電話口 堀田順子 馬醉木 201510
くちずさむ梁塵秘抄星涼し 山田春生 万象 201510
電線に残る雨粒朝涼し 三澤いつ子 万象 201510
漬物の切口揃ふ涼しさよ 樋口みのぶ 201510
腹帯巻く虫くひ仏風涼し 南奉栄蓮 風土 201510
涼しさや千三百畳の祈り 雨宮桂子 風土 201510
己が身に宿る水音寺涼し 鈴鹿呂仁 京鹿子 201510
神杉の息深くして朝涼し 鈴鹿呂仁 京鹿子 201510
今にしてひとり暮しも涼しかり 北川孝子 京鹿子 201510
涼しかり火より生れし火焔士器 林昭太郎 201510
シテの出のすり足涼し橋懸り 内山照久 201510
涼し→ 16      

 

2021年8月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。